医療機器購入における契約事務のあり方について( H23. 2)

質問:見積提出が契約に及ぼす影響について

 医師から医療用機器購入申請書の提出が院長にあった場合、市民病院経理課は、当該医療機器を対象に見積もり徴取を行っているが、院内に依頼文書を張り出し、相手を限定せずに見積書とカタログの提出を求めるもので、医療機器卸売業者等から提出がなかった場合については、製造会社もしくは系列の販売会社に直接依頼をしている。

 平成20年度から平成22年12月末日までに執行された入札のうち、見積もり提出業者が指名された入札を対象に調査を行ったところ、買い入れの対象となっている医療機器の製造会社が辞退した3件を除く59件のうち、見積もり提出業者が契約の相手方となった件数は57件、率にすると約97%という結果であった。医療機器選定部会によって購入する機種が正式に決定した場合、見積価格を参考に請負査定価格が決定され、事務決裁規定に基づく決裁権者が予定価格を設定し、指名競争入札が執行されるが、任意での見積もり提出が契約に至る大きな要因になっているのではないか。

 医療機器卸売業者などから提出された見積の提出件数は9割以上が1件でる。特定の指名業者に有利な前提で入札が執行されているのではないかと考え、大津市民病院の見解を問う。

答弁:市民病院長

   医療機器の購入に際しては、当初、その概算額を把握するため、まず業者から見積もりを徴取し、この金額をもとに過去の購入実績などを加味して予定価格を決定し、その後、指名競争入札を行っている。そのうち、最初に行う見積もり徴取は、市民病院内の掲示板に掲示し、取引業者に対して公正・公平に依頼している。

 また、入札においても、常に登録業者を概ね10社指名することで競争性を確保している。しかしながら、医療機器の販売形態には代理店方式が多いことから、結果として当初の参考見積もり提出業者が契約者となる場合も多くなるが、特定の指名業者に有利な前提で入札が執行されているとは考えていない。

 

入札結果に対する評価について

質 問

   平成20年度から平成22年末日までに執行された入札76件を対象に調査を行ったところ、契約価格が予定価格の100%であった件数は26件、99%以上100%未満であった件数は32件という結果であった。不調により随意契約となった場合を含め、入札が実施されたうちの4回に3回は予定価格の99%以上の価格で契約がなされており、残りの件数についても大半が予定価格の95%以上で契約されていた。競争の原理が働いてこその指名競争入札と考えるが、大津市民病院はこの結果をどのように評価されているのか、見解を問う。

答弁:市民病院長

 医療機器の値引きは、診療分野やメーカー、機種により大きく変動することから、あらかじめ見積もりを徴取して実勢価格の把握に努めている。入札の予定価格については、あらかじめ徴取した見積額をもとに、過去の購入実績などを考慮して設定していることから、契約額との差が小さくなる傾向にあると考えている。

 入札における業者数も10年ほど余り前には数社であったが、現在では常に概ね10社を指名している。また、市民病院ホームページ上で入札結果を公表するなどして、さらに競争性や透明性を高めるために取り組んでいる。 

再 問

 大津市民病院は医療機器を購入するにあたって、どういった効果を期待して指名競争入札を実施されているのか。入札の結果を踏まえ、競争性は働いているという認識でいるのか、見解を問う。

答弁:市民病院長

 医療機器と言っても、高額医療機器から小さな小物の機器までいろいろ幅がある。その効果というものは一概にどれとは言えないが、やはり一番重要な最終の目標というのは、他の病院から見ても優れた医療機器を優れた医師のもとで患者様によりよい、質のよい医療を提供するということが最終目的であるので、その効果につきましては病院の経営、あるいはコストの削減等を鑑みながら最良の機械を買うということを目標としている。

再々問

 大津市民病院は医療機器を購入するにあたって、指名競争入札という手法を採用いるが、競争性は働いているという認識でいるのか。

答弁:市民病院長

  本市自体が地方自治法施行令のもとに指名競争入札制度を行っているので、市民病院においても指名競争入札を行っている。滋賀県内における同等の公立病院の実態も調査をしながら、本市の医療機器の購入の状況も鑑みながらやっているが、他の病院に比して本病院自体の透明性が劣っているということはなく、公平に行っていると考えている。

 

医療機器の整備更新について

質 問

  市民病院長は医療機器の購入計画を立案するため、年度当初に医療機器購入計画書の提出を各所属長に依頼している。新規、増設、更新のいずれも対象になるとしているが、措置されている購入費用は予算編成の段階で必要とされた医療機器費用の積み上げによるものであり、故障など緊急の場合を除き、当該医療機器の購入が優先されるべきであると考える。大津市民病院行革プランによると、計画的に必要な医療機器の整備、更新を図り、医療機能の維持、向上を図るとされているが、大津市民病院はこれにどう取り組んでいるのか、見解を問う。 

答弁:市民病院長

  毎年医療機器購入に充てる予算額は、病院経営の全体の視点から必要額を定めている。そのうち、高度医療を担う大型の医療機器については財政負担も大きいことから、新年度予算の編成時に院内での十分な協議を重ね、最新の医療が提供できるよう、計画的な導入を図っている。その他の個々の診療科の医療機器については、改めて年度当初にその必要性、緊急性などを考慮し、その年度に購入するべきものの順位づけを行い、患者様に安心して受診いただけるよう、整備に努めている。 

再 問

 先日配付された大津市包括外部監査報告書には、医療機器の使用状況については適正に管理がされていないという指摘があった。大津市民病院はどういう形で必要な医療機器の整備、更新を計画的に図っているのか。

答弁:市民病院長

 昨年4月に院長に着任後、ある診療科においては10年以上診療機器が更新できていないというようなものもある中で、安全性という意味と医療の質の担保という意味での緊急性、必要性に関しましては、昨年から診療科ごとに希望、ヒアリング、アンケート等々を行い、その実態を把握している。昨年度の実績では、診療科からの要望額はすべて聞き入れると約10億円に達するので、本院の経営状況と診療機器の更新というものは必ずしもパラレルに物事が動かない難しい現状の中で最優先度を位置づけして、順位を決めて患者様に安心していただける医療の提供に鋭意努力している。医療機器の点検等々については、本院の臨床工学部を中心に機器の点検管理を行っている。

再々問

  医療機器購入の最優先順位を予算編成の段階で決めることが、どういった理由で困難であるのか。予算の枠が決定した後の段階において、どういう医療機器が必要かと計画書を求めるのであれば、予算編成の段階で計画的に行うことはできないのか。

答弁:市民病院長

  医療機器は、最新のものであればあるほど、より高度な医療が提供できる。一定のレベルで使えるものについては、保守点検あるいは修理を行うことにより、年々その安全性を担保しながら使っている。数年前より各診療科から何回も申請が出ているものについての順位づけも行っており、病院の経営、各診療科あるいは患者様のニーズ、すべてを総合して行っている。

 

医療機器選定に至るまでの経緯について

質 問

  買い入れの対象となっている医療機器製造会社が請負査定価格の根拠となる見積もりを事前に提出し、入札に指名され、契約に至った事例について質問する。入札の対象となった超音波診断装置5台の定価は、合計で税込み4億5,644万2,350円であったが、製造会社から提示のあった見積金額は、定価の約7%以下に当たる3,150万円であった。

 請負査定価格及び予定価格が同額で設定され、事前に見積もりを提出された超音波診断装置製造会社が2,940万円で落札したが、医療機器選定部会に先立ち提出される医療用機器購入申請書に必要とされる定価証明書がいずれも添付をされていなかった。

 複数の診療科が仕様の異なる超音波診断装置を必要としていたことから、申請に先立ち経理課がまとめて定価を証明する見積書を徴収したが、定価の記載に誤りのある申請書が存在するなど、手続に問題があったと考える。

 年度当初に医療機器購入計画書が提出された段階においては、別会社が製造する超音波診断装置の購入を希望されていたが、医療機器選定部会が開催されるまでの期間にどういった調整が図られ、機種の選定に至ったのか。

答弁:市民病院長

 平成21年度末に購入した超音波診断装置についてであるが、年度当初、すべての診療科に購入希望を尋ねたところ、超音波診断装置を複数の診療科が希望しており、しかも、その機種もまちまちであった。病院内で協議した結果、医療の質を担保するため、腹部、体表、乳腺、甲状腺、循環器、さらには婦人科のそれぞれの用途に応じた最高グレードの機種を購入することを前提とし、複数科での機器の共用及びメーカーの統一を図ることとした。そこで、メーカー数社の最上位機種のデモンストレーションを実際に実施して、機器の性能比較などを行った。その結果、2社に絞ることができ、さらには医療機器選定部会の審議により、1社での機器決定に至った。

 

消化器内視鏡センターの整備について

質 問

  消化器内視鏡センターの整備については、大津市民病院改革プランにおける計画期間中の主な取り組みに掲げられ、平成22年8月に別館を増築して開設された。病院改革プラン実行計画表が策定された平成21年度の時点において、購入、リース等、医療機器導入方法の検討が課題となっていたが、大津市民病院はどういった形で課題の解決を図ってきたのか。 

答弁:市民病院長

  消化器内視鏡センターの医療機器整備については、購入機器は約3,000万円で、残りはリース契約を主体とし、総額約2億7,000万円となった。大半をリース契約とした理由は、購入した場合には起債の元金償還期間の4年で返済するので、年当たりおよそ6,000万円の費用が必要となる。これに比べまして、リースでは5年契約となることから、年当たりおよそ4,800万円の費用の負担となる。したがって、単年度の負担の少ないリースを主体とする方式により導入を行った。 

質 問

  病院改革プラン実行計画表における平成22年以降の計画の中で、医療材料の円滑な供給と医療機器の的確な管理が取り組み内容として掲げられている。現在、大津市民病院はこれにどういった形で取り組んでいるのか、見解を問う。 

答弁:市民病院長

  病院内で使用する医療材料については、物品一元管理システムSPDを採用しており、共通で頻繁に使用するものについては病院内で保管、供給し、診療科ごとに異なるものについては経理課が発注、直接納品している。消化器内視鏡センターの医療材料についても、他の部署と全く同様に遅滞なく必要数量が供給できるように体制づくりを進めてきた。

また、医療機器については、導入後1年間はメーカー保証があるが、今後は使用頻度や整備状況を踏まえてメンテナンスなどを検討しながら、常に機器を適正稼働できるように維持管理に努める。 

 

医療機器の適正な買入れのあり方について

質 問

  医療機器は買い入れる機種が特定されることなどから、大津市民病院は入札を実施する上において透明性のさらなる確保を目指し、公平・公正なものとなるよう主体的に努力する必要があると考える。いま一度適正な買い入れのあり方について医師を含めて議論し、改めて方針を明確にすべきと考えるが、見解を問う。 

答弁:市民病院長

  医療機器の買い入れに際しては、従来から競争性を確保しながら、公平・公正な執行に努めてきた。昨年秋からは病院のホームページで入札結果を公表するとともに、見積もり徴取、情報提供の依頼場所をより目に触れやすい掲示板に変更するなど、さらなる透明性、競争性を確保する取り組みを進めている。

 今後も、医師はもとより看護職、医療技術職、事務職で構成する職種横断的な協議の場である院内部会などにおいても議論を深め、引き続き、公平・公正な執行に努めたいと考えている。

再 問

  入札の執行に先立って事前に見積もり依頼書を徴取する、張り出し方を変えたとあったが、11月定例会の質問の際には、経理課の壁に張られていた。先日はそれが廊下に張り出されていた。経理課の壁に張り出している内容を廊下に場所を変えたところで透明性が高まったとは思えないし、廊下に見積依頼書が貼り出されていることを知る方は極めて少ないと考える。いわゆる常時、納入やメンテナンスで出入りする業者であれば、廊下に見積もり依頼書が張られている、見積もりを徴収、依頼されている、今現在、市民病院はどういった医療機器を必要としているという情報は得ることはできるが、出入りがなければ、医療機器の他メーカー、例えば事前に大津市に対して入札の指名願を出されて登録されている業者というのは知る余地がない。

 先ほど冒頭の1番目の質問で問うたが、見積を依頼し、提出されている件数は、ほとんど1社である。1社の見積に基づいて請負査定価格を決定され、予定価格を設定され、それで入札されている。先ほど、再三にわたって問うたが、4件のうち3件は大津市民病院が設定をした価格の99%以上で最終契約に至っているということで、病院長はそれでも競争の原理は働いていると答弁された。が、本来はもっと不特定多数の、少なくとも大津市民病院に対して医療機器を納入したいという意思を明確にされている医療機器のメーカー、業者に対してメールや文書で見積もりの依頼するのであれば理解できるが、経理課の壁に張っていたものを廊下に張ったから、それで透明性が高まったとは、到底思えない。この答弁を踏まえ、再度見解を問う。

答弁:市民病院長

   病院の機器購入等々に関しては、指名競争入札制ということと、登録業者、すなわち大津市指名競争入札有資格者という登録業者のもとで行われている制度のもとでは、特に医療機器に関しては代理店方式が主体であるという点と、その機器を購入することに関しては、病院の特殊性で一般の企業等で行われているものとは少し異なるという点を踏まえた上で、例えばホームページに掲載するとかという方法も考えられるが、多くはもう登録業者ということになっているので、今現在の方法でより登録業者に透明性を高めていくという方法の中での模索ということになる。本院のみならず他の病院も同じことで同じ問題を抱えている中で、さらなる透明性と公平性を期していくということで、今後も努力を続けていきたいと考える。 

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