公営ガス事業のあり方について( H29. 11)
質問
ガス事業施設にPFI法の規定に基づく公共施設等運営権を設定し、民間事業者がガスの小売供給を行うことを可能とするため、同法の規定に基づき大津市ガス供給条例の一部を改正する議案が議会に提出をされました。開会時点における大津市ガス特定運営事業等実施方針(案)において、運営権の存続期間は運営権設定日の20年を経過する日が属する事業年度末の日までとし、同日をもって消滅すると明記するとしているにも関わらず、運営権者はその後においてもガス小売事業者として小売業務を原則継続すると定められています。ただし書きにおいて、運営権者は本市に対し事業期間終了日の3年前の応当日までに事業期間終了後も小売業務を継続するか否かについて意向を通知し、事業期間終了後の小売業務の取り扱いについて、本市と協議しなければならないとしていますが、業務を継続するか否かの判断については、全て事業者側に委ねられています。
大津市企業局としての主体性やモニタリングを実施することの意義が問われることになると考えますが、結局のところ2038年度以降においても、官民連携会社という名の元に設立される法人に小売業務を委ねることを前提で検討を進められているのか。議長への質疑・一般質問通告後において、事業期間終了後に関する小売業務に関する記述を原則継続するから、継続することができるに変更をされましたが、そうでないのであれば、ほかにどういった選択肢があると想定をしているのか。
大津市企業局が想定する黒字経営を新会社が続けられる保証はどこにもなく、公共施設等運営権の設定が市民やガスの需要家である市内事業者にとって最良の選択肢を将来に残すことになるのかと危惧をするものです。 公営継続によるガス事業全体の損益を想定するに当たって、より低廉な価格でガスを購入できる余地をどのように評価して比較検討を行ったのか伺います。
答弁:公営企業管理者
公営ガス事業のあり方についてのうち、1点目の大津市ガス特定運営事業等実施方針(案)についてでありますが、まず官民連携出資会社、すなわち運営権者に対して事業期間終了後の3年前に事業継続の意向を確認いたします。その結果、継続の意向があれば、運営権者と今後の経営方針などを聴取しながら、事業終了後の対応について協議を進めたいと考えております。
一方、同協議において、お客様にとって不合理が生じる場合や運営権者が小売業務を継続しない意向を示した場合は、本市として第三者による小売事業の実施も含め事業期間終了後も引き続きお客様に安全・安心で安定したガス供給ができるよう適切な対応を検討してまいりたいと考えております。
次に、2点目の公営継続によるガス事業全体の損益想定についてでありますが、官民連携出資会社における売り上げ原価につきましては、仙台市の事例を参考に検討いたしました。
同市においては、民営化の目的の一つとして、民間ガス事業者に比して原料費調達コストが高いことを上げており、類似する企業より約2%割高であるというものでした。しかし、この事例は過去のものであることから、最新の情報を用いて同市と同様の手法で本市の原料調達コストと本市と同規模の民間ガス事業者の原料調達コストを比較いたしましたところ、原料調達コストが本市に比べて安価であることがわかりました。このことから、官民連携出資会社では民間ノウハウの活用により公営継続よりも安い価格で仕入れることができると考えたものでございます。
また、議員御指摘の公営継続によるガス事業全体の損益を想定するに当たっては、より低廉な価格でガスを購入できる余地をどのように評価して検討比較を行ったのかについてでありますが、現状の卸価格は我々のたび重なる交渉の結果、これまでからも安価に卸供給をいただいていると思料しております。しかし、本年4月からガス小売全面自由化が施行され、本市においても今まで経験のなかった新規参入事業者との競争が始まったことで、民間においては我々公共にはない長年培われてきた高度な営業ノウハウや交渉力、これに加えさまざまなコネクションなどを保有していることを実感しており、民間企業であれば今以上に原料調達コストの削減が図れるものと考えております。
再質問
まず1点目、2038年度以降の選択肢についてです。答弁において、設立される官民連携会社が小売事業を大津市において継続を希望されなかった場合、もしくはもうできないと判断された場合については、ほかの事業者をその相手方として検討していくと答弁されました。場合によっては、そういった事業者もいなければ、大津市が今現時点における小売の形態を改めて実施しなければならないということも想定されています。選択肢を残そうとした場合、大津市は、企業局はどういった取り組みをその期間、20年間していかなければならないのでしょうか。妥当な取り組みとして、大津市企業局は承知できるものなのでしょうか。人材、財源、ノウハウ、20年間で損なわれるわけですよね。その上で20年後においても選択肢が残るかどうかということを私、危惧しています。その点を踏まえて改めて答弁を求めます。
2点目、低廉なガス購入について。他都市において原料調達コストが大津市企業局よりも安価であったということで、事例を紹介いただきました。大津市の特性をしっかりと踏まえて、またこれまでの大阪ガスとの関係性を踏まえて、なぜ、安価であるかということを分析しないと、何の意味もないと考えます。
仙台市は古過ぎたということで、他の同規模事業者と比較されたことを否定するわけではありませんが、それだけをよりどころにして、いやいや、民間のほうがノウハウはあって、大津市はこれまでから努力して低廉な価格でガスを買わせていただいたので、これ以上はもう何も望まないでくださいといったような答弁では納得がいきません。改めて答弁を求めます。
答弁:公営企業管理者
20年後の選択肢の件ですけれども、まず20年後にとらわれず、この事業者選定というのはいろんな理由があって、業者が変わるようなこともあるかと思っております。それにつきましては、大きくは経営の悪化という観点から、一つは経営の悪化にも二通りあると思うのですが、まず通常で言う天災など予期せぬ出来事による経営の悪化、あるいは例えば、会社の事情がよくなくて経営が悪化するというパターンもあるかと思います。その期間というのは、とりあえず我々のほうはモニタリング、いわゆる監視をしっかりと企業のほうを見詰めていって、その都度不適正なところがあれば指導していく、またそのようなことを繰り返しやっていくというようなことになってくると思います。その結果、20年後にいわゆる経営状況が通常、いわゆる通常というのをこれから決めていく必要があるのですが、この決めていくというのは、定量的に決めていく必要があるとは考えておりますけれども、その決めていくというときに先ほど答弁いたしました通常の経営状態であれば、基本的にはその会社が小売事業を継続できるものと考えております。
次に、なぜ卸供給が安価にできるのかということについてです。卸供給という大津市の特性も踏まえて分析をする必要があるかなというような御質問だったと思いますけれども、このことにつきましては、先ほども御答弁させていただきましたけれども、我々の卸原価購入のプラス・マイナス50%の販売量、これの14社の選定をまずいたしました。そのうち10社が我々と同様の卸供給を行っているガス事業者でございました。それらの数値をもとにして今回の卸供給の額を定めさせていただいたところでございます。
再々質問
もうこれ以上低廉な価格でガスを購入できる余地はないと、公営企業管理者として判断されているのでしょうか。であるならば、実感も込めて根拠をお示しください。
答弁:公営企業管理者
我々この4月以前に小売の交渉をさせていただいております。私どもも入って交渉させていただいたわけですけれども、そんな中で我々も必要となる情報を当然卸元業者にお伝えをさせていただいて、最大限の努力をさせていただいた中で、現状に至っております。加えて、先ほども言いましたけれども、我々これ新しい会社を設置するに当たって内部で、いわゆる担当レベルで協議をさせていただきました。そのところ、やっぱり我々の今弱みというのは小売の部分にあります。その弱みをしっかりと強みに変えていくには、やっぱり民間のノウハウを活用する必要があるという方向を導き出したのが今回の新たな構想でございます。そのことからいたしますと、今小売事業の値下げについては、今現時点では我々はマックスであると考えております。