大地震の発生を想定した復興事前準備の推進に向けた取り組みについて( R5. 9)
質問
平時から災害が発生した際のことを想定し、どのような被害が発生しても対応できるよう、復興に資するソフト的対策を事前に準備しておくことを復興事前準備といいます。国土交通省が平成30年7月に策定した「復興まちづくりのための事前準備ガイドライン」においては、復興事前準備の取組内容として、①復興まちづくりにおいて、どのような体制で、どの部署が主体となって進めていくのかを明確に決めておく「復興体制の事前検討」②どのような対応が、どのような時期に生じるのかを把握、整理し、どのような手順で実施していくのかを決めておく「復興手順の事前検討」③職員が復興まちづくりへの理解と知識を得るための、復興訓練を実施する「復興訓練の実施」④どのような基礎データがあるのかを確認し、まちの課題を分析、また、不足データの追加・充実、継続的な更新等、基礎データを整備する「基礎データの事前整理、分析」⑤市町村での被害想定とまちの課題をもとに、被災後の復興まちづくりの目標と実施方針を検討する「復興における目標等の事前検討」の5つが重要とされています。国土交通省は先に申し述べた事前準備における5つの取り組み内容を踏まえ、令和4年7月末時点における全国の都道府県及び市区町村における復興事前準備の取り組み状況を公表しています。大津市における回答は、復興体制の事前検討については「検討済み」、復興手順の事前検討、復興訓練の実施、復興における目標等の事前検討は「検討していない」、基礎データの事前整理、分析については「検討段階」というものでした。
当該ガイドラインが策定された直後の平成30年11月通常会議、私は静岡県富士市が策定されている「富士市事前都市復興計画」についての調査結果を踏まえ、事前復興計画の策定をテーマに質疑・一般質問を行いました。その際、大規模地震発生に備えた災害対応力の強化を図るため、大津市においても国が示す指針や他都市の取り組みを参考にしながら、復興事前準備に取り組む必要性について理解と認識を深め、そのうえで、業務継続計画や災害時受援計画との整合を図りながら、事前復興計画を策定されるべきと提言しました。当時、大津市からは、策定の意義については評価されながらも、事前復興計画を策定している自治体が全国的に少ないことなどから、今後、他都市の取り組み状況を把握するよう努めていくといった趣旨の答弁がなされています。
令和4年度、大津市議会総務常任委員会は大津市災害等対策基本条例の検証をテーマとして所管事務調査を実施しており、運用の改善を図るべき事項として、国が定める「復興まちづくりのための事前準備ガイドライン」を踏まえた取組が必要であると考えることから、本市においても復興に関する施策として、復興事前準備に資する取組を実施するよう、大津市長に求めました。これを受けて令和5年2月8日、大津市長から大津市議会議長に対して、大津市災害等対策基本条例検証結果報告書に係る対応状況(方針)調書が提出されました。この中で示された対応方針は、災害復旧・復興計画については、その体制や手順等を大津市地域防災計画において定めていることを踏まえ、復興まちづくりを早期かつ的確に行うため、事前に被災後の復興まちづくりを考えながら準備しておく復興事前準備の取組を進めておくことは重要と考えることから、「復興まちづくりのための事前準備ガイドライン」を踏まえ、他の自治体の取組事例なども参考にしながら、まずは「復興事前準備」の進め方について、研究していくとされています。
令和5年7月18日、国土交通省は復興事前準備の取組みのうち、特に、復興まちづくりの目標・実施方針を検討し、事前復興まちづくり計画を検討・策定することに焦点をあてた「事前復興まちづくり計画検討のためのガイドライン」を公表しました。大津市は同ガイドラインにおいて、「近年の大規模災害の切迫性等を鑑みると、災害の発生に備え、復興体制と復興手順に止まらず、復興まちづくりの目標や実施方針等、被災地の状況に即した検討に着手することが、地方公共団体に求められている」と記されていることを重く受け止めるべきと考えます。国が示すこれらガイドラインを踏まえ、大津市版の事前復興まちづくり計画を策定されるべきとあらためて提言します。大津市は今後、どの様な方針のもとで復興事前準備に取り組んでいかれるつもりなのか。事前復興まちづくり計画の必要性に対する認識とあわせて答弁を求めます。
答弁:都市計画部長
大地震の発生を想定した復興事前準備の推進に向けた取り組みについてのうち、今後、どの様な方針のもとで復興事前準備に取り組んでいくのかについてでありますが、災害が発生した場合には、早期の復興まちづくりが強く求められ、復興まちづくりを早期かつ的確に行うため、事前に被災後の復興まちづくりを考えながら準備しておく「復興事前準備」の取り組みを進めていくことは重要であると考えております。こうした観点からこれまで、本市では防災・減災対策の視点で都市公園や都市計画道路の整備、老朽木造住宅密集地の解消に向けた大津駅西第一地区土地区画整理事業、木造住宅の耐震診断、耐震化の支援などの取り組みを進めてまいりました。その上で、復興事前準備の取り組みについては、庁内の関係課と情報収集や意見交換等を行っており、今後は国のガイドラインに基づき、まずは想定される地震や浸水被害についての確認を行うなど、本市の実情に沿った取組内容や優先して検討する区域について研究を深めてまいります。
再質問
初問に対する答弁で、優先して検討されていかれる区域について研究されていくという方針を示されました。事前復興まちづくり計画の策定を視野に入れ、想定されながら研究されていかれるとの認識でよかったのでしょうか。もう少し詳しく答弁いただければと思います。
答弁:都市計画部長
事前復興まちづくり計画の必要性についての質問であったと思います。平成4年12月に国土交通省がまとめられた「復興事前準備の主流化に向けた取り組み事例集」において、復興事前準備につきましては、地域防災計画や都市計画マスタープランなど法定計画を活用して位置付けられている自治体も多くございます。まずは事前準備に着手させていただき、その過程の中で事前復興まちづくり計画の必要性等も検討していきたいと考えております。