最低制限価格の事前公表見直しについて( H28. 9)
質 問 |
大津市が発注する建設工事及び委託業務に係る入札については、平成26年6月より最低制限価格を事前に公表した上で実施されています。平成27年1月からは電子入札が導入され、環境の変化に伴う落札結果の推移を検証されてきたところですが、今年度8月末までに執行された建設工事に係る入札においては、くじで落札者が決定した割合は91.5%であり、土木一式工事14件、建築一式工事15件、舗装工事4件については100%という結果でした。同期間における委託業務27件についても92.6%という結果であり、くじによって落札者が決定する傾向は顕著なものとなっています。
平成28年1月22日、総務省自治行政局長及び国土交通省土地・建設産業局長名において発出された「公共工事の円滑な施工確保について」の中で、最低制限価格については、その事前公表により入札価格が同額の入札者のくじ引きによる落札等が増加する結果、適切な積算を行わずに入札を行った建設業者が受注する事態が生じるなど、建設業者の真の技術力、経営力による競争を損ねる弊害が生じること。地域の建設業をめぐる環境が極めて厳しい状況にあることを鑑み、事前公表は取りやめ、契約締結後の公表とすることが記されています。
事前に契約検査課に確認をしたところ、現時点において検査成績の低下は認められないとのことでしたが、当該事項は公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律に基づき要請されていることを大津市は改めて重く受け止められるべきと考えます。
隣接する草津市においては、公共工事に関わる不正行為の防止や入札手続の透明性を確保することを目的として、平成14年8月から最低制限価格の事前公表を行ってこられましたが、同額の入札者のくじ引きによる落札の増加を招き、入札参加者の真の技術力、経営力による競争を損ねる弊害が生じ得る状況にあったことを受け、平成24年度以降の入札については事後公表に改めて移行されました。また、栗東市においても、栗東市公共工事等発注倫理規程を策定されるなど、関係法令の遵守はもとより、市民の疑惑を招くような行為は厳に慎むことを改めて徹底された上、草津市と同様の対応をとられています。
大津市においては、入札の公正を害そうとする不正行為を抑止するとともに、発注者がこれに関与する余地を徹底して排除することを目的として、最低制限価格を事前公表とされていますが、地方公務員法を引用するまでもなく、市職員が職務上知り得た秘密を漏らしてはならないことは当然のことです。これまでの間、不祥事防止を含む危機管理対策の一環として庁舎セキュリティーの強化に取り組んでこられたことを踏まえ、公正な入札の執行を不当に妨げる働き掛けがあった場合の対応等を改めて明確にされた上、最低制限価格については事後公表にされるべきと考えます。契約検査課が担当する大半の入札において落札者がくじ引きで決定している現状への評価とあわせ、事後公表に向けた見解を求めます。
答弁:総務部長 |
最低制限価格の事後公表についてでありますが、本市の建設工事等の入札において、その多くがくじによって落札者を決定していること、また国から事前公表について文書が発出されていることは議員お述べのとおりであると認識しているところであります。また、くじ引きによる落札の増加は、適切な積算を行わず入札を行った建設業者が受注するなどの弊害が指摘されておりますが、本市では入札時に内訳書を添付した見積書の提出を義務づけ、事業者が適切に積算していることを確認しております。また、事前公表以来、入札の不調が多発するなどの入札を執行していく上で特に支障はないことから、本市の最重要課題である入札の公正を害そうとする不正行為を抑止するためには、事前公表が有効であると考えております。
なお、公平公正な入札を推進するため、指名停止基準の厳格化とあわせ、職員の入札業務に関係する不正を防止するための取り組みとして、QアンドA方式のパンフレットの配布、及び入札案件ごとに入札執行依頼チェックリストを作成しており、複数の目によるチェック体制の取り組みを行っております。
再 問 |
現時点において特段問題はないと、要約すればそういう答弁だったと評価をさせていただきました。しかしながら、大津市の姿勢として本当にそれでいいのでしょうか。そんなに大津市の職員は信用できないのでしょうか。日々の業務を通じてさまざまな情報を、また漏らしてはいただけない機密を市の職員さんは保持いただいて業務に当たっていただいております。先ほど答弁の中でチェックリストのお話しされました。チェックリストにこう書いています。「公務員としての矜持を持って大津市役所の信用と自分や家族の人生、生活を守りましょう。」私は、市の職員を市長自らが信用いただかなければ、そういう前提で公正な職務に当たっていただかなければ、本来の意味での共助社会の実現はできないというふうに考えます。
市内の多くの建設業者が加入される団体からも、現入札における最低制限価格の事前公表の撤廃についてということで要望がされています。内容については、先ほど御披露された内容と重複しますので割愛させていただきます。今私が申し上げた点を踏まえて改めて答弁を求めます。
答弁:総務部長 |
まず、大津市の姿勢としてよいか、それと市として職員を信用していくべきではないかということについてだと思います。市の姿勢として、これで全て特段の問題はないという考えはございません。もちろん国の発出している文書も十分承知しておりまして、これについては、これまで過去の議会でも御指摘もいただいておりますので、そういったところについては課題があるというふうには認識しております。
それと、職員の信用に関しては、大津市においては過去から今現在も臨時、嘱託含めまして約5,000人の職員さんが日夜業務に当たらせていただいておりますが、当然その大半が大津市としては信頼関係があるというふうに思っています。これについては、過去からの市の中で市の職員との関係であると私は認識しております。
しかしながら、残念ながら、過去何回となく、ほんの一部の、ほんの数人の職員がそういった不適切な行為に及んでいると。それの影響が市職員全体に及びますし、相手さんの業者においても同様に生活に影響が出ているのではないかなというふうに考えております。今の状態が決して最善の姿ではないと思いますが、大津市としては、さらなる粛正を求めて、倫理向上を求めておりますが、まだ現在若干不適切な処理がされていることも事実でございます。現時点においては、現在の制度について運用を続けてまいりたいというふうに考えております。
再々問 |
今、不適切な処理とおっしゃられましたけれども、具体的に答弁ください。
答弁:総務部長 |
今私が申し上げた不適切な処理というのは、入札行為における不適切な処理ではなく、議会にも御報告申し上げているような、これ申し上げて申しわけないですけれども、消防局で起こった事案とか、倫理条例なり、そういったコンプライアンスをこの間ずっと続けてきておる中で、まだそういった事案が出てきていることに対して、職員として本当にそのコンプライアンスを徹底してやっていくというところを当面最重要課題として取り組んでいるそういう状況の中で、残念ながらそういうことが起こっているということを申し上げたつもりでございます。