歴史的風致の維持向上に向けた取り組みについて( H25. 9)
質 問 |
平成25年2月定例会において私は、今年の10月で大津市が古都として政令指定を受けてから10年目を迎えることを契機とし、市街地の活性化、そして観光の活性化の観点からも、中長期的な視野で歴史的風致維持向上計画の策定に向けた検討を開始されてはと提言した。これに対して大津市は、歴史的風致維持向上計画及びその策定が古都大津の風格ある景観をつくる基本理念の実現にどのようにつながるかもあわせ、制度の有効性などについて研究していくとの考えを明らかにされたが、その後、今日に至るまでどういった研究を行ってこられたか。
視察に訪れた金沢市においては、平成21年1月に歴史的風致維持向上計画の認定を受けられ、歴史的文化基本構想に位置づけられている歴史的遺産保存活用マスタープラン、都市景観形成基本計画及び都市計画マスタープランとの整合を図りながら、歴史文化遺産を生かしたまちづくりに取り組んでおられる。文化財保護行政とまちづくり行政との連携を持続可能なものとするため、市長部局である都市政策局内に文化財の保護活用を担当する歴史文化部を設置され、本来は教育委員会の職務権限とされる事務についても、中立性を担保しながら補助執行されている。また、文化財保護とまちづくりの整合を図るために必要となる組織は全てまちづくりフロアに一体的に集中配置がなされており、金沢市を挙げて部局横断的な連携の強化を図っておられた。
大津市においても、歴史的風致維持向上計画の策定を目指すのであれば、関係課の連携を強化するためにも庁内連携会議を立ち上げ、計画を策定する意義やその基本方針について検討を重ねるべきと考える。市長マニフェストに掲げられた豊かな自然、歴史、文化を育て、観光客が集まる大津の実現に寄与するものと確信をするものだが、本市の見解を伺う。
また、5年後の大津市制120周年における発刊を目指し、新たな大津市史の編さんに取り組まれることを提言する。事前に教育委員会に確認を行ったところ、古代については発掘調査によって新たな史実が明らかになっているとのことであり、成果を広く市民に還元するためにも取り組みが期待される。歴史的文化基本構想の策定に向けた気運も高まると考えるが、本市の見解を伺う。
答弁:都市計画部長 |
歴史的風致の維持向上に向けた取り組みについてのうち、1点目のこれまでの研究の成果については、歴史まちづくり法の制度の有効性における研究の一つとして全国で最初に歴史的風致維持向上計画の認定を受け先進的に取り組んでいる金沢市、さらに昨年6月に認定を受けられた尾道市へ視察に行ったところである。この視察においては、歴史まちづくり法の制度を活用するに至った経緯やその目的及び有効性について、さらには計画の推進体制などについて調査を行った。
2点目の庁内連携会議の立ち上げについてであるが、歴史的風致維持向上計画の策定においては、議員お述べのように、都市計画マスタープランや文化財保護に関する歴史文化基本構想など関連する計画との整合を図る必要があり、調査の結果からも関係部局の連携は重要と考えている。議員お述べの市長マニフェストの豊かな自然、歴史、文化を守り育て、観光客が集まる大津を実現するための手法として、また庁内連携会議のあり方を含め、歴史まちづくり法の制度の有効性について引き続き研究を進めてまいりたい。
答弁:教育長 |
大津市史の編さんについては、過去には市制80周年を機に「新修大津市史」全10巻の編さん事業が始まり、昭和62年に完結し、高い評価を受けた。さらに、市制100周年事業として「大津の文化財」を平成10年に、「図説大津の歴史」を平成11年に発刊した。旧志賀町についても、志賀町史全5巻が平成17年に完結している状況である。
市制120周年事業としての市史編さんへの取り組みについては、大津市の全体計画の中で検討していくべきであると考えるが、埋蔵文化財では新たな発見は見られるものの、改めて市史を発刊すべき状況にまでは至っているとは考えていない。最新の成果は埋蔵文化財調査センターや大津市歴史博物館などで情報を提供しているところであり、今後もさまざまな機会を捉え情報発信に努めてまいりたい。
再 問 |
先ほど、庁内連携会議を立ち上げてはどうか、という質問に対して都市計画部長のほうから、そのあり方も含め検討していくとの答弁であった。歴史的風致維持向上計画の策定を行うのであれば、部をまたいで、たくさんの組織、そして教育委員会との当然協力も必要となってくる。
その有効性を検討していくに当たっては、都市計画内だけでの調査や研究、また検討には限界があるし、先ほどの競輪場の用地の問題についても、本来、都市計画部内で検討すべきところであっても政策調整部等においても関わりを持ちながら結論を見出そうとしておられるわけだが、今後どういった形で大津市として庁内連携会議の立ち上げに向けた検討を進めていくのか、改めて見解を伺う。
答弁:副市長 |
庁内の連携をどうしていくかということだが、都市計画部所管副市長としては、やはり歴史、文化ということで極めて大事な本市の資源について、やはり部局横断で考えていく必要があると思っている。具体的にどういう組織をいつ立ち上げるかというところまでは至っていない。しかしいずれにしても議員御指摘の歴史を生かしたまちづくりというのは大事な観点だと思っており、連携を進めながら研究も進めていきたい。