コンプライアンス条例の制定に向けた取組みについて( H23. 5)
質 問 |
前任期の4年間、職員が関係する事件や不祥事が相次いで発生し、その都度、市長からは、綱紀粛正を図り再発防止に取り組んでいく決意が述べられた。公務員倫理研修の実施や入札制度改革等に取組んでこられたが、大津市における公益通報者保護制度は十分に機能しているのか。公益通報者保護法は平成18年4月1日に施行され、大津市においては平成19年1月1日に大津市公益通報処理に関する要綱が施行された。事業者として内部の職員等から受ける通報と権限ある行政機関として外部の労働者から受け付ける通報に区分され、現在その通報窓口は総務部職員課に設置されている。内部通報については、公益通報者の保護を図るとともに、法令違反行為等の発生を防止し、または法令違反行為に対して措置等を講ずることにより、市政に対する信頼を確保することを目的としているが、今日に至るまで通報件数はゼロ件であった。不正がないのか、通報しづらいのか、それとも周知不足なのか、職員を対象にアンケート調査を行うなど実情の把握に努め、必要であれば通報窓口を法律事務所に設置するなど要綱の見直しを行うべきと考えるが、本市の見解は。
また、新潟市では、公共工事をめぐる官製談合事件をきっかけにコンプライアンス条例が制定され、公益通報制度や市議会議員らの陳情紹介等について新たにルール化が図られた。コンプライアンスを組織文化として浸透させるため、庁内にコンプライアンス委員会を設置するなど、事件の再発防止に徹底して取組まれ、法律の専門家から成る法令遵守審査会が市長の附属機関として設置されている。大津市においても、公正な職務の執行を確保するため、公益通報制度や不当要求行為への対応について規定する条例の制定に向けた検討を開始し、市政への信頼回復に努めるべきと考えるが、本市の見解は。
答弁:総務部長 |
公益通報制度については、これまでからも所属に対して公益通報制度の周知に努めてきたところであるが、現在まで当制度による通報の実績はない。これは、本市の制度上、通報者自らの氏名を名乗ることを要件としていることが主な要因であると考えている。
市民病院での不祥事を受けて設置した、大津市入札事務適正化検討委員会においても、公益通報制度の重要性を改めて位置づけているところであり、この2月に一定の方向を出したことを受け、改めて所属長に通知し、公益通報者保護制度の活用の周知を図ったところである。なお、職員課には匿名による通報や文書や電話等で寄せられているのが実態であるが、その内容に応じて適切に内部調査を行うほか、外部からの通報については、所管官庁への報告を行うなどしている。
コンプライアンス条例の策定については、職員にはそもそも地方公務員法第32条において法令遵守義務が規定されている。また、本市においては、不当要求行為等への対策、さらには公益通報制度については、要綱を定めて取り組んでいる。今後とも引き続き、公務員倫理の確立をはじめ、公益通報制度の実効性を高める方策や法令遵守に向けた組織体制など、そのあり方について総合的な見地から調査検討をしていく。