6月通常会議開会

6月8日、6月通常会議が開議される。大津市は民設民営による卸売市場の運営を目指してきましたが、下記の経過により、優先交渉権者との交渉は打ち切られることになりました。提出をされた議案のうち、卸売市場の運営に関する議案については、改正卸売市場法が改正されること等に伴い、初日に採決されました。
 

 
議案には賛成をいたしましたが、今後の施設運営方針については、施設の老朽化が著しいことを踏まえ、出来るだけ早期に明確にされるべきと考えます。

 

 
参考:優先交渉権者との交渉打ち切りと地位喪失、今後の卸売市場の運営について PDF 

 
民設民営による大津市地方卸売市場継続事業優先交渉権者との交渉打ち切りと地位喪失、今後の卸売市場の運営について(原稿報告内容より要約・転載)
 

令和2年6月通常会議に議案を上程しております大津市公設地方卸売市場条例の改正についてご説明させていただく前に、民設民営による大津市地方卸売市場継続事業優先交渉権者の交渉打ち切りと地位喪失及び今後の卸売市場の運営について報告いたします。
 
まず、報告のうち、2ページから4ページまでに記載しております「大津市公募提案型地 方卸売市場開設者選定委員会の開催経緯」と「審査結果と提案概要」、「審査講評に付された意見」については、本年2月通常会議生活産業常任委員会において報告した内容ですが、 関連する内容なので改めて報告いたします。
 
P2
大津市公募提案型地方卸売市場開設者選定委員会の開催経緯についてであります。
本事業における最優秀提案者を選定するために平成30年8月8日から計5回開催し、その後、令和元年12月18日には選定委員会委員長から、大津市長に答申書及び審査講評を受理しております。
 
P3 
審査結果と提案概要についてですが、最優秀提案者は大和ハウス工業株式会社が代表企業である「D-Market大津市場プロジェクト」であり、得点は100点中、55.68点であります。
提案概要については、事業期間を50年とし、ローリングにより市場施設は建て替えを行う、市場運営は、マスターリース方式により行う、市場の収支を補填するために、市場に関連した物流施設を設ける、等の提案があり、土地賃借料は年額12円、建物・備品等譲渡対価は1円が提案されております。
 
P4
答申の際に委員会から受理した審査講評には「本事業をよりよいものとするため、以下の項目について十分に配慮し、事業を推進していただきたい。」 として、意見が付されました。また、具体的な内容として、「民営化の主旨を十分に再確認した上で協議すること。」、「マスターリース契約方式は、検討熟度が十分ではないと判断されるため、開設者の果たすべき役割を果たし得るかについても十分協議すること。」、「リス ク分担等について市と提案者の双方に認識の齟齬が生じないよう注意すること。」、「設備改修等について費用負担のあり方を定めること。」等のご意見をいただいております。
 
P5
ここから新たな報告となります。 答申を受理した後に、これまで資料に記載のとおり大和ハウス工業株式会社と7回の協議を重ねて参りました。その結果、さる令和2年5月20日に優先交渉権者に対して交渉の打ち切りと優先交渉権者の地位喪失について通知いたしました。
 
P6 
交渉打ち切りと優先交渉権者地位喪失の理由についてであります。
本市は、令和元年12月27日以降、7回にわたり優先交渉権者と事業契約の締結に向けて、選定委員会の意見に従い、審査講評に記載された課題を優先交渉権者と共有しながら、提出された提案書内容の詳細について慎重に確認し、交渉を進めて参りました。
本市と優先交渉権者がこれまで進めてきた確認の結果、建物・備品等の修繕・改修等に関 する費用負担について、市と優先交渉権者の意向との間に大きな乖離が認められ、加えて、これまでの交渉経緯及び現時点で覚書が締結できていないことを踏まえると、提案書の内容は実施要領等の条件を満たさず、公募の際に想定していた事業スキームによる事業実施が困難であると判断したため、今回、交渉打ち切りと優先交渉権者地位喪失を通知したものです。
このことに伴い、本事業における民間事業者との協議は終了し、民営化に向けた一連の取り組みは中止ということとなります。 なお、交渉の打ち切りについて、大和ハウス工業側から不満感を示されましたが、通知は受理されました。
 
P7
今回の協議において判明した優先交渉権者の提案内容の課題と本事業における本市の反省点についてご説明いたします。
まず課題の1点目は、「リスク及び費用負担の考え方」について、「大津市が、当初想定していた費用負担やリスク負担の考え方では提案の実現が困難である」と判断したことについてであります。
このことは、当初、「市場の運営について市に対応を求める」提案が提案書に記載されており、審査段階では、「あくまでも大和ハウス側の提案である」という意向を確認しておりました。
しかし、その後、詳細に確認したところ、約6年間を要する市場施設更新が終了するまでの修繕費について、市に負担を求めること等が大和ハウス側の絶対条件であることが判明いたしました。この点については、大和ハウス側からは「瑕疵担保として認めてもらいたい」との主張でありましたが、本市としては、公募条件において建物などの施設を現状有姿で譲渡することを定め、財政的な負担は想定しておりませんでしたので、この主張は認められないと一貫して主張して参りました。
 
次に2点目としては、優先交渉権者を選定後、市が締結を求めてきた「覚書の締結に至らなかった」点であります。
先ほどの費用負担の考え方等について、覚書締結の条件であることとの回答であったことから、最終的に覚書の締結にも至らなかったものであります。
これらについて詳細に検討した結果、市としては、公募の際に想定していた事業スキームによる事業実施が困難であると判断したため交渉の打ち切りを判断したものであります。
 
P8
こうした課題が生じた原因としては、優先交渉権者側のみに責任があるわけでなく、市においても大きく2点の反省すべき点があると認識しております。
まず、1点目は「公募条件の設定について」であります。
本事業により生じる経済的な負担は、提案者負担を前提としていたが、本事業において土地の収益性が市の想定以上に低く、 施設の老朽化に伴う負担を補いきることができなかったことにあります。
事前に資産調査やサウンディング調査等も実施して参りましたが、民間事業者との意見の乖離があり、公募条件を変更したとしても民間事業者にとって十分補うことができるものではなかったことになったと考えております。
 
次に2点目として「民間の参画意欲の把握方法について」であります。
これについては、過去のサウンディング調査において、民間事業者の意向をある程度把握していたものの、卸売市場の開設者の役割や業務、施設の現状等の認識には、市と民間事業者との間に大きな認識の齟齬があったと分析しております。これらの点については今後のプロポーザル事業の進め方やサウンディング調査等につい て十分注意すべき点であると考えております。
先にも申し上げたとおり、市としては、今回の卸売市場の民営化に向けた取り組みは一旦中止することといたします。 ここからは今後の進め方について報告いたします。
 
P9
6月補正予算の概要についてご説明いたします。 まず、今年度当初予算では、6月の民営化を想定し、3ヶ月の運営予算を計上しておりましたが、6月補正予算では、7月以降の運営経費や管理経費の必要経費として、2億7千万余の補正予算を計上しております。
なお、今回の補正では、特別会計への一般会計からの繰 出しは新たに行わないこととしております。今回の予算要求項目の主なものとしては、歳入 として施設使用料等を計上するとともに、歳出として人件費・光熱水費・需要費(修繕費を 含む)・委託料・市場関係団体補助金・集荷奨励貸付金等を計上しております。
 
P10
市場法の改正に伴う対応についてご説明いたします。
本年6月21日には改正卸売市場法が施行されます。このことに伴い、市が地方卸売市場を今後の運営する場合には2点の対応が必要となります。まず、大津市公設地方卸売市場条例の改正についてであります。これは、条例改正議案を6月通常会議に上程し、冒頭に議決をいただこうとするものです。
なお、法改正に伴い、卸売業者の許可手続き等を規定しますが、市場における取引ルール等に関する考え方に大きな変更はいたしません。この改正議案の詳細内容については、後ほど別の資料にて説明いたします。
次に、法改正に伴う手続きとして、市が開設者認定申請を滋賀県に提出するものです。
改正法では、認定申請時には、卸売市場条例を改正法に合わせて改正し、業務規程として添付する必要があり、6月21日までに滋賀県への申請手続きを行う必要があります。 このことから、条例改正の議決をいただくことができましたら、速やかに滋賀県に対して手続きを取ることとしております。
 
P11
次に卸売市場の運営方針の検討についてであります。
まず、今回のコロナウイルス感染症拡大の影響についてであります。市場においても今回 の影響は大きいことから、引き続き、入場業者の経営状況や国内経済の情勢等を注視して参ります。
 
P12
今後、新たに卸売市場の運営を定めるには、まず、今後の運営について入場業者からの意見聴取に努めて参ります。特にこれまでの民営化推進事業は、入場業者から大きな反発がありました。このことから、まずは入場業者からの信頼回復に努め、市場の実情に合わせた検討が必要であると考えております。
 
P13
また、これまでの民営化事業で得られた課題の整理も必要と考えております。
特に、「市場施設に関する課題」や「卸売市場の役割の変化に関する課題」等、これまで得た情報や今 回の民営化推進事業において情報が不足していた分野について、早急に情報の収集、整理を進めて参ります。
市としてはこれまでの事業の課題や反省点等が無駄にならないよう、また卸売市場の持続的運営が確保できるようスピード感を持って進め、調査研究を進めて参ります。
 
参考:大津市公設地方卸売市場条例の一部を改正する条例の制定についてPDF 
 

 

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