大地震発生時に指定避難所の開設可否を速やかに判断するために必要となる平常時の取り組みについて( R5. 6)
質問
令和5年6月5日と6日の両日、大津市危機・防災対策課主催による「避難所担当員研修」が長等小学校体育館にて開催されました。所属する公益社団法人滋賀県建築士会大津地区委員会ならびに同湖西滋賀地区委員会は大津市と避難所施設を対象とした応急危険度判定業務(セーフティチェック)に関して協定書を締結しており、私自身も被災建築物応急危険度判定士の一人として、研修に参加をしました。
大地震発生時、小中学校体育館を避難所として開設するにあたり、まずもって、施設管理者または避難所担当員を務められる市職員が安全確認を行い、判断がつかなかった場合においては、災害対策本部の意思決定のもと、建設部建築課からの依頼に基づき、同判定士が派遣されることになります。これまでの間、この研修は避難所担当員とセーフティチェックに登録されている同判定士を対象に実施されてきましたが、今年度は小中学校の体育館を管理される教職員も参加をされました。
内閣府は「大規模地震発生直後における施設管理者等による建物の緊急点検に係る指針」を公表しています。事前準備の重要性を記した記述を引用させていただきます。「建築の専門知識を有しない建物管理者等は、一般に、安全確認を行う箇所、安全確認を行う際の基準等を熟知しておらず、事前の情報なしに建物の安全確認を行うことは不可能である。事前にカルテを作成し、建物の構造等を知ることにより、ひび割れや損傷など構造躯体の被害を調査すべき箇所を事前に把握することが可能となる。また、平常時のひびわれや建物のゆがみ等を知っておくことで、大規模地震による損傷と区別することができ、地震による建物の被害状況をより正確に判断することができることになる。」引用は以上となります。
現在、大津市は小中学校体育館を対象とした建築基準法第12条に基づく定期点検の結果を防災倉庫に格納されており、大地震発生時には当該図書を参考にして安全を確認することが想定されています。しかしながら、より円滑に避難所開設の可否を判断するのであれば、内閣府も推奨する避難所施設毎のカルテ作成と適宜の更新が必要になると考えます。
大津市においてはこれまでの間、建築士会と連携を図りながら避難所施設被害状況チェックリストの更新、また、避難所開設を想定した防災訓練の実施に取り組まれてきました。これらの実績を踏まえ、災害対応力のさらなる強化を図る観点から、施設管理者と避難所担当員、そして、初動支所班の班長を務められる支所長などの参画を得ながら、指定避難所を対象として、避難所施設毎にカルテを作成されることを提言するものです。今後の取り組み方針について見解を求めます。
答弁:危機管理監
災害対応力のさらなる強化を図るため、避難所施設ごとにカルテを作成することについてでありますが、議員お述べの通り、現在運用しております建築基準法に基づく点検結果の活用に変え、内閣府が推奨する必要な情報をさらに整理したカルテを用いることで、建築の専門知識を有しない施設管理者等にとって、避難所開設の可否の判断がより容易になることが期待できるものと認識をいたしております。
今後、カルテに掲載すべき内容やその効果的、効率的な作成、更新の手法、また使用に係る研修等を含む運用方法につきまして、避難所を所管する関係部局等と協議をし、検討をしてまいります。
再質問
施設ごとのカルテを策定される方針、前提のもとで、具体的に検討を進めていかれると認識をさせていただいてよかったのでしょうか。その確認だけさせてください。
答弁:危機管理監
施設ごとのカルテについて作成していくのかというお尋ねでございます。避難所施設につきましては多数ございますことから、例えば、モデルケース等を作成にあたって検証し、そして、どのような形で全体的に円滑な進め方ができるのかということを検証しながら、最終的には、各施設ごとのカルテを作成するというところにもって行きたいと考えております。