誰もが安全に安心して利用できる公共施設の環境整備に向けた取り組みについて( R5. 12)

質問

令和59月、大津市は大津市障害者差別解消支援地域協議会、大津市障害者自立支援協議会差別解消部会との協同により、本市独自の「障害者に対しての合理的配慮の提供事例集」を作成しました。場面ごとに想定される事例とその解決のための合理的配慮の提供事例が掲載されており、本市ホームページで公開されています。合理的配慮とは、社会の中にあるバリア(障壁)を取り除くために何らかの対応を求められた時に、負担が重すぎない範囲で対応することを意味しており、令和6年4月1日からは国や地方公共団体のみならず、民間事業者に対しても合理的配慮の提供が法的義務として課せられることになります。
 
当該事例集には、これまで実施されてきた大津市公共施設バリアフリーチェックでの気づきが掲載されています。今年度においては、勤労福祉センターと旧大津公会堂において実施され、これまでの間、大津市障害者差別解消支援地域協議会構成団体のうち、障害者差別のないおおつをめざす会、大津市障害児者と支える人の会、大津市身体障害者更生会、大津視覚障害者協会、大津市ろうあ福祉協会、滋賀県建築士会大津地区委員会等の団体が参加をされ、生涯学習センター、北部地域文化センター、和邇文化センター、大津市立図書館、大津市歴史博物館・市民文化会館、大津市民会館・大津公民館、におの浜ふれあいスポーツセンター、瀬田公園体育館において実施されてきました。平成30年に開始されて以降、建築士会の一員として、継続して参加してきましたが、対象施設におけるバリアフリーの推進と合理的配慮の提供に大きく寄与するものであったと評価するものです。
 
しかしながら、なぜ、当該チェックにおいて指摘されるまでの間、課題認識が共有されず、必要な対応が図られてこなかったのか、疑問に感じることが多々ありました。今年度、対象施設となった勤労福祉センターにおいては、車いす使用者用駐車場に呼び出しボタンが設置されているものの、利用者に「ボタンを押して下さい」と案内されながら、事務室で呼び出し音を確認できる状態にないことが判明しました。また、当該駐車場においては円滑な乗降に必要となる区画幅が確保されていないにも関わらず、近接して駐輪場が応急的に整備され、移動の妨げとなる障害物も設置されていました。この他、いくつもの課題が確認されましたが、施設設置者や管理者による日常の点検で確認できる課題に対して、対応が図られてこなかったことを私は重く受け止めています。  
 
大津市が設置する公共施設は市民の財産です。共生社会のさらなる実現を図るためにも、だれもが安全に安心して利用できる施設環境をハード・ソフトの両面から整えていく必要があります。指定管理者制度が導入されている施設については、共生社会のさらなる実現を目指し、障害者差別解消法に定められた合理的配慮の提供が行われているか、施設所管課によるモニタリングの評価項目に含めることを提言するものです。大津市独自の提供事例集のさらなる充実にもつながると考え、見解を求めます。
 
また、当該モニタリングを実施されるにあたり、施設所管課職員の皆さんには、バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進に必要となる正しい知識を持っていただくことはもとより、社会的障壁を解消していくためには、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことを意味する「心のバリアフリー」について、理解を深めていただく必要があると考えます。大津市は今後、どの様な方針のもとでこれらの実現に取り組んでいかれるつもりなのか。大津市が設置する全ての施設を対象とした、全庁的な取り組みとあわせて見解を求めます。

 

答弁:総務部長 

1点目のモニタリングの評価項目に合理的配慮の提供に関する項目を設けることについてでありますが、指定管理施設のモニタリングについては、その基本的な考え方及び標準的な実施方法を定めた「大津市指定管理者制度導入施設モニタリング指針」に基づき、各施設所管所属及び指定管理者において実施することになっており、当該指針については、毎年度、年度末において見直ししております。本年9月に、福祉部から「障害者に対しての合理的配慮の提供事例集」の施設窓口における備え置き及び、来庁者への理解の促進について通知されたことを受けて、当該指針及びモニタリングチェックシートなどの改訂に向けて検討を深めております。
 

2点目の「心のバリアフリー」について、理解を深めるための取組みについてですが、本市におきましては、平成28年4月の「障害者差別解消法」の施行を受け、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する大津市対応要領」を定め、職員に対して障害のある方や高齢の方の立場に立ち、丁寧で寄り添った応対ができるよう、ユニバーサルマナー研修や障害者差別解消法に係る研修を実施しております。
また、昨年度からは、新たに障害のある方の職場体験の受け入れを実施し、職員の障害者への理解を深めるとともに、当事者の視点から市に対するご意見をいただくなど、相互の理解と対話を重視した取組みを始めたところです。

 

再質問

モニタリング指針の見直しについてです。答弁で改定に関して、検討を深めておられるといった表現で答弁をいただきました。もう少し具体的に、その検討を深めているという意味をご説明いただけないでしょうか。

 

答弁:総務部長

モニタリング指針見直しの具体的な状況ということでございますが、まず、施設所管所属、そして、指定管理者がお互いに共通認識の上、そういった管理運営ができるよう、この指針に示すモニタリングチェックシートを見直すことが大事であると思っています。その中で評価項目があるのですが、そこにユニバーサルデザインに関する項目を追加するということを検討しているところです。

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