大津市庁議規程の形骸化が市政運営に及ぼす影響について( H31. 2)
質問
大津市においては、市政の基本方針に係る市長の意思決定に必要な協議を行うとともに、市の各機関及び各部局間の総合的な調整を行うことにより、市政の効率的な運営を図るため、二役会議、部長会議、政策調整会議及び所属長会議を設置することが大津市庁議規程において定められています。このうち、市長、副市長、政策統括監、政策調整部長及び総務部長並びに市長が指名する者で構成される二役会議については、市政の総合的な重要施策、新規事業等について基本方針を審議し、決定することを目的としています。この会議の進行は政策調整部長が行うと定められており、行財政運営の基本方針に関する事項、特に重要な施策の策定に関する事項、その他必要と認める事項など、付議事項に関係のある各部局の長は、二役会議に出席することになりますが、少なくとも越市政においては、平成25年以降、今日に至るまで開催されていません。
過日、公文書公開請求を行って明らかになったことですが、当該公文書の保存期間は大津市文書取扱規程によって5年間と定められており、平成24年以前のものについては既に破棄され、会議が開かれたかどうかの確認もできないとのことでした。公文書の保存期間はその内容によって、永年、10年、5年、3年、1年と定められていますが、市政の総合的な重要施策、新規事業等について基本方針を審議し、決定することを目的とする二役会議の協議禄であるにも関わらず、5年で破棄されていること自体に違和感を覚えます。滋賀県においては、情報公開条例に基づき滋賀県の情報提供の推進に関する要綱を制定され、県政の基本的な方針、また、重要施策その他の重要事項についての協議は県政経営会議において協議、論議されるとともに、各部門相互の連絡調整を図られています。過日、県政経営会議における協議録の作成に関して問題が認められたとの新聞報道がなされましたが、本市においては、市政の総合的な重要施策、新規事業等について基本方針を審議し、決定する会議そのものが機能していません。部長会議や政策調整会議における付議事項には、二役会議からの指示事項も含まれていることから、未開催の常態化は大津市庁議規程そのものの形骸化につながるものであり、内部統制にも影響を及ぼすものと判断するものです。今年度においても、新たに政策統括監を設置したことに伴い、二役会議の開催を前提として大津市庁議規程の改正を行われましたが、これまでの間、市長はどういった考えに基づき、二役会議を開催されてこなかったのか。開催の必要性はなく、内部統制にも全く影響を及ぼさないと判断されてきたのであれば、その理由とあわせて見解を求めます。
これは、私自身の実感ですが、英語教育に係るICTを活用したティーチングメソッドの研究開発費の予算措置やケアセンターおおつの運営方針の見直し、また、中消防署の移転候補地の選定に関する検討など、どういった課題認識のもとで執行部として意思決定を図られ、また、見送られてきたのか。その経過が不透明に感じられることが度々ありました。市政運営における透明性が確保されていないことを問題視し、越市長にコンプライアンスの遵守を求める決議案を議会に提出したこともありましたが、開かれた市政運営のもとで執行部内における意思決定が行われているとの実感を持つに至っておりません。これまでから何度も指摘を行ってまいりましたが、全庁的な検討が不十分と感じたことは数え切れません。市政を総合的かつ効率的に運営していくため、また、二元代表制を効果的に機能させるためにも、政策形成過程のあり方を市長は抜本的に見直されるべきと考えます。そして、公文書として協議録を残す会議を明確なものとし、その結果と資料については、ホームページにて主体的に公表されるべきと提言するものです。市長は今後、どういった方針のもと、執行部内において意見集約を図り、意思決定を行っていく考えなのか。開かれた市政を推進することの重要性に対する認識とあわせ、見解を求めます。
答弁:市長
二役会議が開催されてこなかった理由についてでありますが、現在、必要に応じて、私と副市長による協議や、私や副市長と関係部局長等との協議を実施し、遅滞のない市政運営を行っており、内部統制についても問題はなかったものと考えております。
答弁:政策調整部長
今後の方針についてでありますが、これまでどおり二役を含めた各種協議や庁議を活用することにより、意見集約、意思決定を行っていきたいと考えておりますが、近年、二役会議の開催実績がないことなどを鑑み、今一度、庁議のあり方について庁議規程も含めて検討してまいりたいと思います。また、総合計画の施策としても掲げておりますとおり、開かれた市政を推進することは、重要であると考えております。現在、重要施策については、外部委員会や庁内委員会を開催し、議事録を作成するとともに、必要に応じて公表しているところであります。
再質問
まずもって、市長にお伺いをいたします。二役会議、開く必要がなかったのか、そもそも、開かれる意思がなかったのか、どちらなのでしょうか。内部統制に影響はなかったと答弁されました。必要に応じて、副市長、部局長と協議を行ってきたので、問題はなかったということです。自治体における内部統制のあり方については、業務の効率的かつ効果的な遂行、財務報告等の信頼性の確保、資産の保全、そして、業務にかかわる法令等の遵の守、いわゆるこの四つの目的を達成するため、さまざまな取り組みをしていくことが内部統制だと認識しています。庁議規程というのは、事務や手続などに関する決まりですよね。この質問をさせていただくに当たって、熟読させていただいたのですが、庁議付議書というのが様式で定められています。これにつきましては、庁議規程の第22条付議手続の中でも示されていますが、部長会議、政策調整会議また所属長会議については庁議付議書を開催日7日前までに提出をしなさいと定められていますが、二役会議はいつまでに出しなさいということもないのですよ。そもそも、二役会議を開きましょうということを、決められるのは誰なのかなと思うのですよ。この会議の主催者、市長でおられますよね。長年にわたって、少なくともこの5年間、開かれてこなかった。それ以前については、文書が保存されていないという前提で開かれたかどうかもわからない。冒頭にも申し上げましたが、手続を取ろうにも、いつまでに付議書を出したらいいのかもわからない。そういった規程をこれまでずっと維持されてこられたのですよ。初問でも申し上げましたが、先ほどは政策統括監を紹介申し上げましたが、技術統括官や様々な役職が設置され廃止されるたびに、訓令で都度見直されてこられていますよね。大津市長として、大津市として、この規程をずっと生かし続けてこられたわけですよ。
改めて伺います。冒頭申し上げました、開く必要がなかったのか、開く意思がなかったのか。もう少し具体的に言いますと、開くという選択肢をそもそも市長はお持ちであったのか、これが気になるところです。先ほど申し上げました内部統制の四つの目的、業務にかかわる法令の遵守、私は法令等に含まれるというふうに認識しますので、この点踏まえて改めて再質問を行います。
そして政策調整部長にお伺いをいたします。いま一度庁議のあり方については、規程のあり方を見直す必要があるということをお認めになられています。なぜ、そう認められるに至ったのでしょうか。先ほど市長の答弁、お伺いさせていただいて、見直していただくことは結構ですし、現状に合わせていただくことも大事かもわかりませんが、市政の基本方針にかかわる市町の意思決定に必要な協議を行うとともに、市の各機関及び各部局間の総合的な調整を行うことにより、市政の効率的な運営を図るため、それぞれの会を開くと示されているのです。見直していただくのであれば、どういった点がこれまで問題であって、どういった点については、検証されるべきだと答弁がないと、見直すとおっしゃられても実感が伴いませんので、今の趣旨を踏まえて改めて答弁求めます。
答弁:市長
この二役会議を開く必要がなかったのか、意思がなかったのかどちらか、また開くという選択肢を持っていたのかということであります。これまでですね、先ほどもお答えしましたとおり、必要に応じてですね、必要な職員と、また副市長と、そして部局長と協議をするということを行ってまいりました。また、二役会議の目的として、その市政の総合的な重要施策ですとか、付議事項としても行政の行財政の運営の基本的な方針というのはあるのですが、こういったことについてはむしろ、庁内で様々な会議を設置してきたというふうに考えています。例えば総合計画については、外部の委員さんが入った委員会ですとか、内部でも本部があったりですとか、行財政改革についても外部の行財政改革委員会というものがあります。ですので、そういったものを外部の方の意見も聞きながら進めてきたというのが実情ですので、そういった会議を行ってきたということになります。
答弁:政策調整部長
庁議規程の検討について、どのようなことに問題があって、どのようなことを検討していくのかということでございます。まず、第4条のほうで二役会議は市長が必要と認めるとき随時に開催することができるとなっております。このことから、この5年間、今も市長が述べましたように、庁議を開催せず、ほぼ実質的には、二役であったり、関係部局長で協議を行ってきているという実態もあります。そういったことから、今まで、この5年間開かれてこなかったこと、それと、そもそも市政に関するさまざまな事案に対して協議検討を行って方向性を出すことが、そもそも市政の迅速で効率的な運営を図るとこういったことも求められる上で、どういった形での協議をするとか、どういったスタイルで協議していくかに関しましては、その時々の首長が1番行いやすい方向で考えられると、こういったことも大事であるかと考えます。また、協議の仕方につきましても、近年、パソコンであったりスマートフォンであったりタブレットであったりさまざまな情報のやりとりの方法も出てきております。そういったことも考えまして、全体的に庁議規程も含めた検討をしてまいりたいと、このように申したわけでございます。そういった形で検討を進めていきたいと考えております。
再々質問
市長にお伺いをいたします。必要に応じて、必要な協議を行ってきた。庁内にもさまざまな会議を設置されて外部の方の意見も聞いてきたので、特段問題なかったということでございました。先ほど政策調整部長のほうからは、規程のありようについて、一定、課題認識を持たれているかとの印象を受ける答弁もございましたが、今までなぜ見直しが行われなかったのか。私、先ほど開かれた市政と申し上げました。この質問をさせていただくに当たって、県内他市における庁議のあり方、また全国的にどういった形で政策形成を図られているのかということについて調査をさせていただきました。自治体が自ら定めた会議のルールというのは非常に重要であり、しっかりと守られるべきと考えます。いつどの時点でどういった方向性なり方針が執行部内で決まったか。もっと市民にわかりやすく、共有をいただきたい。以前、参与という職を設けられ、庁内でさまざまなプロジェクトについて検討を重ねてこられたという実績も承知をしております。先ほど内部統制の話をしましたが、規程が形骸化しているのではないかというのが、そもそも私の質問の気づきです。矛盾していると思うのですよ。政策統括監などが設置されると訓令で規程を見直される、だけど、必要な協議はしっかりと行っているので、別段問題はない。だったら、この規程いらないじゃないですか。改めて伺います。先ほど内部統制に係る内容で矛盾すると申し上げました。市長もいつもコンプライアンスということをおっしゃっておられます。私、庁議規程も、ひいては意思決定のありようというのは、自治体における背骨に近いものだと思っています。滋賀県においても、先ほど御紹介申し上げましたが、県政経営会議というのをしっかり定期的に、開催時間まで決めて実施をされています。その記録を見ますと、どういったことが議論されて、どういったことが方向性として決定されたかというのが県民として確認することができます。市長、私、市民としてぜひとも知りたいのですよ。負託を受けた大津市議会議員として、執行部がどういった議論されているのか、しっかりと市民の皆さんと情報共有しながら確認させていただいて、必要な時点において指摘なり提言させていただきたいと願っています。任期迎えるにあたって、実質これを最後の質問でさせていただいているのは、それほど庁議のありよう、政策形成過程が大事だと思って確認させていただいていますので、改めてなぜこれまで見直されてこなかったのか。庁議というものの内部統制のありようについて、市長に見解を求めます。
答弁:市長
今までなぜ規程を見直してこなかったのかということであります。規程自体はですね、最初、平成3年に制定されまして、今でいうと30年近くがたつわけです。そういった中で、これまで少なくとも私が市長になってからも、市民の皆さんにわかる形で、また市民も入った形で議論をしようと、特に先ほど申し上げました総合計画ですとか、都市計画マスタープランですとか、公共施設マネジメントや行財政改革と、非常にそういった市政にかかわることについては、むしろ市民の方も入っていただいて、公開で議論をするということをしてきました。ですので、そういったことは、決してその二役会議で決めるようなことではなくて、より開かれた場で市民の皆さんや、学識経験者の方も入っていただいて、基本的なことを議論するということをしてきました。ですので、そういったこれまでの規程も尊重しつつ、規程の見直しには至りませんでしたけれども、これまでのそういった市民も入った形で、公の場で重要な市政の基本方針を議論するということもしてきましたので、そのことの整合性ももう一度検討しまして、いずれにしても、この庁議規程の見直しをしていきたいというふうに考えております。