行政視察
11月15日、行政視察にて静岡県富士市と東京都世田谷区を訪問。富士市事前都市復興計画とユニバーサルデザインのまちづくりについて調査をさせていただきました。
◯富士市事前都市復興計画(富士市)
南海トラフを震源とする巨大地震への危機感の高まりと安全安心なまちづくりを求める市民の声、また、東日本大震災における多くの被災自治体において、発災後の混乱の中、住民との合意形成に相当な時間を要し、事業の着手が大幅に遅れたこと等を踏まえられ、富士市事前都市復興計画は策定されました。
同計画は復興まちづくりの目標や基本方針が示された「復興ビジョン編」と市民・地域・行政等の「うごき」が示された「復興プロセス編」から構成されており、発災後に市職員がとるべき詳細な行動内容を定めた「職員行動マニュアル」を別途定められています。
事前都市復興計画を策定されるに至った経緯のほか、防災関連計画に及ぼす影響や復興まちづくり訓練を継続するうえでの課題、計画の実効性に対する検証(計画の見直し)等について調査をさせていただきました。
富士市都市計画マスタープランでは、小学校区を単位とした「地区別計画」の策定を推奨されており、一部の地区においては、当該計画において、事前復興のまちづくりが施策として位置づけられています。
富士市においては、発災後、迅速かつ着実に復興できるよう、災害対策本部に復興本部の設置や市街地復興に関する役割を担う「都市計画班」を創設されており、昨年度に実施された庁内復興訓練の内容について、詳細に説明をいただきました。
建築制限区域を短時間で設定するための課題整理や復興まちづくりを優先的に進める区域(被災市街地復興推進地域)の設定等に取り組まれ、問題点を抽出されたうえ、意見交換を実施されています。
富士山と駿河湾が臨める風光明媚なまちであるということは、災害に対するリスクもそれだけ高いということであり、市民、事業者とも危機感を共有され、「真に災害に強いまちづくり」に取り組まれていることを実感させていただきました。
大津市においてはこれまでの間、業務継続計画ならびに災害時受援計画の策定に取り組まれてきましたが、事前復興のあり方についても検討されるべきとの考えを新たなものといたしました。
◯ユニバーサルデザインのまちづくりについて(世田谷区)
世田谷区においては、区、区民及び事業者相互の理解と協働のもと、「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえ、すべての人が便利で心地よく利用できる生活環境の整備を推進することで、安全で安心して快適に住み続けられる地域社会を実現させることを目的として、「ユニバーサルデザイン推進条例」を施行されています。
同推進条例を根拠とする「ユニバーサルデザイン推進計画」においては、スパイラルアップ(*)の仕組みを取り入れ、ユニバーサルデザインの推進を着実に進められており、普及啓発には「せたっち」というキャラクターを活用されています。
(*)スパイラルアップ:「点検⇒事後評価⇒改善の事業への反映」の手順を繰り返し、ユニバーサルデザインのまちづくりへ継続的な発展を目指す方法
28の施策・事業のうち「区立施設のユニバーサルデザインによる整備の推進」については、詳細に調査をさせていただきました。
議会における質疑・一般質問でも提言をいたしましたが、世田谷区における事例をあらためて調査させていただき、実現に向けて取り組む決意を新たなものといたしました。(以下、同推進計画より引用)
№8「区立施設のユニバーサルデザインによる整備の推進」
(所管部)
・各施設所管部、都市整備部、施設営繕担当部
(ねらい)
・区立施設の改築や改修が進む中で、その機会を捉えてすべての人にとって利用しやすいユニバーサルデザイン の視点を積極的に導入し、整備の質の向上を図る。
(取り組み内容・方法)
・新たな施設利用のニーズも踏まえながら、多様なニーズを持った施設の利用者による点検、評価を実施し、設計に反映・活用する。
・№5「ユニバーサルデザインに取り組むアドバイザー等の人々の活躍の場を広げ、多くの人が参加できる取り組みの推進」と連携して実施する。
・№7「ユニバーサルデザインライブラリーの活用」と連携して実施する。
世田谷区ユニバーサルデザイン推進計画(写真左側)の右下には、音声コードが印刷されています。
視察対応くださった都市デザイン課職員さんの名刺にも印刷されていましたが、その位置がどこにあるか分かるよう、目印として切り欠きがなされています。
また、庁舎内においても、筆談器や対話を支援するための機器が窓口に設置されていました。
議会事務局のおいても「筆談できます」の案内がなされており、大津市においてもできることからユニバーサルデザインの推進に取り組むべきと考えます。