大規模地震発生時に指定避難所を速やかに開設するために必要となる取り組みについて( R3. 6)
質問
1点目、学区単位を想定した応急危険度判定士の事前配備について。令和3年5月25日、大津市危機・防災対策課主催による避難所担当員を対象とした研修会が開催されました。公益社団法人滋賀県建築士会大津地区委員会・同湖西滋賀地区委員会は大津市と避難所施設を対象とした応急危険度判定業務(セーフティチェック)に関して協定書を締結しており、同会両地区委員会に所属され、趣旨に賛同くださっている被災建築物応急危険度判定士(以下、応急危険度判定士)も研修に参加をされました。
大地震発生時、小中学校体育館を避難所として開設するにあたり、まずもって、施設管理者または避難所担当員を務められる市職員が安全確認を行われ、判断がつかなかった場合においては、災害対策本部の意思決定のもと、建設部建築課からの依頼に基づき、応急危険度判定士が派遣されることになります。しかしながら、現時点において、滋賀県建築士会に所属する応急危険度判定士の登録者数は指定避難所の数に見合っておらず、そのうえ、避難所担当員研修や総合防災訓練への参加者数はごく限られた人数となっています。
大規模地震発生時においては、電話回線の混雑が想定され、また、建築課が執務をされる本館棟は庁舎として必要な耐震性能を有していないことから、機能空間が確保されない恐れもあります。応急危険度判定士の派遣依頼が訓練のとおり円滑に行えるものなのか、また、建築士会の側においても、混乱する状況の中、要請のあった避難所に人員を速やかに派遣することができるのか、私自身、応急危険度判定士として当事者でもあることから、より一層、強い危機感を覚えます。
静岡市、浜松市においては、避難所施設に応急危険度判定士を事前に割り当てることによって、実施体制の強化を図られています。大津市においても、大規模地震発生時に指定避難所を速やかに開設できるよう、事前割当方式により学区単位で応急危険度判定士を配備されることを提言するものです。公益社団法人滋賀県建築士会の会員のみならず、応急危険度判定士の資格を有する市民を対象に広く支援を求める必要がありますが、事前の配備によって、避難所担当員との連携が強化されることになり、カルテ作成などセーフティチェックの事前準備が進む効果も期待できます。
私案でありますが、事前に定められた各支所において、災害対策本部からの依頼を初動支所班を通じて受けていただき、順次、応急危険度判定に従事いただくことを想定しての提言です。学区単位を想定した応急危険度判定士の事前配備について、大津市の見解を求めます。
2点目、避難所担当員の配備拡充について。現在、大津市においては、避難所担当員を市立小中学校の体育館にしか配備されていません。県立学校及び私立学校の体育館、また、他の市有施設など、避難所担当員が配備されていない施設を避難所として開設する場合には多くの被災者が殺到しているなかで施設の安全点検を行うことが想定されます。令和3年5月、内閣府が策定する「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」が改定されたことに伴い、大津市においても福祉避難所への直接避難のあり方が議論されることになると推察しますが、市立小中学校の体育館以外の避難所を速やかに開設できる体制を構築することは喫緊の課題であると考えます。
本年9月に開催が予定されている総合防災訓練においては、滋賀県立膳所高校の体育館が避難所として想定されています。大津市はどの様な課題認識のもとで避難所開設訓練に臨もうとしているのか。避難所担当員の配備拡充に向けた方針とあわせて見解を求めます。
答弁:総務部長
1点目の学区単位を想定した応急危険度判定士の事前配備についてでありますが、議員お述べのとおり避難所施設に応急危険度判定士を事前に割り当てておくことは、人数の確保などの課題はあるものの早期の避難所開設及び迅速な市民の皆様の避難に有効であると考えられることから、今後公益社団法人滋賀県建築士会と相談してまいります。
2点目の避難所担当員の配備拡充についてでありますが、総合防災訓練で膳所高校の体育館を避難所として活用することにつきましては、これまで本市において災害時に県の施設である高等学校等の指定避難所、場所を開設したことがないことから、市の避難所担当員の配置されていない場所での避難所の開設手順、関係者間の情報伝達、県職員との連携などについて訓練を通して検証してまいりたいと考えております。
また、避難所担当員の配備拡充につきましては、大規模地震発生時等、市内の広範囲にわたって災害が発生した場合には、職員の人員不足が見込まれ、避難所担当員を配備できない避難所については、施設管理者等により開設いただくこととしております。今後も施設管理者との連携の強化に努め、迅速かつ円滑に避難所を開設できるよう取り組んでまいります。