登壇

3月4日、下記5項目について、質疑・一般質問を行いました。答弁内容については後日、あらためて公開させていただきます。
 

 
〇誰もが見やすく分かりやすい公共サインの整備と適切な維持管理に向けた取り組みについて
 
大津市は様々な目的で公共空間に地図・案内板・標識などを設置しており、以下、これらを「公共サイン」と総称します。これまでから質疑・一般質問の機会などを通じて指摘を繰り返してきましたが、大津市内には施設や通りの名称が現状に即していない、また、経年劣化により機能を損ねている公共サインが各地に存在します。
 
公共サインはバリアフリー、ユニバーサルデザインの理念に基づき、誰にとっても見やすく、分かりやすくなくてはなりません。また、周囲の街並みとの調和を図ることで、良好な都市景観の創造に資する要素となり、自然・歴史・文化など、色彩やデザインに地域の魅力を取り入れることで、個性豊かな都市空間の創出につながります。
 
令和46月通常会議、私は共生社会の実現推進を図るため、新たに大津市版・公共サインガイドラインを策定されることを提言しました。その際、大津市からは、地図や案内板等のデザインや維持管理の指針について、他都市の事例を参考に調査・研究するとともに、現在、策定作業を進めている第2次景観計画へ位置付けていく方針を明らかにされました。
 
大津市は令和7年に改定予定の第2次大津市景観計画原案において、公共サインについては、設置ルールやデザインの方針に関する詳細を定めた公共サインガイドラインを定め、それに基づき整備・更新・維持・管理に取り組むことを掲げました。公共サイン整備事業に係る景観形成の方針を明らかにされたこととあわせて評価するものですが、まちの美観を損ねている、また、誤った情報を発信している公共サインが存在している現状は一日も早く改善されなければなりません。大津市版・公共サインガイドラインの策定に向けた今後のスケジュールと現状の改善に向けた当面の対応方針について見解を求めます。
 
また、当該ガイドラインについては、大津市景観審議会への意見照会だけでなく、誰もが見やすく分かりやすい公共サインとなるよう、大津市障害者自立支援協議会・差別解消部会や大津市障害者差別解消支援地域協議会とも連携を図りながら策定されるべきと提言するものです。加えて、国や滋賀県、公共的団体等が地図・案内板・標識などを整備される際には、当該ガイドラインを参考にしていただけるよう取り組みを進めることも重要と考えますが、大津市はどの様な連携体制のもとで大津市版・公共サインガイドラインを策定していくつもりなのか。あわせて見解を求めます。
 
答弁:都市計画部長
 
1点目の大津市版・公共サインガイドラインの策定に向けた今後のスケジュールと現状の改善に向けた当面の対応方針についてでありますが、今年度は、第2次大津市景観計画の原案を検討する中で、公共施設の景観整備に関する方針案の一つとして、公共サイン整備事業に係る景観形成の方向性を示したところです。また、公共サインにつきましては、設定ルールやデザインの方針などを詳細に定める必要がありますことから、別途ガイドラインを定めることといたしました。

作成に向けたスケジュールといたしましては、当該計画の策定とあわせて、現状と課題の整理や先進事例等の調査を行った上で、公共サインの基本的な考え方やルールづくり、維持管理に必要な事項などを検討し、来年度末までの作成を目指してまいります。

また、現状の改善に向けた当面の対応方針につきましては、昨年度、全庁的に実施した「公共サインの維持管理に関する調査結果」を踏まえ、修繕や撤去などの進捗状況を確認したうえで、所管する各所属に対して、適切な維持管理を促してまいります。

次に、2点目の大津市版・公共サインガイドライン策定に向けた連携体制についてでありますが、当該ガイドラインにつきましては、新年度の委託業務の中で、連携体制を含め、詳細な検討事項を定めていく予定であり、その内容に応じて、必要な団体との連携を図ってまいります。

また、当該ガイドラインにつきましては、第2次大津市景観計画と合わせ、国や滋賀県、公共的団体を含め、十分な周知を行うことにより、その活用が図られるよう検討を進めてまいります。
 

〇児童虐待の防止とDV防止に向けた啓発活動のさらなる充実に向けた取り組みについて
 
配偶者やパートナーなど親密な関係にある人からの暴力を意味するドメスティック・バイオレンス(以下、DV)は児童虐待と深い関係があり、DVを子どもが目撃することは、心理的虐待に該当します。現在、大津市は令和6年度から10年度までを計画期間とする次期「大津市配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する基本計画」の策定に取り組んでおり、DVの防止に向けた啓発の充実を基本目標に掲げています。
 
内閣府は毎年1112日から25日までの間を「女性に対する暴力をなくす運動」期間と定めており、大津市は今後も女性に対する暴力根絶のシンボルである「パープルリボン」にちなんだ活動を展開される方針と認識していますが、同じく11月、児童虐待防止推進月間を中心に実施されている「児童虐待防止・オレンジリボンキャンペーン」と相乗効果を発揮されながら啓発活動に取り組まれることが望ましいと考えます。
 
令和5年度、神戸市においては、製パン事業者の協力を得て、オレンジ・パープルリボンを模したパンを製造・販売されました。また、両色をあわせたオレンジ・パープルリボンの製作者を広報誌で募り、郵便局員や市内ホテルの従業員に着用いただき、民生委員を通じて地域のイベントで配布されるなど、市民や事業者と協働体制を構築されながら啓発活動に取り組まれています。この他にも同市においては、これまでから11月になると花時計のモチーフをダブルリボンとされ、紫色や橙色のビオラを植栽されています。
 
また、滋賀県においては、市町、関係機関、および企業などと協働し、オレンジリボンを活用した啓発活動に取り組むことを児童虐待防止計画に位置付けられ、キャンペーンに協力いただける企業名と取り組み事例をホームページで紹介されています。
 
大津市においても児童虐待の防止やDVの防止に向けて積極的に取り組んでいただける企業等を認定する制度を新たに設けられ、市民生活や企業活動に根差した活動をさらなる協働により、一層展開いただきたいと願うものです。次年度以降、大津市は児童虐待の防止とDV防止に向けた啓発活動のさらなる充実にどの様な方針のもとで取り組まれるつもりなのか。見解を求めます。
 

 

答弁:福祉部長
 
児童虐待の防止に向けた啓発活動についてでありますが、児童虐待の防止は、社会全体で取り組むべき重要な課題であることから、広く啓発を行っているところであります。今年度、5つの企業・団体と協働で児童虐待防止に向けた啓発活動に取り組んだところであり、こうした取り組みを本市のホームページで紹介することで、児童虐待防止に向けた、より一層の機運の高まりにつなげていきたいと考えております。引き続き、多様な主体と連携して、啓発活動に取り組むとともに、庁内におけるDV防止の取り組みとも連携してまいります。
 
答弁:政策調整部長
 
DVの防止に向けた啓発活動についてでありますが、現在、策定を進めております次期大津市DV基本計画においても、DVと児童虐待が密接にかかわっていることを明記するとともに、主要施策として「地域や関係団体等に対する啓発」を掲げており、地域や事業者などに対し、当事者意識を持っていただくよう啓発を強めてまいります。

また、DVと児童虐待が同時に起こる場合があることを踏まえ、児童虐待防止、DV防止に関する啓発が相乗効果を発揮できる機会を広げていくため、企業内人権啓発研修会など、様々な機会を捉え、地域や事業者などによる主体的かつ継続的な活動につながるよう、商工団体などとも連携してまいります。
 
再質問 
 
啓発活動のさらなる充実に向けた方針についてです。
今年度、5つの企業、団体の皆様方と連携し、児童虐待の防止に向けた取組を推進された事例を紹介いただきました。また、その実績をホームページなどで紹介され、機運を高められてさらなる活動につなげていかれたいという方針を示していただきました。私が思いますに企業の方々や団体の方々の立場に立っていただいたときに、御提案申し上げたような認定制度を設けていただきますと、オレンジリボンキャンペーンの期間以外においても協力を求めていただきやすいのかなと思います。もう一度お伺いさせていただきます。ホームページで紹介いただくだけではなくて、しっかりと制度を設けていただく必要があると思うんです。このことについて、もう一度見解を求めたいと思います。そういった制度を設けられない中で、どういった形で、では、さらなる企業、団体との連携を図っていかれるつもりなのか、お考えをお伺いできないでしょうか。
 
答弁:福祉部長
 
ただいま初問の答弁で、そういった企業さんの取組をホームページで御案内をさせていただいたということで、共感をいただける企業、団体の裾野を広げていきたいということに加えまして、今年度実施をいただいた企業さんでも、大津市と包括の連携協定を締結をいたしている事業者さん等にお声がけをさせていただいて、御協力をいただいたというところもございますし、固有名詞を言いますとコープしがさんですけれども、コープさんにつきましては企業様からお声がけをいただいて、いろいろと児童虐待なんかのお話をさせていただく中で、そういう取組やっておられるんでしたら私らもぜひ参加させてくださいというふうなことで御協力をお申出をいただいたようなところもございますので、あらゆる今持っている資源も含めて、しっかりと連携させていただくということ。そして、ホームページのところで制度ではないですけれども、まずはホームページでしっかりと企業さんの取組も御紹介をさせていただく中で、企業さんもこういう社会的な活動をしっかりと市がアピール、PRをさせていただくことで、連携の裾野また協力の裾野を広げていきたいというふうに考えております。

 

〇多額の予算を措置されながらも事業者の認定に至らなかった本社機能移転促進助成金交付事業のあり方について
 
大津市は今年度に引き続き、新年度当初予算案に本社機能移転促進助成金として五千五百万円を計上しました。当該助成金交付要綱において、建設型は五千万円、賃貸型は五百万円を上限額と設定され、地域経済の活性化を図るとともに、市民生活の向上に資することを助成金の交付目的と定めておられますが、今もって事業者の認定には至っていません。多額の予算を措置されながら、なぜ、未執行となってしまったのか。要因分析と効果検証を予断なく行い、その結果を令和6年度の取り組みに活かしていく必要があります。
 
ちなみに、令和52月通常会議における議会答弁において、事業者向け支援制度を網羅したパンフレット等を活用しながら、直接企業に本市の立地優位性を伝えるなど、積極的にPRを行っていく方針を示されましたが、大津市のホームページ上でこれらの情報を確認できません。今後は従業員の暮らしに深く関わる、教育や子育て支援などに係る情報や自然豊かな大津市での暮らしを想起いただける情報についても効果的に発信いただき、雇用の維持・拡充に向けた事業者の期待と意欲をあわせて高めていただきたいと考えます。
 
地方拠点強化税制等の関連施策を踏まえ、他都市においても同様の企業誘致施策が展開されるなか、大津市に本社機能施設を移転する優位性をどの様に評価されたうえで、さらなる情報の発信、関心企業の発掘に取り組んでいかれるつもりなのか。地域再生法に基づく地域再生計画として「滋賀県本社機能移転促進プロジェクト」を策定する滋賀県とのさらなる連携に向けた今後の展望と新たに予算計上された本社機能誘致関係広告費の活用方法とあわせて答弁を求めます。
 
また、大津市は大津市本社機能移転促進助成金交付要綱において、「当該本社機能の移転が市の経済活性化及び地域振興に資することが期待できるものとして市長が認めるものであること」を認定の要件として定めています。助成金の交付目的に即した内容と認識するものですが、大津市は具体的にどの様な判断基準をもって、当該認定要件の適否を判断されるのでしょうか。見解を求めます。
 
リンク:大津市ホームページ 大津市本社機能移転促進助成制度  
 
リンク:谷ゆうじホームページ 指摘・提言の実績 本社機能の移転促進による地域経済の回復と活力ある地域づくりに向けた取り組みについて
 

答弁:産業観光部長
 

1点目の今後の取組方針についてでありますが、これまでから市ホームページだけでなく、県や関係機関と連携した情報発信や、滋賀県宅地建物取引業協会、不動産会社、全国滋賀県人会連合会、市外の金融機関などへの訪問によるチラシの配布など制度の周知に努めているところです。また、東京や神奈川など、市内に拠点のある企業の本社を訪問し、直接、助成金制度について案内しております。引き続き、可能性のある企業を発掘するとともに、本社移転は、企業にとって大変重要な経営事項であることから、時間をかけて関係を構築することが重要であると考えており、これらの取組を継続してまいりたいと考えております。また、都市圏へのアクセスの良さなど、本市の強みを生かし、県との連携による企業誘致を進め、地域経済の活性化を図ってまいります。なお、新年度予算に計上する広告費は、全国滋賀県人会連合会の広報誌掲載料を想定しております。
 
2点目の認定要件の適否を判断する基準についてでありますが、市内での本社機能立地による経済効果や雇用創出の可能性を認定の基準としております。一方で、企業訪問の際に問い合わせもあったことから、要綱の一部改定や運用方針の策定を検討しており、併せて申請者に分かりやすい制度となるよう明確で理解しやすい基準へ改めたいと考えております。
 
再質問
 
1点目、今後の取組方針についてです。
制度の周知に努めてこられたということと、時間をかけて取り組んでいくことも大事だというような趣旨で答弁をいただきました。大津市に本社機能施設を移転する優位性として、都市圏へのアクセスのよさを挙げていただきました。これ何も大津市に限った話ではないと思うんですよ。事前に聞き取りさせていただきましたところ、そもそも土地がないことも課題として挙げられますということを伺っております。今申し上げたことを踏まえて、もう少し詳しく、どのように今年度予算が執行できなかったことを踏まえて企業の発掘などに取り組んでいかれるつもりなのか、もう一度お聞かせいただけないでしょうか。

 
2点目、認定要件の適否を判断する基準についてです。
現状の要綱について見直しが必要であるといった課題認識をお示しいただきました。もう一度教えていただきたいのですが、経済活性化及び地域振興に資するということをどのようなデータであったり、どのような機会を持って、大津市は意思決定されるのでしょうか。何かしらのデータを企業側に求められるのか。ただ、そうなってきますと負担にもなってきますし、そうかと申し上げて、主観的な判断だけでは公平性にも関わってくる問題だと思いますので、執行部の中で議論されて決定されるのか、また第三者の組織なりを別途設けられて意見照会されるのか。もう少しこの点を詳しく、今の私の課題認識を踏まえてお聞かせいただけないでしょうか。
 
答弁:産業観光部長
 
2点御質問いただき、1点目が今後の取組のうち、とりわけ企業の発掘を来年度どう行っていくのか、2点目は認定基準についてどのように市として客観的に判断していくのか、以上2点について御質問をいただいたと存じます。
まず、1点目、今後の取組について、企業の発掘等についてでありますが、まず企業向けのプレゼンテーション用に多様な資料を作成いたしまして、また広告掲載等の手段により、助成事業の内容に加え、本市の優位性、そして住みやすさ、子育て支援であったり、暮らしやすさなど、従業員の方が市内に居住する際の利点も含めて総合的な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
 
次に、2点目の認定基準、どのように客観的に判断していくかについてでございますが、申請いただく企業より提出いただく事業計画書、また雇用計画書、その他関連資料に基づくヒアリングを実施させていただいて、市内での企業間取引であったり雇用創出効果の確認を想定しております。具体的には、今後要綱の改訂や運用方針の策定の中で検討してまいりたいと考えております。

 
 
〇大地震・巨大地震発生時における災害対応力の強化に向けた取り組みについて

 
令和611日、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の大地震が発生しました。被害を受けられた皆さまに対しまして、心よりお見舞い申し上げますと共に被災地の一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
 
大地震はいつ、どこで発生するか分かりません。大津市においては南海トラフ巨大地震が発生した際の最大震度は6強と予測されており、いくつもの断層がつらなる琵琶湖西岸断層帯は市街地と近接しています。甚大な建物被害や人的被害が想定されるなか、災害対応力の強化は本市にとって喫緊の課題であることから、以下、3点、指摘・提言を踏まえて質問を行います。
 
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点目、受援力向上に向けた取り組みについて。平成303月、大津市は平成28年度に策定された大津市業務継続計画を補完する計画として、大津市災害時受援計画を策定しました。大地震・巨大地震が発生した際、大津市だけでは対応できない事態に備えるための計画であり、他の自治体や機関など多方面からの支援を最大限活かすため、地域防災計画と整合を図りながら、人的、物的支援の受け入れ手順やその役割など、受援に必要な体制を整備することを目的としています。
 
大津市は受援力の向上を図るため、災害時受援計画の見直しにあたっては、国・県・他都市の動向や知見等を取り入れ、さらには、訓練等を通じて関係機関等への周知と理解醸成を図ることを当該計画に定めています。しかしながら、策定から6年が経過しようとしているものの、これまでの間、災害時受援計画の見直しが行われたのは、指定避難所及び災害時応援協定の追加ならびに市役所組織の改編に伴う変更のみと認識しています。長期に渡るコロナ禍の影響により、計画的な取り組みが困難であったことは承知をしていますが、大地震・巨大地震はいつ発生するか分かりません。
 
平成284月の熊本地震発生後、大津市は熊本県大津町に多くの職員を派遣されました。大津市災害時受援計画の策定にあたっては、災害対応業務に従事くださった際の教訓が随所に反映されており、計画の実効性を高めることにつながったものと高く評価するものです。令和611日以降、大津市は能登半島地震で被害にあわれた被災地に職員を継続して派遣されています。大津市災害時受援計画及び大津市企業局災害時等受援計画の推進と見直しを図る際には、能登半島地震における被災地支援の経験をぜひとも活かしていただきたいと願うものです。
 
大津市はPLANDOCHECKACTIONからなるPDCAサイクルを活用し、災害時受援計画の推進と見直しを図るとされていますが、今後どの様な方針のもとで受援力向上に資する取り組みを進め、大津市災害時受援計画の実効性を高めていくつもりなのか。当該計画に定められた受援対象業務シートの管理状況と災害時応援協定の実効性強化に向けた取り組み、受け入れ体制の充実に向けた人的支援、物的支援の準備状況とあわせて答弁を求めます。
 

 

2点目、避難所施設の安全確認について。大津市においては、小中学校体育館を避難所として開設するにあたり、まずもって、施設管理者または避難所担当員を務められる市職員が安全確認を行い、判断がつかなかった場合においては、災害対策本部の意思決定のもと、建設部建築課からの依頼に基づき、大津市が応急危険度判定業務(セーフティチェック)に関して協定書を締結する公益社団法人滋賀県建築士会大津地区委員会ならびに同湖西滋賀地区委員会に所属する被災建築物応急危険度判定士が派遣されることになります。しかしながら、大津市が作成支援に取り組まれている学区避難所運営マニュアルのひな形においては、施設の安全確認を行う主体が不明確な記述となっています。大地震・巨大地震発生時に混乱が生じないよう、大津市避難所運営マニュアルと整合性を図られるべきと考え、今後の対応方針について見解を求めます。
 
また、私は令和36月ならびに令和42月通常会議において、静岡県静岡市や浜松市の取り組み事例を参考とし、学区単位で被災建築物応急危険度判定士を事前に配備する制度の創設を提言しました。震度6弱以上の地震が発生した際には、事前に割り当てられた各支所に速やかに参集いただき、支所長(初動支所班長)から応急危険度判定の依頼を受けていただくことで、避難所開設に伴う安全確認を円滑に行っていただくことが可能になると考えます。被災建築物応急危険度判定の認定に係る研修を主催される滋賀県と連携を図りながら、学区単位で同判定士を事前に配備する制度を創設することについて、見解を求めます。
 
3点目、防災井戸の整備に向けた取り組みについて。水は人が生きていくうえにおいて必要不可欠なものであり、トイレ、お風呂、洗濯など、避難生活を送るうえにおいて、なくてはならないものです。地震の影響によって、地中に埋設されている水道管が破裂をした場合、復旧に相当な時間を要する恐れがあることから、大津市においても、避難所となる小中学校や都市公園等に防災井戸を整備されることを提言します。停電によって、水をくみ上げる電動ポンプが作動しないことを想定し、手押しポンプを併設する必要がありますが、災害対応力の強化に資すると考えます。計画的に整備基数の拡充を図ることについて、本市に見解を求めます。
 

 
答弁:危機管理監 

 
1点目の受援力向上に向けた取り組みについての、今後どのような方針のもとで受援力向上に資する取組を進め、大津市災害時受援計画の実効性を高めていくのかについてでありますが、大津市災害時受援計画では、人的支援の窓口として災害対策本部事務局内に「人的受援班」を設置することとし、また、災害時優先業務のうち、1日あたりの必要人数が5人以上の業務や過去の災害で受援対象となった業務について、その概要や必要人数、マニュアルの有無等を記載した「受援対象業務シート」を作成し、円滑な人的支援の受け入れ体制の整備を図ることとしているところでございます。物的支援の受け入れ体制につきましては、災害対策本部事務局内に「物資調整班」を設置することとし、平成30年度に「災害時物資供給マニュアル」を策定し、物流の専門家と連携して避難所まで物資を確実に届ける仕組みを構築いたしております。
 
また、総合防災訓練においては、災害時応援協定を締結している滋賀県トラック協会大津支部と物資の輸送に係る訓練を実施するなど、連携の強化に努めているところです。今回、能登半島地震に際し、応急給水、水道復旧、DHEAT、被災建築物応急危険度判定、被災家屋等の公費解体制度の受付、住家被害認定調査及び避難所運営など、現地の要請を踏まえた応援派遣を通じて、受援対象業務についての新たな知見の蓄積が進むと考えております。今後は、当該計画の課題を洗い出すとともに、図上訓練の実施や、マニュアルが未策定の受援対象業務の見直しなど、受け入れ体制の充実と県の災害時受援計画との整合を図りながら本市の受援計画の実効性を高めてまいります。
 
次に、2点目の避難所施設の安全確認についてのうち、1つ目の施設の安全確認業務にかかる、大津市避難所運営マニュアルと学区避難所運営マニュアルとの整合性についてでありますが、大津市のマニュアルにおいては、緊急時に避難者にも開設・運営を担っていただくことを、また一方で、学区避難所運営マニュアルのひな形では、施設管理者の到着を待たずとも開設が進むよう、避難者が主体となって開設することを前提とする旨を記述しており、市の避難所担当員及び施設管理者による開設を原則としていることに誤解が生じかねないそういったものとなっているところでございます。今後、記述の整合を図りますとともに、自主防災組織等に対し、このことや避難所を開設する上で最優先となる施設の安全確認及び応急危険度判定業務の手順について、十分に説明し、共通理解を図ってまいります。
 
次に、2つ目の学区単位で応急危険度判定士を事前に配備する制度を創設することについてでありますが、複数の避難所を同時に、かつ早期に開設する必要がある大規模災害時において、有効な方策であると考えるものの、相当数の資格者の確保が必要となると考えますことから、引き続き、滋賀県と連携し、被災建築物応急危険度判定士の登録の促進を図ってまいります。
 
次に、3点目の防災井戸の整備に向けた取り組みについてでありますが、防災井戸は、大規模災害によるライフライン途絶時において、トイレなどに用いる生活用水を確保するための手法として、有効であると認識をいたしております。本市といたしましては、施設が多数に及ぶなかで、管理方法や財源の確保等について、課題も多いと考えられることから、他都市の事例を調査研究してまいります。
 
再質問
 
まず1点目の受援力向上に向けた取組についてです。
業務によっては、マニュアルが未整備の計画があるとの課題認識をお示しいただきました。実際にどれぐらいの数なのでしょうか。また、PDCAサイクルを活用して、受援計画を見直していくことについては、策定された時点から述べられていることではあるのですが、未整備となっている受援業務対応をどういったスケジュール感で取り組んでいかれるのか、お聞かせをください。

 
次に、3点目の防災井戸の整備に向けた取組についてです。
有効性については認識を共有いただけたものと理解いたしました。その上で、管理方法であったり、財源が課題であるといった認識もお述べをいただいております。繰り返しで恐縮なんですけれども、災害発生時、水は本当に大事です。今の答弁を伺っていますと、有効性は認識されるものの、整備の必要性についてはどのように実感されているのかなと感じるところでございます。この点、お考えをもう少し詳しくお聞かせいただけないでしょうか。
 
再々質問
 
1点目でございます。現在マニュアルが未整備の受援業務に関して、数はどれぐらいかということと、どういったスケジュール感でこの整備に取り組んでいくかということでございます。これについてでございますけれども、今現在、手元に数についての資料はございませんけれども、実際それぞれのシートに基づいて必要なものを上げていくというところで、まだ整備はできていないというものがあるところは承知をしているところです。
 
今後でありますけれども、先ほども初問でお答えをさせていただいたんですけれども、今回能登半島地震で職員がかなり現地へ入らせていただいて、応援に入っております。今後、こうした取組、派遣の業務で知り得る新たな知見、これは復興のところも含めてですけれども、こういった新たな知見等も踏まえた上で、PDCAサイクルというところでございますけれども、今回の新たな知見も含めて、今の計画をさらに動くものと、そういったものを考えた上で図上訓練を実施し、これは現実ではありませんですけれども、計画の実行、ドゥーというところ、そして訓練の結果を分析して人員制度等の見直し、そして業務管理シートの改善が必要な部分があればそこを改善していくというような形でPDCAサイクルを活用して、計画の推進を図りたいというふうに考えてございます。
 
そして、2点目の災害井戸について、必要性をどのように実感しているかという御質問についてでありますけれども、実際井戸につきまして、先ほど初問でお答えさせていただいた管理の部分の課題というところなんですけれども、実際にたくさんの数がございます。そして、定期的に自治体がそれぞれ井戸の水質検査を実施するというところがございます。それが多数に及ぶと。そして、井戸にふさわしい周囲の環境の維持をどうしているのかとか、そういったことを実際に安全に井戸を使っていただくためには、それをどうして確実に実施していくのかというところを考えた上で、設置の方法を考えていくという必要があると考えているところでございます。
 
また、議員お述べのとおり、災害時の飲料水、さらには生活用水の確保というのは非常に大切な事項でございます。一方で、地域においては浄水機器を設置して活用しようとしたり、例えばほかにも民間の井戸を調査して、どれが活用できるか調査をしているというような取組もございます。また、本市の浄水場でありますとか配水池の災害時の飲用水、それと生活用水の貯留と供給能力、こういったことも踏まえることも有用であるというふうには考えてございます。こうしたこと含めて、研究を積み上げていきたいなというふうに考えているところでございます。
 
再々再質問
 
受援力向上に向けた取組についてです。私、初問で受援対象業務シートの管理状況について、通告に基づきお聞きをさせていただいております。まだ未整備の受援業務の計画等がおありだということで答弁いただきましたので、再質問させていただいたのですが、数については把握をいただけていないのか、答弁いただけませんでした。もう一度確認させていただきたいんですけれども、受援対象事業シートを管理いただいて、見直していただくに当たっては、現状を正しく把握していただくことは大前提になってくると承知をしております。もう一度お伺いさせていただきますが、マニュアルが未整備となっている受援対象業務の計画について、現状をどのように認識をされておられるのでしょうか。もう少し詳しくお聞かせをください。
 
答弁:危機管理監
 
受援力の向上に関して、業務シートの見直しに関しては、現状把握の上進めていくべきというようなことでございました。どのように進めていくのかというところでございます。先ほどの再問いただいたお答えの中で、現在手元に資料がないというふうに御答弁申し上げたところですけれども、マニュアルが必要な業務に関して82業務ございます。そのうちの42業務が未策定というところでございます。
 
訓練ですとか、本来は図上訓練等を反映して、いろんな手入れをしていくというのが本来でございますけれども、議員が初問で述べていただいたとおり、実際新型コロナウイルス感染症対策にずっといろいろ従事をしていくというところで、なかなか着手ができなかったというところで、実際シート自体も追加、修正ができていないという状況でございます。
先ほどからも申しておりますとおり、今回の能登半島地震への対応も職員の派遣をいたしております。こうして得た教訓を生かしながら、計画自体の更新、シートの更新、また定期的な見直しも含めて、マニュアルの策定を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 

〇中学校体育館を対象とした空調設備設置事業の実施方針について
 
大津市は新年度予算案に中学校の体育館14校に空調設備を設置するための事業費を計上されました。令和6年度から令和7年度の2カ年に渡っての事業であり、債務負担額とあわせて総事業費は104,1348千円になると説明を受けています。文部科学省においては、体育館の断熱性を確保することで、空調設備の定格冷房能力を抑えることが可能となり、中長期的な視点に立てば、断熱化改修工事費の増額分を電気代の削減分で回収できると試算されています。そのうえで、学校施設環境改善交付金については、体育館本体の建替えや全面的な改修工事に併せ、断熱性能を確保した上で冷暖房設備を設置することを補助要件とされています。
 
この度の事業では、緊急防災・減災事業債を活用されるとのことであり、断熱性の向上は図られないと認識していますが、維持管理費の縮減を図ることは、将来に渡る財政負担の軽減を図るためにも重要な取り組みとなります。学校体育館空調設備設置事業の実施にあたり、断熱性能の向上は図られないとされた理由と維持管理費の縮減に向けた取り組み方針について見解を求めます。
 
また、この度の事業については、設計・施工一括発注方式を意味するデザインビルド方式によって実施されると説明を受けています。発注方式として、同方式を採用された理由と当初予算案で計上されている予算額の積算根拠と算出過程について、答弁を求めます。 
 
答弁:教育長
 

1点目の、断熱性能の向上を図らない理由と維持管理費の縮減に向けた取り組み方針についてでありますが、学校体育館の空調設備設置につきましては、昨年の夏以降、具体的な検討を進めてまいりましたが、他都市の導入事例の調査では、断熱工事を行わずに空調整備を実施している事例が多く、令和5年9月に現地視察を行った自治体でも、体育館の空間全体を冷やすのではなく、児童生徒が活動する区域に集中的に冷風を送ることを目的に、空調設備と送風機を組み合わせた整備が行われており、断熱工事がなくても十分な冷房効果が得られる整備方法が確認できました。これらのことから、導入に係る経費や冷房効果、断熱工事を実施した場合の教育活動への影響などを総合的に勘案し、断熱工事を行わず、財源として、緊急防災・減災事業債を活用し、学校体育館の空調整備を進めることといたしました。また、先ほど述べました他都市の事例を参考に、空調設備と送風機を組み合わせた整備を行うことで、効率的な冷房効果と同時に空調設備の容量を抑えることが可能となり、維持管理費の縮減にもつながるものと考えております。
 
2点目の、デザインビルド方式を採用した理由及び積算根拠と算出過程についてでありますが、学校施設につきましては、継続して実施している長寿命化改良工事、トイレ改修工事に加え、新たに空調設備の設置工事に着手するため、多くの発注業務を並行して進めることになります。

このことから、設計と施工を一括で行うデザインビルド方式を採用することで、入札不調のリスク低減や発注業務の軽減を図るとともに、整備スケジュールを短縮することで、教育活動への影響を抑えることができるものと考えております。また、予算額の積算根拠と算出過程につきましては、他都市の事例や業者からの聞き取り等を参考に、本市の専門職の職員が空調能力・配管等を類似案件から積上げした概略設計により算出したものでございます。

 

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