インバウンド観光の推進に向けた取り組みについて( H28. 2)
質 問 |
1点目、大津版DMOの設置について。大津市は大津市まち・ひと・しごと創生総合戦略において大津の観光振興を戦略的に推進するための専門的な組織、大津版DMOの設置について調査研究を行う方針を明らかにされています。ここで言うDMOとは、デスティネーション・マネジメント・マーケティング・オーガニゼーションの略であり、行政、観光業者、地域住民らの立場が分断されている現状を踏まえ、地域全体の観光マネジメントを一本化する着地型観光のプラットホーム組織と認識しています。
本市においては、外国人観光施策に位置づけられ、平成28年度当初予算においては、インバウンド国際観光推進事業費に含まれる形で検討経費が計上されています。次期観光交流基本計画の推進に資する法人として機能することに期待をするものですが、大津市は従来型の推進体制によって実施されてきたマーケティングやマネジメントにどういった課題を見出し、DMOの設置に向けて取り組む方針を決定されたのか。市内各地区観光協会や観光関連事業者などとの認識共有に向けた今後の方針とあわせて見解を伺います。
2点目、現地PR事業について。大津市は、平成27年度においてターゲットとされた台湾に加え、タイとフランスにおいて現地プロモーションを実施するための費用を平成28年度当初予算案で計上されていますが、そもそもなぜこの2カ国なのか。観光客の量のみならず質についても追求していかれるとのことですが、実現に向けてどう取り組むお考えなのか。また、事業の効率的な実施を図るため、外国人向けのモニターツアーやターゲット国に対するマーケティング調査を実施されるとしていますが、今後もターゲットとする国を増やしていかれるつもりなのか、見解を伺います。
答弁:産業観光部長 |
まず、大津版DMOの設置についてですが、現状では産業観光に携わる多様な主体が一致して合意形成するためのプラットホームのないことが課題であると認識しております。この課題を解決するため、平成28年度は先進地視察やシンポジウムの開催などを通じて大津版DMOの設置に関する情報収集及び関係者間での情報共有などの作業を進めてまいります。
次に、現地PR事業に関して、なぜタイとフランスなのかについてですが、ターゲット国の選定に当たり、市内観光事業者へのヒアリングやJNTOなど国の機関及び有識者から得た情報の分析を実施いたしました。これに基づき、日本から近く訪日来客数において最大シェアを誇るアジア地域と、本市の強みである日本の歴史、伝統文化体系への関心が強く1人当たりの観光消費額の大きい欧州からターゲットを選定することとし、アジア地域からは2013年の短期査証免除措置以来、大きく訪日客数を伸ばしていることに加えて、本市の強みである四季の体感への関心がほかのアジア諸国に比べて高いタイを新たなターゲット国として選定いたしました。さらに欧州からは、平成28年度欧州市場に注力していくという国の方針やフランスという市場に参入していこうとしている市内観光事業者の動きも踏まえ、欧州の中でも特に日本の歴史、伝統文化体験への関心が強いことに加え、観光消費額も大きいフランスを新たなターゲット国として選定いたしました。
また、観光客の量のみならず、質についても追求していくとのことであるが、実現に向けてどう取り組む考えなのかについてですが、まず、各ターゲット国の人々が本市のどの観光資源に対して興味を示すかなど、マーケティングに必要なデータを収集するための詳細な調査を実施いたします。それに基づいてブランディングやプロモーションなどを実施することでターゲット国からこれまでより観光消費額の多い来訪者が増えるような取り組みにつきましても進めてまいります。
次に、今後もターゲット国を増やしていくつもりなのかについてですが、為替変動や国際情勢等の一国集中によるリスクを回避することで、より多くの外国人観光客に本市を周遊していただくためにターゲット国以外の国につきましても継続的な情報収集を行いながら、ターゲット国の追加などを検討してまいります。
再 問 |
まず1点目、市内各地区観光協会や観光関連事業者などとの認識共有という点についてです。シンポジウム等を開いていただけるという答弁でした。当然これだけではないのでしょうが、この認識共有がしっかりと図られないと、次期計画の策定また実現が非常に困難となってきます。もう少し具体的に認識共有に向けた今後の方針をお聞かせください。
2点目です。なぜタイでフランスなのかということについてです。観光庁の発表しております訪日外国人消費動向調査集計表というものを確認させていただきました。執行部におかれましても当然確認されたこととは存じ上げますが、旅行を手配される方法という比較がございまして、タイとフランス、台湾とでは、全くその傾向が異なるというふうに私は評価をさせていただいております。ちなみに平成26年度の実績ですが、台湾については団体ツアーに参加されている割合が38%、個人旅行向けパッケージ商品を利用されている方が16.1%、個人手配が45.9%。これに対してフランスは団体ツアーに参加されている方が6.3%、個人旅行向けパッケージ商品を利用されている方が4.7%、個人手配が89%、およそ9割の方が個人手配で訪日されているという実績がデータとして公表されています。
今年度、インバウンド元年と銘打っていただいて、積極的に取り組まれていることについては評価をするものですが、そもそも職員の人数に限りがあります。台湾という一国を対象としてインバウンドに取り組まれているだけでも、また、兼務かかっておられる職員もおられますので、限られた時間で精一杯やっていただいているなというのが実感です。先ほどアジアとヨーロッパとおっしゃっておられましたけれども、少し心もとないと懸念をいたします。今申し上げたことを踏まえまして、改めて見解を伺います。
答弁:産業観光部長 |
まず、1点目の認識共有の方針ということでございますけれども、御存じのように大津市は非常に観光協会等が物すごく多いところでございます。まずは、こういった関係事業者さんにDMOの認識というものを強めていただいて、まずは関係者さんのほうからDMOというものが必要であるという認識を高めていくことが重要であると考えております。
これにつきましては、もう既に、例えば和歌山の田辺市とか、こういうところでDMOを非常に成功している事例等がございますので、どのようにこのDMO設置に向けてしていったかというスケジュールとか、そういったものをまずは検討していきたいというふうに考えております。その上で、そういったところから学ぶことについて関係事業者さんとのいろいろな場で意見交換をしながら、まず、そのDMOの土台となる認識を高めるということを今年度していきたいと思っております。
それから、旅行の手配についてでございますが、議員お述べのとおり、フランスにつきましては非常に個人での旅行客というのが多い。団体の客は物すごく少ない国でございます。こういった国のことについて、おのおのの国の特徴というものがございますので、これについては今後個人客でどういった資源を必要としているのか等について個々に調べる調査というものをしていきたいなあというふうに思っております。
これについては、個人的に訪れる場所、体験、こういったもののどこがいいのかというようなことと、団体でやる場合と、まずそういった目的自身が変わってくると思いますので、フランスにつきましてはそういったフランスの旅行者個人の方々がどういったものを目的に来られるのかと、それを具体的に大津の施設としてどういったところが興味、関心があるのか、そういったものを調査してまいりたいと考えております。
また、人数の点についてお述べいただきまして、大変ありがたいお話ですけれども、ターゲット国を増やすと、当然職員の負担は増えてまいります。ただ、我々は、例えば去年の台湾でもそうですけれども、トッププロモーションをした後、ずっと市のほうでこれを引きずっていくわけではなくて、今後は我々が開拓した部分について、できるだけ観光事業者さんのほうが主体になるように移行をしていきたいというふうに思っております。
例えの例でいきますと、今年、台南のほうで旅行博に出展させていただきました。これにつきましても、大津市がまず先鞭をつけてTTFに出展する権利を得たわけですけれども、大津市が申し込んだ中に観光事業者さん数名応援に来ていただいて、実際のPRをしていただいております。今後はこういったものについては、観光協会とかが主体となって事業者のほうに主体となってやっていただくというような方法を考えていきたいと考えております。
再再問 |
行政のほうで先鞭をつけられて、観光事業者さんに最後は主体性を持って取り組んでいただくということでございました。行政として担うべき、果たすべき責務というものは、いずれにしても継続されるわけです。市民憲章で「あたたかい気持ちで旅の人を迎えましょう」という言葉もございます。案内看板一つとってもそうですけれどもね、台湾の方が来られたときに御覧いただけるように、また、タイの方、フランスの方となってきた場合につきましては、相当長きにわたって覚悟を持って、このインバウンド観光を取り組んでいく必要がございますが、そういったお覚悟を改めて確認したいと思います。
答弁:産業観光部長 |
当然すぐに観光事業者に全部渡すとか、そんなつもりは毛頭ございませんし、ずっと我々もサポートをしていくつもりであります。それ以外にもですね、先ほどのDMOもそうでございますけれども、そういった中に主体的に大津市のほうが取り組んでいくと、こういうものもDMO設置に関する我々の考え方でございますので、決して事業者主体だから大津市がもう手を引いていくといった考えは毛頭ございません。