市長が原因者となって執行されたパワーハラスメントの調査に要した弁護士費用について( H27. 8)
質 問 |
平成26年3月20日、大津市長はパワーハラスメントを思料される事案についての調査及び検証が必要となったことから、滋賀県弁護士会に対して弁護士1名の推薦を依頼されました。パワーハラスメントを思料される具体的事案を生じさせたのは、ほかならぬ越 直美大津市長であり、大津市の業務に関わっておられる弁護士については推薦の対象から外されるよう要望がつけ加えられています。
これを受けて同年4月8日、滋賀県弁護士会から推薦に係る弁護士がパワーハラスメントの調査を行う権限や位置づけ、すなわち条例や要綱等の存在や調査に関する事務局体制などについて確認を求められる文書を発出されました。回答の内容によっては、弁護士において大津市が求めている迅速な対応、正確な情報収集ないし細やかな確認作業が行えない場合も考えられ、弁護士会として推薦の依頼に応じかねる場合もあるので、あらかじめ了承願いたいとの文書が追記されています。
大津市は同年4月17日、弁護士会から確認を求められた事項を踏まえ、弁護士に依頼する主な業務をパワーハラスメントを思料される事案についての調査及び検証であった業務から、パワーハラスメントと推測される事案について、本市の聞き取り調査内容及び当事者からの聞き取りに基づく参考意見に変更され、推薦人数を1名から2名に変更された上、改めてパワーハラスメントの調査に係る弁護士の推薦依頼を滋賀県弁護士会に対して行われました。
その後、市長は4月22日付で滋賀県弁護士会からハラスメント問題に精通されている弁護士2名の推薦を受け、5月2日付でそれぞれの弁護士と契約書を締結されました。消費税を含めた1名当たりの報酬額は16万2,000円であり、平成26年度大津市一般会計予算のうち、款総務費、項総務管理費、目人事管理費、節報償費のうちから32万4,000円が謝金として平成26年8月20日に支出されています。
地方自治法上問題はなくとも、大津市長は2名の弁護士との契約に当たって意見書の作成を求めておられ、当初予算で見込まれていなかった新規の委託事業に当たることから、当該費用の執行は予算の流用に当たると判断するものです。
私はこれまでの間、予算議案の審査に当たっては大津市長から議会に提出された資料だけに基づくのではなく、公文書公開請求によって、市長、副市長が査定された予算資料の開示を受けるなど、編成過程についても調査の対象としてきました。過去何度も議会に修正予算案を提出するに至りましたのは、こうした調査の結果によるものです。
平成26年度末に不足した報償費を平成27年2月補正予算で増額補正されましたが、補正予算説明書にはその内訳までは明記されておらず、人事課から財政課に提出をされた予算見積書を含め予算編成に伴うあらゆる資料の開示を求めたところで、市長が原因者となったパワーハラスメントの調査に弁護士費用が必要になった事実を確認することは不可能です。報償費で措置された枠の中であれば、いかなる目的であっても議会として弁護士費用の支出を認めるということではなく、通年議会を採用する大津市議会にとって看過できる問題ではありません。
市長自らが原因者となってパワーハラスメントに該当すると思われる事例を生じさせ、職員での調査がなじまないことから滋賀県弁護士会に参考意見を求める弁護士の推薦を依頼されました。幾ら人事に関わる事案であったとはいえ、議会に何の説明もないまま予算を流用され、不足した報償費を補正予算で措置されたことについては、首長、市長の市政運営に対する議会のチェック機能を果たす上において問題のある行為であったと重く受け止めています。大津市長は、このことについてどのように考えておられるのか、見解を伺います。
ちなみに、平成26年5月30日付で当時の茂呂副市長から越直美大津市長に報告された春季主要事業ヒアリングの実施等に係る部局長意見についてには、部局長どころか課長も知らないうちに部課職員が市長室に呼ばれ、じきじきに細かな指示を受ける状態が一般化している。市長が御自身の思いをダイレクトに素早く伝えたいという意図は理解できるが、それが矢継ぎ早に繰り返されると、組織にゆがみが出る。部下は上司に対して相談する暇もなく、上司の知らないうちに市長特命の事態が進んでしまい、部下は上司に対して後ろめたい気持ちになるし、市長の指示を実行に移すに当たって周囲の応援も助言も受けにくい。さらに悪いことには、こうした指示が職務の押しつけになったりパワーハラスメントになりかねない。組織をもっとうまく使っていただきたい。
また、市長の施政方針等に対する職員の声に耳を傾けていただきたい。イエスマンは何も考えないことにつながる、また、楽である。逆に言えば、市長はそれだけ大きな権限を付与されているという事実に対し市長自身が自らの権限を恐れるぐらいの謙虚な気持ちで臨んでいただきたいという意見も出されています。今回の事案とは直接関係のない意見ではありますが、私は市政運営の方針を執行部内において決定される過程そのものに問題があったのではないかと思料をするものです。
そもそも2名の弁護士から市長に提出された報告書内容は不明であり、公文書公開請求によっても公開の対象とならないため、現時点においてこれ以上の事実を確認することができません。意見書作成に係る契約書を締結するに当たっての起案文書から、当時パワーハラスメントを防止するための指針として作成されていた大津市セクシュアルハラスメント及びパワーハラスメントの防止に関する指針を踏まえ、業務の適正な範囲であったかが問われたと推察をするものですが、大津市長は、自らの行いをどのように鑑みられていられるのか、二元代表制における予算執行のあり方を踏まえて答弁を求めます。
答弁:市長 |
御質問の事案についてですが、業務の適正な範囲を超えるようなパワーハラスメントは一切なく、弁護士の意見に従い、その旨の結論に至っています。これまでも職員とコミュニケーションを図ることは組織運営において非常に重要なことであると考えており、各種ヒアリングの場においても職員との協議に時間をかけ意見交換に努めております。今後もさまざまな機会を捉え職員との意思疎通を図ってまいります。
また、二元代表制における予算執行との関係では、本件のみを特段御説明しなかったものではなく、他に弁護士に依頼した案件も含めて一括して精算に向けた補正対応として御説明したものであり、これまでも議会に対して同様の御説明を行ってきたところですが、議員御指摘の二元代表制の趣旨から丁寧な説明が望ましいと考えておりますことから、留意して対応してまいります。
答弁:総務部長 |
パワーハラスメントの調査に要した弁護士費用についてのうち、予算執行のあり方についてですが、当該調査に関しては、議員お述べのように、職員による調査がなじまないことから弁護士による参考意見を求めることとなったものであり、予算執行そのものについては手続を経て処理されているものであり、当該予算措置においては、他の案件に係る費用も含め平成27年2月補正にて対応したものであります。
議会への説明については精算に向けた補正対応としたものであります。しかし、議会に対しては丁寧な説明が望ましいと考えておりますことから、留意して対応してまいります。
再 問 |
市長はですね、今答弁をお伺いしますと、パワーハラスメントと言われるような行為は一切なく、弁護士からもそのように意見をいただいたということでございました。
今投映させていただいていますのは、当初の依頼文書です。そして、先の質問でも申し上げましたが、弁護士会からはどういった位置づけで行われるのだと、どういった権限、位置づけで行われる調査なのだということを確認がなされまして、最終的に大津市からは参考意見として聞かせていただきたいということをお約束されて弁護士会のほうから推薦をいただいた弁護士2名と契約をされています。
ですので、弁護士さんのほうから、市長の行われた行為はパワーハラスメントではなかったですよと言われたところで、それはあくまで参考意見にすぎないのですよ。検証いただいたわけではなくて、何度も申し上げますけれども、参考意見ということを前提にお受けをいただいているわけです。
その点を踏まえて、もう一度お伺いをさせていただきます。そもそも税を投じてですよ、市の予算を使われ、自らの行為を原因として滋賀県弁護士会から弁護士の推薦をいただいて御自身の行為について参考意見を求められなければならない、そういった事態になったことそのものについて、私は、市長は反省されるべきだというふうに考えます。その点も反省、省みられる点はないのでしょうか。改めて見解を伺います。
もう一点再問をいたします。総務部長から今後も丁寧に説明を行っていくという答弁でしたが、当然のことです。私が申し上げたいのは、本来こうした予算を計上される段階でしっかりと審査をさせていただかないと、最後の報償費の精算段階において、一切わからない形で補正予算が計上されて執行されてしまったら、私は二元代表制の機能が市民のために効果的に発揮されないというふうに考えます。その点を踏まえて、もう一度見解を伺います。
答弁:市長 |
1点目の予算を使用して滋賀弁護士会に調査を依頼するような事態になったことについて省みる点がないかという御質問についてですけれども、これまでもこの案件に限らず、重大な案件については外部への弁護士の調査を依頼しております。それは案件上、重要な案件については専門家の知識が必要だということがこれまで理由としておりました。そして、今回の件については、やはり職員による調査は望ましくないだろうということから、より公正な調査をするために外部へ依頼をしたものであります。
しかし、パワーハラスメントと疑われること自体、それは本来望ましくないことであると当然思っておりますので、先ほど申し上げたとおり、これからもしっかり職員と意思疎通を図って、そのように思料されるような事案が起こらないようにやってまいりたいと思っております。
答弁:総務部長 |
今回の案件につきましては、特に予算の流用手続についてでございますけれども、現計予算科目が目・人事管理費でありまして、その中の節・報償費での流用でございました。こういったこと自体は通常は執行部裁量にお任せいただいている内容でございます。そういったことから、議員御指摘のとおり、こういった節区分の詳細な説明について説明はなかったというところでございます。
この内容について、例えばこういった内容については1,000項目ほどの内容になるところでございますが、従来から重要なものとして、特に金額が大きいものについては説明に心がけてきたところですが、議員御指摘の金額だけではなく、こういった内容を鑑みまして、これからも丁寧な説明に心がけてまいります。
再々問 |
本議会において、平成26年度一般会計予算の決算を審査させていただくことになります。私自身はその審査の一環でもあるという思いで登壇をさせていただいています。改めてお伺いをさせていただきます。
これからはしっかりと説明していくということでした。確かに款項目節という区分で見ますと、非常に多種多様な予算の執行をされますので、何も全て説明をいただくということは、執行権の及ぶ範囲にもなると思いますし、実際それを全て審査することは非常に困難であると自覚をしています。
しかしながら、再三にわたって申し上げておりますが、市長自ら行われた行為が原因となって予算を、しかも弁護士会という公の団体に対して弁護士を推薦してくださいという依頼を行って参考意見を求めるということについて、本来、議会に対して説明されるべきであったというふうに省みられているかどうかという答弁が、先ほどから一切いただけてないわけでありますが、その点、最後に伺っておきたいと思います。
答弁:総務部長 |
今後決算審査、具体的な審査をいただくことになっていくことと思っております。いずれにいたしましても、例えば予算の流用段階のみならず、こういった案件についてはそういった事態が発生した段階で必要に応じて丁寧な説明に努めてまいりたいというふうに考えております。
再々再問 |
もう一度再問いたします。何度も申し上げますが、本来どうあるべきだったとお考えなのかを伺っています。
答弁:総務部長 |
二元代表制に鑑みまして、重要な案件についてはその都度必要な説明はさせていただくということで心がけてまいりたいと思います。