大津市中心部の活性化に向けた取り組みについて( H30. 9)

質問

 平成30年4月、大津市中心市街地活性化事業の成果を受け継ぎ、琵琶湖を中心に地域の歴史文化を生かしつつ、さらなる大津市中心部の恒常的かつ持続性のある活力あふれる回遊性豊かなにぎわいの創出を目指すことを目的として、びわ湖大津まちづくり会議が設立されました。大津市中心市街地活性化基本計画の推進を担ってきた協議会が3月末に解散したことを受けて設立された後継組織であり、大津市中心部の活性化に寄与する事業の企画及び実施提案を行うこと、また都市再生推進法人である株式会社まちづくり大津に対し、設立目的を達成するための検討、提言を行うことが規約に定められています。都市再生推進法人とは、都市再生特別措置法に基づき、地域のまちづくりを担う法人として市町村が指定するものであり、株式会社まちづくり大津は事業実施に必要となる都市再生整備計画を大津市に提案することができ、社会資本整備総合交付金等による支援を国から直接受けることが可能となります。
 
 ジュネーブという都市の名称を冠した構想の具現化を図るため、大津市は公園や道路などの公共空間を活用してカフェなどの整備に取り組もうとされていますが、制度の趣旨からいえば、株式会社まちづくり大津が主体となって推進されなければ、都市再生推進法人に指定した意義が問われると考えます。そもそも大津市は、自らも出資して設立された株式会社まちづくり大津が大津市の中心部、ひいては大津市を活性化させる上においてどのような役割を担うことを期待しているのか。このままでは、都市再生推進法人に指定されるも、その効果はまちづくりの成果として十分に発揮されないと考え、大津市の見解を求めます。

 また、びわ湖大津まちづくり会議は、都市再生整備計画の作成や実施に必要となる協議を行うため、市町村ごとに設置することができる都市再生推進協議会として設立された法定協議会ではなく、任意の組織体として株式会社まちづくり大津内に事務局が置かれています。大津市はこの会議に委員として参加をしていませんが、株式会社まちづくり大津との連携による成果が大津市中心部の活性化に資するものとなるため、大津市はどういった役割を担うべきと考えているのか。大津市が株式会社まちづくり大津を都市再生推進法人に指定した理由とあわせて答弁を求めます。
 
 次に、大津駅前商店街再生整備事業の推進に向けた取り組みについて質問いたします。大津市は中心市街地活性化基本計画において、大津の玄関口でもある大津駅前商店街の再生を図り、中心市街地全体の回遊性を促す動線としての機能を発揮するため、アーケード改修などの施設整備を行うことを大津駅前商店街再生整備事業に位置づけましたが、事業着手に係る合意形成に至らず、未実施となってしまいました。大津駅前商店街、寺町通りを通って旧大津公会堂から湖岸に向かう経路の活性化は今後も継続して取り組むべき重要な課題であり、ジュネーブという都市の名称を冠した構想の具現化に取り組む大津市ですが、大津駅前商店街には魅力あるお店が集積しており、地域に根づいた事業者の支援に取り組むことは持続可能なまちのにぎわいの創出につながると考えます。
 国に提出された認定中心市街地活性化基本計画の最終フォローアップに関する報告によると、今後も事業主体において事業実施に係る協議を行い、事業の方向性を検討していくと明記されていますが、具体的にどういった方針のもとで検討を行っていくつもりなのか。また、合意形成に至らなかった理由として、大津駅前都市改造関連施設整備基金の処分のあり方が上げられますが、条例においては、大津駅前の都市改造に係る駐車場等商業振興施設整備事業の経費財源に充てる場合に限り処分することができると定められています。基金が設置されてから40年近くが経過しようとしていることを踏まえ、改めてどういった経費の財源に充てることがJR大津駅前のまちづくりにとってふさわしいのか、大津駅前商店街とも協議を重ねながら、改めて検討を開始することについて大津市の見解を求めます。

答弁:未来まちづくり部長 

 
 1点目の都市再生推進法人の指定についてでありますが、都市再生推進法人は、まちづくりの新たな担い手として行政の補完的機能を担う団体であります。本市は本年2月に株式会社まちづくり大津を都市再生推進法人として指定を行いました。この指定後、都市再生推進法人としてのメリットを生かし、中心市街地におけるシェアサイクル事業を実施されているところであります。今後もまちづくり活動の主体としての役割を期待しております。

 2点目のびわ湖大津まちづくり会議についてでありますが、当会議は本年4月に大津市中心市街地活性化協議会を継承し設立され、これまでの豊富な経験や実績を生かし、設立目的である中心市街地周辺のにぎわい創出に向け、さらに取り組みを進めていただけるものと考えております。また、本市は、まちづくり大津が当会議とも連携され、まちづくりの活動主体を担っていただくため、都市再生推進法人に指定いたしました。本市の役割は、これまでも中心市街地活性化協議会とともに官民連携によるまちづくりを進めてまいりましたが、今後も引き続き、びわ湖大津まちづくり会議及びまちづくり大津との意見交換や助言をはじめ、にぎわい創出に向けた取り組みをともに行い、市民、事業者及び行政が連携したまちづくりを進めていくことであると考えております。

 

答弁:産業観光部長

 

 大津駅前商店街再生整備事業の推進に向けた取り組みについてのうち、1点目の事業の方向性の検討についてでありますが、大津駅前商店街再生整備事業は中心市街地活性化基本計画における事業の一つであり、大津駅前商店街の再生を図り、中心市街地全体の回遊性を促す動線としての機能を発揮することを目的として、大津駅前商店街振興組合が事業主体となり、アーケード改修等の施設整備の実施をするものでありましたが、組合内で事業実施の合意が得られなかったため、未実施のまま今日に至っております。
 議員お述べのとおり、大津駅前商店街は最近、魅力ある新しい店舗が開店するなど、今後さらに魅力のある商業地として再生されていく可能性があります。そのためには、大津駅前商店街振興組合が一体となり、大津の玄関口にある商店街としての再生や中心市街地全体の回遊性向上にもつながる活性化を目的として、自ら主体的に取り組まれることが必要であると考えております。

 次に、2点目の大津駅前都市改造関連施設整備基金について、どういった経費の財源に充てることがふさわしいのかの検討についてでありますが、同基金は、条例に基づき、大津駅前の都市改造に係る駐車場等商業振興施設整備事業に活用するための基金であります。商店街を取り巻く環境につきましては、社会構造や商業環境の変化に伴い大きく変化しており、今後持続可能なまちのにぎわいの場となる商店街の活性化を果たすため、当該基金の活用方法について検討してまいります。

再質問

 
 まず、未来まちづくり部長に伺います。私、このように問わせていただきました。そもそも大津市は、自らも出資して設立された株式会社まちづくり大津が大津市の中心部、ひいては大津市を活性化させる上においてどのような役割を担うことを期待しているのか。このままでは都市再生推進法人に指定されるも、その効果はまちづくりの成果として十分に発揮されないと考えますと。行政の補完的役割、制度的にそういう法人です。加えて、官民連携によるまちづくりを行う上において、主体性を持って活動してほしいといった期待も述べられました。
 初問でも述べさせていただいたつもりなのですが、今、主体性を持っていただける前提がちゃんと整っているのかなと。大津市として十分にそのことについて留意いただいて、心配っていただいているのかなと危惧を抱き、まちの方からもそういうお声をいただいております。
 その上でお伺いしますが、これまで中心市街地活性化協議会、法定協議会として大津市も主体的に関わってこられました。年度末に開催をされました中心市街地活性化協議会の資料が公表されていますので、事前に確認をしたのですが、これからどうしていくという議論をされるときに、皆さん認識を共有されて新年度を迎えられているのですが、その前提がちょっと今違っていっているのかなと。都市再生推進法人としての主体性につながっていかなければ、効果的な官民連携は図れないと思うのですが、この点どのように考えられて、今後さらなる取り組みを大津市としてされていかれるつもりなのか、改めてお伺いします。

 続きまして、産業観光部長にお伺いさせていただきます。前向きに答弁いただけたとの認識を持たせていただきました。産業観光部長からも、自ら主体性を持ってというお話をいただきました。官民連携という前提でおっしゃっていただき、条例の見直しを行っていただこうとしたときに、先ほどの未来まちづくり部長の答弁にも関わってくるのですが、しっかりと地域の方々、今回大津市においてはさまざまな会議体、特に株式会社まちづくり大津のもとに置いていただいたびわ湖大津まちづくり会議等もございますので、そこでしっかりと御議論いただいて、どういったありようが望まれるのだということをしっかりとまち全体として共有いただいた上で方向づけいただくことが本来望ましいと考えるところです。そうでないと、よく大津市からはデザインという言葉を聞くのですが、本来は都市再生推進法人が中心となって中心部全体のデザインを考えていただいて、その上で、このエリアについてはこういった事業に取り組んでいただこう、このエリアについてはこういった事業を中心的にやっていただいたらどうだというような先導をいただき、整備計画に生かしていただくというのが本来の制度の趣旨だと思うのですが、何かそのことが十分にまだ実感できていませんので、今の気づきを踏まえて改めて答弁求めます。

答弁:未来まちづくり部長

 
 まちづくり大津の主体性と大津市の関わりについてでありますが、まず平成20年に中心市街地活性化計画の第1期、それとそれに合わせまして株式会社まちづくり大津が設立されました。その後、第2期の計画まで、いわゆる平成29年まで約10年間、この中心市街地活性化のためにまちづくり大津はさまざまな事業を行っていただいたと、そういう実績がございます。例えばその中では、なぎさのテラスの運営とか、旧大津公会堂の運営とか、本当に今までの中心市街地活性化事業の柱というか、そうしたことを担ってきていただいたと。それが平成29年に中心市街地活性化の法律上の計画が一応終了したので、そこで、先ほどから御答弁申し上げていました都市再生特別措置法に基づく法人として指定させていただいたと。まちづくり大津の定款自体のさまざまなまちづくりの項目が十いくつございますし、都市再生推進法人もその業務内容はさまざまな目的があります。やはり今中心市街地活性化が終わりまして、これからまさにジュネーブ構想とか宿場町構想とかありますが、さらにこれから歴史的風致維持向上計画など、より宿場町構想を例えばもっと強化させるような、そういう計画を立てていったときに、当然まちづくり大津が主体となっていただく、そうしたことを非常に我々は期待しているところです。

 いかに、どうして主体性を持っていただけるというのは、今までの実績があれだけありますので、それをさらに法人としての法律的な位置づけをしていただいたわけで、そこをより、先ほど言いました約款とか、さまざまな業務がありますので、そこと宿場町構想とかジュネーブ構想、さらには、1年でまちづくりというのは当然できませんので、10年、20年を見据えたそういう計画を立てていただきたいと、そのように考えております。また、大津市とすれば、それに対しての支援や連携をこれからしていきたいと、そのように考えております。
 

答弁:産業観光部長


 先ほど議員おっしゃられた主体ということについてなんですが、駅前商店街の活性化といいますのは、中心市街地活性化基本計画の中で1期、2期とも事業主体は大津駅前商店街振興組合というふうになっております。ですので、もちろんおっしゃるとおり、大津駅から浜大津というこの動線というのは非常に重要な動線でありますし、中心市街地の中でやっぱり流れを促す動線でもあります。ですので、そういったところをもちましてその事業をしていただきたいのですが、今のところは止まったままであるということですので、この機会にまた地元に入って、振興組合さんと活性化や事業の継続性などを協議してまいりたいなと思っています。
 それともう一点、基金の話なのですが、基金につきましても、条例だけを見ていますと使い道は多岐にわたれるのかという見方はできるのですが、これもともとの基金のもとは大津市駅前商店街に対してのという前提がありますので、その辺は大津駅前商店街振興組合等のコンセンサスを得ながら、中心市街地活性化に寄与できるような使い方をこれから検討してまいりたいと思います。

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