びわこ東海道景観基本計画の策定を契機とした広域景観連携のさらなる推進に向けた取り組みについて( R3. 2)

質問

大津市は広域的な観点から良好な景観の保全及び創造に取り組むため、令和元年5月、草津市と共同して景観法に基づく景観協議会として「びわこ東海道景観協議会」を設置しました。令和3年2月に開催された第6回協議会においては、両市会場で開催された公聴会ならびにパブリックコメントにおける意見を踏まえ、「びわこ東海道景観基本計画」の最終案が取りまとめられました。同計画案は本年3月20日、地方自治法に基づき、両市長ならびに両市職員が構成員となって設置されている「びわこ大津草津景観推進協議会」で決定される予定となっており、次年度以降、両市景観計画ならびに屋外広告物条例の見直しに向け、検討が進められることになります。
 
大津市と草津市による広域景観連携は平成22年4月に両市職員によって組織された「大津草津景観連絡会議」の設置がきっかけとなって始まりました。平成25年11月には両市市長による「びわこ大津草津景観宣言」の調印とあわせて「びわこ大津草津景観推進協議会」が設置され、平成28年4月には両市議会の議決を経て、地方自治法に基づく法定協議会への移行が実現しました。また、平成29年5月には、両市市長によって東海道統一案内看板ロゴマークに係る商標登録に関する協定書が締結されました。
平成30年11月には「びわこ大津草津景観推進協議会・東海道統一案内看板専門部会」によって同看板設置の手引きがまとめられ、現在、各地へと広がりをみせていますが、平成23年度から継続されてきた近江八景や東海道をテーマとした建築士会をはじめとする関係団体との協働事業は、広域景観連携の推進に向けた両市の機運を高めるうえにおいて、大きな役割を果たしてきたとあらためて評価するものです。
 
地方自治法に基づく法定協議会とあわせて、隣接する景観行政団体が共同して一つの景観協議会を設置し、景観基本計画を策定するのは全国初の取り組みとなります。「びわこ東海道景観基本計画」案の副題にもなっている「近江八景と東海道でつながる大津市と草津市の景観づくり」にこれまでご尽力くださった両市関係者の皆様に心から敬意を表させていただきます。びわこ東海道景観基本計画の策定を広域景観連携のさらなる推進に向けた契機とするためには、市民、事業者が地域における暮らしや営みのなかで、近江八景と東海道でつながる景観を一体のものとして、愛着と魅力を感じることのできる取り組みがより一層必要になると考え、以下3点、提言を交えて質問を行います。
 
1点目、びわこ東海道景観基本計画の策定を契機とする景観重要建造物及び景観重要樹木ならびに景観重要公共施設の指定について。大津市は平成18年に策定した大津市景観計画において、古都大津を代表する各地域の歴史的・文化的な蓄積を今に伝え、地域における景観形成の拠り所となる景観資源として、市民の共通認識が得られる歴史的建造物、近代的建造物、及び工作物を対象に景観重要建造物の指定を行うとの考えを示しています。同様に古都大津の自然景観、歴史的景観を構成し、歴史的に地域住民によって地域のシンボルとして認識され、あるいは保護する必要性が認識されている樹木を対象として、景観重要樹木の指定を行うとの考えを示していますが、景観重要建造物については平成21年度以降、景観重要樹木については大津市景観計画策定以降、今日まで指定の実績がありません。
 
びわこ東海道景観基本計画案においては、互いに眺望しあう「見る」「見られる」の関係を重視し、対岸景観の素晴らしさを広く知ってもらい、両市の景観保全や景観形成に対する意識の高揚を図るため、4つの対岸眺望ポイントを設定しています。大津市側においては、近江八景「唐崎夜雨」で知られる、境内から巨大な松越しに雄大な琵琶湖が臨める唐崎神社、また、大津市指定有形文化財に指定されている旧琵琶湖ホテルをリニューアルしたびわ湖大津館が選定されています。草津市側においては、矢橋帰帆島と烏丸半島が選定されており、かつての港があった矢橋公園には、石積の突堤が今も残され、付近には湖上から矢橋を目指すための目印とされた推定樹齢250年のイチョウが現存しています。東海道沿道においても、景観基本計画で紹介されている「粟津晴嵐の松」をはじめ、自然景観、歴史的景観を構成し、歴史的に地域住民によって地域のシンボルとして認識されている樹木が数多く存在します。また、連携重点ゾーンに位置する史跡草津宿本陣は街道の歴史的景観を象徴する建造物として今に受け継がれています。これら建造物、樹木については、共通の理念のもと、景観基本計画を共有することになる大津市民、草津市民が行政区域を越え、将来に渡って共に大切にすべき景観資源であると考えます。
 
びわこ東海道景観基本計画においては、びわこ大津草津景観宣言のもと、魅力ある対岸景観の形成、東海道沿道のつながりある景観形成、屋外広告物による景観形成が連携項目に掲げられています。次年度以降、両市景観計画ならびに屋外広告物条例等の見直しに向け、検討が進められることになりますが、両市の市民、事業者に近江八景と東海道でつながる景観を一体のものとして、愛着と魅力を感じてもらえるよう、連携項目に示された景観を構成する建造物及び樹木を所有者の同意が得られる場合においては、景観重要建造物ならびに景観重要樹木に指定されることを提言するものです。

 

びわこ東海道景観基本計画が策定される意義を踏まえると、これらの指定にあたっては、草津市景観計画とも整合を図りながら、両市で共同指定することがより望ましいと考えますが、大津市は今後どういった方針のもとで景観重要建造物ならびに景観重要樹木に指定に取り組んでいくつもりなのか、見解を求めます。
 
また、現在、両市景観計画においては、景観法に基づく「景観重要公共施設」の位置づけがなされていません。対岸眺望ポイントのうち、びわ湖大津館が立地する柳が崎湖畔公園や矢橋帰帆島、烏丸半島は公共施設であることを踏まえ、両市共通の理念のもと、施設の整備に関する方針などを景観計画に定めることは対岸景観の魅力をより多くの市民に知っていただくことにつながると考えます。大津市景観計画に「景観重要公共施設」を位置づけることについてもあわせて見解を求めます。
 
2点目、良好な景観形成に寄与する屋外広告物の普及に向けた取り組みについて。
 
平成26年度、成安造形大学、立命館大学参画のもと、まちなみに調和した優れたデザインの広告物を大学生の目線で選出してもらう事業が東海道沿道を対象に実施をされました。石山駅周辺ならびに瀬田駅周辺地域において「きらッとおおつ景観広告賞」2点、南草津駅周辺ならびに草津駅周辺地域において「これからのくさつ景観広告賞」2点がそれぞれ選出されています。平成25年度に両市市長によって「びわこ大津草津景観宣言」が調印されたことを受けての事業であり、その実現を目指す上においても大変意義深い事業であったとあらためて評価するものです。
 
大津市は平成22年度より、長年にわたり地域の皆さまに親しまれ、大津の景観の一部となってきた広告物が将来に渡って保全および継承されることを願い、「景観重要広告物」を指定する制度を設けています。東海道沿道及び周辺地域においても多くの指定がなされており、本市独自の取り組みとして、意欲的に事業を継続してこられましたが、びわこ東海道景観基本計画が策定されることを契機として、これら事業についても草津市と連携を図りながらより効果的に取り組んでいく必要があると考えます。
 
びわこ東海道景観基本計画案には、屋外広告物による景観形成の方針として、屋外広告物の魅力による地域らしさの創造が掲げられています。東海道沿道のみならず、近江大橋を基軸とする連携重点ゾーン、また、当該ゾーンを起点として両市を結ぶ幹線道路に対象を拡充して取り組みが推進されることに期待をするものですが、大津市はこれまで取り組んできた優良屋外広告物の顕彰事業をどの様に評価したうえで、草津市とのさらなる連携に臨もうとされているのか。両市が共同して顕彰することの効果への認識とあわせ、見解を求めます。
 
3点目、東海道統一案内看板のさらなる設置に向けた取り組みについて。平成29年10月、公益社団法人滋賀県建築士会大津地区委員会・湖南地区委員会によって2基のモデル看板が両市に寄贈されて以降、令和2年12月末までに設置をされた東海道統一案内看板の数は計10基となりました。両市域、県域を越えて設置されたものも含まれており、今年度中においても、他市域でさらなる設置が見込まれています。近江八景と東海道でつながる大津市と草津市の歴史や文化を広く発信するにあたり、また、市民、事業者に「びわこ東海道景観基本計画」が策定される意義を実感いただくためにも、全国各地の宿場町に東海道統一案内看板が設置される効果は大きいと期待するものです。
 
東海道統一案内看板を他都市の宿場町に設置いただくにあたっては、歌川広重の文字を基にデザインされたロゴマークが商標登録されていること、また、設置に向けた手引が存在することをお伝えすることはもとより、我々が目指すまちづくりに対して共感が得られなければ設置は困難であると自らの活動を通じて感じています。最近、テレビや雑誌などの媒体を通じて、東海道統一案内看板を目にする機会が増えてまいりましたが、全国の宿場町への設置を目指すのであれば、国や県とも情報共有を図りながら効果的に情報発信に取り組む必要があると考えます。

大津市においては、両市内はもとより他の地域へ積極的に看板の設置を呼びかける方針を示していますが、「びわこ大津草津景観推進協議会」を組織する草津市と連携を図りながら今後、どういった取り組みのもと、東海道統一案内看板を全国の宿場町に発信し、さらなる設置を実現していくつもりなのか。現時点で見込む次年度以降の活動計画とあわせて見解を求めます。

 

答弁:都市計画部長

1点目の、景観重要建造物、景観重要樹木の両市共同による指定についてでありますが、景観重要建造物、景観重要樹木の指定は、地域の個性ある景観づくりの核として指定するものであり、これらの指定は、びわこ東海道景観基本計画を進めるための要素として重要であると認識しております。このことから、まずは、候補の選定や課題について、草津市と協議してまいります。

 

次に、景観重要公共施設の位置づけについてでありますが、議員お述べのとおり、現在、両市景観計画においては、景観法に基づく景観重要公共施設の位置づけがありませんが、今後、どのような施設が景観重要公共施設にふさわしいか調査を行い、景観重要建造物、景観重要樹木の指定と同様に草津市と協議してまいります。

 

2点目の、良好な景観形成に寄与する屋外広告物の普及に向けた取り組みについてでありますが、本市の優良屋外広告物の顕彰事業については、平成22年以降、15点の景観重要広告物の指定と、13点のきらッと大津景観広告賞の表彰を行っております。特に、表彰作品の選定には、地元大学の学生にも参加していただき、地域らしさという観点で、屋外広告物について共に考えてまいりました。このことから、屋外広告物が地域の景観を形成するうえで、重要な要素となることを共有できたことから、一定の効果があったものと評価しております。これらの実績を踏まえ、地域の状況に応じた屋外広告物の活用によるまちづくりの取り組みが出来るよう、改めて草津市と協議してまいります。
 
3点目の、東海道統一案内看板の更なる設置に向けた取り組みについてでありますが、引き続き、公益社団法人滋賀県建築士会と共同で開催する景観づくりチャレンジ隊の取り組みにより、両市の子供たちに看板製作に携わっていただき、両市の東海道沿道での設置を進めてまいります。また、議員お述べの全国の宿場町への設置につきましては、東海道統一案内看板の手引きを送付し、設置いただけるよう働きかけてまいります。

 

再質問

3点目の東海道統一案内看板のさらなる設置に向けた取組について。全国の宿場町に設置いただけるよう、手引を送付いただけるとのことでした。そのこと自体も意義深いことではあるのですが、初問でも申し上げましたが、大津市、草津市、ひいては大津市民、草津市民、両市の事業者が目指すまちづくりに対して、他の宿場町の皆様方にも共感が得られなければ、東海道統一案内看板の趣旨に見合った設置には至らないと自らの経験を通じて感じています。繰り返しになりますが、手引をお送りいただけるとのことですが、加えて取り組んでいただけることがあればお聞かせください。

 

答弁:都市計画部長

東海道統一案内看板のさらなる設置に向けた大津市の取組についての御質問であったというように思います。この事業は、緒に就いたばかりと認識をしております。先ほど御紹介がありましたが、10枚の看板を御設置いただいています。県外で申し上げますと、先ほどおっしゃるように多少でございます。これをいかに広げていくかということと、先ほどのこの看板を設置する意義、ここをしっかり皆さんに共有していただくということは非常に大事だと思っています。
今後ですけれども、この取組は大津市だけではできませんし、この広がりというのは市民レベルでも広げていくべきというふうに考えております。このことに共感していただいている事業者の方、たくさんおられます。こういう方の御協力をいただきながら一つでも多くの市町に共感をいただいて、一枚でも多くの看板を設置いただいて、東海道でございますので、東京まで行くわけでございますから、一枚でも多くの看板いただいて、特にこの看板については非常にシンプルな形になっておりますし、いろんな形で活用もいただけるという認識をしておりますので、その取組を努めてまいりたいと考えています。

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