校内暴力に対する教育的配慮のあり方について( H24. 9)

質 問

 当時中学2年生であった男子生徒が自殺をした中学校において、今年の5月30日、いじめの加害者とされる生徒の一人が、修学旅行の事前説明会が行われていた同校体育館において、担任の女性教諭に暴力を振るい重傷を負わせていたことが、新聞報道などによって明らかとなった。学校は、暴力行為のあった当日と6月5日の2回にわたり、校長、教頭、教務主任、学年主任、生徒指導主事などから構成される生徒指導委員会を開催され、被害届は提出されるべきでないとの方針を決定されたが、被害者である女性教諭の意思はどのような形で確認されたのかを問う。

答弁:教育部長

 被害者の女性教諭は、3年で加害生徒の担任を持ち、昨年の事件のことで不安定な加害生徒をクラスの一員として迎えられるよう、保護者とも連絡をとり合ってきた。今回、加害生徒は、帰宅したいという思いを遮られ、興奮し、暴力に及んでしまったが、女性教諭は、それまでの加害生徒に対する指導方針についての保護者との相談経緯を考慮し、被害届を出さない旨を生徒指導主事に伝えた。生徒指導主事は、その思いを生徒指導委員会で話し、協議を行った結果、加害生徒の心理状態などを総合的に考慮し、被害届は留保することとした。

再 問

  特別委員会として設置される生徒指導委員会の中で被害届提出されるべきでないという方針が決定されたわけであるが、決定のされ方として問題はなかったと大津市教育委員会は認識されているのか。

答弁:教育部長

  生徒指導委員会において協議された結果でございますので、その旨は正しい判断だったと考えている。


質 問 被害届の提出について

 同年6月6日、同校生徒指導主事は、大津警察署に対して暴力行為の報告を行い、学校として被害届を提出する意思がないことを明らかにされた。6月18日には、学校から大津市教育委員会に問題行動報告書の提出がなされ、6月29日は滋賀県教育委員会に報告がなされているが、8月の時点において、滋賀県教育委員会教育長は、被害届は提出されるべきとの見解を示されている。大津市教育委員会は、現時点においても被害届は提出されるべきでないとの考えなのか、見解を問う。

答弁:教育部長

 この事件が8月10日以降報道されて以降、大津市教育委員会として再度この事案を検証した。暴力に対しては毅然とした対応が必要であるという従来の姿勢を鑑み、被害届を出すことが妥当であると判断し、学校に対しては指導しているところである。

再々問

 それに対して学校はどのような認識を示しているのか。

答弁:教育部長

 現在、まだ指導を出しているところであり、学校から明快な回答は返っていないが、従来どおり、教育委員会としては、暴力に対しては毅然とした対応が必要であると指導している。


質 問 学校が把握している校内暴力について

  校内暴力については、教育委員会や学校内における取り組みだけでなく、警察などへの援助要請、児童相談所への通告など、さまざまな措置を同時的、段階的に行う必要があると理解をしている。行き過ぎた教育的配慮により、これらの機会が損ねられては、少年法の精神に反することになるが、当該中学校が把握をしている校内暴力のうち、こうした対応が必要とされる事例はほかに存在していないのかを問う。

答弁:教育部長

 議員御指摘のとおり、校内暴力については、学校だけで抱える事案ではなく、警察をはじめ諸関係機関の協力を得る必要があると考えている。当該中学校においては、先ほどの事案のほかにも校内での暴力事案の報告があったが、関係機関への連絡が必要な事例ではなかった。

再 問

  学校に対して照会された結果、そういった事例はなかったという報告を受けられての答弁であるのか、それとも、教育委員会のほうで事例等を精査された中で、こういった事例であれば、警察などへの援助要請や児童相談所への通告は必要ないと判断をされたのか、どちらであるのか。

答弁:教育部長

 この事例につきましては、学校からの報告をもとに、教育委員会につきましても内容を再度確認した上での判断である。


質 問 暴力行為と犯罪について

  暴力行為が犯罪であるということについて、児童や生徒が理解を深める取り組みが必要になってくると考える。例えばプロレスごっこという言葉があるが、遊びで許される行為ではなく、プロレスによって相手にけがをさせても傷害罪に問われないのは、その行為が正当業務行為であるからであり、刑法によって違法性阻却事由として認められているからである。暴力行為と犯罪について正しい知識を得ることは、青少年の健全な育成にとって重要なことであると考えるが、本市の見解を問う。

答弁:教育部長

 学校内での暴力行為が社会に出てからの暴力行為につながることを考えた上で、暴力行為については毅然とした態度で指導を行うことが大切であると考える。暴力行為は犯罪であることについても、学校内で指導した上で、関係機関との連携は不可欠であると考えている。

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