補正予算に対する討論
9月29日、8月通常会議提出議案のうち、決算関連議案を除く議案の採決が行われました。
議案第105号 令和3年度大津市一般会計補正予算(第7号)について(賛成討論)
○庁舎整備基本構想策定に係る外部有識者による懇話会の運営経費について
当該懇話会は建築、設備、都市計画、防災、環境、デジタル・トランスフォーメーションの専門家によって組織され、計3回の開催が予定されています。
庁内組織である庁舎整備推進本部会議やワーキングチームでの議論を踏まえ、基本構想の検討項目について議論いただけるものと認識をしていますが、9月27日に開催された公共施設対策特別委員会での説明によると、2月には市民意見の聴取を予定されており、その内容についても外部有識者の皆さんから助言を受けられるとのことでした。
大地震が発生した後、大津市役所は直ちに機能しなくてはなりませんが、本館棟、別館棟については市役所庁舎として必要となる耐震性を今もって有しておりません。
市民の皆様から、「他の公共施設のように、耐震補強で対応できないのか」というご質問をいただくことがありますが、庁舎整備には多額の予算を必要することから、同様の疑問を持たれる方は多くおられると考えます。
大津市はこれまでの間、構造上、ブレースや耐力壁を設置しての補強工事では、市役所庁舎としての機能を保ちながら必要な耐震性を有することが極めて困難で現実的でないことを技術的な検討を踏まえて明らかにされてきました。また、大津市はこれまで本館棟を免振レトロフィット工法により改修する案を検討に含めてこられましたが、基本構想を策定されるにあたっては、これら検討経過についても市民により分かりやすく説明されることが求められます。
庁舎整備を進めるにあたっては、市民と課題認識を共有しながら進めることが何よりも重要な事と考えます。基本構想の策定にあたって、今年度中に市民アンケートを聴取される方針をあらためて示されましたが、これまでの検討経過について市民が理解を深められるよう、より分かりやすい、より積極的な情報発信をあらためて大津市に求めます。
○びわ湖浜大津駅周辺の市有広域施設の利活用の検討に係る調査業務について
(仮称)新・琵琶湖文化館の誘致に伴い、大津市はびわ湖浜大津駅周辺に立地する文化、芸術、社会教育に関する広域施設に求められる機能や役割について調査を深めるため、必要とする委託料を当該補正予算案に計上されています。
大津市民会館については、現状と課題を分析され、令和3年4月に策定された立地適正化計画を踏まえながら、今後のあり方について既に検討が進められています。佐藤市長は選挙公約のなかで、「図書館と市民会館の再整備の検討」を掲げられています。市民との公約の実現に向け、必要となる検討を行っていかれる姿勢を評価するものです。
図書館本館については、建築後約40年が経過し、各種施設の老朽化や書庫が狭小であるなどの課題を抱えています。
大津市は質疑一般質問に対する答弁において、図書館は市民の主体的な学びに対して、収集した情報を提供することなどによって、市民の豊かな暮らしを支え、また、本を通じて人づくりやまちづくりを支援する、市民にとって身近な施設であり、学び、集いの場として、都市の魅力の向上やにぎわいの創出に寄与する施設であるとの考えを示されています。
まずは、(仮称)新・琵琶湖文化館の整備を契機として、図書館を含む市有広域施設それぞれが相乗効果を発揮するために、今日に求められる機能や取組について、調査、整理をしていく方針を示されていますが、この度、措置された予算の執行を通じて、これらの取り組みが進むことを期待し、討論といたします。
引き続き、同日、提出された議案第129号 令和3年度大津市一般会計補正予算(第8号)について質疑を行いました。
下記は質問内容と答弁内容の要約です。(議事録ではありません)
【谷】
議案第129号 令和3年度大津市一般会計補正予算(第8号)のうち、大津市高砂町で発生した土砂崩れに伴う災害復旧費について、一問一答方式にて質疑を行います。まずはじめに、必要となる事業費について。
8月14日に高砂町で発生した土砂崩れに伴い、国道 161 号近江神宮ランプ周辺の出入口及び付近の市道は今も通行止めとなっています。国庫負担金を含む公共土木施設災害復旧事業費として、道路に関しては、1億6千9百万円が計上されていますが、この災害の復旧に要する費用を大津市はどれだけ見込んでおられるのでしょうか。財源の内訳とあわせて答弁を求めます。
【建設部長】
議案第129号令和3年度大津市一般会計補正予算(第8号)のうち、大津市高砂町で発生した土砂崩れに伴う災害復旧費についての1点目、必要となる経費についてでありますが、国庫負担金を財源として行う災害復旧事業費としては、7,300万円を見込んでおります。
そのうち、特定財源としては、災害復旧費国庫負担金を4869万1千円、また、災害復旧事業債を2,430万円、それぞれ措置しようとしているものであります。
【谷】
再質問いたします。答弁において、国庫負担金、4,869万1千円と、ご説明いただきました。この金額を見込まれた理由をお聞かせいただけないでしょうか。
【建設部長】
災害復旧費国庫負担金の4,869万1千円に至ったという、これ、災害復旧につきましては、3分の2の補助を受けるというように規定されておりますので、それに従って計算をしております。
【谷】
次の質問は、土砂の運搬に必要となる車両台数についてです。大津市は、土砂の運搬に必要となる車両台数をどのように見込んでおられるのでしょうか。
【建設部長】
土砂の運搬に必要な車両台数の見込みについてでありますが、現在、市道に堆積している土砂は、発災直後の現地の推定をもとに、5,000立方メートル程度と見込んでおります。
その上で、運搬に使用する車両を10tダンプ車とした場合、延べ1,000台程度になるものと考えております。
【谷】
次の質問は事業費の積算についてです。
事業費の積算は受け入れ処分地までの土砂の運搬経路や運搬距離などを想定して行われたのでしょうか。そうであるならば、候補地を選定されるに至った経過とあわせて答弁を求めます。
【建設部長】
事業費の積算についてでありますが、災害復旧事業としては、道路の原状回復のために搬出する土砂量を正確に把握することを求められることから、現在、堆積している土砂について、搬出時並びに処分先への搬入時に、それぞれ、計測を行う必要があります。
しかし、土砂が堆積している現地には、土砂量を計測するための作業スペースを確保できないことから、本市としては、まず、埋め立て行為に係る関係法令に適している処分先のうち、最も経済的な処分先を選定した上で処分費を積算しております。
さらに処分先への運搬費用、並びに、運搬ルートの沿道付近における計測に伴う積み替え作業費等を加えて、必要な事業費を算定しています。
なお、選定している処分先は、これまでの実績から、適切に建設残土等の土砂を受け入れできる処分地の中から抽出しております。
【谷】
次の質問は、事業費の執行についてです。災害復旧に伴う工事の発注はどの様な契約方式で行われることになるのでしょうか。その理由とあわせて答弁を求めます
【建設部長】
事業費の執行についてでありますが、災害復旧事業という性質上、速やかに事業へ着手する必要があります。このことから、地方自治法施行令第167条の2第1項第5号に基づき、緊急に工事請負契約の締結を必要とする契約として扱い、本市が示す条件を満たせる者との間で、随意契約を結ぶこととしております。
【谷】
再質問を行います。速やかに工事着手をいただくに当たり、関係法令に基づいて、随意契約で契約を締結されるという方針を示されました。私自身も早急に撤去いただくことを切に願うものです。
その上で申し上げますが、随意契約にあたっては、公明性、透明性をしっかりと確保していただいた上で発注いただきたいと考えるものです。今申し上げた点について、大津市はどのように考えておられるのか、改めて見解を求めます。
【建設部長】
契約について、公平性、透明性ということですが、当然我々も先ほど申しました関係法令に基づいて、また、これも私どもの総務部契約契約検査課とも調整し、適正な執行を進めて参るという考えを持っております。
【谷】
次の質問は、のり面崩落の理由と今後の対応についてです。
9月10日、建設部長より大津市高砂町で発生した土砂崩れについて、大津市議会議員宛に報告文書「市道中1377号線等(国道 161 号近江神宮ランプ周辺)における通行制限について」が発出されています。以下、引用いたします。
去る8月14日(土)、大雨の影響を受けて発生した法面崩落により、土砂が流出し、現在も、市道中1377号線と国道161号近江神宮ランプの通行止めを行っているところです。 法面崩落は、民間が所有する土地に人工的に行われた盛土が崩落したものであることを確認しました。また、盛土施工時に大津市土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例に違反していましたが、市の指導により是正されているものと考えており、今回の法面崩落は、8月14日からの異常な豪雨による災害であると考えられます。
地権者と協議した結果、民間が所有する土地については、さらなる崩落の発生を防ぐために、地権者において土砂の撤去等の対応が行われる予定です。なお、道路については、国とも連携しながら、復旧に向けた対応を行ってまいりたいと考えています。
引用は以上です。
大津市は大津市議会議員に対する報告文書のなかで、「法面崩落は、民間が所有する土地に人工的に行われた盛土が崩落したものであることを確認しました。また、盛土施工時に大津市土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例の規定に違反していましたが、市の指導により是正されているものと考えており、今回の法面崩落は、8月14日からの異常な豪雨による災害であると考えられます。」との見解を示されていますが、「市の指導により是正されている」とは何を意味されてとのことなのでしょうか。
当地における土砂災害を防ぐため、大津市がこれまで行ってこられた対応と、その評価、またこの度の災害復旧費用を大津市の予算で全額負担すると判断されるに至った経緯、経過とあわせて答弁を求めます。
【建設部長】
法面崩落の理由と今後の対応についてでありますが、去る9月10日に、本市の見解を公表させていただきましたとおり、今般の崩落の起点と考えられる場所は、大津市土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例の規定違反に伴う是正指導を行った場所でありますが、本市としては、平成26年8月及び翌年4月の措置命令について、平成30年7月には対策の履行を確認しており、既に是正されているものと考えております。また、その後も複数年にわたり、現地の地形に変化に対する監視を続けておりましたが、変状を確認するには至りませんでした。
これらのことや、今回の周辺地域で発生した他の災害状況を踏まえると、土砂の崩落は8月11日夜半から降りはじめ13日からの異常な豪雨が大きく関係していると考えられ、道路に堆積している土砂の速やかな撤去等を優先させる必要があると判断し、災害復旧事業費として必要な予算を計上することとしたものです。
【谷】
今答弁において、土砂の崩落が起こってしまった起点と考えられる場所については、是正指導を行われた場所であったという見解を改めて示されました。あわせて、これまでの間、大津市からの措置命令に対して、対策の履行を確認され、是正されたといった認識を改めてお聞かせいただきました。複数年にわたられて、監視を行ってきていただいたということです。他の災害状況を踏まえると、豪雨が大きく関係していると。今申し上げたことが、答弁の趣旨であったと理解させていただきました。
その上で、再質問させていただきます。
豪雨が大きく関係していることは私自身も理解しています。その上で、私、初問の質問の中で、当地における土砂災害を防ぐため、大津市がこれまで行ってこられた対応とその評価という聞き方をさせていただきました。
繰り返しになりますが、複数年、監視を行ってこられたということですが、今おっしゃった監視というものをどのようにされてこられたのでしょうか。あわせて、是正工事された場所が起点であるとの認識はお持ちのようですが、因果関係というものに対して、大津市はどのように評価をされておられるのでしょうか。この点を踏まえて、改めて、答弁を求めます。
【建設部長】
再度のご質問についてお答えいたします。2点あったと思います。
まず、本市の対応ということだったと思います。対応につきましては、所管部局において、是正完了後、大きな目、平成30年から、幾度台風また豪雨もきております。そういった状況のもと、所管局において、現地の確認をしておるということから先ほどのご答弁をさせていただいたということでございます。
因果関係についてでございますが、これにつきましては、私どももしっかりと、公表、表明していますように、人工的な盛り土があったという事実。その土が、山の表面も含めてだと思いますが、議員おっしゃられますように、豪雨によって崩落したというような関係だと考えられます。
【谷】
再質問させていただきます。
まず、土砂災害を防ぐため、本市がこれまで行ってこられた対応について改めて聞かせていただきます。
改めて、現地の確認を行ってきましたということでありました。どのようにして確認されてこられたのでしょうか。崩落した場所から起点まで距離が相当あると思うのです。今、答弁いただいた起点付近まで意識され、現地確認というものを行っていただいたのか、また、どの様な認識を持たれていたのか。
人工的な盛り土が行われたという事実は確認されていると、今も答弁をいただいたわけです。
今回の事業費、すべて税金と申し上げていいと思うのですけれども、大津市の起債、わかりやすく申し上げると、借金ですよね。
また、国から支援をいただくということに関しても同趣旨のことかと思います。全額、事業者側に対して、負担を求められることなく、予算を措置されています。
土砂を撤去いただくことが最優先の課題であると私も認識させていただくものですが、後に改めて検証、検討された上で、何がしかの対応を求められるだけの余地がおありだと認識されているのか、いやそれとも、そうではないとお考えになられているのか。
【建設部長】
2点あったと思います。まず現地確認のやり方というか方法をだったと思います。これにつきましては先ほど台風と大雨の同段階で現地確認をするということで先ほどお答えしましたが、日によれば現地に入り、確認もしているということは所管部局から聞いております。
それと2点目の国庫補助を使って、税金を使って、土砂を撤去していく費用についての今後考えではございますが、これにつきましては、今、いわゆる土砂の崩落災害等、結構大きなものでございます。我々とすれば、今後いろんな展開が考えられます。
まずは、我々は先ほど谷議員おっしゃいましたように、市民の安全を守るためにも、早期の復旧っていうところは大切だということの中で我々はまず動いていくと。その中で、何かことが確認できるというようなことがあれば、またその時点で、考えていかなければならないというところでございますが、今は、国庫補助しっかり使って行くということでございますので、しっかりと明確にして、現時点においては、道路について、災害復旧、道路管理者でやっていくというところで動いて参ります。
【谷】
再質問いたします。まずは、喫緊の課題として、国庫負担金も活用いただきながら、また起債という形で市の財源も活用いただきながら、まずは、最優先の課題として、早急に土砂を撤去いただける。その上で、先ほど今、部長答弁で、事が確認できればといったような表現をされたのですが、今後、土砂の崩落の原因等について、改めて検証であったり、検討される過程において、新たな事実等が判明した場合については、必要に応じて対応がされていかれるとの趣旨で答弁をいただいたものと理解させていただいてよろしいでしょうか。
【建設部長】
先ほども申しましたが、これから作業については、少々長い時間での作業になると思います。しかしながら我々とすれば、今、しっかりと、管理者として、道路の復旧を目指すということの方針のもとで、まず動いて参りたいということでございます。
【谷】
再質問をもう一度させてください。
まず動いていただくということについては、予算も計上、措置されていますので認識をさせていただきますし、評価もさせていただくのですが、私は因果関係ということを申し上げております。
現時点においては、あくまで災害であるという前提のもと、大津市の予算の中で、すべて対応していただくという前提でご説明をいただいています。これまでの対応や措置命令以降の取り組みについても説明いただいておりますが、大津市がこの工事費を全額負担することが、現時点では適切であるという前提のもとで予算措置されています。
今後、先ほど部長答弁の中で、私の聞き漏れがなかったらなんですけれども、ことが確認できるようなことがあればとおっしゃられましたが、何か新たな事実であったり、課題認識されることがあれば、また、その時点において必要な対応なりを考えていかれるのか、そういう意図ですかと再問させていただいたのですが、そのことに対しての答弁がいただけませんでしたので、もう一度だけ確認させてください。
【建設部長】
因果関係等につきましては、現在私も繰り返しになりますが、これから長い期間の作業になると思いますが、まずこの時点で、災害復旧の補助をとらせていただいて、コトを進めていくということでございますので、その前提に、作業を進めていくということで考えております。
議案第129号 令和3年度大津市一般会計補正予算(第8号)について(賛成討論)
○大津市高砂町で発生した土砂崩れに伴う災害復旧費について
討論に先立ち、この度の土砂崩れによって日常生活に多大な影響を受けておられる市民の皆様、また、さらなる土砂崩れの危険性に対してご不安な思いを抱かれている市民の皆様に心からお見舞いを申し上げます。午前中の質疑において、当地における土砂災害を防ぐため、大津市がこれまで行ってこられた対応とこれまでの評価、また、この度の災害復旧費用を大津市の予算で全額負担すると判断されるに至った経緯、経過について答弁を求めました。大津市から示された見解を踏まえて討論を行います。
大津市が道路管理者として、国からの支援を受けながら崩落した土砂の撤去を一日も早く実現されようとする姿勢については高く評価するものですが、この度の法面崩落は民間が所有する土地に人工的に行われた盛土が崩落したものです。このことについては、大津市も認めておられます。
現時点で大津市は法面の崩落と民間事業者による盛土との因果関係を明確に認められておられませんが、関係部連携のもと、道路の復旧作業とあわせて調査や検証を継続されるべきと考えます。一日も早い土砂の撤去を望むものであり、この度の予算については賛成をさせていただきますが、事業者の責任が及ぶ範囲や因果関係の程度等について、あらためて検証の上、明確にされるべきと考えます。
そして、そのうえで、必要な対応が生じるのであれば、議会とも課題認識を共有されるべきと申し添え、討論といたします。