公民館をコミュニティセンター化するまでに取り組むべき課題について( R1. 9)
質問
1点目、コミュニティセンターにおける使用許可について。近隣住民を対象とした公民館は、町内会等一定の地区の住民を対象とし、当該地区住民の社会教育的な活動あるいは自治活動の目的の用に供するために設ける建築物であることから、学校、図書館その他これらに類するものに該当すると位置付けられてきました。公の施設として、施設管理上必要な制限のみ設け、より自由に使える施設とすることを方針として掲げ、まちづくりという条例の目的に沿ったものであれば、営利目的の利用を可能にすると説明を受けてきましたが、都市計画における市街化区域・市街化調整区域の線引きや建築物自身の安全等に関わる単体規程等を踏まえ、事業の主催者はその対象や利用の頻度においてどういった制約を受けることになるのか。公共施設対策特別委員会において、コミュニティセンターの設置に伴う条例案を議会に提出する方針が示されたことを受け、これまでの間、独自に調査を深めてまいりましたが、これまで議会や市民に対して行われてきた内容とは異なる使用許可になるとの認識を持つに至りました。
大津市はこれまでの間、新たに可能となる使用例として、講演会、コンサート、著名人等の有料講座など参加費を徴収する事業や商品の展示・説明・販売等を含めていましたが、演劇や演芸、コンサート等においては、参加費を徴収することを認めるものの、主催は事業者を除く地域団体、利用者団体、その他団体に限定し、興行にあたるイベントについては、興行場法の取り扱いを踏まえ、その回数は4回以内に限られ、これを超える場合については、保健所の許可が必要となります。また商品の物販等については、講座でのテキスト販売やフリーマーケットを除き、主催が誰であっても、その対象が地域住民であっても、許可されることはありません。
執行部内における関係法令の検証は不十分であり、正しい認識を職員間で共有されないまま、市民説明会に臨まれています。コミュニティセンター化に伴うメリットが過大に伝わっていないかと危惧するものですが、大津市はこの事実をどのように受け止めているのか。コミュニティセンターにおける使用許可基準を市民に分かりやすく明確にする必要とあわせ、見解を求めます。
2点目、貸館業務を委託することの妥当性について。社会教育施設として公民館は廃止するものの、あらためて生涯学習専門員をコミュニティセンター移行後においても、一定期間、配置する方針を示されました。支所長を兼務するコミュニティセンター長を配置したうえ、生涯学習専門員を配置するパターンとしないパターンが想定されています。地方自治法は最少の経費で最大の効果を発揮することを定めていますが、生涯学習専門員を配置されながら、許認可を除く貸館業務(軽微な施設管理・広報誌作成・講座開設・利用者団体管理)を行政と地域が分担する必要性については、公共施設対策特別委員会においても、納得のいく答弁が得られませんでした。
大津市においては市内7学区で公民館自主運営モデル事業が実施されており、市職員と地域住民との間に指揮命令権が存在しないことについては、実績として問題ないと説明を受けましたが、そもそもこのモデル事業は指定管理者制度の導入を視野に入れた取り組みであり、課題抽出に対する対応策についてもこれかの検討課題が多いと認識しています。大津市長はこれまでの間、市民センター機能の見直しに伴う財政面での効果を強調されてきました。今年度からの体制見直しに伴い、不足する人員が充足されることについては賛同するものですが、一体、大津市長にとって、何を優先しての市民センター機能の見直しであったのか、素案作成からの検討を振り返り、釈然としない思いがしております。生涯学習専門員の配置を継続するか否かについては、当該コミュニティセンターが設置される地域の判断に一定委ねられると公共施設対策特別委員会で説明を受けましたが、どういった前提、根拠をもって地域の判断とすることを可能とするのか。市職員の配置を前提として貸館業務を委託することの必要性に対する評価とあわせて見解を求めます。
3点目、まちづくり協議会の位置づけについて。大津市においては、平成23年4月1日に「大津市『結の湖都』協働のまちづくり推進条例」が施行され、大津市総合計画基本構想に基づき、「大津市協働のまちづくり推進計画(第2期大津市協働推進計画)」が策定されていますが、現計画においてまちづく協議会の位置づけは明確なものとなっていません。第2期大津市協働推進計画については、大津市総合計画実行計画に合わせる形で次年度、検証と見直しが行われると認識していますが、まちづくり協議会を大津市のパートナーとしてどのような形で位置付ける方針なのか。明日都浜大津に設置されている市民活動センターが担う役割のあり方とあわせて見解を求めます。
答弁:市民部長
2項目めの公民館をコミュニティセンター化するまでに取り組むべき課題についてのうち、1点目のコミュニティセンターにおける使用許可基準についてでありますが、公民館のコミュニティセンター化のメリットの一つとして、これまでの生涯学習の場に加え、多様化するニーズに対応した住民にとってより使いやすい活動拠点となることを説明してまいりました。その検討過程において、他市での活用事例や本市の類似施設の状況などを調査し、関係各課とも協議を行ってまいりましたが、これまでの説明では、施設の用途を踏まえた使用許可の範囲について明確にお示しできておらず、議員御指摘のとおり、誤解を招いている可能性があると認識しております。そのため、議員お述べのとおり、今回整理した使用許可の範囲について、市民の皆様に明確にお示ししていく必要があると考えております。
次に、2点目の貸し館業務を委託することの妥当性についてでありますが、公民館のコミュニティセンター化と地域による自主運営に移行していくに当たり、地域で主体的な学びやまちづくり活動を担う体制が整うまでの間、生涯学習専門員を配置し、支援を行っていくものであります。地域の体制が整い、コミュニティセンターの自主運営に移行を希望される場合は、市と地域が協議し、運営のための組織や人員体制を確認した上で自主運営への移行を決定したいと考えており、生涯学習専門員の配置についてもその過程で決めてまいりたいと考えております。
また、コミュニティセンターを指定管理者制度による地域の運営へ移行していくに当たり、地域の体制を整えていくため、貸し館業務を含むコミュニティセンター業務の一部を地域に委託することが運営組織づくりや運営ノウハウの習得などの点からも必要であると考えております。
なお、地域に貸し館業務や広報紙の作成業務などのコミュニティセンター業務の一部を委託する場合、生涯学習専門員は委託業務以外の業務を担うこととなります。具体的には、人権学習を含む生涯学習の推進に取り組むほか、本庁担当課と連携してまちづくり協議会の設立支援や地域の人づくりの支援など、地域の主体的なまちづくり活動の支援にも取り組んでまいります。
次に、3点目のまちづくり協議会の位置づけについてでありますが、本市では大津市協働のまちづくり推進計画においてこれまで検討されてきた概ね小学校区単位における地域自治の仕組みについて引き続き検討を進め、地域自らが目指す姿の実現やさまざまな地域課題を解決する住民自治の力が発揮される組織づくりを目指しますとの考えのもと、新しい地域自治組織であるまちづくり協議会の設立に向けての支援を行ってまいりました。議員お述べのとおり、当該計画については、令和3年度に改定を行うため、主に施策、取り組みについて検証、見直しを行うこととしております。地域においては、まちづくり協議会の設立を進めていただいている学区もあることから、今回の計画の見直しに当たって、まちづくり協議会を三者協働によるまちづくりの担い手として明確にし、計画の中で位置づけてまいりたいと考えております。
また、まちづくり協議会の設立に際しては、協働を進めるための中間支援施設である市民活動センターがまちづくり協議会の活動や組織への支援を行うことができるよう、現在市民活動センターの機能の充実に取り組んでいるところであります。
再質問
どういった前提根拠を持って、生涯学習専門員の配置を地域の判断に委ねられるのかについてです。答弁の中で、市と地域が協議し、体制がどのような形で整っているのかを確認されながらいうことですが、おっしゃっておられる地域というのは、どのような主体を指すのですか。地方自治法に基づき、地域自治区というものを設定することが可能となっています。その自治区に基づく協議会的なものであれば、地方自治法に基づいて一定判断いただける組織として認めていただけると思いますが、大津市にはそういった協議会は存在していません。先ほど来、「地域」とおっしゃっていますが、一体何を意味されているのでしょうか。その地域と協議することによって生涯学習専門員を配置するか否かを決定することが可能であるとおっしゃるのであれば、法令上の根拠をお示し頂きたい。例えばどういうまちづくり協議会であればそれが可能なのかとか、そもそもまちづくり協議会というものが設置されなかった場合についてはどのように考えておられるのかというのが全く伝わってきませんので、明快に答弁求めます。
答弁:市民部長
まず、地域とはどういったところを言うのかということですが、今、現在私どもが考えております地域というのは、協働のまちづくりを推進するために共同体意識を持っている一定の区域というふうには考えております。大津市でいくと概ね学区かなというふうには考えております。そういった中で、生涯学習専門員の設置に当たってどういうふうな判定根拠をもってということですが、今現在、今回の公民館をコミュニティセンター化する目的の大きな一つとしては、地域のまちづくり活動、今申し上げた地域なのですが、まちづくり活動をするための拠点としたいと。そのまちづくり活動に当たっては、地域の主体的な学びをする場であるということを申し上げてきたと思います。将来的にはそれぞれの地域にまちづくり協議会ができて、コミュニティセンターを指定管理で担っていただくということを私たちは目指しているかというふうに思いますけれども、一足飛びにどこの学区もそういったことができるとは限らないと思っております。そのためにそれができるまでの間に生涯学習専門員を配置してそういった支援をしていきたいというふうに考えております。
例えば市の直営でコミュニティセンターを運営して生涯学習専門員がいるところから一定の期間まちづくり協議会をつくるための組織を学区がつくられて、コミュニティセンターの委託業務を担われるということになったときに、生涯学習専門員が要るか要らないかというところはそこが、今申し上げた組織というところが判断していただけるのかなというふうにも思っております。なので、必ずまちづくり協議会が判断されるとか、自治連合会が判断されるとか、そういったものではないというふうに思っておりますので、それぞれの学区の状況を見ながらどういった相手と話をしていくかというのは変わってくるのかなというふうには思っております。
再々質問
部長がおっしゃっておられる組織、団体というものが「まちづくり協議会」と呼ばれるものなのかは別にして、大津市はそういった前提を条例なり実行計画なりで明確に位置づけた上で、はじめてそのことが実現されるというふうに認識してよろしいでしょうか。この点確認させてください。
答弁:市民部長
まちづくり協議会につきましては、現在本市で新たな地域自治組織設立の手引きというものを作成して、これに基づいて地域の学区の皆さんにもまちづくり協議会の説明を行っているところであります。その中で一定まちづくり協議会の認定要件というのを定めております。例えば、概ね1小学校区を活動範囲とするとか、そういうことを定めております。議員がおっしゃっているように、今後まちづくり協議会をどのように位置づけていくのかなということですが、まず先ほど申し上げましたように、協働のまちづくり計画の中に位置づけて、一定全学区にまちづくり協議会ができて、ここのできたまちづくり協議会と大津市がどういう関係になっていくかという時点で条例にどうするかということを考えていくべきではないかなというふうには考えております。