隣接国有地を活用した庁舎整備のあり方について( H27. 11)
質 問 |
大津市においては、隣接国有地を活用した具体的な庁舎整備の方向性を見出すため、平成27年1月15日から平成27年9月30日にかけて隣接国有地を活用した庁舎整備検討支援業務が実施されました。当該業務は、平成24年度に有識者や各種団体代表者及び公募委員から成る大津市庁舎整備計画検討委員会から、庁舎整備については、現在の庁舎敷地の北側に隣接する国有地を取得した上で、本庁舎のうち耐震基準を満たしていない本館及び別館を建て替え、諸課題を合理的に解決することが最適であるとの答申を受けたことを踏まえて実施されたものであり、現在大津市のホームページにおいては検討結果の概要版が公表されています。市民に対して情報を開示し、意見を求める姿勢については評価するものですが、災害対応拠点として求められる機能を庁舎全体として確保するためには、施工性や経済性などさまざまな要素を複合的に勘案しなければならず、耐震改修や免震改修に対する妥当性については、大津市が時期を逸することなく早期に判断すべきと考えることから、以下3点質問します。
1点目、本館及び別館棟を対象とした耐震改修案について。 構造耐震判定指標0.6に用途指標1.5を乗じたIs0.9の耐震改修案と異なる構造体の区分において、本来採用されるべき用途指標1.25を乗じたIs0.75の耐震改修案を比較されていますが、大津市公共施設の耐震化推進要領の趣旨からしてなじまない行為であり、国土交通省が定める官庁施設の総合耐震計画基準を否定することになると考えます。庁舎動線の利便性や建物の美観に与える影響などを踏まえ、どのような意図でこのような比較検討を行われたのか。近代建築物としての価値を有する本館及び別館を対象にした耐震改修案に対する評価とあわせて見解を伺います。
2点目、庁舎整備に必要となる財源確保に向けた方針について。 平成26年度末時点における大津市庁舎整備基金の残高は11億8,000万円であり、隣接国有地を取得する際に活用されることになっていると認識していますが、必要最小限の面積で新棟を新築した場合においても、庁舎整備全体に要する費用は現時点で72億7,000万円から135億6,000万円と見込まれています。大津市の行財政運営に大変大きな影響を及ぼす事業であることから、中期財政フレームに必要な財源を位置づけることはもとより、一般財源からの支出を抑制するためにも、事業費の95%に充当でき、将来的には元利償還金の70%が普通交付税で措置される合併特例債の活用を視野に入れられるべきと考えます。
現在、大津市においては、公共施設マネジメントの観点から、幼稚園をはじめとする施設の統廃合や市民センターなどにおける行政サービスの見直しが進められていますが、その主な目的は維持管理費の縮減です。多くの市民や各種団体に理解と協力を求め、行財政改革を推し進めていくのであれば、大津市長自らの政治判断によって将来に過大な財政負担を残すことがあってはなりません。平成27年度から延長期間は5年間であり、平成32年度末までには、対象となる事業費の支払いを完了している必要があると認識していますが、大津市は具体的な整備内容と財源確保に向けた方針をいつまでに決定される考えなのか、庁舎整備に見込むケースごとの全体工期を踏まえて答弁を求めます。
3点目、隣接国有地の取得に向けた取り組みについて。 滋賀県では、平成26年度から隣接国有地を含めた本庁舎周辺地域において土砂災害防止法に基づく基礎調査が実施されており、その結果によっては土砂災害警戒区域などに指定される可能性があると認識しています。譲渡契約の締結期限が平成28年10月に定められていることからも、滋賀県に対しては早期の情報開示を求め、庁舎整備に向けた検討に対応策を反映させるべきと考えますが、取得の方針に変わりがないことを改めてお伺いします。
答弁:政策調整部長 |
まずはじめに、本館棟及び別館棟を対象にした耐震改修案についてでありますが、今回実施いたしました隣接国有地を活用した庁舎整備検討業務の目的は、本庁舎本館と別館の耐震性能、経年的な施設及び設備の老朽化のほか、庁舎が抱える問題に対してその現状を調査、分析、整理するとともに、技術面での最新動向等を踏まえた対応方策を検討し、具体的に隣接国有地を活用して見出し得る限りの複数のプランを提示し、各種プラン別に比較検討を行ったもので、議会での協議や市民の方々からの意見等も含めて、今後の方向性を導くための検討資料として作成したものでございます。
Is値0.75の耐震改修案につきましては、平成16年度に庁舎本館、別館の耐震診断を実施した調査報告書において耐震改修案として提示されていること、また本館、別館の耐震性能が極めて低かったことなどから、他都市の事例において改修実績としてIs値が約0.75としているものも多く見受けられることを踏まえまして検討したものでございます。
近代建築物としての価値につきましては、議会での御意見なども踏まえまして、早急に専門家の御意見等も伺って、耐震改修を実施することに対する判断資料に加えていくことが必要と考えております。
次に、2点目の具体的な整備内容と財源確保に向けた庁舎整備方針の決定時期でありますが、まず市庁舎は法に基づく数多くの重要な市民情報を扱う建物であり、また多くの来庁市民に対して平常時からの安全確保のみならず、災害時の拠点施設としての各種機能確保の視点からも、整備方針として安全性を重視すべきものと考えております。このような視点を重視いたしまして、今後庁舎整備プランの絞り込みとそのスケジュールなどについて、本年度中をめどとして議会へも協議をお願いし、集約を図ってまいりたいと考えております。その上で、財源として合併特例債は市の財政負担を軽減できる有利な特定財源と認識をいたしておりまして、今後の検討においては、平成32年度期限の中で可能な限りの活用を視野に入れるべきと考えております。
3点目の隣接国有地の取得方針についてでありますが、当該国有地は平成26年4月1日付で大津財務事務所長から未利用国有地等の情報提供及び地域の整備計画等に関する意見の照会があり、市議会の特別委員会において利用計画書等を十分に御審議いただき、平成26年6月27日付で取得要望書を提出いたしました。その後、国有財産近畿地方審議会での審議を経て、平成26年10月27日付で本市への売却が決定され、土地売買契約の締結期限は決定通知から2年以内となっており、今後財務事務所と協議を重ね、購入に向けて必要な事務を進めてまいります。
なお、現在滋賀県では、土砂災害防止法に基づき、本庁舎周辺における基礎調査を実施されているところでございまして、本年度中にはその結果が公表される予定と伺っております。今後、庁舎に関連する土地が土砂災害警戒区域等に指定される場合も想定されることから、その動向を大変懸念いたしておりまして、警戒区域等に指定される場合には、整備のあり方等に影響が及び、適切な対応が必要になってくるものと考えております。
再 問 |
答弁の中で、今年度中をめどに、スケジュールやあるべき庁舎整備の方針について集約をしていくということで答弁をいただきました。将来的な財政負担の軽減を図るためにも、何かしらの庁舎整備、規模の大小は別にして当然されるという前提で今おられますので、時期を逸してはならないと考えますが、今おっしゃっていただいた今年度中をめどにした意見の集約、もう少し具体的にその制度、内容についてお伺いします。
答弁:政策調整部長 |
議員もおっしゃっていただいていますように、施工性や経済性などさまざまな要素を複合的に勘案しなければならないということも踏まえながら、今回委託の業務結果から24プランの提示がございます。この中から絞り込みを進めてまいりたいと考えておりまして、その中で財政的な財源のシミュレーションも含めて議会のほうに御審議を賜りたいと考えております。