火災予防対策に資する飛沫防止用シートの適切な設置について( R2. 6)
質問
令和2年6月1日、消防庁予防課は新型コロナウイルス感染症関連関係通知として、「飛沫防止用のシートに係る火災予防上の留意事項について」を発出しました。新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策の観点から、多くの施設で飛沫防止用のシート(以下、シート)が設置されており、材質によっては、着火・燃焼しやすいものがあることから、下記4点を参考にし、火災予防上の留意事項を「防火対象物」の関係者に周知することを都道府県ならびに市町村に求めています。
1 火気使用設備・器具、白熱電球等の熱源となるものから距離をとること
2 スプリンクラー設備の散水障害が生じない位置に設置するとともに、自動火災報知設備の感知器の
未警戒部分が生じないようにすること
3 避難の支障とならないよう設置すること
4 必要に応じて難燃性又は不燃性のものの使用を検討すること
大津市消防局においては、ホームページを更新し、飛沫防止用透明シートの火災危険について、啓発活動を開始しました。シートを使用しない場所として、火災予防上
支障のある場所、消防用設備等への影響がある場所、避難の支障となる場所をあげていますが、市役所本庁舎をはじめ、大津市が設置・開設する施設において適切に設置されているのか、まずもって、確認する必要があると考えます。火災予防上の安全性が確認されないまま、緊急的に設置されたものと認識していますが、対応の長期化が見込まれます。大津市は今後、どういった方針のもと、自らが設置・開設する施設における飛沫防止用シートの適正化に取り組んでいく考えなのか、見解を求めます。
次に、難燃性又は不燃性のシートの使用を求める場合の判断基準について質問します。消防法では、建築物など火災予防行政の主たる対象となるものを「防火対象物」と定義し、このうち、消防法施行令別表第一に掲げる防火対象物については、その用途や規模等に応じて、火災予防のための人的体制の整備や消防用設備等の設置、防炎物品の使用などを義務付けています。消防法に位置づけられた防炎規制では、燃えにくい性質を防炎性能といい、防炎性能基準を満たすものは防炎物品と呼ばれています。「防炎」とは、「不燃」と異なり、あくまでも燃えにくいという性能を示すもので、小さな火に接しても繊維が燃え上がらず、もし着火しても燃え広がりが少ないことを表します。防炎と同じような意味で「難燃」という言葉がありますが、防炎はその性能及び試験方法が消防法で規定されており、当該試験方法により得られた数値が一定の範囲内にあるものをいいます。
大津市消防局は先に述べたように、ホームページを活用し、可燃性の飛沫防止用透明シートの火災予防上の危険について啓発を行っています。このなかで、「場所によっては、難燃性又は不燃性のものの使用を検討していただく必要があります。取り付けに際して不明な点がありましたら、管轄する消防署へ相談してください。建築基準法令上に関することについては、市建築部局に確認してください」と広報していますが、消防法と建築基準法に対する知識を持たれない市民、事業者の皆様にとっては、ここで言う「場所」が何を意味し、「防炎」でなく、なぜ、「難燃・不燃」でなければならなのか、理解しにくい内容となっています。
消防法第8条の3の規定において、高層建築物若しくは地下街又は政令で定める防火対象物において使用する、カーテンやじゅうたん等の防炎対象物品は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならないと定められています。カーテンのように垂れ下がったもの、また、じゅうたんなどの敷物などに火源が接近した場合、着火の原因となりうるばかりか、一旦着火してしまった場合に燃え広がりやすく、火の勢いが急速に拡大してしまう恐れがあるからです。飛沫防止用シートを防炎規制の対象とするか否かについては、「のれん」における取り扱いを踏まえ、各自治体に判断が委ねられていると認識するものですが、どのような条件のもと、難燃性又は不燃性の使用が必要となるのか、滋賀県及び県内消防機関ならびに建築主事を配置する県内特定行政庁とも調整を図りながら、あらかじめ方針を明確にしておく必要があります。また、消防法や建築基準法に馴染みのない市民や事業者にとって、施設の維持管理や法定点検を依頼する建築士などの専門職は身近な相談相手となることから、建築関係職能団体とも情報共有を図ることが重要と考えます。
今後、大津市はコロナ禍中にあることを踏まえ、どういった方針のもとで難燃性又は不燃性のシートの使用を求める場合の判断基準を設けるつもりなのか、見解を求めます。
答弁:総務部長
新型コロナウイルス感染拡大防止対策における緊急的措置として、4月14日以降、市民の皆様と直接応対する窓口カウンター等に飛沫感染防止用のシートを設置したものであります。しかしながら、議員ご指摘のように設置場所によっては、火災や、消火・避難における支障となるなどの懸念があるため、天井より固定して吊り下げているシートは撤去する方針であり、現在、順次カウンターに固定、若しくは据え置き型のアクリル製の衝立に変更しているものです。
また、執務室内において職員間で2メートル以上の間隔が確保できない場合は、業務机の間にパーテーションを設置することとしていますが、これを設置する際にも換気や排煙などの支障にならないような高さに留めるよう注意を促しているところです。
今後、本庁舎以外の公共施設について、消防局と連携し、これらの点について改善を呼びかけてまいります。
答弁:消防局長
2点目の難燃性又は不燃性のシートの使用を求める場合の判断基準についてでありますが、百貨店や飲食店等が使用するカーテンやじゅうたん類は、消防法令に基づき、燃えにくい加工をした防炎物品を使用しなければなりませんが、今回、感染拡大の防止を目的に設置される飛沫防止用シートは防炎対象物品として規制の対象となるものではございません。一方、飛沫防止用シートの多くは着火・燃焼しやすく火災発生に注意が必要であることから、建物の用途に関係なく、こんろやフライヤーなど火気を使用する場所、白熱電球の付近には設置しないよう指導しています。しかしながら、やむを得ず、こんろやフライヤーなどを使用される付近に設置する場合には、難燃性又は不燃性のものに取替えていただくようお願いするものです。
また、飛沫防止用シートの火災危険については、消防局ホームページへの掲載、登録制メール、庁内電子掲示板などを活用して、情報発信するとともに、啓発リーフレットにより事業所の方への注意喚起に努めてまいります。