事前復興計画の策定に向けた取り組みについて( H30. 11)
質問
平成30年7月、国土交通省は「復興まちづくりのための事前準備ガイドライン」を策定いたしました。このガイドラインは、 復興事前準備の必要性と取組内容を明らかにし、地域防災計画と都市計画マスタープランへの位置づけ方法や復興まちづくりのための事前準備に関する計画策定等の留意点をまとめたもので、平成28年5月には「津波被害からの復興まちづくりガイダンス」、また、平成29年5月には「復興まちづくりイメージトレーニングの手引き」が策定されています。被災後は早期の復興まちづくりが求められるものの、大規模災害時においては、基礎データの不足や喪失、復興まちづくりを担う人材の不足などに直面することになります。大津市においてはこれまでの間、業務継続計画や災害時受援計画を策定されるなど、災害対応力の強化に取り組まれてきましたが、復興事前準備についてもあわせて進めるべきと考えます。
平成30年11月、会派行政視察にて静岡県富士市を訪ね、富士市事前都市復興計画について調査を行ってまいりました。富士市においては、南海トラフを震源とする巨大地震への危機感の高まりと安全安心なまちづくりを求める市民の声、また、東日本大震災における多くの被災自治体において、発災後の混乱の中、住民との合意形成に相当な時間を要し、事業の着手が大幅に遅れたこと等を踏まえられ、平成28年3月に富士市事前都市復興計画を策定されました。同計画は復興まちづくりの目標や基本方針が示された復興ビジョン編と市民・地域・行政等の「うごき」が示された復興プロセス編から構成されており、発災後に市職員がとるべき詳細な行動内容を定めた「職員行動マニュアル」を別途定められています。
また、富士市においては、発災後、迅速かつ着実に復興できるよう、災害対策本部に復興本部の設置や市街地復興に関する役割を担う「都市計画班」を設置されています。昨年度に実施された庁内復興訓練においては、建築制限区域を短時間で設定するための課題整理や復興まちづくりを優先的に進める区域(被災市街地復興推進地域)の設定等に取り組まれ、問題点を抽出し、意見交換を実施されるなど、計画の実効性に対する検証に継続して取り組まれています。富士山と駿河湾が臨める風光明媚なまちであるということは、災害に対するリスクもそれだけ高いということであり、市民、事業者とも危機感を共有され、「真に災害に強いまちづくり」に取り組まれていることを、行政視察をつうじて実感いたしました。
大規模地震発生に備えた災害対応力の強化を図るため、大津市においても国が示す指針や他都市の取り組みを参考にしながら、復興事前準備に取り組む必要性について理解と認識を深めるべきと考えます。そのうえで、業務継続計画や災害時受援計画との整合を図りながら、事前復興計画を策定されるべきと提言するものですが、本市は今後、どういった方針のもとで復興事前準備に取り組んでいく考えなのか。見解を求めます。
答弁:総務部長
事前復興計画の策定に向けた取り組みについてでありますが、本市においては、現在、最も大きな被害が見込まれる琵琶湖西岸断層帯地震を想定し、災害予防から応急対策、災害復旧・復興に関する事項について定めた大津市地域防災計画をもとに、災害に強いまちづくりの推進に努めているところであります。本計画において、災害発生後の復興基本方針の決定や復興計画の作成、体制整備等について定めておりますが、議員お述べの復興事前準備に取り組むことにより、被災後早期に復興計画の策定に取り組むことができるほか、職員や住民の復興まちづくりに対する理解を深めることができると考えられます。しかしながら、事前復興計画を策定している自治体が全国的に少ないことなどから、今後、他都市の取り組み状況を把握するよう努めてまいります。
再質問
他都市における取り組みも参考にしながら、調査をされていくといった答弁でした。私も災害復興学会に所属をしておりますので、さまざまな図書なり、また事例が紹介されている機関紙を通じて、調べられる範囲で調べさせていただきましたが、確かに富士市のように取り組まれている事例はまだ限られていると認識しております。しかしながら、冒頭申し上げた国土交通省も復興まちづくりのための事前準備ガイドラインを策定されました。繰り返しになりますが、復興事前準備の必要性と取り組みの内容を国としても明らかにしており、この点はやはり、重く受けとめていただくべきと考えております。
大津市におきましても、大規模な大地震を想定して、さまざまな計画を策定され、取り組みも市民、事業者とともに進められています。他都市の事例を調査いただくことも重要だと思いますが、大津市としてもう少し率先して取り組んでいただく必要があると考えます。策定の意義については、お認めいただいているところでもあり、その点踏まえて、もう少し踏み込んで答弁をいただきたいと思います。
答弁:副市長
先ほども答弁をさせていただきましたとおり、大規模な災害の直後というのはまず被災直後の現況把握、支援に向けて応急対策をいかに講じながらまちづくりにつなげていくのかという、切れ目のない対応を非常時の中で取り組まなければならない、そういう状況というのは当然想定をしています。そういう中で1番大事になってくるのは、まちづくりにおいて何が肝心かというのは、私もいろいろな事例を仄聞する中で、やはり事前にそのまちづくりの未来像というのが住民と合意できているかどうか、そういったところに尽きると思っておりまして、そういう意味で今現在、本市では立地適正化計画、将来のコンパクトにしていくための居住をどこに集合していくのか、都市機能というのはどこにあるのか、そういう立地適正化計画の取り組みを進めております。まずは、そういう業務といたしましては、立地適正化計画、それに関連した歴史まちづくり計画ですとか、地域公共交通網形成計画、そういったところに業務としては注力をいたします。そういった中で、ほかの事例の参考、ほかの都市の計画もまだ少ない状況でございますけれども、1番の教科書となるのは、実際に被災された、例えば阪神淡路大震災や東日本大震災、こちらは津波という特殊な事情で余り大津の場合に該当するかどうかというのがなかなか考えにくいところではあるのですけれども、いずれにしましても、そういった中で、過去の被災された自治体のその後の状況等もそういったところも含めて、研究してまいりたいというふうに考えております。