古都にふさわしい景観の保全と創造に向けた取り組みについて( H24. 6)
質 問 (景観行政のあり方について) |
平成16年4月、古都大津の風格ある景観をつくる基本条例が施行された。前年の10月には全国10番目の古都として政令指定を受けており、条例を所管する組織の名称も、都市景観室から古都景観室に変更されている。平成17年度からは、景観行政団体として都市景観課を設置され、滋賀県から屋外広告物事務の移譲を受けて以降は、屋外広告物除却ボランティア、大津まちなかスッキリ士隊を発足されるなど、中核市大津市を代表する施策を展開されてきた。また、平成20年度には市街地の高度利用のあり方検討委員会を設置され、近江新八景ルールの提言に基づき、市街化区域の9割以上を範囲とする高度地区の拡充を実現されるなど、都市景観課は古都にふさわしい景観の保全と創造に大きな役割を果たしてこられた。来年度大津市は古都として政令指定を受けてから10年目の記念すべき年を迎えるが、都市計画課に都市景観課が統合された意義を踏まえ、今後どういった姿勢で景観行政に取り組んでいかれるつもりなのか、見解を問う。
答弁:都市計画部長 |
本市は平成15年に古都指定を受け、来年度に10周年を迎える。平成14年に都市景観室が設置されて以来、この10年間で古都保存法、景観法、屋外広告物法、そして風致地区を含む都市計画法等の法令制度の充実により本市の景観施策の方向性が定まり、次の段階への移行の時期を迎えていると認識をしている。このような背景の中、4月に都市景観課と都市計画課を統合することになった。もともと景観は都市計画の一部門でもあり、その所管の規制や誘導が大きく関係をしていることから、統合することにより景観施策をより効果的に進めることができ、また事務の処理や関連する窓口を一本化することで、市民や事業者の方々にとって利便性の向上が図れるものと考えている。今後は、景観づくり重点推進地区における地区計画及び景観協定に向けた取り組みや屋外広告物の除却に関する市民ボランティア活動の拡充など、景観づくりへのさらなる啓発活動を積極的に推進するとともに、古都大津の景観形成に向けなお一層進めていきたいと考えている。
質 問 (高さ規制を強化する上での手法について) |
市長はマニフェストにおいて、琵琶湖をはじめとした自然環境、歴史、文化を次世代へと受け継いでいくことを課題の一つとされ、大津を取り巻く豊かな自然環境の保全、歴史的風土の保存に取り組むとされた。この中で、琵琶湖の景観を基本としたまちづくり、湖岸の高さの高さ規制強化を具体的な取り組み項目として上げられたが、建築物の高さ規制については、市街地の高度利用のあり方検討委員会から、近江新八景ルールの提言を受け、平成23年1月に商業系及び工業系用途地域を含めた第7種までの高度地区が指定されている。
用途地域や容積率の区分に応じて高度地区を指定されている基本地域をさらに見直し、優れた歴史資源など地域の特徴、特性に重点を置いた個別地区を新たに設けて高さ規制を強化するのであれば、対象地区内における住民、事業者との理念の共有は必要不可欠であり、行政が一方的に先導して行えるものではないと考える。市長マニフェストに係るロードマップによると、任期中に実現可能な項目と位置づけられているが、今後どういった手法で高さ規制の強化に取り組んでいかれるのかを問う。
答弁:都市計画部長 |
議員お述べのとおり、高度地区については、平成23年1月に拡充を行ったところである。この高度地区の拡充に際しては、30回にわたる懇話会を開催し、延べ約250名の市民や各種団体の方々の意見を伺った。さらに、10回に及ぶ委員会の検討を経て、市民への十分な周知により都市計画の決定に至っていることから、この仕組みと経過は非常に重いものであると受け止めている。このことから、マニフェストにある湖岸の高さ規制の強化については、このような背景を十分認識の上で進めていかなければならないと考えている。マニフェストのロードマップにも示したように、今年度においては、自然的湖岸を中心に保全すべき地域を把握するとともに、景観審議会に専門委員会を立ち上げ、また古都指定10周年となる来年度には素案づくりを目指していきたいと考えている。 また、新たな高さ規制の導入には、市民の皆様や各種団体の方々の十分な理解が必要なことから、景観審議会での審議をはじめ、幅広く意見をいただく機会を持つことが大切である。今後ともよりよい景観を守り育てるために、市民及び事業者とともに施策を推進してまいりたいと考えている。
質 問 (近江八景及び旧東海道でつながる草津市と連携したまちづくりについて) |
両市関係部課においては、平成22年度から景観やまちづくりをテーマとした会議を継続して開催され、平成24年2月定例会においては、連携を強化する新たな組織づくりを進めていきたいとの考えを明らかにされた。両市が共有すべき理念については、かけがえのない宝である琵琶湖と街道でつながる景観や町並みを両市民が認識をし、魅力ある景観づくりをできるよう一体となって取り組み、近江八景という歴史景観を後世に引き継いでいくことであると示されたが、答弁にあった両市長による会談や市民団体とのさらなる協働などを通じて理念が実現されていくことに期待をするものである。今年度草津市には新たに景観課が設置されたが、今後どういった方針のもと、両市の連携を強化する新たな組織づくりに取り組んでいかれるのかを問う。
答弁:都市計画部長 |
草津市との連携については、平成22年度より両市関係部局による景観連絡会議を立ち上げ、この5月末にも第4回目の会議を開催したところである。会議では、景観施策の取り組み状況など、両市が互いの情報を共有し、連携のあり方等について協議を重ねてきた。今後は近江八景に代表される琵琶湖の景観、また旧東海道でつながる歴史的なまち並み景観、さらには幹線道路における屋外広告物等、まず連携する具体的項目を両市で確認し、その上で組織づくりに努めてまいりたいと考えている。また、広く市民に周知するためには、両市長による対談、市民や事業者等による啓発活動についても、両市で連携して取り組んでいく予定であると考えている。