庁舎のあり方について( H20. 2)

質 問

 平成17年に出された市役所本館棟の建築物耐震診断等評価は、いずれの階層の構造耐震指標も判定指標に遠く及ばず、倒壊、崩壊の危険性を示唆する結果となった。大地震の後、構造体の補修をすることなく建築物を使用できること、人命の安全確保に加えて、十分な機能確保が図られていることが耐震安全性の目標となっているのも、現庁舎の機能を維持したまま、在来工法による耐震補強で、これを満足することが技術的に困難であることが判明した。庁舎のあり方検討委員会において、建て替えが適当であるという点で、概ね委員の意見が一致したのも、この事実が大きな理由の一つであったと認識している。制震、免震による耐震改修、建て替え、移転新築などによる工法の是非は、議会や特別委員会などで議論されてきたが、厳しい財政状況のもと、現在に至るまで具体的な対応策が決定するには至っていない。

 全国的に地震発生に対する懸念が高まりを見せる中、庁舎の耐震改修は各地で促進されている。特に、東海地震及び東南海・南海地震は、発生の可能性が極めて高く、高知県では、これに備えた「高知県南海地震による災害に強い地域社会づくり条例」の制定を目指し、マグニチュード8.4規模の大地震が必ず起きると啓発されていた。



 耐震改修が必要とされた県庁建物の敷地は、高知城史跡に指定されているため、文化庁との協議により、基礎免震レトロフィット工法を採用、高額な設計料が工法の特殊性を象徴しているように感じた。

 また、登録有形文化財に指定されている愛知県庁では、地下に設置された免震装置を間近に見学し、地盤による向き不向きを実感した。基礎免震レトロフィット工法に適した地盤及び構造であるのか、詳細な検討には高額な費用と時間を要するさまざまな解析が必要となってくるが、本議場真下付近の液状化危険度は、PL値15から20と高く、地下水位も新館棟建設時の土質調査結果から高いと推定され、仮に施工するとしても困難を極めることが予測される。抜本的な対応策としてふさわしいものなのか、慎重な議論が必要であると考える。

 先の議会でも申し上げたが、応急救助や被災者支援など、行政として果たすべき役割に影響が出る事態は、何としても未然に防がなければならない。本来であれば、早期に長期的に視野に立った庁舎整備に取り組むべきであるが、庁舎整備基金の積立金を減額せざるを得ない財政状況、また最優先課題であった防災センターの機能確保を新館棟で実施されたことを鑑み、人命の安全確保を目的とした耐震補強に取り組むべきではないのかと考え、その可能性について質問する。

 耐震技術の進歩は目覚ましく、本館棟の構造上の特徴及び耐震診断結果からも、検討に値する工法が見受けられる。別館棟と同様、判定指標を満足するものではないが、適切な建物の維持管理といった観点からも、暫定的な補強の妥当性を技術面、費用面から探るべきであると考え、見解を問う。

答弁:副市長

 今日まで、現庁舎が抱える耐震性能の不足や、設備の老朽化などのさまざまな問題について、種々検討を重ねてきた。庁舎のあり方検討委員会からは、建て替えが適当との報告をいただいており、早期の対策が必要であることも十分認識しているが、災害発生時の緊急避難先になります小中学校などの公共施設の耐震化を優先して、その整備に努めているところである。このため、庁舎整備については、当面の対策として、昨年度は庁舎新館での防災センター機能及び高機能消防指令システムを設置するなど、大規模災害時の防災拠点としての機能強化を図ってきた。また、本年度実施いたしました本館のエレベーター改修工事においては、地震発生時のセーフティー機能をより充実するなど、地震防災対策にも努めているところである。

 これらのことから、議員お述べの庁舎本館棟の人命の安全確保を目的とした暫定的な補強の妥当性につきましても、その費用対効果や耐震技術の進歩を含めまして、さらに調査、検討を行い、今後も引き続き、現庁舎の適切な維持管理に取組みたいと考えている。

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