都市公園の適切な維持管理について( H28. 6)

質 問

 都市公園のうち、地区公園に位置付けられている茶臼山公園と総合公園に位置付けられている皇子が丘公園については、大津市が開設者として適切に維持管理を行っていくにあたり、大きな課題に直面しています。公園利用者や周辺住民の安全と安心に影響を及ぼすことがあってはならないと考えることから、それぞれの都市公園が抱える課題について取り上げます。なお、茶臼山公園に関する質問において申し上げる地番については、事業者から大津市に工事許可申請がなされた時点のものであることをあらかじめ申し添えます。

 はじめに、茶臼山公園について。平成26年6月30日、大津市は都市計画法第29条の規定に基づき、秋葉台字平尾888番1を開発区域とする許可申請に対し、申請のあった同日付で開発行為を許可しました。大津市発行の開発登録簿によると、予定建築物の用途は分譲住宅であり、大津市が管理する茶臼山公園の敷地を関連区域として工事範囲に含めた計画となっています。大津市開発事業の手続及び基準に関する条例に基づき設置が必要となる公園、緑地及び広場については、茶臼山公園に隣接する法面をこれに充てることで、9区画の分譲を行う予定となっていましたが、造成計画とは異なる勾配で切土が行われ、開発工事は中断されたままとなっています。以下、今日の事態に至った背景と経緯、経過などについて確認するため、3点の質問を行います。

 1点目、大津市が管理する茶臼山公園の敷地を関連区域と認められたことについて。 平成24年8月28日、大津市開発事業の手続及び基準に関する条例の規定に基づき、事前協議書の提出が行われました。既にこの時点において、茶臼山公園の敷地は関連区域として工事範囲に含められていましたが、どういった立場にある人物からいつ、どのような申し入れがなされ、事業者からの協議に応じるに至ったのか。大津市が把握されている事実を出来るだけ詳細にお答えください。

 2点目、都市計画部内における情報共有の実態について。 秋葉台字平尾888番1については、その一部を区域として、平成23年10月21日付で別の事業者に宅地造成許可が出されていました。2区画の分譲を計画されていましたが、平成24年8月30日、「分譲住宅の計画を立てたが、商業ベースに乗らなかったので中止した。」という理由をもって、許可工事の取止届が提出されています。すなわち、9区画の宅地分譲を計画する事前協議書が提出されたのは、別の事業者が宅地造成許可を取止める2日前の事であり、開発調整課と公園緑地課の間においては、何がしらの情報共有が図られていたものと考えます。
 公文書に残る形では記録を残されていないと認識していますが、大津市が管理する茶臼山公園の敷地を関連区域として、工事範囲に含めることを内諾するにあたり、都市計画部内においてどういった協議をどの時点で行われたのか。

 3点目、違法性に対する認識と今後の対応について。大津市が管理する茶臼山公園の法面が造成計画図と大きく異なる形状で削られている事実を確認されて以降、大津市は事業者ならびに工事関係者に対して、是正計画書の提出や防災工事の実施を求めてこられましたが、今後、どういった方針のもとで事業者に是正を求めていく考えなのか。都市計画法などに対する違法性への認識を踏まえて答弁を求めます。

 次に皇子が丘公園について。皇子が丘公園においては、公園の敷地である園路に面してマンションが建設されるなど、ここ数年で環境が大きく変化してきました。 大津市においては、園路の安全対策に取り組むとし、平成20年度には関連する予算を計上されましたが、土地を所有する財務省との協議が整わなかったことを理由として、執行には至りませんでした。
 その後、抜本的な改善は図られないまま今日に至っていますが、この度、ユースホステルの跡地に大規模な資材置き場が整備されることになりました。既に造成工事が開始されていますが、公園利用者の安全に影響を及ぼさないか、懸念をするものです。大津市公園緑地課は、宅地造成許可申請に伴う事前協議のなかで、「園路からの出入り口は設けないこと」との要件を付していますが、出入口だけが市道に接道していても、園路を通行して進入する事に変わりはありません。
 近畿財務局大津財務事務所については、以下の要件を付しています。大津市が都市公園として、適切な維持管理を図る上において、重要な事項ですので、全文引用いたします。
 『上記事業区域と隣接する財務省所有地である777番1(園路部分を示す)は、大津市からの申請により、国有財産法第22条第1項第1号の規定に基づき、「皇子が丘公園」敷地として貸付中の財産である。したがって、本地は大津市公園管理者において「皇子が丘公園」の用途として適切に供されなければならず、都市公園法第2条第2項の公園施設と認められない施設に供することは出来ない。このような趣旨に鑑み、申請者が上記事業区域において宅地造成等をされる場合は、隣接771番1が公園敷地であることに留意されたうえで、同公園管理に支障とならない様、お願いする。また、隣接本地777番1に関して協議される場合は、「皇子が丘公園」として管理している大津市公園緑地課へまずは協議されたい。なお、事業計画が「資材置場」ということであるが、隣接777番1は公園敷地であることから、資材搬出入のためのトラックが本地を常時通過されること、本地内において駐車されることのないよう、重ねてお願いする。』 この要件を受けての事業者の対応は、「皇子が丘公園」として管理している大津市公園緑地課と協議のうえ、都市公園法の許可を得たというものであったが、その許可の内容はいかなるものなのか。

 また、大津市公園緑地課は、今後も資材搬入車両などが園路を通行することとなる場合は、公園利用者の安全対策に係る施設整備等について協議することを事前協議の要件に加えましたが、その協議内容はいかなるのであったのか。
 実効性を担保する上において、大津市が事業者に求めた措置と合わせて答弁を求めます。 

答弁:都市計画部長

  都市公園の適切な維持管理についてのうち、1点目、大津市が管理する茶臼山公園の敷地を関連区域と認めたことについてでありますが、平成24年5月に、公園緑地課の窓口にて、事業者より、自社の所有地を含む茶臼山公園の崖面が危険なことから、掘削したい旨の相談を受けました。その後7月に同事業者から、同一箇所で9区画の分譲宅地を目的とした開発行為の相談を受けております。この計画について、開発調整課及び公園緑地課において事前に調整を行った結果、法面を安定する行為が、都市公園法の許可基準に合致すると判断し、協議に応じたものであります。

 2点目、都市計画部内における情報共有の実態についてでありますが、まず、平成23年10月に宅地造成の許可を行った分譲宅地2区画の事業につきましては、その申請者に対し、今回新たに申請のあった開発許可との重複を避けるため指導した結果、平成24年9月に取止め届けを受理いたしました。その後、公園緑地課を含む24の関係所属に対しその旨を通知し、周知を図っております。また、開発行為に伴う事前協議書については、平成24年8月に開発調整課が開発関連区域として公園区域を含めての、手続きを進めることについて公園緑地課に確認を行い、その協議書を受理したものであります。その後につきましても、同年9月に公園緑地課を含む関係所属に対して意見照会をしており、事前協議確認の結果及び都市計画法第32条、並びに同法第29条の許可の手続きにおいて、情報の共有を図っております。

 3点目、違法性に対する認識と今後の対応についてでありますが、開発事業者自らの責任において是正対応を図らせるべきものであり、継続して強力な行政指導を行うものであります。 しかしながら、開発事業者において防災工事が実施され、当面の対応がなされているところであり、現段階において都市計画法に違反しているとは言えないものの、もし仮に、このままの状態で放置されれば同法に違反する可能性があると認識しております。住民の不安を払拭させるためにも、5月30日に立ち上げた庁内プロジェクト検討会議において、その構成員である学識経験者など有識者の意見を反映させた対応方針を決定し、本市において、法的措置や現場の安全対策など対応すべきことを順次実施してまいります。

 次に、4点目の皇子が丘公園の都市公園法の許可内容についてでありますが、許可の内容は、都市公園法第6条に基づく、都市公園の占用の許可であり、その許可内容は、公共下水道管・径200mm、長さ39.15m及び、1号人孔1箇所であります。
 5点目、安全対策に係る公園緑地課と事業者との協議内容についてでありますが、まず、公園の園路を通行することについては、公園利用者の安全を確保するために、宅地造成等規制法に係る事前協議確認において、今後も資材搬入車両などが園路を通行することとなる場合は、公園利用者の安全対策に係る施設整備等について協議することを、事前協議の要件として付加しております。その具体的な内容は、園路において車両の走行範囲を制限し、公園利用者の安全確保を図るため、ラバーポール設置について指示をしたものであります。今後は、資機材の運搬に用いるトラックの台数制限や、交通整理員の配置について、協定締結等により、安全性について担保できるよう、事業者と協議して参ります。 

再 問

 都市計画部内において、どういった協議をどの時点でということについて、まず再問させていただきます。開発調整課と公園緑地課で協議をされたということでした。事前に調べられる範囲のことについては調査をしようと考えまして、この件に関して公文書の開示を大津市長に対して求めました。しかしながら、何の図面も何の協議録も残されていませんでした。
 今現在、市民の財産である茶臼山公園の法面があのような状態となっています。都市計画部内において協議されたといったような答弁でしたが、何ら図面も残らない、何の協議録も残らない、そのような形でしか協議は行われていないのでしょうか。もう少し詳しくお聞かせをください。
 2点目です。違法性についての認識と今後の対応について再問いたします。これ以上、現状のままとどめ置かれるようであれば違法であると、違法性を認めざるを得ないといったような答弁でしたが、現時点で違法性を認められる答弁ではないという認識でよろしかったでしょうか。都市計画法を具体的に引用いただいて、どの部分に抵触するおそれがあるのか、もう少し詳しく答弁ください。
 次は、皇子が丘公園についてです。公園利用者の安全対策について、再問いたします。工事始まっているんですよね。にもかかわらず、これから台数制限などについて協定書を締結されることについて協議されるのですか。本来そういった協定については、事前協議の段階で申し入れをされるべき内容ではないのですか。どのように考えておられますか、改めて伺います。 

答弁:都市計画部長

 まず、茶臼山公園に関連いたしまして、1点目、部内においての協議について図面などそういったものが残っていないことなど含めて詳しく答弁を、についての件でございますが、今回この茶臼山公園にかかる事前相談につきまして、今のところ記録的なものが残されておりません。残っておりますのが、今現在メモの状況でして、先ほど答弁いたしました内容というのは、開発調整課及び公園緑地課の職員の聞き取りをさせていただきまして、今まで事前相談はどういうことであったかというようなことを確認した次第であります。本来、事前審査の前に事前相談というのがありますが、今現在開発調整課で都市計画法にかかる開発許可につきましては、手続フローというものがございます。この中で事前相談につきましては、1ヘクタール以上の開発もしくは市街化調整区域の場合は事前に相談書を受け取り、その結果の内容に基づいては、課内会議を実施してその対応を検討するということになっております。
 公園緑地課のほうにつきましては、その事前相談を受けるというそのフローというのがない状況で今現在に至っておりまして、あくまでも推測ですが、当然今回の相談の内容というのは、先ほど答弁いたしましたとおり法面を安全にするという事業者からの相談があったことから、当然それは図面に基づいて開発調整課及び公園緑地課の職員間で当然協議及び調整は行ったものと推測しております。
 しかしながら、先ほど答弁いたしましたとおり、それに関係する記録簿や図面が残っておりませんので、この点につきましては、今後、そういう特殊なないしは市民の安全を守るのに直接大きく影響がありそうなものにつきましては、開発調整課及び公園緑地課の中でそういったフローについては見直しを図っていきたいと今考えているところであります。

 次に、茶臼山公園の2点目の現時点の違法性につきましてなんですが、これも先ほど答弁いたしました、現時点の違法性というのは確定していないという、そういうご答弁を申し上げました。この中身につきましては、現在都市計画法第80条に基づきまして最初行政指導を行い、その後都市計画法第80条に基づきまして指示書、さらには警告書、さらには勧告書を今日まで発出しております。そうした中の内容につきまして、是正計画書というのを事業者に求めております。その是正計画書の中の是正防災計画書というのが提出されまして、その内容が5月18日に一応完了したという内容になっております。また、今後の是正計画につきましても、事業者につきましては今後対応することについて今現在も開発調整課及び公園緑地課のほうと協議を進めておりますので、先ほどの現段階において都市計画法に違反しているとは言えないものの、もし仮に、このままの状態で放置されれば同法に違反する可能性があるということの答弁をさせていただいた状況にあります。

 それと、3点目の皇子が丘公園についての安全対策についてです。台数制限などを含めた協定書というのは、当然先にしておくべきではなかったかというご質問です。それで、まず現在のところは、都市公園法の占用許可の中で工事用車両などの条件を付しているのと、付加要件の中でも今現在は工事用車両についての十分な安全対策ということで、事業者のほうへそのことを言っている状況でありまして、今のところはまずは工事の搬入車両の安全を守っている状況にあります。実際に、事業者からの宅地造成等規正法に基づく露天資材置場の具体的な事業計画の台数の量であったり時間帯であったりというのが今現在のところまだ事業者と協議中の段階であります。今のところ資材置場の完成時期というのは、平成29年8月31日の予定となっておりますので、その間までに先ほど答弁申し上げましたとおり、市民のないしは公園の利用者の安全を守るために、その安全対策の具体的な内容については協議をしていきたいと考えております。 

再々問

 茶臼山公園の違法性についてです。あの状態がいつまで続けば違法性があると認識されるのですか、具体的にお答えください。 

答弁:都市計画部長

 茶臼山公園の違法性について、いつまでに判断するのかについてでありますが、こちらのほうも先ほど答弁いたしましたとおり、現在事業者のほうと是正計画について今後の対応も含めまして、安全対策も含めまして協議を今進めているところであります。もうひとつの庁内に設けましたプロジェクト会議の中でも、ひとつはしっかりと、どのような形で事業者に対して是正を進めるということ、それともうひとつは、市民の安全を守るために早期にないしは短期にどういった形で現場管理も含めてするかということを、今検討を始めております。
 先ほどの有識者の意見を伺いながら、市が業者に対してどういった指導を徹底して行えるか、さらには安全対策をいかに早期にそして短期にできるかということを今まさに協議を進めておりますので、その違法性というのは、相手のその事業者の協議と相手の対応の方法によるかとそのように考えております。 

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