共生社会の実現推進に向けた取り組みについて( R3. 12)
質問
1点目、公共施設を利用する誰もが安心して駐車できる区画の増設について。令和3年11月8日、福祉子ども部障害福祉課所管のもと、大津市民会館・大津公民館を対象に公共施設バリアフリーチェックが実施をされました。この取り組みは、大津市差別解消支援地域協議会の構成団体参加のもとで行われており、私は、公益社団法人滋賀県建築士会大津地区委員会の一員として参加してまいりました。大津市においては、公共施設のバリアフリーチェックに取り組むことで、施設ごとの改良点や課題を抽出し、ソフト面での配慮、すなわち、合理的な配慮のあり方についてあわせて検討を行い、その結果を関係課で情報共有し、さらなるバリアフリーの推進に役立てるとの方針が示されています。これまでの間、生涯学習センター、北部地域文化センター、和邇文化センター、大津市立図書館、大津市歴史博物館、市民文化会館を対象に実施されてきましたが、この度のバリアフリーチェックにおいては、公共施設を利用する誰もが安心して駐車できる区画の必要性を再認識する機会となりました。
現在、大津市民会館・大津公民館においては、建物西側に「障害者専用駐車場」と壁面に表記された区画が存在するものの、本来あるべき区画線や国際シンボルマークが標示されておらず、施設利用者にとって大変分かりにくい状態にあります。また、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)やだれもが住みたくなる福祉滋賀のまちづくり条例の目的や趣旨を踏まえるのであれば、車椅子を利用される高齢者をはじめ、移動に配慮が必要な方が利用しやすい駐車区画をあわせて整備されるべきと考えます。大津市はこの度のバリアフリーチェックを契機として、ホームページ上における駐車場案内の表記を根本から見直されましたが、琵琶湖ホテルに隣接する同館駐車場を含め、駐車区画のあり方そのものを見直されるべきと提言するものです。
私はこれまでの間、質疑一般質問の機会を通じて、大津市においてもバリアフリーに配慮した駐車スペースの増設に取り組むべきと提言してきました。滋賀県においては、障害のある人や高齢者、妊産婦やけが人などの移動に配慮が必要な方が使いやすい駐車の仕組みとして「滋賀県車いす使用者等用駐車場利用証制度」が導入されており、車椅子優先区画とは別に「思いやり区画」を設けられる施設が増えてきています。大津市が設置する施設のうち、市役所本庁舎、やまびこ総合支援センター、北部ならびに東部子ども療育センターにおいて「思いやり区画」の整備がなされたことは評価するものの、共生社会の実現推進を図るため、移動に配慮が必要な方が使いやすい駐車区画のさらなる整備が望まれます。また、皇子が丘公園駐車場には「思いやりパーキング」が整備されています。指定管理者である公益財団法人大津市公園緑地協会が独自に整備された駐車区画ですが、体育館側の区画に標示がなされており、こうした取り組みが他の都市公園や運動施設においても広がることを願うものです。
大津市は今後、どの様な方針のもと、誰もが安心して利用できる公共施設の駐車場整備に取り組んでいくつもりなのか。この度のバリアフリーチェックで明らかになった課題認識と今後の対応策とあわせて答弁を求めます。また、大津市民会館においては、なぎさ公園周辺魅力向上プロジェクトにおいて、建て替えも視野に入れた検討が進められていると認識していますが、新たな施設整備の方向性が決定するまでバリアフリーの推進に資する対応は図られないのでしょうか。
2点目、ユニバーサルデザインに配慮した皇子が丘公園の整備について。私はこれまでの間、皇子が丘公園における大型遊具が更新時期を迎えていたことを踏まえ、新たに設置される遊具については、誰もが安心して利用できる遊具となるよう、更新にあたってはユニバーサルデザインに配慮されるべきと提言を重ねてきました。平成29年6月時点において、大津市から示された方針は、現在、第4次緑の基本計画の策定を進めていることから、子育て支援の観点やユニバーサルデザインに配慮した大型複合遊具の設置について、大津市緑の基本計画審議会委員の意見を伺いながら、検討を進めていくとのものでした。既存の大型遊具は修繕が困難と判断され、一部を除いて撤去されましたが、その後、新たに設置された遊具については、当面の間、暫定的に設置されたものと認識しています。
大津市は令和3年6月通常会議における質疑一般質問の答弁において、公園利用者のニーズが多様化していることや、大型複合遊具を整備し維持管理していくためには、多額の経費を要することなどから設置の計画はないこと、また、今後とも大型複合遊具にかかわらず、施設整備を含む公園整備の検討においては、市民の皆様の御意見等も踏まえて、また整備する公園の利用目的やニーズを明確にした上で検討していきたいとの見解を示されましたが、具体的にどのような検討をなされていかれるのか、あらためて方針を示されるべきと考えます。大津市は第4次大津市緑の基本計画における地域別計画において、公園のバリアフリーとユニバーサルデザインをテーマとしたコラムを掲載しており、このなかでユニバーサルデザインの公園整備を進めていると明記しています。そのうえで、障害のある方や障害のある子どもたちの保護者、支援者の皆さんに公園で遊ぶときに困っていることや希望などを伺われ、その結果を紹介されています。このうち、遊具に関する意見を一部、引用させていただきます。
『ほとんどのブランコは、車いす利用者には使えないが、ハーフバケットブランコであれば使える。』『車いすに対応した遊具は、障害のない子どもも楽しむことができる。ユニバーサルデザインの遊具は、障害に関係なく同じものをみんなで遊ぶことができるので良い。』
この他、公園で遊ぶことについて、ユニバーサルデザインの遊具などでの遊びを通じて自主性が育まれるとの意見も寄せられています。大津市は第4次大津市緑の基本計画で紹介されたユニバーサルデザインに配慮した遊具に関する市民意見をどの様な取り組みのもとで公園の施設整備に反映させていくつもりなのか、見解を求めます。
皇子が丘公園については、遊具のあり方のみならず、屋内プール棟においては必要な耐震性が確保されていないなど、都市公園として多くの課題を抱えています。現在、大津市においてはなぎさ公園周辺魅力向上プロジェクトに取り組まれていますが、およそ16haの面積を有する皇子が丘公園のあり方についても、将来を見据えたビジョンを示され、そのうえで計画的に都市公園としての魅力を高められるべきと考えます。第4次大津市緑の基本計画に基づき、今年で開設60年目を迎える皇子が丘公園全体のグランドデザインを示されることについて、大津市の見解を求めます。
3点目、ユニバーサルデザイン2020行動計画の実現に向けた取り組みについて。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、ユニバーサルデザイン2020行動計画が国によって策定されました。心のバリアフリーを推進することによって、共生社会を実現するための方針が示されており、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うこととの重要性が記されています。
令和元年9月通常会議において、当時の大津市長からは、本市においても、職員向けに心のバリアフリー研修の検討など、ユニバーサルデザイン2020行動計画の趣旨に沿って、自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションをとる力を養い、支え合える環境づくりに努めていくとの見解が示されました。大津市においては新型コロナウイルス感染症対策を最優先課題とされてきたこともあり、この時点で想定されていた取り組みや活動は十分実施いただけなかったものと推察いたしますが、これまでの取り組み成果と今後の活動方針について、あらためて見解を求めます。
また、同通常会議において、当時の教育長からは、パラリンピックを一つの契機とし、人々の生活や心において障害者という区切りがなくなるいわゆる心のバリアフリーの視点を大切にしながら、今後さらに障害の有無に関わらず、一人ひとりの違いや価値を認め、多様性を尊重する心の教育に努めていかれるとの見解を示されました。ユニバーサルデザイン2020評価会議の総括でも述べられていますが、大津市教育委員会は新しい学習指導要領を踏まえた小中学校における心のバリアフリーに関する授業をどの様な方針のもとで実施されていくつもりなのか。教職員に対する研修状況とその評価とあわせて答弁を求めます。
答弁:福祉子ども部長
1項目めの、公共施設を利用する誰もが安心して駐車できる区画の増設についてのうち、1点目の公共施設の駐車場整備についてでありますが、この度のバリアフリーチェックにおいて、大津市民会館・大津公民館建物西側駐車場に区画線や国際シンボルマークが無く、利用者に分かりづらい状況であることや、車椅子を利用される人をはじめとした、移動に配慮が必要な方が利用しやすい駐車スペースが整備されていないという結果となりました。
移動に配慮が必要な方の外出を支援し、誰もが安心して暮らしていけるまちを実現するため、全ての公共施設にバリアフリーに配慮した駐車スペースを確保することが課題であると考えます。
この度のバリアフリーチェックの結果はもとより、これまでの実施した施設の結果や課題についても、本市全体で共有し、既存の公共施設についてバリアフリーに配慮した駐車スペースの確保等に積極的に取り組んでまいります。
3項目めのユニバーサルデザイン2020行動計画の実現に向けた取り組みについてのうち、1点目のこれまでの取り組み成果と今後の活動方針についてでありますが、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、本市においても共生社会の実現に向けた取組を行う好機でありましたが、この時期には新型コロナウイルス感染症対策を最優先に取り組んだため、残念ながら十分な成果をあげられたとは言えません。本市としましては、現在、新規採用時の職員研修において「心のバリアフリー」理解に関する研修を行っておりますが、新規採用職員のみならず、職員全体を対象とした研修を検討し、ユニバーサルデザイン2020行動計画の趣旨に沿った、自分とは異なる特性を持つ多様な他者とのコミュニケーションを取る力を養い、支え合える環境づくりを引き続き進めてまいります。
答弁:市民部長
2点目の、大津市民会館において、新たな施設整備の方向性が決定するまで、バリアフリーの推進に資する対応は図られないのか、についてでありますが、当該施設については、「大津市バリアフリー基本構想」に基づき、昨年度に、「視覚障害者誘導ブロック」及び「触知図案内板」の設置を行ったところであります。
また、今回の「公共施設バリアフリーチェック」の実施結果を踏まえ、「移動に配慮が必要な方」が利用できるよう、駐車場の「案内表示の見直し」や「区画線の設置」など、可能なことから、引き続きバリアフリー化を進めて参りたいと考えております。
なお、当該施設においては、高齢者や障害者等への適切なサポートを行うために、サービス介助士の資格を持った、指定管理者職員を配置するなど、誰もが利用しやすい施設運営に努めているところであります。
答弁:都市計画部長
2点目の、ユニバーサルデザインに配慮した皇子が丘公園の整備についてのうち、1つ目の、第4次大津市緑の基本計画で紹介された、ユニバーサルデザインに配慮した遊具に関する市民意見を、どの様な取り組みのもとで公園の施設整備に反映させるか、についてでありますが、現在、皇子が丘公園では、本年度に実施しております体育館のフロア改修や、温水プールのボイラー改修など、既存施設の長寿命化事業を最優先事項として取り組んでいるところであります。
今後も、弓道場やテニスコートなどの既存運動施設の改修や、園路や園内に設置している橋梁の改修なども、継続的に実施していくことが必要であり、多額の経費もかさんでくることから、現時点においては、ユニバーサルデザインに配慮した遊具の整備までは困難であります。
2つ目の、皇子が丘公園全体のグランドデザインを示すことについてでありますが、第4次大津市緑の基本計画には、全体の基本方針や施策、地区別の方針などは記しておりますが、個々の公園に関する具体的な取り組みや方針は、定めておりません。
今後市民に親しまれる公園を維持していくためには、各公園の特性や、それぞれ異なる利用者ニーズを踏まえた個別の方針などが必要であると考えており、令和6年度末に実施する予定の現計画の中間見直しに合わせて、皇子が丘公園のあり方など個別方針の策定について研究をしてまいります。
答弁:教育長
3項目目の、ユニバーサルデザイン2020行動計画の実現に向けた取り組みについてのうち、2点目の小中学校における心のバリアフリーに関する授業についてでありますが、これまでより学校では、障害の有無に関わらず、一人ひとりの違いや価値を認め、多様性を尊重する心の教育を目指し、福祉や人権に関する学習、道徳科を中心に授業を行っております。今後は、さらに障害者や高齢者との交流、関係部局との連携等を深め、より実感を伴った効果的な学習とすることが大切であると考えております。これらの学習を行うにあたっては、まず、教員の人権感覚を高めることが不可欠であることから、計画的に各学校の人権教育推進主任を対象とした研修を実施しており、受講した教員の感想から、これまで以上に人権教育の理念に対する理解を深められてきているものと評価しているところです。
今後は、教員が正しい認識のもとに教科等領域を超えた学校生活のあらゆる場面で人権教育を推進し、学習した子どもたちが、よりよい共生社会について考え、行動できるよう人権意識の高揚に努めてまいります。
再質問
ユニバーサルデザインに配慮した皇子が丘公園の整備について2点再質問します。
まず1点目。第4次大津市緑の基本計画で紹介されたユニバーサルデザインに配慮した遊具に関する市民意見をどのような取り組みのもとで公園の施設整備に反映されていかれるのかということについて。今後、公園全体の施設整備を行っていくにあたり、多額の予算を要することから、困難であるとの答弁であったと認識いたしました。大津市はユニバーサルデザインの公園整備を進めていくではなく、進めているとの前提のもとで緑の基本計画を策定されています。その上で、大津市は自ら、障害のある方も障害のない方も、同じ時間を同じように過ごし、同じ感覚を共有することのできる公園のあり方が期待されていると課題認識を示されています。
あらためて申し上げます。地域別計画においても、中部地域において、「都市公園などのマネジメントの強化と多機能化に関する課題」として、今から申し上げるような認識をされています。『市民の健康増進の場となる公園の活用や、スポーツ大会開催やユニバーサルデザインへの対応など、多様な利用者に即した公園の活用を図る必要があります。』
その上で、このような基本方針を掲げられています。「都市公園などのマネジメントの強化と多機能化」ということで、『市民等のレクリエーション活動や健康増進、利用促進に努めるため、皇子が丘公園などのあり方を検討するほか、スポーツの利用やユニバーサルデザインへの対応を促進します。』このように表記をされています。
あらためて引用させていただきましたが、他でもない、大津市が策定をされた緑の基本計画です。今申し上げた点を踏まえ、答弁を求めたいのですが、大型遊具、あらためて多額の予算を一括して投じていただいてといった趣旨で申し上げているのではないのですよ。今の遊具を活かされながら、なおかつ、他のスペースにユニバーサルデザインに配慮された遊具、計画的に一基ずつ増やしていかれるのも、市民ニーズにこたえられることにもなると思います。今申し上げた点を踏まえて、あらためて答弁いただけないでしょうか。
2点目は、グランドデザインについてです。先ほど申し上げましたが、緑の基本計画において、皇子が丘公園などのあり方を検討するっておっしゃってるじゃないですか。先ほどの答弁で中間見直しを見据えながら、研究していくとの答弁をいただきました。一体、何を研究されるんでしょうか。どのような趣旨で研究という答弁をされたのでしょうか。あらためて見解を求めます。
答弁:都市計画部長
再度の質問にお答えをいたします。公園の整備について、2点再問いただきました。ユニバーサルデザインの遊び場として、遊び場と言いますのは、あらゆる子どもが、遊びを通して、伸び伸びと成長し多様性への理解を深め、地域や社会と繋がりを広げていく、学びの場ということでは、重要な取り組みであることは認識をしております。本市が進めているユニバーサルデザインの公園整備といたしましては、最近では、若葉台公園において、多目的トイレ、手すり、点字ブロックなどを取り入れておりますし、また、大津駅前公園や近江神宮外苑公園など、新規に開設する公園などについても、誰もが利用しやすい公園整備に努めているところでございます。先ほど答弁させていただきました通り、第4次緑の基本計画においては、個々の公園の具体的な取り組みとか方針、また公園整備等に関する方向性というのは今、定められていないところでございます。このこともありまして、第4次緑の基本計画の中間年である、令和6年度の中間見直しに向けて、本市を代表する皇子が丘公園のあり方とか、グランドデザイン、また、各公園の市民ニーズなどについて、研究していくというような意味でございます。
2点目の研究という言い方はどういうことかと言いますと、6月市議会において、先ほど議員お述べになりましたけれど、公園利用者のニーズが多様化していることや大型遊具を整備し、維持していくためには多額の経費がいるということで、現時点で計画はないということで答弁させていただきました。そして、利用目的やニーズを明確にした上で検討していくとも答えております。ニーズの多様性といいますのは、都市公園法が制定されたときには、ブランコとかすべり台、砂場を設置することが義務づけられておりましたが、人々のライフスタイルが変容する中で、公園の利用者も多様化かつ高度化している状況にございます。
議員お述べのユニバーサルデザインに配慮した遊具の整備とか、遊びのバリエーションを組み合わせた複合遊具など、また、災害に役立つかまどベンチや防災トイレ、高齢者社会に対応した健康器具の設置なども要望されているところでありまして、また、安全安心への意識から遊び場での安全性とか防犯対策も公園に欠かせない要素となっております。このことから研究ということで、述べさせていただきました。
再々質問
大津市は緑の基本計画を策定されるにあたり、障害のある方や障害のある子どもたちの保護者、支援者の皆さまに、公園で遊ぶときに困っていることや希望などを伺われ、貴重なご意見をたくさんいただかれています。このご意見、大津市としてしっかり反映していく意思がおありだと受けとめさせていただいてよろしいのでしょうか。最後に聞かせてください。
答弁:都市計画部長
今、議員お述べの通りでございます。