修正案

12月23日、令和6年11月通常会議最終日。議案に対する討論・採決が行われました。議案第148号 大津市コミュニティセンター条例の一部を改正する条例の制定について、地方自治法第115条の3及び大津市議会会議条例第10条の規定により、議案に対する修正案を提出しました。
 

  
市議会は市の意思や方針を決定する議事機関です。
私は、質疑・一般質問に対する答弁内容等を踏まえ、原案のまま、市議会は可決すべきでないと判断しました。
下記に提案説明の内容を記します。
 
リンク:議案第148号 大津市コミュニティセンター条例の一部を改正する条例の制定について(修正案)PDF
 
リンク:大津市議会HP 市議会トピックス(令和6年12月)

 

この度、地方自治法第115条の3及び大津市議会会議条例第10条の規定により、今期通常会議に提出されております、議案第148号・大津市コミュニティセンター条例の一部を改正する条例の制定について、青山 三四郎 議員、中川 哲也 議員、林 まり 議員、伴 孝昭 議員、そして、わたくし、谷 祐治の5名連名にて、修正案を提出いたします。

 

修正内容については、修正前の欄に掲げる規定に「市長は、この条例の施行後3年を経過したときは、この条例による改正後の大津市コミュニティセンター条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」との文言を追記することも含めて、同表の修正後の欄に掲げる規定に修正しようとするものです。

 

提案理由は、「公民館からコミュニティセンターへの移行期限が撤廃されることに伴い、今後、無期限に移行を目指し続けるのではなく、一定の期限を設けて状況を検証し、その結果に基づき必要な措置を講ずることを執行機関の義務として条例に明記するもの」としております。

以下、議案審査を通じて明らかになった課題に対する自らの認識をお伝えし、補足説明とさせていただきます。

 

大津市コミュニティセンター条例は、令和2年4月1日から令和7年4月1日までの間に小松学区を除く市内35学区に設置されている公民館を廃止し、コミュニティセンターに移行することを定めています。これまでの間、16学区で施行期日が定められ、その都度、条例の改正が行われてきました。

 

今期通常会議、公民館をコミュニティセンターへ移行する施行期日を撤廃するための議案が提出されました。私は、質疑・一般質問において、現行制度の下、新たに設立されるまちづくり協議会がコミュニティセンターの自主運営を希望されないことも想定されると指摘しました。 

大津市はそれぞれの地域の実情や特色に応じて地域住民が主体的な判断をし、その結果を尊重することが適切であるとの見解を示していますが、「その結果」にコミュニティセンターへ移行しないとの選択肢は含まれていると理解してよいのか、大津市コミュニティセンター条例がコミュニティセンターに移行するための条例であることとの整合性に対する認識とあわせて答弁を求めました。

 

大津市からの答弁は、「大津市コミュニティセンターの運営を行うまちづくり協議会の指定等に関する要綱」において、まちづくり協議会がコミュニティセンターの運営を行うことを規定しておりますが、運営を行わなければならないという規定ではありません。まずは、地域において、コミュニティセンターの運営も含めたまちづくり協議会の役割について十分な議論をいただくことが重要であり、条例の趣旨との整合性には問題ないものと考えているとの見解が示されました。

 

ここで、大津市から示された条例改正の理由をあらためて申し述べさせていただいます。「令和5年度から、大津市自治連合会、まちづくり協議会、市議会等との間で意見を交換し、移行に係る成果や課題等について整理してきた。その結果、地域において、コミュニティセンターを活用した多様な主体による協働のまちづくりを持続可能な形で推進していくためには、まちづくりの在り方について、地域において必要かつ十分な議論がなされ、住民の理解と納得が得られることが重要との観点から、コミュニティセンターに移行する時期については、市が一律の期限を設けるのではなく、時間を要したとしても、それぞれの地域の実情や特色に応じて地域住民が主体的な判断をし、その結果を尊重することが適切であるとの結論に至った。」引用は以上となります。

 

大津市は大津市コミュニティセンター条例の改正にあたり、『社会情勢の変化やコミュニティセンターの移行、運営の状況に応じ、一定期間ごとに成果と課題を振り返り、検証を行う必要がある。このことは、令和7年度に策定する「大津市協働のまちづくり推進計画改定計画」において、体系的に進捗管理を行う。』と方針を示しています。しかしながら、公民館をコミュニティセンターへ移行する施行期日が撤廃されたとしても、大津市コミュニティセンター条例の趣旨に変わりはなく、この度、議会の承認をもって決定される大津市の方針とは、すなわち、何年、何十年を要しても、小松学区を除く市内35学区に設置されている公民館を廃止し、コミュニティセンターに移行させることであると理解しています。

 

そもそもこの条例は、大津市コミュニティセンターを設置・管理するための条例であり、それぞれの学区に新たに設立されるまちづくり協議会、また、既に設立されているまちづくり協議会が今後、コミュニティセンターの自主運営を希望されないとなった場合においても、条例が定める大津市の方針に何ら変わりはありません。

 

あわせて、まちづくり協議会がコミュニティセンターの自主運営を主体的な意思決定のもとで継続しない、もしくは、大津市として継続させがたい事態となった際のことを大津市コミュニティセンター条例は想定していないことを指摘しました。この場合、コミュニティセンターを設置する前提条件を満たさないことになり、貸館業務などの継続に影響を及ぼすことになると考えます。大津市はコミュニティセンターの管理運営をどの様な方針のもとで持続可能なものとしていくつもりなのか、現時点における課題認識とあわせて見解を求めました。

 

大津市からの答弁は、何らかの理由でまちづくり協議会がコミュニティセンターの管理運営ができなくなった場合は、委託契約に基づく対応を行うこととなること。一方で、公共施設を利用いただけるように運営することは、本市が果たすべき責務であると認識しているというものでしたが、今後、コミュニティセンターの運営を継続していくにあたり、運営を受託できない期間や原因などの場合分けをし、想定した上で、必要な対応について検討していきたいとの見解が示されています。

 

大津市は「まちづくり協議会設立の手引き」を策定し、設立の届出に関する要綱を定めていることは承知していますが、現時点において、「大津市『結の湖都』協働のまちづくり推進条例」にまちづくり協議会は位置付けられておらず、必要な対応を検討されるにしても、想定される前提条件によって、対応方針は大きく変わってくるものと考えます。
 
私は今期通常会議における質疑・一般質問において、大津市は令和2年3月に改定されたまちづくり協議会設立の手引きにおいて、「まちづくり協議会の活動資金はどうするのですか」との想定質問に対し、「まちづくり協議会が活動していくためには安定的な活動資金の確保が必要です。現在、各種団体に対して市からは様々な形で補助金が支出されていますが、将来的にはこれらの補助金をまとめて、より自由に使える交付金とすることも検討しています。」と回答されていることを踏まえ、検討の進捗状況と実現に向けた今後の展望について見解を求めました。

 

大津市からの答弁においては、活動団体の補助金をまとめた交付金については、まちづくり協議会が、地域の実情に合わせた地域活動へ柔軟に活用できるよう、各種団体に対する補助金をまとめた一括交付金制度を検討していたものの、各種団体の主体的な活動を尊重する観点から検討は行っていないとの見解が示されました。質疑・一般質問の通告を契機として、まちづくり協議会設立の手引きにおける記載内容についても「組織の財源として、構成員からの会費徴収や自主事業(コミュニティビジネス)などによる収入を検討していく必要がある。」と変更が行われています。
 


まちづくり協議会が持続可能な組織運営を行うにあたり、活動資金の確保は大変大きな課題であると承知をしています。まちづくり協議会設立の手引きにおける記載内容をこのような形で変更されたことを私は大変重く受け止めています。
 

修正前の欄に掲げる規定に「市長は、この条例の施行後3年を経過したときは、この条例による改正後の大津市コミュニティセンター条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」との文言を追記いたしました。3年とした理由は、次期大津市総合計画基本構想の策定を見据えたからです。

大津市コミュニティセンター条例の改正にあたり、大津市は『社会情勢の変化やコミュニティセンターの移行、運営の状況に応じ、一定期間ごとに成果と課題を振り返り、検証を行う必要がある。このことは、令和7年度に策定する「大津市協働のまちづくり推進計画改定計画」において、体系的に進捗管理を行う』との方針を示していますが、市民自治のさらなる確立を目指するため、規則で個別に施行期日を定め、小松学区を除く市内35学区に設置されている公民館を廃止し、コミュニティセンターに移行させるという方針と整合を図る必要があると考えます。

 

大津市協働のまちづくり推進計画の改定や大津市まちづくり協議会の設立の届出に関する要綱の改正には、市議会の承認を必要としません。しかしながら、大津市コミュニティセンター条例の改正には市議会の承認が必要であり、そもそも、現行の条例においても、市議会が承認したからこそ、公布されて現在に至っています。二元代表制のもと、市議会としてとりえる対応として、先に申し述べた修正を行うことが望ましいと考え、修正案を提出するものです。議員各位におかれましてはご賛同いただきますよう、お願い申し上げまして提案説明とさせていただきます。

 
以上が提案説明の内容です。
採決の結果、「賛成少数」にて、修正案は「否決」されました。
 
リンク:大津市議会HP 議案の一覧・結果(令和6年度)  
 
リンク:谷ゆうじHP 活動レポート 2024年12月05日

 

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