リスクマネジメントによる業務改善と内部統制の強化に向けた取り組みについて( R6. 6)

質問

1点目、予算議案の修正を受けての再発防止策について。令和6年度大津市一般会計予算については、債務負担行為における期間及び限度額並びに地方債における起債の目的及び利率に関する記載に誤りがあったため、令和6年3月18日、大津市長から大津市議会議長に対して事件訂正請求書が提出されました。当該予算案の修正に係る議会の審議に先立ち、大津市長は「今後、再発防止に向けまして、担当部署におけるチェック体制を強化するとともに、責任の所在の明確化、マニュアルの適切な更新などに取り組んでまいりたいと考えております。」と決意を述べておられます。
 
この度の事案を受けて、総務部財政課が管理する「職場でのリスク点検シート」に予算議案に関する業務が追記されました。誤った予算が議会で可決されそうになったことについてもリスクとして明記され、予算書作成チェックマニュアルを当初予算編、補正予算編に区分して新たに策定をされましたが、今後、重要となってくるのは、市長も述べられたように、責任の所在の明確化を図ること、そして、当事者意識を持ち続けていただくことだと考えます。
 
他の業務に対しても言えることですが、精査を重ねられて作成されたチェックマニュアルやチェックシートであっても、形骸化することなく、事務処理ミスや不適切な予算執行を防ぐための防止策として、効果的に活用されなければ意味がありません。大津市は今後どの様な取り組みを通じて、持続可能な再発防止策とされていかれるつもりなのか。見解を求めます。

 

2点目、職場でのリスク点検シートのあり方について。公文書の公開手続きを行い、各部局の所属で活用されている同シートの開示を受けました。内容を精査したところ、リスクを避けるための対応策の整備状況については、「未整備または一部未整備」と評価をされながら、起きないようにするために考えられる予防、抑制策について、完成時期(目標)を「整備済」と評価されている業務が相当数存在します。また、リスクの影響度を「甚大(人命、市民の財産)」とされながら、起きないようにするために考えられる予防、抑制策の完成時期(目標)を「将来課題」と評価されている業務も確認されました。当該業務については、発生時の対処及び拡大防止策について、発生判明時、人命救助を消防・警察に通報、被害者への対応、原因究明、施設修繕をあげておられますが、想定されるリスクが発生した際の影響を甚大と想定されるのであれば、考えられる予防、抑制策を早急に講じられるべきです。リスク事態発生時に被害を最小化するのであれば、「将来課題」として先送りされるべきでないと考えます。
 
同シートの管理と見直しは所属長の裁量で行われ、各部局の部次長は内部統制の構築に関する指針に基づき実施される内部モニタリング、準公金事務処理要領に基づき実施される検査の結果報告を各所属から受ける際にその内容を把握されることになると承知しています。所属による見直しの都度、総務部行政管理室に報告が行われていますが、評価対象業務に係るリスク管理の妥当性と実効性の検証については、課題認識を部局全体で共有されるべきと考えます。職場でのリスク管理シートの書式そのものについても、それぞれの所属の業務実態や実状に見合った評価をより分かりやすく行えるよう、今後のあり方について検証されることを提言するものです。職場でのリスク点検シートに対する現状における課題認識と今後の見直しに向けた取り組み方針について見解を求めます。
 
またこの度、市長部局、教育委員会、企業局、消防局それぞれの所属で活用されている業務チェックマニュアルやチェックシートについてもあわせて精査を行いました。その内容は様々であり、各所属における業務実態や課題認識を自分なりに把握することができました。そのうえで、全庁的に共有されることが望ましいと思われる書式がある一方、活用実態を確認いただく必要があると感じたものもありました。不適切な業務執行や事務処理が相次いでいることを踏まえ、形骸化している取り組みがないかを改めて精査され、大津市役所全体の内部統制をより一層、強化いただきたいと考えます。このことについて、見解を求めます。
 
3点目、大津市企業局で相次いだ不適切な業務執行と実効性のある再発防止策の推進に向けた取り組みについて。令和6年6月3日、外部の弁護士で構成される大津市職員分限懲戒審査委員会の答申を受け、職員の懲戒処分が行われたと大津市企業局長より報告を受けました。配信された書面に記載のあった事案の概要を下記に引用します。「職員Aは、企業局の保有する1台の設備が故障したため、業者に調査を依頼した。その結果、交換部品の特定と合わせて、類似する他の3台の設備の部品交換についても推奨するという調査報告書と見積書の提出を受けた。本市で緊急施工の対象となるのは故障している1台であるが、交換を推奨されてはいるが現に故障していない他の3台の部品交換も緊急施工としたいがために、業者に対して、見積書の数量の記載は1台の部品交換としながらも、単価は4台分の額で算定させ、実際は4台分の部品交換をするよう指示して、見積書の内容と実態とが異なる不正な見積書を業者に作成させた。」引用は以上です。
 
緊急施工に係る交換部品の納品時に、他の職員が気付き発覚したとのことですが、一体、何が優先されて不適切な業務執行が行われたのかを的確に把握し、再発防止策については、当該所属における管理体制を予断なく検証されたうえで講じられるべきと考えます。持続可能で実効性ある再発防止策をいかにして推進していくつもりなのか、見解を求めます。
 
加えて、令和6年5月22日には、同年3月5日に大津市企業局が開札した水道工事に伴う舗装復旧工事において、設計違算により適正な入札が実施できなかったことが判明したため、工事請負契約を解除し、改めて入札を行うことになったとの報告を受けました。再発防止策として、設計違算は、損害賠償のリスクが発生するという重大な事態につながることを局内に改めて周知徹底すること、また、発生しやすいミスに対する更なるセルフチェックやダブルチェックにより効果的なミス防止の取り組みを行うことに加え、設計積算の適正な技能習得を目的とした技術研修会を実施することなどをあげておられます。
 
関係所属における職場でのリスク点検シートによると、過去の事務処理ミスを受けて、設計積算業務において、精査チェックが不十分であると違算により入札中止や受注者とトラブルになることを大津市企業局はリスクとして把握されていたはずです。またリスクを避けるための対応策の整備状況については「整備済」と評価され、起きないようにするために考えられる予防、抑制策として、設計書改算チェックリストにより精査を行うとされていますが、当該チェックリストに基づく設計書の精査は適切に実施されていたのでしょうか。実施されていたとするならば、なぜ、設計違算が発生してしまったのでしょうか。設計書改算チェックリストを見直すことの必要性について見解を求めます。
 
私は、この度の不適切な業務執行が原因となって、損害金が発生したことを大変重く受け止めています。設計積算の適正な技能習得を目的とした技術研修会を実施される方針を示されていますが、このことは大津市企業局だけでなく、市長部局においても必要となる取り組みと考えます。この度の事案に係る再発防止策については、大津市が発注する工事・委託業務の適正な執行にも影響を与えるものと認識しています。持続可能で実効性ある再発防止策をいかにして推進していくつもりなのか、見解を求めます。 

答弁:総務部長 

1点目の予算議案の修正を受けての再発防止策についてでありますが、今般の予算議案の誤りを受け、財政課においては当該事案をリスク点検シートに追記するとともに、確認項目を整理したマニュアルを作成して再発防止に努めているところです。今後も各所属において審査基準やマニュアルの点検整備を行い、職員一人ひとりが業務内容を理解した上で仕事を行うよう周知徹底を図ってまいります。

 
2点目のリスク点検シートのあり方についてでありますが、リスク点検シートは過去に発生した、もしくは発生のおそれがある業務リスクを共有し、対応策を講じることでリスクの未然防止や被害の最小化につなげるもので、市の内部統制の構築においても重要なツールの一つと考えており、記載方法に分かりやすい注釈を加えることや内部モニタリングにおけるリスク点検項目の見直しを図ることにより、より効果の高いものになるよう検討してまいります。加えて、大津市内部統制の構築に関する指針についても現在見直しを図っているところであります。

答弁:公営企業管理者 

3点目の大津市企業局で相次いだ不適切な業務執行と実効性のある再発防止策の推進に向けた取り組みについてのうち、1つ目の持続可能で実効性ある再発防止策の推進についてでありますが、今回の事案は、担当者が緊急施工の対象でない3台についても、設備の予防保全の観点からこの際に取り換えることを発案し、不正な見積書の作成を業者に指示するといった不適切な判断をしたこと、また、このことに対して所属としてチェック機能が果たせていなかったものであります。
 
原因につきましては、担当者のコンプライアンス意識の欠如と、所属において適切なマネジメントが行えていなかったことにあると考えております。今後、今回の事案を教訓とした職場内研修を通じて、コンプライアンス意識及び組織マネジメントの徹底を図るとともに、担当者が一人で行っていた材料検収を、緊急施工のような例外的な工事の場合、所属長または他の係の係長とともに行う体制に改めてまいります。

 
次に、2つ目の設計書改算チェックリストを見直すことの必要性についてでありますが、設計積算業務につきましては、業務の効率性を考慮して過去に作成した設計書を複写する場合があります。また、通常はシステム上、最新の設計単価に置き換わるという仕様でありますが、一部の単価においては自動的に更新されない仕組みとなっております。そのような中、今回の設計違算につきましては、確認が必要となる自動的に更新されない単価を担当者がシステム上で抽出する操作を誤ったことや、所属内でチェックリストに基づく点検が十分にできなかったことが原因であります。
 
このことを受けて、より確実に点検できるよう、設計改算チェックリストの必要な見直しを行ったところであります。今後、更に実効性の高いチェックのあり方を検討してまいります。また、損害金が発生したことを重く受け止め、更なる取り組みとして、入札執行前に、工事担当課が設計書を再点検する期間を設けるとともに、入札後落札者が決定し契約締結前においても、必要に応じて契約担当課と工事担当課で再点検を行うなど、チェック体制の強化を図ってまいります。
 
次に、3つめの、大津市企業局だけでなく、市長部局においても必要となる取り組みについてのうち、企業局の技術研修会につきましては、経費計算の考え方や現場に則した部材の選び方等の基礎的な研修を通じて、設計積算の知識やスキルを養うとともに、経験を積んだ職員による、効果的なOJT等による技術の継承に努めてまいります。

答弁:建設部長

3つ目のうち、市長部局における持続可能で実効性ある再発防止策の推進についてでありますが、建設部が所管している、公共工事に係る技術全般に関する課題の対応策を審議する「大津市技術管理委員会」での原因と再発防止策の共有や、技術相談窓口の活用など職員への設計・積算に係る技術支援を強化するとともに、滋賀県建設技術センターなどでの研修に参加することで、職員の技術力向上を図り、設計違算の防止に取り組んでまいります。

再質問

まず初めに細目2の①についてです。初問において、課題認識を部局全体で共有されるべきとの考えを申し述べました。現状における課題認識についてもおたずねしているのですが、職場でのリスク点検シートを見直されるにあたり、私は部長並びに次長の皆さん方におかれましても、その内容について適宜把握された上で、部局全体で共有されるべきと考えるのですが、このことについて、お考えあれば改めてお聞かせください。
 
続いて細目、3の③についてです。経験を積まれた職員さんによる、効果的なOJTに取り組んでいかれるとの方針を示されました。現時点でお考えがあれば、もう少し具体的な内容についてお聞かせをいただけないでしょうか。 

答弁:総務部長 

リスク点検シートの課題認識、そして、部局での共有というご質問であったかと思います。まずリスク管理を行っていく上で大事な視点というのがいくつかあるというふうに思っております。まず1つは気づきということでございます。所属におけるリスクとはどのようなものがあるか、そして、過去の事例でありますとか、日常の業務を通じてまず気づくことが大事であるというふうに考えております。
 
そして、議論をするということが大事であるというふうに考えております。所属、そして、今ありました部局などで議論して、様々な視点から物事を見るということは大切であるというふうに考えております。そこでですね、上司のリスク評価、それと担当者のリスク評価の差ということを知ることが大事であるというふうに考えております。そして活字にするということでございます。洗い出したリスクを文書化するということでございます。
 
まさに、リスク点検シート、マニュアル、そういったものであるというふうに思います。そして共有化することでございます。リスクを共有化して、その対応や評価についても共通認識することが必要であるというふうに思っております。そして最後に、常に見直すということでございます。完璧なリスクの対応はないということを常に自覚して作成したものが、活用できているのか。また、形骸化していないのか、そういった、常に見直すという視点でもって、見直すということが大事であるというふうに考えております。そういった視点に基づいてリスク管理をしていきたいというふうに考えております。 

答弁:公営企業管理者

効果的なOJT、現時点での考え方についてでございますが、設計積算業務につきましては、システム化が進んでベテラン職員の退職、或いは転職で本来、保有されているべき知識が失われつつあるというのが実情でございます。そこで、現在行われているOJTといいますのは、どうしてもその新人職員と先輩職員間一対一の関係で、いろいろ物を物事を教えていくということが多いのですけれども、十分な知識、技術の伝承を図るために、ここでより技術レベルの高いグループリーダーであるとか所属長から適宜、その新人職員等に技術が伝承していけるように若手の育成について意識して担当者へのフォロー、適宜行っていくように、取り組んでまいりたいというふうに考えております。

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