心のバリアフリーを推進するための取り組みについて( R6. 6)
質問
現在、大津市においては、令和7年3月に大津市移動等円滑化促進方針(マスタープラン)を新たに策定するとともに、次期大津市バリアフリー基本構想(実行計画)の改定に向けて取り組みが進められています。移動等円滑化促進地区に選定されたのは、駅の乗降客数が多く、施設が集積している大津市中心部エリア、石山エリア、瀬田エリア、そして、上下移動のバリアフリー化が必要な地域として同地区に選定されたJR湖西線北小松エリア、近江舞子エリア、志賀エリア、蓬莱エリアの7地区です。なお、大津市中心部エリアについては、現行の基本構想で重点整備地区に設定されているJR大津駅・京阪びわ湖浜大津駅、JR膳所駅・京阪膳所駅の二つのエリアにJR大津京駅・京阪大津京駅周辺エリアを加えた区域であり、今後、これら7地区から重点整備地区があらためて選定される際には、生活関連施設と生活関連経路のバリアフリーチェックを実施するとされています。
大津市はバリアフリーに関する理解の増進と定着を図る取り組みとして、「心のバリアフリー」について調査・整理し、移動等円滑化促進方針ならびに次期バリアフリー基本構想に反映する方針を示されていることを踏まえ、以下3点、質問を行います。
1点目、だれもが安心して利用することのできるベンチの増設に向けた取り組みについて。現行のバリアフリー基本構想においては、寄付によるベンチの設置が推進事例として紹介されており、平成22年度、大津市が設けた制度に基づき第1号となるベンチが仰木西公園前バス停に設置されて以降、平成30年度までの間に企業や団体、個人から16基のベンチが寄付されています。私は平成20年度から21年度にかけて、危険な状態のまま、誰からも管理されることなく、無許可で放置されてきた広告付きバス停ベンチの撤去と寄付によるベンチを大津市が設置管理する制度の創設を提言しました。この際、大津市は市内バス停の現状について調査を実施されており、ベンチの設置状況や必要とされる歩道の幅員等について調査されたと認識しています。
大津市は令和6年5月29日に開催された令和6年度第1回大津市バリアフリー推進協議会にて、移動等円滑化促進地区において選定された生活関連経路については、実際に現地を歩いてバリアフリーチェックを実施し、現状の課題を抽出すること、また、大津市中心部エリアからバリアフリーチェックを順次進めていることを報告されました。生活関連経路とは、日常的に利用が多い経路や各生活関連施設を結ぶ経路であり、重点整備地区に設定されると特定道路として指定がなされることになります。この際、調査にあたって作成されたチェックシートには、バス停施設の有無を含められていますが、大津市内のバス停には管理主体が不明確なベンチが今も存在していると認識しており、寄付によるバス停ベンチの設置についても、5年間以上に渡って増設が実現していません。
「心のバリアフリー」を推進する観点からも、さらなる広報が必要ではないでしょうか。寄付の申し出があった際、設置場所を検討されるにあたっては、市内バス停の現状を適切に把握しておく必要があります。当該設置制度を構築される際に調査された結果をあらためて精査され、誰もが安心して利用することのできる、バス停ベンチのさらなる増設を目指していくことについて、見解を求めます。
また、バス停はもとより、生活関連経路沿いに位置する公共空間においても、誰もが安心して利用することのできるベンチの増設を実現することができれば、「心のバリアフリー」はより一層推進されるものと考えます。設置場所を拡充することについて、あわせて見解を求めます。
2点目、生活関連施設を対象としたバリアフリーチェックと合理的配慮のあり方について。生活関連施設とは、高齢者、障害者等が日常生活または社会生活において利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設などの施設であり、交通拠点、建築物、都市公園、路外駐車場に分類されます。大津市においては、これまでの間、大津市障害者差別解消支援地域協議会構成団体のうち、障害者差別のないおおつをめざす会、大津市障害児者と支える人の会、大津市身体障害者更生会、大津視覚障害者協会、大津市ろうあ福祉協会、滋賀県建築士会大津地区委員会等の団体が参加をされ、公共施設バリアフリーチェックに取り組まれてきました。その成果は本市独自の「障害者に対しての合理的配慮の提供事例集」で紹介されており、大津市が設置する公共施設のバリアフリー推進に寄与するものであったと評価しています。
大津市は先のバリアフリー推進協議会において、現行の基本構想の課題を踏まえ、次期バリアフリー基本構想では、特定事業の計画段階において、施設設置管理者と整備内容や整備期間等を十分に精査し、事業の見直しや改善を図る方針を示されています。実現可能性を見極めることは大変重要と認識するものですが、令和6年4月1日から障害者差別解消法に基づき、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されていることを踏まえた対応が必要になると考えます。大津市は移動等円滑化促進方針ならびに次期バリアフリー基本構想に反映されようとしている「心のバリアフリー」の推進を図るため、どの様な方針のもとで生活関連施設のバリアフリーチェックを行い、施設毎にカルテを作成していくつもりなのでしょうか。合理的配慮のあり方に対する認識とあわせて見解を求めます。
3点目、移動等円滑化促進地区の設定に伴い、生活関連施設として想定される都市公園のバリアフリー推進に向けた取り組みについて。第4次大津市緑の基本計画においては、世代に応じたニーズへの対応が必要であり、市民アンケート結果を踏まえ、多様な利活用を図るうえにおいて、バリアフリーについても必要と評価されています。私はこれまでの間、質疑・一般質問の機会を通じて、共生社会の実現推進を図る視点から、多くの市民が利用される皇子が丘公園にだれもが安心して利用することのできるユニバーサルデザインに配慮された遊具の設置を提言してきましたが、実現されることなく今日に至っています。大津市は当該計画を策定されるにあたり、障害のある方や障害のある子どもたちの保護者、支援者の皆さまに、公園で遊ぶときに困っていることや希望などを伺われ、貴重なご意見をたくさんいただかれています。令和3年11月通常会議における質疑・一般質問において、このご意見、大津市としてしっかり反映していく意思がおありと受けとめてよいのかと確認した際には、私の述べたとおりであるとの見解が示されています。
JR大津京駅、京阪大津京駅については、移動等円滑化促進地区(案)に含まれており、皇子が丘公園については、大津市が生活関連施設の設定にあたって想定された拠点駅から800m圏内の施設に該当します。今期通常会議には、第4次大津市緑の基本計画の中間見直しを行うため、付属機関を設置するための議案が提出されていますが、大津市は今後どの様な方針のもとで生活関連施設として想定される都市公園のバリアフリー推進に取り組んでいかれるつもりなのか。誰もが安心して利用できる、ユニバーサルデザインに配慮された遊具の設置に向けた今後の方針とあわせて見解を求めます。
答弁:建設部長
1つ目のバス停ベンチの増設に向けた見解についてでありますが、本市では、平成22年度から、市民等が利用しやすい路線バスの待合環境を整備するため、寄附を募り、これまで16か所のバス停ベンチを設置しましたが、近年は、寄附がなく、設置は進んでおりません。今後、これまでの市ホームページに加え、路線バス事業者や滋賀県バス協会とも協議し、周知方法を工夫してまいります。
2つ目の、生活関連経路等の公共空間におけるベンチ設置の拡充についてでありますが、大津市バリアフリー推進協議会において、移動時の休憩場所の確保は重要であるとのご意見をいただいている一方で、維持管理面での課題もあることから、まずは、現在改定を進めている次期バリアフリー基本構想の策定の中で、各施設設置管理者と協議してまいります。
2点目の、次期バリアフリー基本構想における生活関連施設のバリアフリーチェックとカルテの作成方針についてでありますが、障害福祉課作成の「障害者に対しての合理的配慮の提供事例集」における公共施設バリアフリーチェックでの気づきを活用し、各施設設置管理者が統一感をもってバリアフリーチェックやカルテの作成、特定事業の検討をしていただけるよう、取り組んでまいります。
答弁:都市計画部長
3点目の都市公園のバリアフリー推進に向けた取り組みについてでありますが、本市では誰もが園内を自由に移動し、施設を利用できるなど、バリアフリーに配慮した公園づくりのため、これまでから、トイレや園路など公園施設の改修時には、バリアフリーの視点を踏まえた整備に努めているところであります。また、来年度に策定を予定している第4次大津市緑の基本計画の中間見直しにおいては、これまでの取り組みとともに、バリアフリー基本構想など関連計画の状況も考慮し、公園のバリアフリー化やユニバーサルデザインに配慮した遊具の考え方についても検討してまいります。