市民プラザ=自然景観・びわ湖眺望発信エリア??

来る11月通常会議に提出される予定の令和2年11月補正予算(案)に企画調整費として、大津湖岸なぎさ公園(市民プラザ)の利活用に向けた調査経費(測量調査業務委託料:50万円)が計上されています。あわせて、同地の賑わい創出に向けた官民連携手法等導入可能性調査業務(委託料:550万円)が債務負担行為として設定されているのですが、なぜ、市民プラザありきでの事業実施なのか?疑問に思い、現地を訪れました。
 

 

 
大津市は庁内にプロジェクトチームを設置し「なぎさ公園周辺魅力向上プロジェクト」に取り組んでいます。
プロジェクトの方向性として、竣工から20年以上経過したなぎさ公園の魅力とにぎわいをさらに創出すること、また、人が訪れ、憩い、周遊できる仕掛けづくりを示していますが、現時点で示されているゾーニングやエリア案には違和感を覚えます。
 

 

 

 
そもそも、なぜ、「歴史・文化ゾーン」「緑・コミュニティソーン」「観光・スポーツゾーン」などとゾーニングし、「歴史・文化、都市型観光エリア」、「イベント・文化交流発信エリア」、「音楽・アート創造発信エリア」「憩い・スポーツ体験発信エリア」「親水・アウトドア体感発信エリア」「自然景観・びわ湖眺望発信エリア」を個別に設定する必要があるのか!?
 
ソーンにせよ、エリアにせよ、大津市が設定する範囲にその魅力(特色)が限定されるものでなく、琵琶湖に面するなぎさ公園そのものの魅力として、市民や来訪者に実感いただければそれでよいと考えます。
 
ちなみに、現計画案において、市民プラザは「観光・スポーツゾーン」にゾーニングされ、「自然景観・びわ湖眺望発信エリア」に位置付けられていますが、「自然景観」「びわ湖眺望」という言葉を用いるにあたり、既存の景観施策との整合は十分に図られたのか!?

大津市景観計画において、なぎさ公園周辺においては「大津港」「打出の森」が眺望景観保全地域に対応する重要眺望点に指定されてます。
また、対岸に位置する草津市と共同で設置されている「びわこ東海道景観協議会」において、両市で共有する景観基本計画の策定が進められていますが、対岸眺望ポイントには含まれていません。
何の根拠や計画の位置づけもなく、庁内プロジェクトチームによって「市民プラザは自然景観・びわ湖眺望発信エリアです!!」と位置付けられても私には理解ができません。
 
私はこれまでの間、大津市景観審議会、滋賀県景観審議会、大津市都市計画審議会において委員を務め、現在はびわこ東海道景観協議会において委員を務めています。
これら付属機関における務めなどを通じて、古都の歴史や近江八景を大切にした景観施策の重要性を自分なりに理解し、これまでの間、所属する建築士会や建築家協会において様々な事業に取り組んできました。
私はこの度「自然景観・びわ湖眺望発信エリア」なるエリアが「案」にせよ、唐突に設定されたことに愕然としました。
そして、これまでの議論や活動を振り返り、とても残念に思いました。
 
これらゾーニング案は本当に執行部内において十分に精査されたものなのか!?
はなはだ、疑問に感じています。
 
市民プラザはなぎさ公園の他のエリアに比べ、湖面からの地盤が高く、浸水対策においては優位と評価できます。
どのような敷地形状をもって接道を確保するにせよ、Park-PFIの活用を視野に入れての予算計上と考えますが、なぎさ公園において、なぜ、「市民プラザ(自然景観・びわ湖眺望発信エリア)」での事業推進なのか!?
議論の経過とあわせ、説明を求めてまいります。
 

 
 
11月18日、琵琶湖文化館後継施設の立地選定にあたっての要望書が大津市長から滋賀県知事に提出をされました。
現在、滋賀県において検討されている同館後継施設の立地について、浜大津周辺(大津港港湾業務用地)での早期整備を求める内容と報告を受けました。
 
琵琶湖文化館後継施設の整備が早期に実現することに期待をするものですが、大津市においては地域未来投資促進法に基づき経済産業省から承認を受けた「びわ湖アリーナ・浜大津コンベンションストリート連携支援計画」とも整合を図りながら、なぎさ公園周辺地域における魅力向上に取り組んでいく必要があります。
 
参考:経済産業省HP 地域未来投資促進法に基づく連携支援計画を承認しました 
 
参考:びわ湖アリーナ・浜大津コンベンションストリート連携支援計画(PDF)
 
上記計画においては、「連携支援事業を実施する者の役割分担、相互の提携又は連絡に関する事項」が記されています。 
下記は計画に記された大津市の役割です。
 
・域内にある市有地、市設置のホール等公共用地・公共施設の民間活用を推進し地域経済牽引事業につなげるよう支援する。
・市が計画しているまちづくり構想と連携し地域経済牽引事業を支援する。
・外国人観光客受け入れに向けて、ガイドブックの作成や観光施設における多言語案内、滞在環境の向上を支援する。
 
また、支援対象とする事業分野については、『滋賀県の同意基本計画に定める、「5 地域経済牽引事業の促進に当たって生かすべき自然的、経済的又は社会的な観点からみた地域の特性に関する事項」の(1)地域の特性及びその活用戦略「⑤琵琶湖を中心とする滋賀の自然や歴史遺産・文化資産等の有形・無形の観光資源を活かした観光・スポーツ分野」を対象とする。』と記されています。
 
大津市は琵琶湖文化館後継施設の立地選定にあたっての要望書を滋賀県知事に提出するにあたり、上記ゾーニング案を示していますが、観光・スポーツソーン」は先に述べた市民プラザからサンシャインビーチにかけて設定されています。 
繰り返しになりますが、大津市が設定する範囲にその魅力(特色)が限定されるものでないと考えます。
 
そもそも、ゾーンの分け方として「歴史・文化」「緑・コミュニティ」「観光・スポーツ」などという設定をすること自体に違和感を覚えます。
 
平成30年4月、大津市中心市街地活性化事業の成果を受け継ぎ、琵琶湖を中心に地域の歴史文化を生かしつつ、さらなる大津市中心部の恒常的かつ持続性のある活力あふれる回遊性豊かなにぎわいの創出を目指すことを目的として、「びわ湖大津まちづくり会議」が設立されました。
大津市中心市街地活性化基本計画の推進を担ってきた協議会が同年3月末に解散したことを受けて設立された後継組織であり、大津市中心部の活性化に寄与する事業の企画及び実施提案を行うこと、また都市再生推進法人である株式会社まちづくり大津に対し、設立目的を達成するための検討、提言を行うことが規約に定められています。
 
びわ湖大津まちづくり会議は、都市再生整備計画の作成や実施に必要となる協議を行うため、市町村ごとに設置することができる都市再生協議会として設立された法定協議会ではなく、任意の組織体として株式会社まちづくり大津内に事務局が置かれています。
大津市はこの会議に委員として参加をしていませんが、株式会社まちづくり大津との連携による成果が大津市中心部の活性化に資するものとなるため、大津市はどういった役割を担うべきと考えているのか、平成30年9月通常会議において、大津市が同社を都市再生推進法人に指定した理由とあわせ、見解を求めました。
 
【答弁要約】
 

都市再生推進法人の指定についてでありますが、都市再生推進法人は、まちづくりの新たな担い手として行政の補完的機能を担う団体であります。本市は本年2月に株式会社まちづくり大津を都市再生推進法人として指定を行いました。この指定後、都市再生推進法人としてのメリットを生かし、中心市街地におけるシェアサイクル事業を実施されているところであります。今後もまちづくり活動の主体としての役割を期待しております。
 
びわ湖大津まちづくり会議についてでありますが、当会議は本年4月に大津市中心市街地活性化協議会を継承し設立され、これまでの豊富な経験や実績を生かし、設立目的である中心市街地周辺のにぎわい創出に向け、さらに取り組みを進めていただけるものと考えております。
また、本市は、まちづくり大津が当会議とも連携され、まちづくりの活動主体を担っていただくため、都市再生推進法人に指定いたしました。本市の役割は、これまでも中心市街地活性化協議会とともに官民連携によるまちづくりを進めてまいりましたが、今後も引き続き、びわ湖大津まちづくり会議及びまちづくり大津との意見交換や助言をはじめ、にぎわい創出に向けた取り組みをともに行い、市民、事業者及び行政が連携したまちづくりを進めていくことであると考えております。
 

現在、大津市においては、都市計画マスタープランの実現を目指し、立地適正化計画及び歴史的風致維持向上計画の策定に取り組んでいまますが、都市再生整備計画については、令和元年度(平成31年度)をもって計画期間が終了したままとなっています。(今年度分については、繰越事業として実施)
 
大津市は今後、官民連携をいかにして図りながら「なぎさ公園周辺魅力向上プロジェクト」に取り組んでいく方針なのか、これまでの活動成果に対する検証を踏まえ、明らかにする必要があると考えます。
 
 
追記
 
浜大津・なぎさ公園周辺には、数多くの市立・県立施設が存在します。
県民・市民に可視化されたもと、機能が重複する施設や老朽化が著しい施設を対象として、集約化・複合化の可能性を検討する機会を継続して持つことができれば、公共施設マネジメントの観点からも意義深いと考えます。

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