化学物質過敏症対策の推進について( H21. 6)

質 問

 1973年のオイルショック以降、わが国においてもエネルギー消費に対する反省が始まり、省エネルギー対策として建物の断熱性強化、気密性向上、換気量の軽減化が図られてきたが、その結果、建材や家具から出るホルムアルデヒドに代表される揮発性有機化合物により、室内が空気汚染され、シックハウス症候群という人体への健康影響が懸念されるようになってきた。

 社団法人日本建築学会編集「シックハウス事典」によると、人は1日に約20㎏という大量の空気を体内に取り込み、有害化学物質がこれに含まれていた場合には、肺から直接血液に溶け込んで、人間の健康に悪影響を及ぼすことになる。

 化学物質過敏症とは、「かなり大量の化学物質に接した後、また微量な化学物質に長期に接触した後に、非常に微量な化学物質に再接触した場合に出てくる不愉快な症状」と定義されるのが一般的であり、人間の体には、有害物質に適応できる能力、すなわち化学物質許容量に限界があり、その関係はコップと注がれる水に例えられる。

 総負荷量が個人の限界を超えた場合、すなわちコップから化学物質という水があふれ出してしまった場合にその症状があらわれ、同一化学物質環境にいても発症する人としない人が生じるのは、人によってそのコップの大きさ、すなわち化学物質許容量に違いがあるからであり、私自身、その疾患に苦しんだ者の一人です。20代後半、日常生活に支障を来しかけた時期があり、東京の北里研究所病院で受診。当時、専門外来を設けている病院は日本でも限られており、遠方でしたが、私に選択の余地はなかった。自覚症状は人それぞれで、同じ日に受診した園児の保護者は、「無農薬野菜以外を口にすると吐き出してしまい、食べるものに困っています。」と悲痛な表情を浮かべておられた。

 診察エリアは完全に外気と遮断され、入室後は100%コットンの診察服に着がえて診察を待った。驚いたことに、待合室のテレビは電磁波が外に出ないよう、ダクト直結のガラスケースに入っており、パソコンにも同様の対策がとられていた。壁はすべて鋼板で、木製製品といえば無塗装の古ぼけた椅子だけだったように記憶している。私の場合、有機溶剤が含まれている商品は可能な限り使用しない、また有害な揮発性有機化合物の発生源にはできるだけ近寄らないことを心がけて生活をしているが、不意に吸い込んでしまい、今でも症状が出てしまうときがある。

 現在、大津市において、化学物質過敏症対策は健康保険部健康推進課が担当され、ホームページ上において、「化学物質過敏症のことはまだまだ知られていません。化学物質過敏症により体調不良で苦しんでおられる方や周囲の理解がないことで苦しんでおられる方がいます。より多くの方に化学物質過敏症について知っていただく必要があります。」と啓発されているが、今後、どのような形で具体的でわかりやすい情報の発信に努めていくのか。

 大津市総合計画にある、「自らの健康を自ら守ることを基本とした取り組み」につながるものと考え、本市の見解を問う。また、4月から中核市となり、大津市保健所が設置されたことで、今後はより専門的な見地からの取り組みが期待されるが、化学物質過敏症に対する市民からの問い合わせに対応できる相談窓口を保健所内に設置される考えはないか。

 新築時や改修時だけの対策では、シックハウス、シックスクールは防げず、化学物質過敏症については生活全般にわたる対策が必要になってくることから、大津市として何らかの指針を策定すべきとも考えるが、あわせて見解を問う。

答弁:健康保険部長

 化学物質過敏症は、建材や家庭用品などに含まれるホルムアルデヒドのような化学物質に過敏に反応し、体調不良や健康障害を引き起こすものとされ、少なからぬ人たちがこれに悩まされておられると聞き及んでいる。しかし、その発症のメカニズムなどについては、いまだ解明されていない部分も多く、また化学物質過敏症自体が社会的に広く知られているとは言いがたい状況にあることから、発症者の方々は、身体的苦痛だけでなく、情報不足による不安や周囲の理解不足による精神的苦痛を余儀なくされていると言われている。

 このことから本市としては、化学物質過敏症について市民の方々に正しく理解をしていただくための情報発信は大変重要であると考えており、今後、機会を捉えて、市ホームページや広報などを通じて情報提供に努めたいと考えている。また、発症者やその家族の方々の疑問や不安にお答えする相談窓口については、今後庁内調整をした上で、保健所に設置する方向で検討をしたいと考えている。

 次に、化学物質過敏症対策に係る何らかの指針の策定についてですが、まずは市内部において、この問題に関係する部署間での連携をとり、それぞれが持つ情報を集め、整理をし、共有することから始めていきたいと考えている。その上で、他の先進地事例なども参考にしながら、今後、大津市としての取り組むべき方向や内容について研究をしていきたいと考えている。

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