参与の選任とカイゼン・プロジェクトの設置について( H26. 9)

質 問

 大津市においては、特別職である参与に就任された山本公営企業管理者をリーダーとする(仮称)カイゼン・プロジェクトの設置が予定されている。なお、平成26年8月20日、山本公営企業管理者は大津市長から、「大津市の特定の経営上の課題に対する助言・指導に関する参与の業務を嘱託する。ただし非常勤とし、平成27年3月31日までとする。無給とする。」という辞令を交付されているが、特別職としての位置づけは地方公務員法第3条第3項第3号における「嘱託員」としてのものであり、「参与」としてのものではない。このプロジェクト会議が所掌することになる定型的・専門的業務の民間委託の推進及び新たな人事制度の導入と総人件費改革の推進については、これまで2名の大学教授を行政改革アドバイザーとして招聘し、計4回に渡って協議が行われてきたが、なぜ、「カイゼン・プロジェクト」なる組織を立ち上げることが取り組みを強化することにつながるのか。これまで行政改革アドバイザーが果たされてきた役割と助言に対する評価を踏まえて答弁を求める。
 2点目、カイゼン・プロジェクトを構成する委員及び事務局員の人選について。本年8月26日に行政改革アドバイザー会議が開催された時点においては、自らが選任した参与をリーダーとする会議であるにも関わらず、市長は委員としてプロジェクトに参加する意向を示されていた。そうであるならば、執行機関である市長自らがリーダーに就任するべきでないかと違和感を覚えていたところ、質問通告日の前日になって、市長は委員から外れるとの報告を行政改革推進課から受けた。市政運営の推進に大きな影響を与えるプロジェクトであると認識しているが、委員及び事務局員の人選はどういう過程を踏まえて行われたのか。この度の委員変更を契機として、執行部内における意思決定のあり方をあらためて見直してはと考えるが、本市の見解を伺う。
 3点目、部局長から寄せられた意見の反映について。ケアセンターおおつ及び大津市公設地方卸売市場のあり方検討、大津市営住宅石山団地再生事業や東部学校給食共同調理場移転新築事業については、山本参与の関係事業と位置づけられている。今後、市長との協議を踏まえながら様々な立場で指導・助言を行っていくことになると理解しているが、去る4月10日に当時の茂呂副市長名で行われた、春季主要事業ヒアリングの実施等にかかる部局長意見においては、組織の意思決定や指示・伝達の方法、行政改革の推進、トップの姿勢等について多くの懸念が寄せられており、庁内において合意形成を図るためには、これらの意見を踏まえて取り組みを進めるべきと考える。大津市長は各部局長から寄せられた意見をどの様に受け止め、市政運営に反映されようとしているのか、見解を伺う。
 4点目、規程等の整備について。大津市においては、特別職である嘱託職員の参与を選任する場合の規程等は整備されておらず、最高経営責任者補佐官を意味する「CEO補佐官」という通称についても、世間一般的に通用している名前とは思えない。一体、どの様な効果を期待してこの様な通称とされたのか、私には理解が出来ない。この度、大津市長から嘱託された参与の業務は、本市の政策形成に大きな影響を与えるものであり、その役割や参加すべき庁議についても、あらためて明確にすべきと考えるが、本市の見解を伺う。 

答弁:市長

 茂呂前副市長から春季主要事業ヒアリングの実施等に係る部局長意見について結果報告をいただいたが、疑問点などもあることから、そのまま全てを受け止めて実施に移すことはできないものと考えている。しかし、職員の思いをしっかりと受け止め、職員の話を聞いて協議する時間をとることは非常に大切なことだと認識していることから、このほど伊藤副市長とも協議をし、各部局長に対して二役からのヒアリングを行うことを検討している。その中で、是非とも前向きで建設的な議論をしていきたいと考えている。 

答弁:総務部長

 まず初めに、カイゼン・プロジェクトを設置する目的についてであるが、本市では、この4月より2名の行政改革アドバイザーを選任し、定型的、専門的業務の民間委託の推進及び新たな人事制度の導入と総人件費改革の推進について、有効な助言、指導をいただきながら、これまで4回の協議を行ってきた。両アドバイザーには、民間委託の先進地視察に同行いただくとともに、本市の状況を踏まえた上で的確なアドバイスをいただいており、現段階でそれぞれの取り組みが着実に進んでいるものと評価している。
 カイゼン・プロジェクトについては、その取り組みをより一層推進するため、山本参与をリーダーとして、総務部及び関係部局により組織することとしたものである。本プロジェクトにおいて、山本参与には民間経験を生かした強力なプロジェクトの推進役を、行政改革アドバイザーにはこれまで同様それぞれの専門分野において学識経験者として高度かつ専門的な観点から指導、助言をいただくものであり、両者の相乗効果により、これまで進捗が困難であった二つの取り組みをより一層効果的に進めることができると考えている。
 次に、委員及び事務局員の人選についてであるが、プロジェクトの所管部局である総務部行政改革推進課において立案し、部内及び二役との協議を経て行っている。なお、この人選については、案の段階であることから、今後、関係者の意見を踏まえて最終的に決定していく。
 また、執行部内の意思決定のあり方についてであるが、今後とも関係者の意見を十分に伺いながら決定していきたいと考えている。
 次に、規定等の整備についてであるが、ここで言う参与については、地方公務員法第3条第3項第3号に規定される特別職としての権限と責任を有する参与ではなく、一般的な相談を受ける者という意味での参与であり、勤務形態としては非常勤嘱託職員の取り扱いとしている。したがって、通常の非常勤嘱託職員と同様、雇用内申書により雇用するものであり、選任に当たっての規定を整備する必要はないと考えている。
 また、参与の役割や参加すべき庁議についてであるが、本市の特定の経営上の課題に対してのみ指導、助言を行うこととしている。 

再 問

 まず1点目、カイゼン・プロジェクトなる組織を立ち上げられた点について。行政改革の担当の課にも確認をしたが、行政改革アドバイザー会議を継続して、今も答弁があったが、一定の成果も見えてきたということだと思う。そうであるならば、現時点では案というふうに述べられているが、その会議に山本参与と総務部長が入り、膝を突き合わせて議論されたほうが、私はいいのかなと思う。
 その理由であるが、このたび設置が予定されているカイゼン・プロジェクトについては、行政改革アドバイザーの方々は委員ではない。あくまでもアドバイザーという立場でおられる。担当課に色々聞いていると、やはりそうした忌憚のない意見交換がなされてきたことも一つの大きな意義であったと認識されており、私自身もそのように評価しているので、なぜ改めてカイゼン・プロジェクトを設置されて、参与にリーダーを務めていただかなければならないという判断をするに至ったのか、改めて確認する。
 2点目、委員の人選について。8月26日付の資料をいただいたが、8月26日付で市長が委員になっていたので、これはどういうことであるかと話をしたところ、「通告日の前日になったら委員を外れます」というような答えがあった。ちなみに、この8月26日という日は、行政改革アドバイザー会議が開催されている日であり、次回のカイゼン・プロジェクトの第1回目の会議の日程が確認された、という日である。内部でどういう人選がいいのかということで議論をされている段階ではいいのだが、少なくともアドバイザーの皆様にも「これでいきます」という人選を出されて、何か指摘があればかわっていただくというようなものではないと私は思う。その点は反省されるべきだと思うが、どうであろうか。
 3点目、市長に伺う。議場内の配付資料でも出した各部局長から寄せられた意見について。疑問点もあるということを述べられた。私も読んだが、大変忌憚のない、正直申し上げて、市長にとっては耳の痛い話もあったかもしれないが、やはりそれは受け止めるだけの度量を持っていただき、自身を振り返っていただくところはしっかり振り返って、今後の市政運営に生かしてもらう、そのことを切に願うものである。その上で、先ほど疑問点と述べられたが、どういう点に疑問を感じているのか、確認したい。
 4点目、改めて規定等の整備については必要ないという答弁であった。その根拠が、特定の経営上の課題に対してのみ相談に乗られる方だからということであるが、事務決裁規程にも明記されているが、副市長の基本的な職務権限の中に、副市長は市行政の重要政策の決定及び推進について市長を補佐し、部長を指揮監督し、及び調整するという明記もある。現時点では特定の経営上の課題ということで述べられているが、何もそれを書いたような規則もなければ規定もなく、当然施策、政策をまたぐような議論になるかもしれないので、私は何らかの形で明確にされるべきであると思う。また、当然のことであるが、山本公営企業管理者におかれては、本来の職務に専念する義務等もある。その点を踏まえて答弁願う。 

答弁:市長

 疑問点という内容であるが、大きく3点あると思っている。
 1点目は、手続的なところであり、例えば、茂呂副市長がこの意見を聴取されたのは、私や伊藤副市長には何らの相談もなかったということで、その後、私のところに職員から、こういうやり方はおかしいのではないかという声が寄せられた。そこで、私も茂呂副市長にこういうやり方はおかしいという声も寄せられているので、他のやり方でやるべきではないかと申し上げたけれども、そのままこの手続をされたということである。であるので、やはりこういうやり方に疑問を持っている職員が、やめるべきだと言っている人がいる中で、このやり方を決行されたということは、やはりちょっとやり方としてはいびつなのではないかと。やはりなかなか茂呂副市長の前では逆に言いにくいことが言えないのではないかというような手続的な面である。
 また、特に大津市の中の独立した機関、教育委員会であるとか、また病院長であるとか、公営企業管理者であるとか、そういうところについて、やはりそのところの責任者の意見が尊重されるべきだと、その機関の自立性が尊重されるべきだと思っているが、そういう方々には意見を聞いていないということがある。こういうまず手続的なところが1点である。
 2点目が、背景的なところである。これは例えば、この中で書かれていることでも、誤解があるのではないかとか、十分理解がされていないのではないかとか、またどういう背景でそういう意見を述べたのかというところは、むしろ私も是非伺いたいと思っているので、そういう背景的なところである。
 3点目が、今後の具体的な進め方ということで、そこが一番重要だと思っている。やはり今後具体的に大津市としてより良い行政を行って、それを市民の皆様に還元していくためには、具体的にどうしていくかということである。その部分について、話をして、皆さんと協議し、合意していかないと進められないというところが多々あると思うので、特に今後の具体的な提言、建設的な議論ということで、伊藤副市長とヒアリングする中で皆さんの意見を伺い、より良い行政執行をしていきたいと思っている。 

答弁:総務部長

 1点目、なぜカイゼン・プロジェクトを設置したのか、またその中で参与を承認させたのかという点である。
 まずは、参与の就任についてであるが、大津市として、やはり民間の視点を生かした経営の視点で、様々な現在の事業を見直していくということが今必要になってきている。その中で、山本公営企業管理者は、着任以来、民間での経験を生かされて経営改善に鋭意取り組まれ、この5月からは企業局の経営改革プロジェクト会議、プロジェクトKを発足され、経営基盤の構築に積極的に取り組んでいる。そういう状況の中で、このような取り組みを市としての民間の視点を生かした経営の見直しの課題に生かしていく、そういうことの必要性から山本公営企業管理者に参与に就任いただくのが適当であると、そのように判断を市長としてされたわけである。公営企業管理者の職につきながら、一方で助言とは言いながら、市長部局のそういう指導、助言をするという立場を明確にするという意味で、非常勤嘱託職員の辞令を交付したということである。
 そういう状況の中で、山本参与が、行政改革推進課が推進する二つの課題、定型的、専門的業務の民間委託の推進及び新たな人事制度の導入と総人件費改革の推進、これを横断的に情報共有しながら進捗させていく。そういう仕組みとして、現在は行政改革アドバイザーの指導、助言をいただきながら個々進めてきたわけであるが、それを一体的に情報共有しながら一層推進する。そのための仕組みとしてカイゼン・プロジェクトを設置し、進めていくことが適切であると、そのように判断したところである。
 2点目、人選の件である。人選については、議員指摘のように、8月26日の行革アドバイザー会議の席において、カイゼン・プロジェクトとして示した委員リストの中に市長も入っていた。そのことについては、もともとこのカイゼン・プロジェクトについては、市長として非常に関心が高く、やはり積極的に進められたいという思いの中で、可能な限り参画をしたいという意向もあったという背景もあり、当初市長の参画を前提としたわけであるが、その後山本参与の就任ということも受けて、その状態の中でリストがそのままになっていたということもある。もともと山本参与は市長の意を受けて、そのプロジェクトをリーダーとして推進するという役であるから、そういう意味で議員が述べるように、役割を明確にすべきということ等を考え、議員に指摘もいただいた中で、常時参加する委員としては市長の氏名を削除したという経過である。
 先ほど反省すべきという指摘であるが、確かにそういう形の当初案でありながら、二役の議論の中でそういう整理を一旦したことについては、その辺の議論が私として不十分であったということは指摘のとおりと考えており、今後しっかりとした整理がされるようにしていくように反省していきたいと考えている。
 それから、3点目、参与の明確な規定をすべきではないかということである。これについては、権限、責任を持たない職であると、そのように申し上げた。規定としては、大津市職員の職の設置に関する規則、それが相当のものと考えている。職分について、権限と責任を有するものについては、それを明確にするために規則がある。一方、申し上げたように、山本参与については、権限、責任を持たない助言、指導という立場であるので、この規則の中で明示するという必要はない、そのように考えている。 

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