土地利用について( H19. 9)
質 問 |
議員となって約4カ月、建築士ということもあって、マンション建設に関してさまざまな御意見や御質問を伺った。その中でも多かったのが、「なぜあんな場所に建つのか」や、「なぜ大規模なのに開発許可が要らないのか」など、土地利用のあり方に関するものであった。建築基準法第6条に基づく建築確認申請とは、特定行政庁などが行う許認可とは異なり、これから建てようとする建築物等が建築基準法令と関係する法令の条文に適合するかを確認する作業にすぎず、建築主事に裁量権はない。ここで言う関係法令とは、都市計画法、消防法、水道法、下水道法、宅地造成等規制法など限られたもので、土地利用に関するすべての法律に対し、適合を確認するものではない。
ただし、実施される事業が都市計画法第29条の開発行為に該当する場合には、事業に関係する法律、条例等の遵守は、関係各課との事前協議で約束され、開発許可を取得せねば確認申請を提出することすらできない。市街化区域で敷地面積が1,000㎡以上である場合、申請者にとって開発行為に該当するかは大きな関心事となる。地目、土地区画形質の変更は伴うのか、また関係する法律や帰属すべき公共施設が何であるのか、事業用地購入金額にも影響してくることから、プロジェクトに先立ち、必ず調査される。
この点、同じ事前協議でも、大津市の生活環境の保全と増進に関する条例に基づく中高層申請で実施された場合、法的な位置づけが異なる。生環条例第20条に、「当該特定事業の実施の際に環境に配慮する事項に関し、あらかじめ市長と協議しなければならない」とあり、担当課は行政指導の範囲内で条例の遵守を懸命に促され、従っていただけない場合には勧告を行っている。
周辺環境に対する配慮を求めている点については、開発申請も中高層申請もともに共通しており、本市の良好な土地利用を促進していく上で欠かせない制度である。
しかしながら、ここ数年、市街地近郊においても土地利用の流動化が進み、生活道路の整備がなされていない区域にまでマンションが建ち始めるようになった。
国土利用計画法第2条には、「国土の利用は、国土が現在及び将来における国民のための限られた資源であるとともに、生活及び生産を通ずる諸活動の共通基盤であることに鑑み、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的条件に配慮して、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図ることを基本理念として行うものとする」とあり、第4次大津市国土利用計画でもこれを受け、「成熟社会における持続可能な土地利用の促進」を新たな理念として加えている。現時点における土地利用の状況等を総合的に評価すると、本市が掲げる理念になじまないマンション分譲がますます増加すると予測される。住民参加や土地利用調整などを柱とする条例がない中で、どのような策を持ってこの問題に取り組んでいくのか、大津市土地利用問題協議会の位置づけとあわせ、見解を問う。
答弁:都市計画部長 |
住民参加や土地利用調整に係る取り組みについては、現行制度の地区計画をはじめ、建築協定や緑地協定、さらには古都大津の風格ある景観をつくる基本計画に基づき、地域住民の皆様に参加いただき、合意形成を図りながら、ルールづくりに取り組んでいる。
土地利用問題協議会においては、公共事業をはじめ、民間の開発等に際し、無秩序な都市化を防止し、都市機能の発展を促進するため、特に重要であると判断される開発行為等について、市としての土地利用の総合的な調整と判断を行っている。今後とも、だれもが住みたい、また住み続けたくなるようなまちづくりを目指し、適正な土地利用が図られるよう努めていく。