登壇
12月7日、下記4項目について質疑一般質問を行いました。防災拠点施設でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎の整備については、令和3年度には庁舎整備基本構想、令和4年度には同基本計画の策定に取り組む方針が示されました。次年度中には免振レトロフィット工法によって耐震改修するか否かを明らかにされ、建設敷地も絞り込まれるとのことでした。
大津市は16年もの長きに渡り、多額の予算と人的資源を投じて庁舎整備の実現に向けて取り組んできました。
質問でも申し述べましたが、市民に対する説明責任を果たすためにも、断片的ではなく、これまで作成されてきた資料とあわせ、時系列に沿って情報発信されるべきと考えます。
〇防災拠点施設でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎の整備に向けた取り組みについて
1点目、庁舎整備基本構想の策定について。
令和2年9月通常会議において、防災拠点施設でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎の整備に向けた取り組みをいかにして加速される考えなのか、検討を進めるうえにおいて大きな不確定要素となっていた中消防署移転用地の絞り込みが実現したことを踏まえ、庁舎整備基本計画の策定に向けたスケジュール感とあわせて見解を求めました。大津市はこれまでの間、本館を免震レトロフィット工法により耐震改修する案と解体する案を比較の対象とし、いずれの案も別館については解体を前提としたうえ、それぞれ、新棟を別館跡地もしくは取得した隣接旧国有地を活用して建築する計4案をもって整備パターンとしてきましたが、これにとらわれることなく、次年度からの中期財政フレームとの整合を図りながら、あらためて基本構想を策定していく必要があるとの考えが示されました。
本館、別館ともに耐震性能が著しく不足することが判明したのは平成16年度のことであり、いつ、大地震が発生するか分からないなかで既に16年が経過をしました。防災拠点施設でありながら庁舎として必要となる機能空間の確保に目途すら立たない現状に対し、私は強い危機感を覚えます。
大津市は令和3年度以降、どういったスケジュールのもと、予算措置のもとで基本構想の策定に取り組んでいくつもりなのか。
基本計画の策定に向けて想定されている業務の範囲と新たな候補地選定に対する方針とあわせて見解を求めます。
2点目、市民アンケートの実施に向けた取り組みについて。
大津市は歴史的文化的価値を踏まえ、本館を免震レトロフィット工法により改修する案を示してきました。平成28年には一般社団法人日本建築学会より本庁舎本館及び別館の建物の保存活用に関する要望書が提出をされていますが、同じく建築家・佐藤武夫氏の設計による旭川市総合庁舎は基本計画において解体する方針を示されましたが、「赤レンガ庁舎」として多くの市民に親しまれてきたこともあり、新庁舎建設に際して、保存・活用を求める多くの署名が市に寄せられたと認識しています。
大津市はこれまでの間、巨額を投じて本館を保存することについては、専門家の意見はもとより、市民の判断が重要な要素となってくること、また、その上で、整備手法の検討においては、新型コロナウイルス感染症による本市財政への影響を考慮するとともに、感染防止のために新たに庁舎に求められる機能や構造等を整理したうえ、総合的で慎重な判断をすることが求められるとの認識を示してきました。
市民アンケート調査を実施する可能性についても議会答弁で言及されていますが、先立って大津市がすべきことは、本館、別館ともに耐震性能が著しく不足することが判明した平成16年度以降、どのような検討が重ねられて今日に至っているのか、市民に分かりやすい形で情報発信することと考えます。
大津市は16年もの長きに渡り、多額の予算と人的資源を投じて庁舎整備の実現に向けて取り組んできました。市民に対する説明責任を果たすためにも、断片的ではなく、これまで作成されてきた資料とあわせ、時系列に沿って情報発信されるべきと提言するものです。
本館、別館が有する歴史的文化的価値についても、国際学術組織から高い評価を受けていることを主体的に公表するなど、本庁舎の現状について広く市民と情報共有を図るべきと考えます。
今後、大津市は本庁舎の現状と検討経過などについて、どういった形で適切に情報発信を行いながら、市民アンケート調査を行っていく考えなのか、見解を求めます。
〇大津市新型インフルエンザ等対策業務継続計画の実効性を高めるための取り組みについて
1点目、本庁舎の閉鎖について。
コロナ禍のもと、大津市新型インフルエンザ等対策業務継続計画(以下、BCP)が12月1日付をもって全編改定されましたが、大津市は改定日を目前に控え、既にホームページ上で公表されていたBCPにおける本庁舎の「閉鎖」という表現を「立入り制限」に修正されています。
勤務日において最大5日間、本庁舎を「閉鎖」すると表現されていましたが、福祉事務所の業務や消防・防災業務、ライフラインに関わる業務などについては、当該期間中においても、必要最低限の職員を配置され、支所とも連携を図る方針が示されており、業務全体が停止するとの印象を市民に与えかねないと危惧の念を抱いていました。
そもそも、大津市は今も本年4月25日から5月6日までの間、本庁舎を「閉鎖」したと公表していますが、どの課においても職員が勤務されていなかったわけではありません。
私は、11月24日に開催された政策検討会議において、「本庁舎を閉鎖する」との表現を用いるうえでの問題点を指摘し、11月27日、今期通常会議における質疑一般質問通告書において、市民及び職員の入庁を停止、また、制限せざるをえない事態を想定することは危機管理上、必要と考えるも、BCPにおいては、本庁舎の「閉鎖」ではなく「機能縮小」といった表現にあらためるべきと提言いたしました。
計画の内容に見合った適切な表現にあらためることについて、本市に見解を求めたところですが、どの様な課題認識のもと、「閉鎖」という表現を「立入り制限」に修正されたのか。
既に公表されていた当該BCPを改定日直前に修正された経緯・経過とあわせて見解を求めます。
2点目、業務を休止、縮小する際の判断基準について。
大津市は当該BCPの改定にあたって、新型インフルエンザ等が発生する前から、小康状態に至るまでの期間を6つの段階に分類されました。現在は県内感染期である第5段階にあり、「県内で新型インフルエンザ等の患者の接触歴を疫学調査で追うことが出来なくなった状態(感染拡大からまん延、患者の減少にいたる時期を含む)」と定義づけられています。
感染防止対策、職員の健康管理、庁舎管理等を徹底するとともに、BCP本部会議の業務継続計画発動の決定に基づき、各所属は、継続する通常業務を更に絞り込み、優先度の高い業務に人員等を集中させることが明記されていますが、新型コロナウイルスの感染拡大は収束の兆しが見えておらず、第5段階は相当長期間に及ぶことが見込まれます。
滋賀県は「コロナとのつきあい方滋賀プラン」において、特別警戒ステージ、警戒ステージ、注意ステージ、滋賀らしい三方よしステージの4ステージを設けて感染拡大防止対策に取り組んでおり、大津市においては当該ステージを保健所の体制強化や2交代勤務体制の導入にあたっての判断基準に含めています。当該BCPに定められた部局における発生段階別の対応を業務の優先度と照らし合わせて確認しましたが、所属によって対応に温度差があると感じました。第5ステージが常態化しつつあるなか、通常業務を休止、縮小するにあたっては、市民、事業者に理解と納得をえながら説明責任を果たす必要があります。大津市はBCPに基づき業務を休止、縮小するにあたり、「コロナとのつきあい方滋賀プラン」におけるステージをどういった方針のもとで活用するつもりなのか、本市の見解を求めます。
3点目、BCPに特化した条例の制定について。
地域防災計画は災害対策基本法を根拠として策定されていますが、業務継続計画(BCP)に法的根拠は存在しません。
条例において、通常業務を休止し、非常時優先業務に行政資源を集中すべきことを明らかにするとともに、市が設置する施設の利用や料金の還付等に係る特例を定めることは、BCPの実効性を高め、市民に対する説明責任を果たすうえにおいても、意義深い取り組みと考えます。BCPに特化した条例を策定することについて、本市の見解を求めます。
〇あんしん長寿相談所における組織運営体制の強化について
大津市は重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に受けられる「地域包括ケアシステム」の実現に取り組んでいます。そのうえで、地域包括支援センターの役割を担う「あんしん長寿相談所」は、高齢者にとっては最も身近な相談機関であり、大津市においては、福祉・介護・保健が一体となって高齢者の生活を支えるため、すこやか相談所の保健師があんしん長寿相談所の所長職を兼務されてきました。
昨年度、教育厚生常任委員会から地域包括ケアシステムの構築に向けて市長に提出された提言書でも述べられていますが、保健師の専門性をもって、地域全体の健康づくりから介護予防まで一貫性のある対応ができるというメリットがある一方、保健師としての業務以外の事務等が過重となってしまえば、本来の専門性が発揮できなくなるという懸念もあります。
また、大津市地域ケア会議のうち、あんしん長寿相談所職員が構成員となる地域課題検討会議及び生活支援部会、医療介護連携部会、住宅・交通部会から構成される地域包括ケア部会は政策の立案・提言を担う地域包括ケア推進会議における議論を活発化させる役割も担っています。これら会議のさらなる充実のもと、地域包括ケアシステムの構築を図るためにも、あんしん長寿相談所の機能強化は必要不可欠と考えます。
保健福祉ブロック別に医療・福祉分野における多職種協働の推進を図り、市民啓発事業にも積極的に取り組まれていますが、2025年においては75歳以上の人口が2015年時と比べておよそ1.5倍になると見込まれており、在宅療養者数は確実に増加すると予測されます。自宅での療養・看取りを支える在宅医療・介護の連携体制の強化は喫緊の課題です。
大津市はあんしん長寿相談所の組織運営体制の強化をどの様な課題認識のもとで取り組んでいくつもりなのか。職員体制の充実とセンター増設に向けた今後の展望とあわせて見解を求めます。
〇なぎさ公園周辺魅力向上プロジェクトのあり方について
1点目、ゾーンやエリアを設ける必要性について。
大津市は庁内にプロジェクトチームを設置し「なぎさ公園周辺魅力向上プロジェクト」に取り組んでいます。プロジェクトの方向性として、竣工から20年以上経過したなぎさ公園の魅力とにぎわいをさらに創出すること、また、人が訪れ、憩い、周遊できる仕掛けづくりを示しており、趣旨には賛同するものですが、現時点で示されているゾーニングやエリアには違和感を覚えます。
そもそも、なぜ、「歴史・文化ゾーン」「緑・コミュニティゾーン」「観光・スポーツゾーン」などとゾーニングし、「歴史・文化、都市型観光エリア」、「イベント・文化交流発信エリア」、「音楽・アート創造発信エリア」「憩い・スポーツ体験発信エリア」「親水・アウトドア体感発信エリア」「自然景観・びわ湖眺望発信エリア」を新たに設ける必要があるのでしょうか。
ゾーンにせよ、エリアにせよ、魅力や特色は大津市が想定する個々の範囲に限定されるものでなく、琵琶湖に面するなぎさ公園そのものの魅力を市民や来訪者に実感いただくことを目指すべきと考えます。
大津市はなぜ、なぎさ公園周辺魅力向上プロジェクトの推進にあたってエリアやゾーンを設けるのか、その必要性に対する認識とあわせて見解を求めます。
2点目、市民プラザで官民連携事業を計画することについて。
令和2年11月補正予算(案)に企画調整費として、大津湖岸なぎさ公園(市民プラザ)の利活用に向けた調査経費が計上されています。あわせて、同地の賑わい創出に向けた官民連携手法等導入可能性調査業務を債務負担行為として設定されましたが、大津市は市民プラザの優位性をどの様に評価し、当該予算を計上するに至ったのか。用地選定に至る経過とあわせて答弁を求めます。
また、現計画案において、市民プラザは「観光・スポーツゾーン」にゾーニングされ、自然景観・びわ湖眺望発信エリアに位置付けられています。しかしながら、大津市景観計画において、重要眺望点に指定されているのは、「歴史・文化ゾーン」に位置する大津港と打出の森です。
また、対岸に位置する草津市と共同で設置されているびわこ東海道景観協議会において、両市で共有する景観基本計画の策定が進められていますが、市民プラザは対岸眺望ポイントに含まれていません。
大津市は市民プラザを「自然景観・びわ湖眺望発信エリア」に位置付けるにあたり、どのような理由、根拠をもって、景観行政団体として推進してきた諸施策とも整合が図れると判断されたのか、見解を求めます。
3点目、なぎさ公園周辺魅力向上プロジェクトにおけるびわ湖アリーナ・浜大津コンベンションストリート構想の位置づけについて。
11月18日、琵琶湖文化館後継施設の立地選定にあたっての要望書が大津市長から滋賀県知事に提出をされました。
現在、滋賀県において検討されている同館後継施設の立地について、浜大津周辺(大津港港湾業務用地)での早期整備を求める内容と認識しています。琵琶湖文化館後継施設の整備が早期に実現することに期待をするものですが、令和2年2月、地域未来投資促進法に基づき経済産業省から承認を受けた「びわ湖アリーナ・浜大津コンベンションストリート連携支援計画」とも整合を図りながら、なぎさ公園周辺地域における魅力向上に取り組んでいく必要があります。
当該支援計画については、琵琶湖を活かした特色あるツーリズムの展開、今後、整備が予定される「びわこアリーナ」でのスポーツやコンサートなどのビジネス展開、浜大津コンベンションストリートに集積する会議施設・ホテル等を活用したMICEビジネス等を産官学金で支援していくための計画であり、大津商工会議、滋賀県、大津市、びわこ成蹊スポーツ大学、地元金融機関との連携によって実施されることになります。
計画における大津市の役割は、域内にある市有地、市設置のホール等公共用地・公共施設の民間活用を推進し、地域経済牽引事業につなげるよう支援すること、また、市が計画しているまちづくり構想と連携し、地域経済牽引事業を支援することなどであり、なぎさ公園周辺魅力向上プロジェクトの推進にあたっては、これら関係機関との密接な連携が必要不可欠となります。
大津市長は大津港港湾業務用地に琵琶湖文化館後継施設を整備することを滋賀県知事に要望されましたが、びわ湖アリーナについても、同地で整備を計画されていると認識しています。
大津市は今後どのような方針のもと、経済産業省から承認を受けている「びわ湖アリーナ・浜大津コンベンションストリート連携支援計画」の実現に取り組んでいくつもりなのか。なぎさ公園周辺魅力向上プロジェクトにおける同構想の位置づけとあわせて見解を求めます。
4点目、滋賀県が保有する施設がなぎさ公園の魅力向上に及ぼす影響について。
なぎさ公園周辺の活性化を図るうえにおいて、滋賀県が保有する施設とのさらなる連携は必要不可欠と考えます。
特に大津市長が理事を務められる滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールについては、「びわ湖大津 秋の音楽祭」の開催などを通じてこれまでから連携が図られてきたところですが、なぎさ公園周辺魅力向上プロジェクトにおいて、さらなる連携に向けた可能性を検討されてはと考えます。
なぎさ公園周辺魅力向上プロジェクトチームに市民部が参画されているのは、老朽化が進む大津市民会館のあり方について検討するためと認識しています。機能が重複するびわ湖ホールと大津市民会館の利用状況をあわせて分析され、県市連携の相乗効果によって、文化芸術がより醸成され、一層発信されることに期待をするものですが、大津市長はびわ湖ホールとのさらなる連携にどのような方針のもとで取り組まれるつもりなのか。
また、びわ湖ホールに隣接するホテルや研修センターなどを備えた複合施設「ピアザ淡海」については、滋賀県をはじめとする施設所有者が民営化か売却かの決定を来年7月までに選択する方針を示されています。
民営化が実現しなかった場合、施設は廃止されると認識していますが、今後の土地利用の状況によっては、なぎさ公園周辺のまちづくりに大きな影響を及ぼすことになります。
大津市においても動向を注視されているものと考えますが、民間に売却される可能性も否定できないことから、滋賀県をはじめとする土地所有者の理解のもと、あらかじめ都市計画法に基づく地区計画を設定するうえでの課題整理を行っておくべきと考えます。
不確定要素が多いなかでの提言となりますが、なぎさ公園の魅力度を維持向上させるために必要な対応と考え、本市の見解を求めます。
5点目、都市再生整備計画の作成と事業推進体制の構築について。
平成30年4月、大津市中心市街地活性化事業の成果を受け継ぎ、琵琶湖を中心に地域の歴史文化を生かしつつ、さらなる大津市中心部の恒常的かつ持続性のある活力あふれる回遊性豊かなにぎわいの創出を目指すことを目的として、「びわ湖大津まちづくり会議」が設立されました。
大津市中心市街地活性化基本計画の推進を担ってきた協議会が同年3月末に解散したことを受けて設立された後継組織であり、大津市中心部の活性化に寄与する事業の企画及び実施提案を行うこと、また都市再生推進法人である株式会社まちづくり大津に対し、設立目的を達成するための検討、提言を行うことが規約に定められています。
びわ湖大津まちづくり会議は、都市再生整備計画の作成や実施に必要となる協議を行うため、市町村ごとに設置することができる都市再生協議会として設立された法定協議会ではなく、任意の組織体として株式会社まちづくり大津内に事務局が置かれてきましたが、過日、大津市から解散する方向で議論が進められていると説明を受けました。
大津市はこの会議に委員として参加をしていませんが、株式会社まちづくり大津との連携による成果が大津市中心部の活性化に資するものとなるため、大津市はどういった役割を担うべきと考えているのか、平成30年9月通常会議において、大津市が同社を都市再生推進法人に指定した理由とあわせ、見解を求めました。
その際、大津市の役割は、びわ湖大津まちづくり会議及びまちづくり大津との意見交換や助言をはじめ、にぎわい創出に向けた取り組みをともに行い、市民、事業者及び行政が連携したまちづくりを進めていくことであるとの見解が示されましたが、都心地区を対象とした都市再生整備計画は前年度に終期を迎えたまま、今年度に至っています。
なぎさ公園周辺魅力向上プロジェクトを効果的に推進するにあたっては、都市再生整備計画をあらためて作成し、社会資本総合整備計画に位置付けるべきと考えますが、今後、大津市は都市再生推進法人に指定された株式会社まちづくり大津との連携強化をどの様な形で図っていくつもりなのか。現状における課題認識とあわせて見解を求めます。