【設立趣意書】

  発起人の一人となって設立した「次代の大津を築く会」の設立趣意書を公開させていただきます。市民憲章の前文にも掲げられた「美しい自然と豊かな文化にふさわしいまちづくり」を推進するためには、線状都市であることをより深く認識した取り組みが重要であり、多くの気づきをもって、次代の大津を築きたいと決意するに至りました。市民が主役のまちづくりをより多くの方に実感いただけるよう、設立趣意書の実現に努めてまいります。

「次代の大津を築く会 」 設立趣意書 

近年、日本国内の地方自治体は数々の諸問題を抱えている。大津市においても例にもれず少子高齢化やインフラの老朽化、早晩訪れる人口減少、それに伴う税収の減少など、今後どのように市民生活を守っていくか、知恵と判断がより一層求められる。 時代を明治の黎明期にさかのぼると大津・滋賀県令松田道之は、全国に先駆け衆議政治を取り入れている。それは、地方議会の誕生を示しているが、明治7年1月11日に松田の地方官6年の知見の結晶として「県治所見」が滋賀県諸官に示された。その前文によれば、その基盤となるべき人民が時勢の進歩に後れ「人民未ダ開明ニ至ラザル」と断じ、甲論乙駁 ※1帰結が得られない県民性を感得し、その開明には百年河清を俟つ※2式の気永な態度でのぞむべきと考え、当面は上意下達に依らざるを得ない、としている。

それから140年が経過し、当時の上意下達型から、地方分権における〝市民が主役のまちづくり〟に舵は大きく切られはじめ、大津市においては、市民、事業者、行政による三者協働が「まちづくりの基本姿勢」に掲げられるに至っている。
しかしながら〝協働のまちづくり〟という割には「次代のまちづくりを思考できるだけの情報が少なく、まちづくりに参画しにくい。」「納税の義務を果たしているにもかかわらず、市行政に蓄積された知見が市民の共有財産になっていない。」という声も多い。つまり、わたくしたち市民に〝まちづくりの主役〟という実感はいまだ乏しいというのが実情ではないか、と考える。

次代の大津を築く会では、よりよい市民生活のために必要となる持続可能な将来ビジョンとは何かを探求していくとともに、次代の大津を築くための市民活動はいかにあるべきかを自得し、〝まちづくりの主役である市民〟の「気づき」を、次代の大津にふさわしい「築き」へとつないでいく。そして次代にふさわしい市政を体得できる人財の育成ができればと考え、ここに設立を発起する。

※1 甲論乙駁(こうろんおつばく) :互いにあれこれ主張して議論がまとまらないこと。
※2 百年河清を俟つ :常に濁っている黄河の澄むのを待つ。あてのないことを空しく待つたとえ。

«
»