大津市観光交流基本計画アクションプランについて( H22. 2)
質 問 |
今年の3月、数多くの観光資源を一層磨き上げ、新たな観光交流を創出することで地域の活性化を図るため、観光交流の基本的な施策や推進体制などを定めた大津市観光交流基本計画を策定された。「びわ湖大津 結の観光」をテーマとし、「交流が喜びを生むまち」を理念とされ、現在これに基づくアクションプランを策定さたが、重点事業、新規事業を問わず、取り組まれる時期や規模が不明確なものが多く、基本計画で掲げている目標値についても、数値目標達成の根拠が不明確である。市民、団体、事業者、行政の四者協働によるアクションプランを推進するのであれば、それぞれが当事者意識を持ってそれぞれの役割を果たしていく必要があり、そのためにも目標値の達成状況は正しく認識される必要がある。
大津市は、今後アクションプランに基づき、どういった形で目標値の進捗を管理していかれるつもりなのか、本市の見解を問う。
答弁:産業観光部長 |
各事業における数値の積み上げについては、一概に来訪者増加数を算定しがたい事業があることや、市民、事業者、団体による事業実施が網羅できていないことから、今回のアクションプランにおいては事業ごとの積み上げ数値を記載する予定はない。
しかし、基本計画に記載している目標数値の達成に向けては、その推移を検証していく必要があると考えており、今年度より2年から3年置きにアンケート調査を実施するとともに、従来の観光入込客数調査により、各施設やイベントごとの入込数、また地域ごとの集計値を把握していく。
質 問 (観光戦略会議が果たす役割について) |
先日、着地型観光を推進している大阪府堺市の視察を行なった。着地型観光とは、旅行目的地主導で旅行商品の企画、開発を行うことを意味する言葉で、都市部の旅行会社が旅行商品や観光資源を企画、開発する発地型観光との差別化を図っていた。旅行者としても事前に堺市を訪問したが、訪れた先では常駐の観光ボランティアによる丁寧な案内が受けられ、旧跡名所や展示物に対する理解を深めることができた。公費による視察と私費による旅行で感じたのは、官民一体となって堺の観光を盛り上げていこうという気運であり、策定された堺市文化観光再生戦略プランが確実に実行されていると感じた。
大津市観光交流基本計画アクションプランにおいては、観光市民力交流事業、地域魅力連携力発展事業、おむかえ情報発信力向上事業、観光交流推進力強化事業を重点事業とし、総合計画第2期実行計画においては、びわ湖大津の魅力アップと交流事業の推進と観光情報の発信を重点事業計画に位置づけているが、これを確実に実行するためには、設置が予定されている観光戦略会議が果たす役割は重要となってくる。アクションプランでは、市民、事業者、団体、行政が一体となって戦略を立て、連絡調整を行う会議と位置づけられているが、ここで言う戦略とは何を意味し、具体的にだれが連絡調整を行っていくのか、社団法人びわ湖大津観光協会に期待する役割を踏まえ、本市の見解を問う。
答弁:産業観光部長 |
観光戦略会議は、本市の目指すべき観光の姿に向けた戦略を明確にした上で、戦術となる事業実施の有効な手法や、市内の連携強化策などを検討協議していく役割を担っている会議として、観光交流基本計画及びアクションプランの中で位置づけている。また、連絡調整については、その構成員である市民、事業者、団体、行政の4者が積極的かつ主体的に行っていく必要があると考える。なお、社団法人びわ湖大津観光協会については、市内の地域観光協会をはじめとする4者の働きを有機的、効果的に発揮させるネットワークの母体となる重要な団体であり、市域全体としての魅力発信、集客交流の促進につながる活動に取り組まれる組織であると認識をしている。アクションプラン策定後は、その実現に向けて観光戦略意見交換会議等に事務局として参画をいただき、行政とともに観光交流に取り組んでいただく予定である。
質 問 (大津市街並み博物館条例の見直しについて) |
観光交流基本計画を実行していくためには、新たな観光資源の発掘、また磨き直しが必要となってくるが、大津市街並み博物館条例も見直しが必要ではないか。平成19年6月議会、おもちゃの館「遊遊館」がまちなか交流館に名称変更された際、街並み博物館通り構想そのものを見直す時期に来ているのではないかと問いに対し、本市は中心市街地活性化基本計画と整合を図るよう、条例の見直しを含め多角的に検証をしていくと答弁をされた。これまで、どういった検証をなされ、アクションプランの中では街並み博物館通り計画をどのように位置づけていくつもりなのか、本市の見解を問う。
答弁:産業観光部長 |
本市は条例制定当初は、商店街とともに街並み博物館通りを生かす事業に積極的に取り組んできた。平成20年7月に策定をした中心市街地活性化基本計画では、具体的な事業を期限内に実施する取り組みが求められ、本市も中心市街地の商店街を活性化させる絶好のチャンスと捉え、商店街と協議を行なったが、店主の高齢化や消費者ニーズの多様化などから環境が大きく変化し、具体的な事業の実施には至らなかった。しかしながら、こうしたときこそ当該条例の趣旨に照らした事業を展開することにより、やる気のある商店街や商店主が連携し、商店街に人の流れを取り戻すことが重要であると認識していることから、現時点では条例の見直しは考えていない。さらに、現在策定中のアクションプランでは、まちの個性を生かした新たな魅力づくりとして、四者協働によるまち歩き観光の推進を位置づけている。当該エリアは、拠点施設と商店街を結ぶことで、各店舗の伝統技術や歴史ある道具などの宝物に触れることができる重要なルートの一つであると考えている。エリアのネーミングづけは、来訪者の誘致にとっても有効な方法であることから、今後は中心市街地活性化基本計画の取り組みとも連携しながら、観光交流事業を推進していく。
再 問 |
昭和60年1月の段階でまとめられた街並み博物館通り計画を熟読し、どういった理念、哲学のもとで計画が策定されたのか、わたしなりに理解をした。随分と時間は経っているが、現在でも通じる理念であると評価しており、当時の中心市街地活性化基本計画のような位置づけであったと考えるが、現計画との整合については答弁がない。当時の総合計画に基づいて実施されてきたが、この間、基本構想は何回も見直しされている。見直しは考えてないとの答弁であったが、その考えに変わりはないか。
答弁:産業観光部長 |
条例の見直しについては、現時点では考えていない。計画の理念は今も大事にしていくべきものであると考えており、まちの活性化、あるいは観光客にたくさん来ていただけるような、そういうものを改めて取り組んでいきたいと考えている。
中心市街地活性化基本計画と整合してないのではないかという質問については、平成20年の基本計画を策定する以前に、商店街の皆さんにも参画いただこうとの思いがあり、計画の中に盛り込めないかということを地元とも随分と協議なり、あるいは検討をさせていただいたが、結果としてそれが実現をしなかった。そういうことから、中心市街地活性化基本計画とは整合させていきたい、連携していきたいという思いは現在もある。
再々問 |
何のために街並み博物館条例が存在するかといえば、「第1条 設置 大津の文化と歴史を生かした街並み博物館通りを形成し、まち並みに魅力と活力を与え、もって商業と観光の振興を図るため、大津市街並み博物館を設置する」ということで、大津祭曳山展示館とまちなか交流館が設置されている。質問に際し、当該ルートを散策、駅前の観光案内所でどのようなインフォメーションがされているのか調査を行った。最近作られた案内にも小さな字で「街並み博物館通り」と書かれていたが、観光客の方にとっては「街並み博物館」という言葉が非常にわかりづらく、商店街歩で「街並み博物館はどこにあるのか」と聞かれたこともある。今答弁があったように、中心市街地活性化にも位置づけていきたい、それは産業観光部だけの話ではなく、大津市全体の話の中で議論があるかもしれない。大津市観光交流基本計画アクションプランに位置づけるような答弁をされたが、本来であるならば、街並み博物館計画が中心市街地活性化基本計画と観光交流基本計画を有機的に結びつける存在であると考える。
平成19年に質問をしてから随分時間も経ち、中心市街地活性化の議論もまた深まっていくと思う。「まちなか博物館」ではなくて「街並み博物館」であり、その点踏まえ、もう少し具体的に、いつどの段階までにこれを検討し、見直す必要があれば見直し、また新たな形でアクションプランに位置づけていくのか、もう少し具体的に答弁を。
答弁:産業観光部長 |
今まさにアクションプランを策定しており、もうすぐ完成予定である。この理念というか精神は、しっかりアクションプランの中にも入れていかなければならないと考える。
この条例、計画ができて約20年ということになるが、当初は大津市も随分と予算投入し、あるいは地域の皆さんにも積極的に関わっていただいたが、特に商店街の皆さんについては高齢化が進んできており、後継者不足ということもあり、現在は確かに多少停滞ぎみで、活動が余り進んでいない状況にある。しかし、アクションプランの策定を契機として、改めて様々なところで周知できる取り組みをしたいと考えている。それから、街並み博物館通りはどこにあるのか、どの範囲なのかということも、改めて皆さんに周知いただけるような取り組みを地元の皆さんとともにしていきたいと考える。
再々々問 |
街並み博物館通りの拠点施設として大津祭曳山展示館とまちなか交流館がある。それぞれ指定管理に出されている。今の答弁踏まえて問うが、この2施設の指定管理者に、街並み博物館通りやその計画、構想の意義をしっかり伝えているのか。
答弁:産業観光部長 |
それについては、近年では少し弱い部分があったのは、事実である。しかし、今月末に曳山連盟あるいは曳山展示館の方が、今年の祭りに向けて話し合いをすると伺っており、できるだけ交流館の皆さんにも参加、参画をいただけるよう、働き掛けもしていかなければならないし、また大津市としても、改めて街並み博物館通りや、その計画や構想の意義をしっかりと伝え、認識していただくような取り組みはしていかなければならないと考える。