古都にふさわしい景観について( H20. 2)

質 問

 この1年を振り返ると、湖岸などの高層マンション建設集中に端を発し、商業系用途地域等における高度利用のあり方をさらに検討することの必要性は、さまざまな機会を通じて議論され、広く市民の知るところとなった。古都にふさわしい景観づくりに対する気運は盛り上がりを見せ、100年先を見据えたまちづくりが今、始まろうとしている。古都指定5周年という節目の年を迎えた本年、国土交通省の社会資本整備審議会は、今後の古都保存行政のあり方はいかにあるべきかについて答申をまとめた。転換期を迎えつつある古都保存行政であるが、全国10番目の古都として、大津市が果たすべき使命に変わりはなく、歴史的風土、歴史的風致の保全、継承をこれからも積極的に行っていく上で、大切だと考える2点について質問。

 1点目は、景観学習について。景観法施行後、総合の時間などを活用し、景観学習を実施する自治体が増えており、高知市では小中学校を対象とし、高知工科大学との協働により実施されていた。

 まち歩きを通じて、自分たちが住むまちのよいところや悪いところを発見してもらい、ワークショップ形式で大規模な景観図をつくろうとする授業で、多くの児童が景観について考えるよい機会になっていると伺った。本市においても、優れた景観を守り、育み、創造し、そしてそれらを次代に引き継いでいくことを使命とされ、市民とともに数多くの事業を実施されている。その中でも、累計で1,300点近くの応募があった「きらッと大津景観絵画展」は、多くの子どもたちが、古都の景観や風景について考えるよいきっかけとなっており、入賞作品を題材としたブックカバーを製作し、多くの書店で書籍販売時に活用いただくなど、三者協働による景観学習を展開されている点、高く評価している。

 景観十年、風景百年、風土千年と言われるように、美しいまち並みの形成には長い時間がかかる。次代を担う子どもたちを対象に、景観学習のあり方について現時点での評価と、今後の取り組みに対する所見を問う。

 2点目は、景観重要建造物について。大津市景観計画では、古都大津を代表する各地域の歴史的、文化的な蓄積を今に伝え、地域における景観形成のよりどころとなっている景観資源として、市民の共通認識が得られる歴史的建造物、近代建造物及び工作物を対象に、景観重要建造物の指定を行うとし、地域別の指定方針を定めている。
 また、各地域においては、地域の景観を特徴づける建物を中心に実施計画を策定するなどし、地域住民などの共通認識のもとで、景観重要建造物に指定することが望ましい対象を抽出、その指定に努めるとあり、同様の趣旨のもとで方針が定められている景観重要樹木とあわせ、重点的な保存、活用に向けた取り組みが期待されている。都心景観地域に当たる大津、膳所都心地区においては、江戸期の港町として栄えた大津の歴史的まち並みを構成する主要な景観要素となる建造物、明治以降に建設された大津の顔を形成する近代的な建造物、歴史的建築様式を今に伝える町家が対象となっており、これらの指定は、中心市街地活性化の一助になり得ると考える。

 また、市街地景観地域である堅田、雄琴地区、旧東海道沿道地区においても、回遊の動機づけ、交流人口の増加に寄与するものであり、指定によって、地域固有の景観についての住民理解が深まるものと考えますが、今後の景観重要建造物の指定について、その可能性を問う。

答弁:都市計画部長

 景観学習については、これまで啓発事業として、景観絵画展やスケッチ教室、さらにはまち並み散策や湖上からの景観探訪などを開催し、毎年、多くの子どもたちの参加を得ているところでもある。これらは、次代を担う子どもたちが、本市の美しい風景を大切にする心を育み、景観への興味や関心を抱く動機づけとなり、将来の大津の景観づくりにつながっていくものであると考えている。今後においても、教育機関と連携を密にしながら、良好な景観づくりの担い手として成長することを期待し、現行のメニューのほかに、景観シミュレーションによる学習や現地の見学のほか、出前講座など、さまざまな啓発事業を積極的に行いたいと考えている。

 また、景観法に基づく景観重要建造物や樹木の指定については、現在、先行的に堅田地区と坂本地区の景観形成実施計画の中で、地元との協議を進めているが、外観の変更などに制限が伴うため、維持管理の課題等を含め、さまざまな観点から慎重に検討し、議員お述べの景観施策への住民理解や、活性化の一助となるよう、進めたいと考えている。

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