市長の政治姿勢が副市長、教育長の辞任に及ぼした影響について( H26. 6)
質 問 |
大津市においては、特別職にあった職員の任期半ばでの辞任が相次いでいる。茂呂前副市長の退任式での挨拶は、市長と職員が一丸となって市政運営に取り組める日が来ることを期待されてのものであったと理解しており、鳴りやまなかった拍手が意味するところを大津市長には感じ取っていただきたいと期待するものである。
昨年度末には富田前教育長も辞任をされ、現在も教育長は不在となっている。両名の辞任は市政運営全般に影響を及ぼすものとなっているが、市長は自らの政治姿勢をどのように省みておられるのか。両名が辞任されるに至った背景を踏まえて答弁願う。もし仮に自らの政治姿勢を省みる必要がないと判断されているのであれば、その理由も伺う。
また、平成26年度の予算編成に当たっては教育委員会の主体性が十分に尊重されなかったことが、大津市教育委員会平成26年2月定例会の議事録によって確認されている。茂呂前副市長も退任式の挨拶の中で、「私と富田氏は互いに信頼を置く関係でしたが、同氏は平成26年度予算の編成過程において教育委員会の意見の反映が難しいことに心を痛めておられました。こうした事情が御本人の重大な決断に結びついたものと私は認識しています」と述べられているが、今後大津市長はどういった過程を踏まえて教育委員会の所掌に係る予算を措置していくお考えなのか。合理的な基準はおろか、積算根拠すら明確にされないまま、国際理解教育推進充実事業のうちICTを活用したティーチングメソッドの研究開発費が措置されるに至ったことへの反省を踏まえ答弁願う。
答弁:市長 |
まず、市長の政治姿勢が副市長、教育長の辞任に及ぼした影響についてのうち、市長の政治姿勢についてであるが、富田前教育長は健康上の理由によって辞任され、茂呂前副市長は、ごみ焼却施設の建て替えを3カ所から2カ所にするという方針転換等の懸案事項に方向性が見え、当初の案内役としての仕事が一定完了したとのことで、一身上の都合により辞任された。
これまでは茂呂前副市長が長年の市役所における経験をもとに、地域・各種団体との話し合い、職員とのパイプ役等を果たしてこられたが、今般茂呂前副市長が退任されたので、今後は私自身が今まで以上に市民、職員の声をよく聞き、大津市民のために諸施策の推進に向け全力を尽くしていかなければならない。
次に、教育委員会の所掌事務に係る予算についてであるが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条に基づき、公立学校の管理をはじめとする教育行政に係る職務権限は教育委員会に属しているのに対し、同法第24条及び地方自治法第149条第2号に基づき、教育委員会の所掌に係る事項に関する予算に関する権限は市長に属している。このような法制度のもと、私は教育委員会との連携を図るために平成25年10月から教育委員との定期的な協議を開始し、平成25年度は8回、今年度は既に3回、いじめ対策の推進などさまざまな教育課題について協議を行い、相互の連携を図っているところである。そして、その中で今年度は大津市の教育の方向性について話をしており、来年度の事業や予算についても早い段階から、より時間をかけて議論をしていこうといった話し合いをしている。このことにより、効率的な予算の編成や教育的効果の高い事業への重点化が一層進められるものと考えており、引き続き教育委員会との協議会を開催していくものである。
再 問 |
まず、茂呂前副市長、そして富田前教育長が辞任されたことに対しての、市長の認識の確認をさせていただく。今の答弁だと、富田前教育長は健康上の理由、茂呂前副市長は一定の役割を終えたということだが、私はそのように感じていない。もう既に読まれたかと思うが、ある経済誌において、「辞任を決めた本当の理由は越市長と意見が合わなかったからだ」と、「市長とは1年ほど一緒に仕事をしましたが、さまざまな場で議論がかみ合いませんでした」と明らかにされ、また茂呂副市長におかれては、決してごみ焼却場に係る諸課題が解決したから辞められたというふうに私は認識をしていない。
改めて伺うが、私は市長が今までの政治姿勢を省みていただいて、職員と一丸となった市政運営を行っていただくことに期待をするものだが、今のままでは厳しいのではないかと感じる。月初めの職員の方々に対しての挨拶においても、茂呂前副市長の辞任のことは触れられなかったし、また今議会の提案説明の冒頭においても、辞職されたということは触れられたが、特段それ以上のことは市長のメッセージとして何ら述べられていない。改めて伺うが、市長は自らの政治姿勢を省みる必要がないとお考えなのか。また、省みるところがあるとするならばどういったところにあるのか、どのように考えられているのか、改めて伺う。
2点目、教育委員会の所掌に係る予算について。地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の中で、地方公共団体の長は、歳入歳出予算のうち教育に関する事務に係る部分、その他特に教育に関する事務について定める議会の議決を経るべき事件の議案を作成する場合においては、教育委員会の意見を聞かなければならないと明記されている。
先ほど、富田前教育長が辞職をされた理由を市長と意見がかみ合わなかったと述べたが、2月の教育委員会の定例会における議事録によると、富田教育長はこのように述べられている。「これは質問ではないけれども、予算編成に当たって私の見解というか、コメントとして聞いていただければと思います。私も予算編成全般に関わりましたのは今回初めてです。昨年関わっていなかったのですけれども、特に先週も教育委員さんに市長と英語教育の協議に加わっていただいていろいろ議論があったところですけれども、国際理解教育推進、全部で1億5,300万円ということでありまして、ここはその予算編成過程そのものに対して市長の思いが非常に強くて、極めて個別具体的なことがいろいろありました。私も直接市長にはいろんな協議の中で、賛同できないことについてはそのことを述べました。また、桶谷委員は文科省まで行っていただいていろいろヒアリングもしていただきました。そういうことについて一部をもって全体に反対することはもちろんないのですが、こういうことは本来きちんと協議をして、しかし最終的には予算執行権とか予算権というのが必要になるということで、教育委員会のいろいろな予算の立案とか、その折衝のプロセスそのものがどうあるべきか、ということについて、私は非常に大きな問題があるというふうに考えておりますので、これは私の見解というかコメントですけれども、非常に強く感じております。市長にも何度かそのことをお話しいたしましたけれども、なかなかそれはやっぱり予算の執行ということについて、そこから先がなかなか進みませんので、それは、私は非常に問題があるなというふうに考えております」ということで、議事録として残っている。
その後、日渡委員が、「教育長がおっしゃったことですが、私もそのように思います」であったりとか、桶谷委員が、「この間の市長協議のときもその旨を私のほうからも市長のほうには申し上げました。やっぱりそれは違うのではないかということで、ただ単にそのことで私たちが反対の意思を示したところで変わるともなかなか思えないので、どういったふうに今後それを考えていくのか」と、述べられているし、本郷委員長にあっても、「私も全く同意見」ということでおっしゃられている。
こうした議事録を振り返ると、平成26年度の予算編成においては、私は市長に政治姿勢を振り返っていただき、その上で今後の協議を進めていただかないといけない。前の議会でも申し上げたが、協議というのは、意見を聞いたということだけではなくて、やはりその上で相互理解を図っていかなければならないし、私はまずしっかりと反省いただくことが重要と思うが、改めて市長の見解を伺う。
答弁:市長 |
まず1点目の、自らの政治姿勢についてどのように省みているかということであるが、私は市民との関係においては、これまでも笑顔でさわやかミーティングを行うなど、市民の声を大切に市政運営を進めてきた。また、市民からの要望を直接受けたり、ごみ焼却施設の方針転換に際しては、私も地元に出向いて話し合いを行ってきた。また、職員との関係においては、私は従来から職員とのヒアリング等の協議に最も時間をかけ、またランチミーティングや庁内放送等を行って、職員との意思疎通を図ってきた。そして、これまでは茂呂副市長が長年の市役所における経験をもとに職員とのパイプ役を果たしてこられたが、今般茂呂前副市長が退任をされたので、今後は私自身が今まで以上に職員の声をよく聞いていかなければならないと考えている。
次に、教育委員会との関係、予算編成の関係について、地教行法の29条に関する意見については、2月6日に教育委員会で議決されたと理解している。その上で、先ほど答えたとおり、教育委員との今年度の協議会においては、大津市の教育の方向性について話をしており、来年度の事業、予算についても早い段階から、より時間をかけて議論をしていこうと話をしているので、早い段階からしっかりとした議論をしたいと考えている。
再々問 |
もちろんごみ行政は非常に大きな大切な政策であるし、その方向性に一定のめどをつけられた茂呂前副市長の取り組みに対して敬意を表するところである。
市長がこうした説明会にも自ら出向かれ、笑顔でさわやかミーティングなどにも取り組まれ、また職員に対しては、ランチミーティングなどを通じて意見交換をし、意思を反映されていく、と答弁されたが、私は、茂呂前副市長におかれては、さまざまな機会、そして長年の行政経験の中で、多くの市民や各種団体の皆さんの意見をしっかり聞き、それをさまざまな行政課題を踏まえた上で、少しでも半歩でも実現に向けて取り組んでこられた、と私は評価をしている。
今の市長の答弁だと、茂呂副市長がおられなくても私自身がしっかりやるから大丈夫といったようにも聞こえたわけだが、茂呂前副市長であったからこそ寄せられた御意見が私はあったというふうに思うし、それは何より長年にわたる信頼関係のあかしであったというふうに考えている。
再三にわたって申し上げるが、まずは市長、自らの政治姿勢をしっかりと省みていただく、そして改めるべきところは改めていくというところがもう少し市民・各種団体、そして職員にもしっかりと伝わらないと、マニフェストや三者協働による総合計画の推進にも影響を与えるのでは、と考える。改めて自らを省みることがあるのか、伺う。
答弁:市長 |
これまでの姿勢について再度の御質問だが、これまで茂呂副市長が持ってられたような経験が私にあったわけでもないし、そういう経験の問題、時間の問題、さまざまな問題を含めて私自身に不足があれば、これまでは茂呂前副市長が私にかわって補ってくれていたと考えている。そして、これからは、茂呂前副市長は退任をされたので、私自身が茂呂前副市長に担っていただいた役割を含め、今まで以上にやっていかなければならないと考えている。当然、長年にわたる信頼関係、長年にわたる経験という意味では、私よりも市の職員のほうが経験が長いので、市の職員と一緒に茂呂前副市長が担っておられた役割を担っていけるようやってまいりたい。