大津市土地開発公社を清算する場合に必要となる取り組みについて( H23. 9)
質 問 |
大津市は先の定例会において、今年度は第三セクター等改革推進債を活用して土地開発公社を清算すべきか、最終的に判断すべき時期であるとの考えを示された。上半期においては、公社の存在意義や今後の必要性を考察するとともに、公社の経営指標の分析や社会的情勢の変化を含めた各事業そのものの意義、採算性、ならびに事業手法の選択等を検討するとされたが、現時点で検討はどこまで進んだのか。用途が不明確なままとなっている、長期保有資産の削減に向けた取り組みの進捗状況と合わせて伺う。
また、財政健全化法による指標や市債残高、中期財政計画の見直しの状況等から、第三セクター等改革推進債を活用した場合の本市財政への影響、起債活用による費用対効果等も検討するとの事であったが、その検討に外部の専門家の意見をどの様に反映させていくつもりなのか。奈良市の場合、平成22年9月に公認会計士、弁護士、大学教授から構成される奈良市土地開発公社経営検討委員会が設置され、公社の経営状況等の評価及び存廃を含めた抜本的な経営改善策の検討がなされた。平成23年3月には、第三セクター等改革推進債の活用を基本方針にすべきとの報告が奈良市長になされ、これを踏まえた更なる検討が進められている。大津市は平成23年度9月補正予算案において、市有財産有効活用推進事業費として、土地開発公社の健全化・あり方検討経費を計上された。庁内での検討を進めるにあたり、監査法人等から支援を受けるための予算であると認識しているが、土地開発公社の存廃に関する方針を決定するにあたっては、多額の財政負担に対する市民理解を深めるためにも、外部の有識者からなる検討委員会を設置し、公社経営を悪化させた要因等について意見を求めるべきと考える。先の定例会において、庁内でおこなった検証を適正かつ客観的に判断するため、公認会計士など外部の専門家から意見を聞くことは重要であるとの考えを示されたが、今後、どういう形でこれに取組んでいくのか。
次に、事業用地の先行取得機能のあり方について質問。視察に訪れた千葉市においては、地価の下落により経済的なメリットが低下したこと等から、平成17年度に土地開発基金を廃止され、翌年度以降、事業用地の先行取得は実施されていない。また、塩漬け土地の利息が市の財政に深刻な影響を与えること等から、第三セクター等改革推進債を活用し、昨年度末をもって千葉市土地開発公社を解散された。「脱・財政危機」宣言を発出されるなど、千葉市の財政は危機的な状況にあり、起債の償還期間は10年以内が基本となっているが、実質公債費比率を早期健全化基準である25%未満に抑制するため、国との協議によってその期間を20年に延長されている。
千葉市視察『土地開発公社の解散について』
現在、大津市における事業用地の先行取得は、土地開発公社の資金または土地開発基金を活用して実施されている。土地開発公社の資金を活用した場合、引取りには用地取得原価に加え、金融機関からの借入金利息額及び事務手数料等の負担が必要になるが、土地開発基金を活用した場合には、用地取得原価を預金した場合に支払われる利子相当額を負担することで引取りが可能となる。大津市土地開発基金は、昭和44年12月に設置され、平成22年度末時点における預金残高は3億426万1610円。保有資産は8億1846万7820円となっているが、昭和52年11月に3,531万4716円で取得された和邇高城の塵埃処理場用地や平成12年10月に3億421万5000円で取得された和邇北浜の一般廃棄物最終処分用地等、公有財産に移管される見込みのない土地も含まれている。昭和48年に取得されて以降、引取がなされていない事業用地が存在するなど、保有資産の約65%、金額にすると約5億3千万円以上が10年以上に渡って長期保有されている土地であり、平成23年度9月補正予算案においても、その削減に必要となる予算が計上されている。大津市土地開発基金条例第3条によると、市長は土地開発基金の確実かつ効率的な運用に努めなければならないと定められているが、これまでの運用実績をどの様に評価し、長期保有財産の抜本的な解消に取組んでいくのか。
答弁:総務部長 |
土地開発公社が先行取得した事業用地の長期保有化が全国的に問題となっているなか、本市の土地開発公社においてもその例外ではない。本年4月以後、改めて土地開発公社の経営状況を分析するとともに、公社保有資産の全ての物件について、各所属から先行取得の経緯や現状、そして引取りの手法についてヒアリングを実施した。また、なかなか難しい用途不明確な土地の解消に向けた現状での引取り計画、そして必要となる財源等の歳出を行い、各所管、部局から先行取得事業の必要性や、あるいは土地開発公社を清算した場合の代替措置等について意見を求めた。また、これら長期保有資産の削減については、引取り計画に基づき、解消を進めるとともに、用途不明確な土地について、他の事業での代替地や他の事業による活用等、庁内的に照会し、利活用を検討している。引き続き、今後、財政健全化法による指標や、市債残高の状況、ならびに中期財政計画の見直しの状況から、第三セクター等改革推進債を活用した場合の費用対効果等を検証していく予定である。
また、9月補正予算案において、監査法人等による土地開発公社の経営状態および資産、債務の状況や本市財務事情を総合的に検証し、将来における債務拡大リスクの軽減を図るための検討経費を計上した。そして、これらの検討結果を踏まえながら、遅くとも今年度中には、外部の有識者を含めた検討委員会を設置したいと考えている。
最後に土地開発基金の活用事業については、自主的、主体的な地域づくりの推進と生活関連の社会資本整備の拡充を図るため、先行取得を実施してきたところであるが、社会情勢の変化や、事業化への合議がなかなか得られず、土地開発公社同様、長期的に保有している土地が存在していることは、議員もお述べのとおりである。今年度は、現在取り組んでいる土地開発公社のあり方と合わせて、同基金の保有資産の全ての物件について、各課のヒアリングと現地調査をおこなった。今後も計画的な引取り計画を策定しながら、同基金の健全な運営に努めていきたいと考えている。