市有施設における擁壁の適切な維持管理について( H30. 9)

質問

 盛り土、切り土などの人工斜面や自然斜面において、用地の確保や斜面の安定を目的に設ける土どめ構造物を擁壁といいます。大阪府北部を震源とする地震の発生を受け、大津市においても市有施設に設置されたブロック塀については撤去する方針が示されましたが、擁壁についても安全性を確認し、必要に応じて対策を講じなければなりません。一定規模以上の擁壁については、雨水や地下水などによって背面の含水量が増加すると、土圧及び水圧が増大することから、規格に則して水抜き穴を設置しなければなりません。しかしながら、土砂等によってこれが詰まってしまいますと排水機能が著しく低下し、過大な水平力によって安定性と防災性が損なわれることになります。擁壁のひび割れやずれ、膨らみ、傾きなどの変状についても、排水機能とあわせて平時から確認が重要であり、現時点では認められていない工法や、当初設置した擁壁の上に別の擁壁が増し積みされている場合においても、危険性を事前に認識した上で対策を講じなければなりません。
 過日、被災宅地の危険度判定を行うための研修を受講してまいりましたが、人的被害の軽減を図るためにも、擁壁の安全性を継続的に確認し、必要な対策を事前に講じることは重要であるとの認識を新たなものとしてまいりました。特定建築物に該当する用途及び規模の市有施設については、定期的に点検が実施され、擁壁については外周部を含めて調査されていると認識していますが、災害による被害の軽減を図るためにも、大津市が設置する擁壁については、これに限ることなく、健全度を調査すべきと提言するものです。大津市は今後、市有施設における擁壁をどういった方針のもとで適正に維持管理していく考えなのか、見解を求めます。

答弁:総務部長

 
 市有施設における擁壁の適切な維持管理についてでありますが、建築基準法に規定される特定建築物に該当する市有施設においては、3年に一度法定点検を実施しており、その敷地内に擁壁が設置されている場合は、擁壁の劣化及び損傷の状況並びに水抜きパイプの維持保全の状況について現地確認を行っております。また、特定建築物に該当しない建築物のうち、不特定多数の人が利用する床面積100㎡を超える施設等においても同様に、3年に一度任意点検を実施し、適正な維持管理を推進しているところであります。
 一方で、これらに該当しない規模等の施設の敷地や建築物のない土地に設けられた擁壁については、法定点検には該当しません。しかし、災害時の被害低減のためにも、施設管理者の責務の範囲において適正な維持管理が必要であるものであり、今後施設管理を担当する職員で行うことができる擁壁の健全度のチェックシートの作成を行い、職員向け研修会を通じて意識の向上を図るなど、適正管理の支援に努めてまいります。

再質問 

 
 私も民間の施設で法定点検した経験ありますが、擁壁が高かったり、また規模が大きかったりする場合においては、その点検には相当時間を要するわけでして、それ相応の道具といいますか、心づもりを持って当たらないと十分に確認できない、そういう性格の点検だというふうに認識しています。
 チェックシートをつくっていただけることについては、前向きに答弁いただけたものと評価させていただきます。ただ、先ほど研修ということもおっしゃっていただきましたけれども、まずもって施設管理者で点検いただいて、不十分もしくは健全度が疑われる施設については、より専門的な知見でやっていただくということなのですが、よほどしっかりとしたものをつくっていただかなければ、チェックできているということが前提になって、その内容が不十分であったら、逆な言い方しますと、過剰な安心につながってしまうと心配もするものです。
 改めて伺いますが、どういった体制のものでチェックシートを作成されるのか、もう少し詳しく答弁いただきたいと思います。

 

答弁:総務部長 

 
 チェックシートの作成のあり方ということでありますが、簡易なチェックシートについては、例えば先ほど議員もおっしゃられましたひび割れであるとか、ずれ、膨らみあるいは傾きによる劣化、損傷の状況、それから水抜きなどの詰まりと、そういった項目を基本に置きながら、簡単にというか、専門家でもない形で目視の範囲でチェックできるようなシートをつくっていきたいと考えております。そして、その中で万が一不具合の兆候が見られた場合は、これについては必要に応じて技術職員、総務部でいいますと公共施設マネジメント推進室の職員が再度確認を行い、その中でさらなる対応策を検討していくと、そういう構築の仕方を検討してまいりたいというふうに考えております。

再々質問 

 
 法定点検なのですが、国交省から、こういうことに留意して擁壁を点検しなさいというのが出ているのです。ただ、そんなに事細かくは書いていないのですよ。ですので、チェックリストをつくっていただけるのであれば、法定点検にもしっかり反映をいただいて、より丁寧に専門的な知見で、ましてや昨日の答弁でも、子どもの安全、命を最優先に守っていただけるといった答弁もございましたので、特にその点重要かなというふうに考えますので、改めて答弁求めます。

答弁:総務部長

 
 チェックシートの作成に当たって、建築基準法に基づいたそういった確認について十分配慮した上で、チェックシートの作成に臨んでまいりたいと思います。

 

再々再質問 

 法定点検をされるに当たっても、より丁寧にしていただきたいという意図なのですよ。法定点検を実施されるに当たっては、国から擁壁の点検に当たってはこういった点に留意しなさいという項目があるのですが、ただ今回、擁壁に特化してチェックリストをつくっていただけるのであれば、法定点検をより丁寧にやっていただく必要があるのかなと考えますので、その点改めて見解を求めます。

 

答弁:総務部長

 

 そういったチェックリストのあり方については、法定点検のことも含めまして十分に勘案しながら作成してまいりたいと思います。

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