防災拠点施設でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎の整備に向けた取り組みについて( R4. 3)

質問

現在、大津市においては庁舎整備基本構想の策定に向け、副市長をトップとする庁内推進本部会議と外部有識者によって組織される懇話会が設置されています。令和3年12月、大津市議会公共施設対策特別委員会で示されたスケジュールでは、基本構想の原案を今年度中に完成させる予定となっていますが、今もって整備方針の決定には至っておらず、年度内の実現はかなわないと判断するものです。また、当該スケジュールにおいて、令和4年4月以降、市民アンケートをテーマに推進本部会議、懇話会を開催され、同年9月には基本構想をまとめるとの方針が示されています。令和3年度2月補正予算案において、庁舎整備基本構想策定支援業務委託料を市民アンケートの実施に必要となる費用分を増額し、次年度に繰り越すための予算が計上されましたが、現時点における検討状況を踏まえると、この実現すらも困難ではないかと危惧するものです。

耐震診断が行われて17年以上が経過し、整備方針が決定することなく、今日に至っていることに対して、私は強い危機感を抱いています。防災拠点施設でありながら、今もって必要な耐震性を有していない本庁舎の整備に向け、市民と課題認識を共有し、理解を深めていただきながら取り組みが進められるよう、以下、2点質問します。

 

1点目、庁舎整備基本構想策定に向けたスケジュールについて。令和2年9月通常会議、私は庁舎整備方針を検討する上で不確定要素となっていた中消防署移転用地の絞り込みが実現したことを踏まえ、市長は前市長のもと行われてきたこれまでの検討をどの様に評価され、また、見直されたうえ、防災拠点施設でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎の整備に向けた取り組みを加速していかれるつもりなのか、庁舎整備基本計画の策定に向けたスケジュールとあわせて見解を求めました。これを受けて大津市からは、これまでの検討のベースとなった整備パターンのみにとらわれることなく検討していくこと、また、庁舎整備基本計画の策定に向けたスケジュールについては、まず中消防署の移転新築の進捗状況を見極めた上で、次年度からの中期財政フレームとの整合を図りながら、まずは庁舎整備の基本構想を策定していく必要があるとの考えが示されました。

大津市はこれまでの間、本館を免震レトロフィット工法により耐震改修する案と解体する案を比較の対象とし、いずれの案も別館については解体を前提としたうえ、それぞれ、新棟を別館跡地もしくは取得した隣接旧国有地を活用して建築する計4案をもって整備パターンとしてきました。庁舎整備基本構想策定支援業務に各建設候補地の評価を含めているものの、令和4年2月17日に開催された大津市庁舎整備基本構想策定懇話会においては、当該4案以外、新たな整備パターンや建設候補地が示されることはありませんでした。

 

大津市は整備方針を決定のうえ、今年度中には基本構想の原案を完成させる方針を示しています。今後も新たな整備パターンの検討や建設候補地の選定を継続するのであれば、実行性のあるスケジュールをあらためて示されるべきと考えます。そもそも、当該スケジュールについては、市民アンケートの結果を踏まえ、基本構想を策定される方針に転換されたことを受けて見直されたものであり、令和3年12月、大津市議会公共施設特別委員会において明らかにされたばかりです。単年度において、スケジュールが二転三転することは望ましいことでなく、あらためて見直しをされるのであれば、庁舎整備の推進に特化した(仮称)庁舎整備推進室を設置されるなど、庁内体制を強化されたうえ、新年度に臨まれるべきと提言するものです。大津市は庁舎整備基本構想策定に向けた進捗を公表したスケジュールと照らし合わせ、どの様に評価しているのか。あらためてスケジュールを見直すことの必要性と実行性を高めるための取り組みとして、庁内組織体制を強化することについて、見解を求めます。
 
また、現時点で示している計4案の整備パターンの他、建設候補地を選定できる見込みについて、大津市はスケジュールを踏まえて明らかにすべきと考えます。あらたな建設候補地の有無が確定しないと、整備方針をいつまでたっても決定することができません。

大津市はどのような方針のもと、建設候補地を選定していくつもりなのか。現時点における検討状況と合わせて見解を求めます。
 
2点目、庁舎整備に係る検討経過を時系列で整理をし、ホームページ等で情報発信することについて。令和2年11月通常会議、私は本館を免震レトロフィット工法により改修する案を示されたことを受け、市民アンケート調査を実施するのであれば、本館、別館ともに耐震性能が著しく不足することが判明した平成16年度以降、どのような検討が重ねられて今日に至っているのか、市民に分かりやすい形で情報発信することが大切であると指摘提言を行いました。大津市は長きに渡り、多額の予算と人的資源を投じて、庁舎整備の実現に向けて取り組んできました。市民に対する説明責任を果たすためにも、断片的ではなく、これまで作成されてきた資料とあわせ、時系列に沿って情報発信されるべきと指摘をした次第です。大津市からは、これまでの庁舎整備に係る検討について時系列で整理をし、ホームページ等で情報発信していくことは、市民の皆様の関心を高め、理解を深める観点からも効果的であると考えることから、他都市の例も参考として、取り組んでいく方針が示されています。

先の大津市庁舎整備基本構想策定懇話会において、平成28年、一般社団法人日本建築学会より、「DOKOMOMO Japanによる「日本におけるモダン・ムーブメントの建築197選」の選定、および選定建築物の歴史的価値の継承と保全についてが提出をされていることを受け、市民との情報共有のあり方について、委員から発言がありました。大津市からはホームページでの情報発信に努めていくとの趣旨で見解が示されましたが、令和2年11月通常会議以降、今もって実現に至っていません。
 
これから後、大津市は基本構想の原案を策定することになりますが、市民と課題認識の共有を図るためにも、市民アンケートを実施されるまでに庁舎整備に係る検討経過を時系列で整理し、ホームページ等での情報発信を実現されるべきと考えます。今後の見通しについて、あらためて見解を求めます。
 

答弁:総務部長

1項目めの庁舎整備基本構想策定に向けたスケジュールについてのうち、1点目の必要性と実行性を高めるため庁内組織体制を強化することについてでありますが、庁舎整備基本構想の策定にあたっては、これまでの検討に加えて、新型コロナウイルス感染症対策などの新たなリスク管理や行政デジタル化、カーボンニュートラルなど新たに配慮すべき事項も含めた視点での課題整理や検討を進めているところであり、策定作業に時間を要しているところであります。今後、今年の夏頃までに1万人規模での市民アンケートを実施する予定であり、9月末には原案をとりまとめ、庁舎整備推進本部や庁舎整備基本構想策定懇話会と情報を共有していく考えです。

現在、推進本部会議や懇話会においては、管財課が中心となり関係課と連携しながら検討作業を進めているところですが、今後、議論を深めていく中において、必要に応じて組織体制の強化を図り、取り組みを充実させていく考えです。

 

次に、2点目のどのような方針のもと、建設候補地を選定していくつもりなのかについてでありますが、庁舎整備基本構想の策定において、まずは本館の活用や隣接旧国有地の活用などについて論点の整理を優先してまいりますが、懇話会において、土砂災害や活断層などの自然災害のリスクについてもご意見があったことから、慎重な検討が必要であると考えております。その上で、庁舎に求める機能や規模、立地条件など新たな候補地を選定する場合を含めた前提条件の整理を行ってまいります。
 
2項目めの庁舎整備の検討経過を時系列でホームページ等で情報発信することについてでありますが、庁舎整備の必要性などをご理解いただくためにも、まずは市民の皆様に本庁舎の現状と課題、これまでの検討の経過や議論等をしっかりお伝えすることが重要であり、市ホームページでの公開準備を早急に進めてまいります。

 

再質問

順番前後しますが、まずもって、庁舎整備基本構想策定に向けたスケジュールについてのうち、2点目の新たな候補地が確定しないと整備方針がいつまでも決定することができませんので、どのような整備方針のもとで建設候補地を選定していくのかということについてです。

今、答弁で本館の活用、また、旧国有地の活用について検討されてるという事実、そして、活断層や土砂災害警戒区域に関するご指摘も懇話会からいただいてることについて発言がありました。新たな候補地を選定していく上で、前提を整理していく必要があるとの趣旨で答弁されたと認識いたしました。初問で申し上げました。耐震性能が不足するという事実が判明してから17年が経過してるのです。活断層が存在する事実、随分と以前から市民と課題認識を共有されてきたと理解しています。土砂災害警戒区域に指定されているということについてもそうです。そもそもなんですが、先ほどの答弁で、要約しますと、たくさん検討していかなければならないことがあると。よって、検討が遅れてるという答弁だったと思いますが、今年度の当初で、その事実は認識されていたと思うのです。
 
あらためて確認させていただきますが、整備方針、これを決めいただかないと、最終的に基本構想の策定には至りません。市民アンケートをとっていただくまでに候補地は絞られているのでしょうか。
以前、私、この様な指摘をさせていただきました。令和3年9月通常会議です。今と同様に基本計画策定されるまで、すなわち、基本構想の時点で候補地、絞り込まれるのですかとうかがいました。総務部長の答弁で、基本計画の段階で複数の候補地を検討することは、計画を複数案は持ってしまうことになると。非常に時間もかかってしまうので、その段階でできれば、一つの候補地に絞っていきたいと考えておりますという方針をはっきり示されています。
これまでの答弁踏まえましても、市民アンケートまでに、それが二つか三つか分かりませんよ。複数の候補地を持ってアンケート取っていただき、その結果をもって、最終的に一つの候補地に絞っていただくのか、もしくは、アンケートの段階で一つの候補地に絞っていただいて、アンケートをとっていただくかということについては、これからの検討で議論されていかれることだと思うのですけれども、私が問いたいのは、整備方針、これがどの段階で示されるかによって、初問で危惧を示した、来年度上半期中に基本構想の策定が実現できるのか、できないか。これが大きく影響してくると思います。あらためて伺いますが、このことについて、もう少し詳しくスケジュール感を示していただきたいと思います。
 
2点目です。庁舎整備に係る検討経過、時系列に整理してホームページで情報発信することについてです。早急に進めていくという答弁でした。市民アンケート取っていただくまでに公表いただく必要があります。もう少し具体的にめどを示していただけないでしょうか。 
 
3点目です。順番前後しましたが、1点目の庁舎整備基本構想策定に向けたスケジュールのうち、庁内組織体制を強化することについてです。繰り返しになりますが、耐震性能が不足するとわかったからもう17年も経ってるのですよ。今年度においても、繰り返しになりますがスケジュールがどんどんどんどん遅れていってる。確かに庁内連携を図っていただくことは重要ですし、管財課におかれましても、限られた人員の中で最善尽くしいただいてるということについては評価させていただきます。
しかしながら、取り組みを加速していただく、先ほど必要に応じてとおっしゃられましたけれど、まさに今その必要があるんじゃないでしょうか。基本構想が策定されないと、その先の議論について、市民と課題認識を共有いただくこともできませんし、1日も早く耐震性能を確保しだいた上で、執務にあたっていただくことも実現できないと考えます。先ほどおっしゃった必要性に応じてと発言された趣旨なり本意なり、あらためて見解を求めて質問といたします。

 

 

答弁:総務部長

まず1点目、懇話会において活断層等のご意見をいただいた、それ以前から認識していたんじゃないかとか、あるいは、検討そのものが遅れているということでございます。詳しいスケジュールをもっと示すべきだったというようなご質問だったというふうに思っております。まずもって、今回スケジュールが少し変更になった主な要素としましては、やはり、専門家のご意見をしっかりと、今の現時点において、DXとか環境とかそういった分野の新たな最新の情報を踏まえて、専門家のご意見を聞くということで懇話会の設置に至ったわけですけれども、その中で、懇話会の委員の選定であったりとか、会議の持ち方であったりとか、日程であったりとか、そういったことに少し時間を要したというのがまず1点あります。それから、市民アンケートについても、もともとは、原案については、委託でする予定でしたが、その詳細については、パブリックコメントを前提とした、直営でやるというふうな、そういった手法の不確定要素があったと。こういったことが遅れに繋がったと分析しています。

そしてこの後のスケジュールでありますけれども、先ほど申しました9月を目指しましてですね、夏頃までにアンケート、それ以前に、やはり立地条件を示した中で、移転候補地案が示されるように、我々としても、頑張っていきたいというふうに思っております。その上で、基本構想のまとめをしていきたいというふうに考えておりますが、具体的な日程等については今後、懇話会あるいは推進本部等で協議を続けながら示していきたいというふうに考えております。

 

2点目のホームページの情報公開についてであります。これについては、早急にということでございます。これまでもいろんな情報が蓄積されていますので、そこの情報をしっかりと活用した中で、何とか今年度中に目途をつけてと考えております。

 

それから、3点の体制整備であります。体制整備について、他の中核市を見ていますとほとんどが基本計画の段階での準備室であったり、推進室であったり、そういった体制整備をしているところが多いと見受けられます。そういう中で、先ほどおっしゃったように基本構想の段階で非常につめる要素が多くある中での基本計画というふうに私自身も認識しています。ただ、新型コロナウイルスの保健所業務の優先ということがやはり前提にありまして、非常に悩ましいところでありますけれども、そういう中で今でも行政改革推進課の公マネのチームなんかは、実際に参画していただきますので、あるいは推進本部における事務局においては、防災とかDXとかそういった関係部局にも参画いただいてますので、例えばその職員に対しての兼務を発令して、しっかりと明確な分担作業してもらう、そういったことも一つ視野に入れるべきではないかなと、このように考えております。

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