庁舎整備基本計画の策定に向けて必要となる取り組みについて( H29. 9)
質 問 |
現在、大津市においては、庁舎整備基本方針の策定に向けた検討が進められていますが、平成29年8月の定例記者会見において市長から、土砂災害警戒区域に指定されている隣接旧国有地に新棟そのものを整備しない可能性が示されました。平成27年度に実施された隣接旧国有地を活用した庁舎整備検討業務で示された2-C案、すなわち本館は免震工法、別館は取り壊して新棟を整備することを基本とする方針に変わりはないとされていますが、次年度以降に策定が予定されている基本計画の実現性に与える影響を懸念し、以下、3点質問を行います。
1点目、中消防署用地の選定状況について。
平成29年2月通常会議において、大津市消防局が適地と考える候補地は、大津びわこ競輪場跡地以外に存在するのかしないのか、また現時点で適地が存在しないのであれば、大津市としてどのような対応を図っていく考えなのか、これまでの検討経過を踏まえて答弁を求めました。これに対して大津市消防局は、複数の市有地を対象に調査を行ってきたが、整備に適した候補地の絞り込みには至っておらず、庁舎整備基本方針の検討を注視し、敷地面積、迅速に出動するための接道、市内4消防署体制の位置的なバランスなどを考慮しながら、引き続き調査検討していくとの見解を示されました。
隣接旧国有地が土砂災害警戒区域に指定されたことを受けての対応であり、琵琶湖の浸水想定区域をはじめとする敷地災害環境や用途地域に係る制限事項なども踏まえ調査検討を行っておられると認識していますが、平成29年度新規・主要事業ヒアリング調書によると、大津市消防局は平成29年度上半期に候補地の選定を行うことを方針として示されています。下半期を目前に控えた現時点における取り組み状況を改めて伺うとともに、選定に至っていないのであれば、その具体的な理由と必要と考える今後の取り組み、また庁舎整備方針の策定に与える影響について見解を求めます。
2点目、本館棟のレトロフィット免震について。
庁舎整備基本方針の策定に向けた検討は、本館棟をレトロフィット免震によって改修することを前提に進められています。免震装置を設置することで、地震力を軽減することが可能となりますが、長周期地震動を想定した対応や共振現象を避けるための工夫とともに、建物そのものの荷重をできるだけ軽減させ、なおかつ水平剛性を上げることで、その効果を高めることができます。レトロフィット免震を採用するのであれば、耐震性能が著しく低いことを踏まえ、免震層上部構造体においてどの程度の補強が必要となるのか、動線や機能に及ぼす影響についてあらかじめ確認をしておく必要があると考えます。
日本建築学会が発行する免震構造設計指針によれば、設計施工実績はまだ決して多くなく、建物ごとに対応方法を構築している段階であり、設計を進めるに当たっては、周到な準備と計画が必要であることが記されています。
現時点において、概算工事費は47億1,000万円と算出されていますが、本館棟の文化的、歴史的価値を踏まえ、意匠形態に影響を与える影響を最小限にとどめながらも、免震効果を高める検討を行っていく中で見込まれる工事費に相当な乖離が生じる可能性があります。将来の財政運営に多大な影響を及ぼす決断となりますが、今後大津市はどういった方針のもとでレトロフィット免震に対する検討を深めていくつもりなのか、基本計画の策定と並行してその実現性を高める必要があると考え、見解を求めます。
3点目、庁舎整備に向けた庁内組織体制の構築について。
平成29年2月通常会議においても提言いたしましたが、執行部の英知を結集し、効果的に取り組みを進めるためにも、また次年度に策定が予定されている基本計画の実現性を高めるためにも、庁舎整備に特化した組織、すなわち庁舎整備準備室を早期に立ち上げるべきと考えます。災害対応力の確保並びに来庁者及び市職員の安全確保に向けた市長の決意とあわせ、改めて見解を求めます。
答弁:市長 |
庁舎整備基本計画の策定に向けて必要となる取り組みについてのうち、3点目の庁舎整備に向けた庁内組織体制の構築についてでありますが、現在も基本方針の策定など関係部局が連携して進めております。庁舎整備の新たな組織体制構築については、今後庁舎整備の進捗にあわせ関係する部局が増えることから、順次その段階に応じた体制や連携の検討が必要であると考えております。
なお、庁舎は災害時の本市拠点となる重要な施設と認識しており、そのため土砂災害警戒区域に指定されたことを踏まえるとともに、一方庁舎整備については住民投票などの住民反対運動が起こっている例もあることから、市民の皆様の理解を得られるよう検討を丁寧に進めてまいります。
答弁:消防局長 |
庁舎整備基本計画の策定に向けて必要となる取り組みについてのうち、中消防署用地の選定状況についてでありますが、これまで候補地の選定を進めてまいりましたが、中消防署用地の選定には至っておりません。現時点では、消防署整備に必要な要件及び土砂災害警戒区域、浸水想定区域等の制限を考慮した中で課題の抽出を行い、今年度策定されます庁舎整備基本方針にあわせまして移転候補地の選定について検討を進めてまいります。
答弁:総務部長 |
2点目の本館棟のレトロフィット免震についてでありますが、平成26年から平成27年度に実施した隣接国有地を活用した庁舎整備検討支援業務において、本館棟については耐震性及び機能性から絞り込んで、さらにイニシャルコストを比較して免震改修としたものであります。今後、レトロフィット免震に対する深い検討については、今年度の基本方針の結果を踏まえ、検討を進めてまいりたいと考えております。
再 問 |
1点目、中消防署用地の選定状況について。
昨年度から検討されてきたわけですよね。しかも、先ほど紹介申し上げましたが、春季主要事業ヒアリングにおいては、上半期に候補地の調査選定を行います、それもできるだけ早期にと。なぜ、上半期で見つけられなかったものが下半期、これから見つけられるのですか。範囲が広がるわけでもありませんよね。災害環境が急に好転するわけでもないですよね。しかも、土地の値段で選定に至る、至らないといった次元ではないですよね。これから課題の抽出していきながら、と答弁されましたがね、今まで何をされてこられたのですか。
二役としてどう責任を感じておられるのか、井村副市長、越市長。消防任せですか。違いますよね。消防から示されたスケジュール、平成29年度は、移転候補地の決定、整備に係るスケジュール等検討、平成30年度検討整備に係る設計、予算措置等。二役としてこういうヒアリングを受けられいているわけですよね。改めて伺いますが、どういった検討の余地があるのですか。どういった前提条件の変化があるのですか。
2点目、レトロフィット免震について。
基本方針の結果を踏まえて検討していく、当然のことだと思います。具体的にどういう検討をしていく必要があると考えておられるのか、そのためにどの時点でどういった予算措置をしていく考えなのか。危惧をいたしますのが、基本計画を進めていくに当たって、また場合によったら基本設計の段階においてこんなにイニシャルコストかかるんだったら、場合によれば、これだけ庁舎の機能に影響を及ぼすのであればということで、免震そのものの方針を転換せざるを得ない、そういったことが起こり得ないかなという危惧を抱くわけです。私はぜひともこの建物、用途は別ですよ、今後また検討いただいたらと思いますけれども、免震いただくことに賛同するものですが、保存活用するに当たってね、後々の設計進めていく段階でその方針が変わってしまったら、新・新棟に必要とする面積も変わってくるわけです。ですので、先ほど来申し上げていますが、基本計画の実現性を高めるために必要ではないかという視点で伺っていますので、その点を踏まえて改めて伺います。
3点目、再度市長に伺います。
市民の理解が深められるようにとおっしゃられましたよね。だったら、なおさら私は庁舎整備準備室を早期に立ち上げられるべきだと考えます。何も去年から、おととしから庁舎整備の検討を始められているわけではないのですよ。もう10年以上にわたって耐震性が確保されてないという課題と直面いただきながら、検討を進めてこられたのです。私は早いにこしたことないと思いますよ。改めて見解を求めます。
答弁:市長 |
3点目の早期に庁舎整備準備室を立ち上げるべきではないかという点ですけれども、現時点においては庁舎を管理する管財課で検討を進めております。しかし、先ほどお答えしましたとおり、現在でも必要な場合には他部局と連携をして進めているという状況であります。ですので、必ずしも庁舎整備準備室をつくれば早期に進むかというとそうではなくて、管財課においてしっかり方針を定め、進めていくということが重要であると思っています。
また、先ほどもお答えしましたとおり、今後庁舎整備基本方針、さらに基本計画と、今後の庁舎整備の進捗に合わせて連携の体制の検討というのは必要であるというふうに認識しております。
答弁:消防局長 |
中消防署の移転先の選定についてでございますが、消防局といたしましては、消防・防災拠点となる消防署の整備は最重要課題であると深く認識し、上半期をめどに候補地の選定を進めてまいりましたが、残念ながら現時点におきましては移転先の候補地の選定には至っておりません。今後もさらに課題の抽出を行い、庁舎整備方針に合わせまして検討を進めていきます。
答弁:総務部長 |
本館のレトロフィットに関する御質問で、基本計画の実現性を高めるために深い検討が必要ではないかという御指摘に対する再度の御質問でございます。
議員おっしゃっておられますとおり、この免震装置についての実績はまだ少ないことから、先の熊本地震でも新たな知見もお聞きもさせてもらっています。そういったところも含めて深い検討はやはり必要であり、議員おっしゃっているとおり、基本計画の実現性を担保するために、このレトロフィットのさらなる検討は必要であるというふうに私どもも考えておりますので、基本計画とあわせて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
再々問 |
1点目と3点目あわせて答弁ください。
庁内連携が不十分だから、今もって中消防署の用地が見つかっていないのではないですか。庁内連携が不十分だから、基本方針の策定をしようとしている中で方針が変わってきているのではないですか。公共施設マネジメントの問題もあります。総務部の管財課だけの取り組みでは限界があると考えますよ。
改めて伺いますが、中消防署の用地、もう消防に任せるのは限界があると思いますよ。本当に必要ならばね、国でも県でも働き掛けて、この用地使えませんかということを市長率先して頑張ってくださいよ。そのことの決意とあわせて再質問とさせていただきます。
答弁:市長 |
中消防署の用地確保などについての庁内連携がさらに必要ではないかという1点目と3点目の質問についての再質問ということで理解をいたしました。
いずれにしても、室を立ち上げるということよりも、庁内連携をしっかりやっていくということは非常に重要なことだと思っています。ですので、まず消防のほうで中消防署の候補地、そしてそれについてのさまざまな検討をされ、そして関係する部局についてはしっかり連携をして検討を進めてまいりたいと思っております。