公有地管理のあり方について( H21. 9)
質 問 |
公有地を適切にマネジメントするには、利用効率や資産価値等の情報を全庁的な取り組みの中で集約、共有化し、総合計画をはじめとする本市の各種計画との整合、連携を図りながら、不動産の量と質の適正化を図っていく必要があると考える。本市は公有地の管理を所管部門ごとに行なっているが、今後どのような方針でこれに取り組んでいかれるつもりなのか。目指すべき都市像を実現するためには、将来における行政需要の見通しなどを長期的な観点で分析、評価し、公有地という資産についても適切なマネジメントを通じて、その効率性を追求することが必要と考え、見解を伺う。
次に、公社保有地の利活用について質問。対象となる土地は、浜大津駅前A地区市街地整備関連用地です。平成16年2月、大津市は浜大津駅前A地区市街地整備関連用地事業に関係し、民間会社が区画整理の範囲外に保有していた用地857.72㎡の先行取得を1億9,727万5,600円で大津市土地開発公社に依頼、同年3月には大津市からの土地売買契約締結依頼書に基づき、民間会社と大津市土地開発公社との間で同金額による土地売買契約書が交わされた。場所は、平成18年3月にまとめられた大津市庁舎整備研究会報告書において、総合評価点が一番高かった候補地の県道側に面する場所であり、現在は雑種地のような形態で都市計画部市街地整備課が管理をされている。
なぜ大津市はその土地を必要としたのか、大津市長から大津市土地開発公社副理事長に提出された公共用地取得業務依頼書にある業務依頼の必要理由で明らかにされている。一部要約して申し上げると、「浜大津地区の良好な市街地整備を図るため、国道161号拡幅交差点改良を含む市街地整備を進めている。これに伴い、浜大津駅前A地区の滋賀県用地の取得が必要となるが、県河港課は金銭による譲渡でなく、今回公社に取得依頼をする用地との交換を条件としているため、同用地を今回取得し、滋賀県用地との交換を進め、事業の円滑な促進を図るものである」といった内容で取得をされている。
すなわち、大津市が主体となって実施する事業用地としてではなく、あくまでも滋賀県用地との交換に必要な用地の先行取得依頼であったが、平成19年2月、大津市土地開発公社は交換の対象となっていた滋賀県用地1,528.75㎡を2億3,410万円で大津市からの依頼により先行取得をされ、現在に至っている。
今年の8月、大津市土地開発公社は総務部財政課職員立ち会いのもと、公社保有資産の買い戻し予定等のヒアリングを実施され、この用地も対象となった。ちなみに、この用地の平成20年度末時点における簿価は2億472万2,058円であり、金利は取得時点から730万円を超え、今も累増し続けている。大津市はなぜ覚書に基づき土地開発公社から用地を買い取り、滋賀県用地と交換しなかったのか。行政目的がなくなった今となっては、再取得される見込みがなくなった土地と評価せざるを得ない。滋賀県との協議結果を踏まえた見解を問う。
現在、大津市において同用地を取得する行政目的はなく、その財源もないのが現状であるが、大津市中心市街地活性化基本計画において定められたエリア内にあり、遊休地として放置し続けることは好ましくない。恒久的な建物など建設しなくても、例えば市民団体やまちづくり会社が主体となって実施するイベント用地として継続的に活用されれば、旧大津公会堂から湖岸へ向かう人の流れを増加させ、にぎわいの創出にもつながる。また、付近に大津城が存在したにも関わらず、大津港駐車場付近に大津城跡と記された石碑があるのみで、市民、来訪者に対する情報の発信は不足しているのが現状である。関ヶ原の戦いの後、徳川家康が諸将を引見、とらわれの身となった石田三成を検分したのは大津城であり、大津市歴史博物館監修のもと、大津にまつわる戦国時代から江戸期にかけての歴史を屋外展示すれば、まちなかに回遊を促すきっかけになるとも考える。事例として私案を申し上げたが、大津市は今後この土地をどのようなビジョンのもとで活用されていかれるのか。再取得される見込みがなくなった遊休地であるが、この地にふさわしい新たな価値を創造されることを期待し、私からの質問とする。
答弁:総務部長(公有地の適切なマネジメントについて) |
本市では行政改革の一環として、平成16年度から未利用地の売却等について積極的に取り組んでいるところである。現在、こうした利活用に際しては、それぞれ所管部局での検討に加え、必要に応じて土地利用問題協議会や公有財産審議会において庁内的な調整を図っているところである。しかしながら、少子・高齢化、人口減少社会の到来による市民ニーズの変化や地方自治体の厳しい財政状況、さらには新たな公会計制度の導入や地方公共団体財政健全化法の施行など、公的不動産を取り巻く環境や制度にはさまざまな変化が起きている。こうしたことから、今日公有地の管理におきましては、公共、公益的な目的を踏まえつつ、財政的な視点も必要となってきており、既に市有財産に関する情報のシステム化や地理情報システムを利用した地番、道路、都市計画に関する規制等の各課が保有する情報の共有化に努めているが、今後は公有地の資産価値等のデータ整備も進めるなど、より適切な公有地管理に努めていく。
答弁:都市計画部長(公有地管理のあり方について) |
1点目、再取得される見込みがなくなった理由について。議員お述べのとおり、当該土地の取得理由は平成16年当時、浜大津駅前A地区土地区画整理事業の事業化を国道161号交差点改良とあわせて進める中で、施行計画区域内の滋賀県用地が新設区画道路等の用地として必要であったためである。また、区画整理事業が地権者の合意が得られない場合にも、国道拡幅は渋滞緩和等に必要な事業であり、その際に県有地が代替地として不可欠であった。しかしながら、県は売却には応じられず、唯一議員お尋ねの土地との交換なら応じるとの意向であったことから、平成16年3月に土地所有者から公社取得したものである。
一方、当該土地を取得しましたものの、土地区画整理事業の計画区域約1.2haのうち約半分の面積に当たる土地所有者が、平成17年3月にマンション建設等用地として売却されたことから、面積要件等により土地区画整理事業は断念せざるを得なくなった。そのため、かねてから懸案となっていた大津港口交差点付近での渋滞緩和や交通事故防止のため、国道拡幅事業を滋賀国道事務所直轄で実施していただくよう要望し、その代替地として有効利用するため、平成19年2月に県から公社取得したものである。先に取得した土地との交換が県の条件であったが、当該地は隣接する県有地とともに一体的に利用した場合、さまざまな用途として土地利用が可能であったことから、中心市街地活性化のためにも当面本市において所有することとし、県に対し改めて金銭での譲渡を申し入れ、応じていただいたものである。結果として、ご指摘の土地については公有地の適正管理上、早期の利用を検討する必要があると十分認識しているところである。
2点目、上記遊休地の活用について。議員ご指摘のとおり、イベント用地としてこれまでびわ湖大津夏まつりをはじめ全国豊かな海づくり大会など、さまざまな大きなイベントに県有地と一体的に利用いただいており、中心市街地の活性化につながっているものと認識している。また、適正な用地管理を行うことで、湖上観光の玄関口にふさわしい景観形成にも資していると考えている。いずれにしても、今後の利用方針については、議員のご提案も参考にしながら、中心市街地の活性化に資するような活用に努めていきたいと考えている。
再問 |
「隣接する県有地とともに、さまざまな用途としての可能性があるので」という答弁であったが、滋賀県の河港課に対して情報公開請求をした結果によると、もともとの発意は大津市にあったと私は見ている。
具体的に言うと、平成15年7月29日の段階で、大津市から土地区画整理事業絡みで港湾業務用地横の民有地を大津市が購入し、三角地(*)との交換を要望してきたと、担当者の引き継ぎ事項の中にある。
それに対して県のほうは、この土地と交換されることにより、隣接する県有地が整形化されてアクセスも良くなり、開かれた空間の整備が進められることから、交換については前向きな回答をしているということを平成15年8月4日の時点で記録されている。
(*)三角地:浜大津駅前A地区内にあった滋賀県用地1,528.75㎡(水防倉庫用地)
大津市は県が金銭による譲渡ではなく、取得を依頼された民有地との交換を条件にしてきていると答弁されたが、結果的には交換されるに至らなかった。その理由というのが、一体的に利用することで、様々な可能性があるので交換しなかったということだが、平成17年2月23日の段階で、大津市のほうから県の河港課へ協議に行かれ、A地区内の県有地について、金銭もしくは先ほど紹介した公社に先行取得させた用地以外の土地により取得できないかと申し入れられた。
議事録によると、このような事実が確認できる。先ほど紹介した民間用地、平成16年の段階で大津市が土地開発公社に対して先行取得依頼した土地だが、「当市のトップの思いがあり、今交換に出すことはできない」ということを理由にされている。当市のトップ、すなわち目片市長の思いがあり、今交換に出すことはできないということを、平成17年2月の段階でおしゃっている。何度も申し上げるが、もともと滋賀県が条件にしているという理由でこの土地の取得依頼を公社にされ、公社はそのとおり買われている。本来であるならば、県との間で一定の覚書等があってしかるべきと思うが、残念ながら県にはそれが残っていない。
平成17年2月23日の大津市からの申し入れに対し、県からの回答は一言で言うとノーですと、できませんと。そもそも県のほうは、先ほどから申し上げている用地との交換であれば前向きに検討するということであり、平成17年4月21日の段階で、当時の大津市の担当者に対し、違う土地との交換に応じることはできないし、金銭で譲渡することもできないと明確にされている。
その後、大津市は必要な土地であったので、金銭で購入されたわけだが、「トップの思い」というのは庁舎だったのか。庁舎をこの場所に建てたくて、この用地を確保されたのか。トップの市長に伺う。
答弁:市長 |
「庁舎の移転」というアドバルーンを上げたことは事実です。ですが、これはもう御承知のとおり財政的に大変厳しいということも含めて断念、これはもう俎上にも上がっていない。ただひとり言を私が申し上げたことが新聞記事になったことは事実だが、私自身の個人的な考えの中で断念をした。したがって、用地取得するとかしないとか、そのようなことを行政の職員の皆さんと協議をした、そういうような記憶は全くない。
再々問 |
庁舎のあり方検討委員会が平成18年12月に報告書をまとめておられる。当時、ある団体からこの委員会に所属させていただき、いろいろ議論をさせていただいた。それに先立ち、大津市庁舎整備研究会ということで思い出していただきたいが、七つの候補地を上げられて総合評点をつけられ、結果的に浜大津が一番よかったと新聞記事にも多数掲載され、そのことで今、大津市がそういう議論をしているということを、市民の方も広く知られたと考える。報告書はいくつもあるが、平成17年3月の時点で、大津市庁舎整備検討委員会が報告書を提出されている。私もあり方検討委員会の委員として目をとおしたが、庁内でいろんな可能性を含めて検討された。その上で記憶にないということだが、結果的に申しますと、市長の御記憶にあろうとなかろうと、この土地の行政目的はなくなっている。平成17年2月の段階で滋賀県に送られた大津市の議事録で確認すると、「トップの思いがあり、今交換を出すことができない」とおっしゃられている。ですので、その時点では一定の性格を持った用地であると、大津市として認識されていたのかなと思う。
私が非常に残念だと思うのは、あり方検討委員会とは何だったのか。当時、企画調整課で事務局を担当され、本当に真摯に検討されてこの報告書をまとめられた。そういった中で、平成17年の段階で既にこういう形で用地が確保され、それが前提に議論がされていたということに対して、私は、大津市のまちづくりのあり方自体が問われると思う。先ほど申し上げたが、金利が年々年々かさんでいる。御承知だと思うが、こういった用地を買うのには、銀行と協議をされ、金利決められているが、原課が引き取る場合には、また違った金利で引き取られるので、もう現時点でかなりの金額になっている。引き取りの予定は平成18年に予定されていたが、平成25年3月31日に延長され、その間、ずっとここおいておいたら、金利がどんどんどんどん膨らんで、簿価だけが上がっていく。その段階で行政目的が発生していればいいが、今現在の状況を踏まえると、これこそ塩漬けの土地である。そのきっかけをつくったのはトップの判断であり、私は、庁舎の問題ですかと伺ったが、記憶にありませんと答弁された。最後もう一回伺うが、目片市長はこの用地を今後まちづくりにおいてどのように活かしていかれたいのか。
答弁:市長 |
関係部署とよく相談をして方向を決めたいと思う。