持続可能なまちづくりの実現を図るための取り組みについて( H28. 2)
質 問 |
持続可能なまちづくりの実現を図るため、平成28年度当初予算において、都市機能誘導区域や居住誘導区域などを設定する立地適正化計画と望ましい公共交通の姿を示す地域公共交通網形成計画の策定を視野に入れた基礎調査経費が計上されました。
現在、大津市においては、公共施設の更新、統廃合、長寿命化などを計画的に実施するため、公共施設等総合管理計画の策定に取り組まれていますが、まちの特性に応じた形で公的不動産の再編、活用を図るためには、立地適正化計画及び地域公共交通網形成計画は必要不可欠であり、次期大津市都市計画マスタープランの推進に資するものと考えます。
都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画については、市政運営全般に影響を与える包括的なプランとして作成されるものであり、公共交通施策、商業施策、住宅施策、医療・福祉施策、農業施策など多様な分野の計画との連携が求められます。
国においても、まち・ひと・しごと創生総合戦略を受けて、関係省庁によるコンパクトシティ形成支援チームが設置されたところであり、多極ネットワーク型コンパクトシティの実現によって持続可能なまちづくりを目指すのであれば、大津市においても庁内を横断する形で関連施策の整合を図らなければなりません。
また、高齢者や子育て世代にとっても、利便性の高い都市構造を形成し、なおかつ将来の人口と財政の見通しを適切に踏まえ、都市経営の効率化を図っていくためには官民の連携推進が今後より一層重要となります。関係部局から成る庁内組織の設置はもとより、市民、事業者、行政が相互に連携し、それぞれが主体となって取り組んでいくためには、都市再生特別措置法に基づく都市再生協議会を立ち上げることになると理解していますが、大津市はどういった検討体制のもとで立地適正化計画を策定すべきと考えておられるのか。本年度から平成31年度までを実施期間とする大津市まち・ひと・しごと創生総合戦略の推進にとっても必要不可欠な計画であることから、目標とする策定年次とあわせて見解を伺います。
次に、地域交通網形成計画について質問を行います。 同計画の策定に当たっては、これまでの地域公共交通総合連携計画の中で十分に扱われてこなかったまちづくりとの連携、また地域全体を見渡した面的な公共交通ネットワークの再構築が求められることになります。地域公共交通網形成計画を実現するための実施計画となる地域公共交通再編実施計画が立地適正化計画にとって好循環を生み出すものにならないと、次期都市計画マスタープラン案で掲げられようとしている多極ネットワーク型コンパクトシティによって持続可能なまちづくりを目指すことは不可能であり、市街化調整区域が都市計画区域の8割以上を占める大津市にとっては特に留意が必要となります。
地域公共交通政策の憲法にも例えられる地域公共交通網形成計画を策定するに当たっては、個別の地区や事業だけでなく、ネットワーク全体を対象とすることに留意するとともに、周辺自治体とのさらなる連携によって広域性を確保する必要があります。大津市はどういった方針のもとで持続可能な公共交通の再構築に取り組むお考えなのか。平成28年度までを実施期間とする大津市地域公共交通総合連携計画における成果と課題に対する評価とあわせて見解を伺います。
答弁:市長 |
まずはじめに、持続可能なまちづくりの実現を図るための取り組みについてのうち、立地適正化計画に向けた検討体制と目標とする策定年次についてでありますが、立地適正化計画は福祉や公共交通などの包括的なマスタープランであり、市民の方々に身近なもので本市の持続可能なまちづくりを実現するために大変重要な計画であると認識しております。
この計画の策定に当たっては、議員お述べのとおり、庁内を横断する形で関係施策の整合を図っていく必要があると考えていることから、まずは都市計画マスタープラン策定に向け、庁内に組織した作業部会において、計画の意義、役割の共通認識を図っていくことが重要と考えます。
また、現在策定中の都市計画マスタープランでは三者協働によるまちづくりを方針としており、立地適正化計画においても、都市再生協議会などの組織について市民、事業者、行政での検討が必要であると認識しております。
次に、目標とする策定年次についてですが、この計画策定には、コンパクトシティ実現のため市街化区域において居住を誘導する区域や医療、福祉、商業等の都市機能を集約する区域の設定などの必須事項があります。このことから、本市の将来のまちづくりに大きな影響を与えることが予測されるため、策定には相当な時間を要すると考えています。
まずは、来年度から客観的データの収集などを目的とした基礎調査を開始するとともに、スケジュール素案についても検討してまいりたいと考えております。さらに、まち・ひと・しごと創生総合戦略における人口ビジョンや、そのための施策の進捗・達成状況も考慮しながら、計画策定に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、2項目めの地域交通網形成計画についてでありますが、本市ではこれまで、大津市地域公共交通総合連携計画に基づき、バス路線と鉄道との連携がとれた公共交通ネットワークの維持、活性化に取り組むことで、二次交通である路線バスを維持してまいりました。そして、今後は新たな課題として、人口減少、急速な少子・高齢化が進展する中、コンパクトシティの実現に向けた持続可能なまちづくりの視点に立った公共交通ネットワークの再構築といった観点が必要になってきております。
つきましては、来年度以降、公共施設や医療、福祉、商業施設などがまとまって立地し、高齢者をはじめとする住民が公共交通によりアクセスできるコンパクトシティプラスネットワークの視点に立ち、各種のまちづくり施策との連携を基本方針に計画を策定してまいります。
また、滋賀県や草津市などの周辺自治体と広域的な連携を図りながら、議員御指摘の持続可能な公共交通の再構築に取り組んでまいりたいと考えております。
再 問 |
立地適正化計画について再問をいたします。来年度は基礎調査をまずされるということで、それ以降にスケジュール素案について検討されていくということでした。質問でも申し上げましたが、大津市の総合戦略にも非常に密接に関わってくる計画ですし、御自身の選挙公約におかれても、住み続けたいまちづくりということを公約に位置づけられたと認識しています。
私が立地適正化計画を策定いただく上で大事だと考えていることは、庁内の関係組織で認識を共有いただくことと、もう一つは、行政のほうで立派な計画をつくっていただいても、市民や事業者にご理解、ご納得いただけなければ、まさに絵に描いた餅になってしまいます。ですので、先ほど申していただいたスケジュール素案ですけれども、できるだけ早期に明確にしていただきたい。中心市街地の活性化にも関わることですし、その他の計画にも大いに関わってくることですので、今後のスケジュールの素案について、もう少し詳しくお聞かせをいただきたいと思います。
2点目です。公共交通網形成計画についてお伺いをさせていただきます。周辺自治体との連携について答弁いただきましたが、非常に重要なことですので、もう少し具体的にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
答弁:市長 |
まず、1点目の立地適正化計画についてのスケジュール素案の点ですけれども、こちらについては、まずスケジュール素案自体は平成28年度において検討してお示しをしていきたいと思っています。そして、現在考えているおおよその策定年度としては平成31年度に策定することを考えています。しかし、この点についても慎重な検討が必要ですので、平成31年度でいいのかということを改めて平成28年度に検討した上でスケジュール素案として示してまいりたいというふうに考えております。
次に、2点目の地域公共交通網形成計画について、特に周辺自治体との関係において重要なので詳しくという点についてです。こちらについては、現在、大津湖南地域新交通システム検討協議会、こちらは滋賀県を事務局として国、交通事業者、草津市、そして大津市を構成員としております。そこで、琵琶湖、特にびわこ文化公園都市と瀬田、南草津を中心とする人口集中地域において、その集中した人口を維持し、さらに地域の活性化を図ることを目的に公共交通ネットワークによるコンパクトシティを目指すという取り組みを行っています。
そして、今後特にその中で草津市や県や国とも連携してやっていくこととしては、JR瀬田駅、また、びわ湖文化公園、そしてJR草津駅、立命館大学、滋賀医大、龍谷大学、またさらにびわこ文化公園内に予定されている新生美術館、これらを結んだアクセス向上を図ることで公共交通サービスの充実したまちづくりの実現を目標として検討してまいりたいと考えております。