大津市長の政治判断が教育委員会の組織運営に与えた重大な影響について( H26. 11)
質 問 (教育部長を新たに配置しないとした意思決定について) |
現在、大津市教育委員会事務局においては、教育部長の職が空席となっている。大津市教育委員会事務局及び教育機関の職員の設置に関する規則において、教育部長の職務は、教育長を補佐し、事務事業の調整を図り、所属職員を指揮監督することと定められ、また、教育部次長の職務については、教育部長を補佐することと定められていることから、規則上は教育長と教育委員会事務局との連携は図られていないことになる。市民部に国体・スポーツ推進監という新たな職が創設され、前教育部長がその職に就かれたこと、また、教育委員会事務局教育部次長の職にあった井上佳子氏が教育委員に任命されたことが直接の原因と理解しているが、市長は教育部長を新たに配置しないとした、教育委員会の意思決定にどの様な形で関与されたのか。
答弁:越市長 |
教育部長を配置しないということについては、教育委員会の権限のもと、教育委員会において決定された。一方、市長部局との人事交流については、教育委員会と協議を行った。すなわち市民部に国体・スポーツ推進監という役割を設けることについては私が決定し、前教育部長が国体・スポーツ推進監に就任することについて、教育委員会と協議を行った。その結果、前教育部長が国体・スポーツ推進監に就任することとなり、教育部長職が空くことになったが、新たに教育部長を配置するか、しないかについては、教育委員会にて決定された。
再 問 |
端的に申し上げると、教育部長を配置しないという教育委員会の機関としての意思決定に全く関与されていない、そのような答弁だったと理解している。しかし、今答弁いただいたが、国体・スポーツ推進監という新たな職に前教育部長に就任いただきたいということについては、協議がなされたというように認識した。今さら申し上げるまでもないと思うが、地方自治法第180条の4、組織等に関する長の総合調整権、これは市長にあるということは十二分に理解されていると思う。「普通地方公共団体の長は、各執行機関を通じて組織及び運営の合理化を図り、その相互の間に権衡を保持するため必要があると認められるときは」という文章が続く、そういう条文がある。確かに市長が述べられたように、機関としての意思決定、すなわち部長を置くか、置かないかという意思決定については、教育委員会が責任を持って行わなければならない決定だったというように私自身も認識している。ここで言う権衡という言葉は、つり合いということを意味する言葉であるが、前教育部長を市長部局に戻させ、卓越した行政手腕を理由に教育部次長であった方を市長が教育委員に任命されたというのが私の解釈である。部長職にふさわしい方がその時点でおいでになられたのかということをしっかりと市長として思慮され、先ほど自治法の条文を申し上げたが、ここでこそ総合調整権を十分に発揮いただきたかった。規則にははっきりと、教育部長は教育長を補佐し、事務事業の調整を図り、所属職員を指揮監督すると明記されている。教育部次長というのは、教育部長を補佐する、そういうことを踏まえると、規則上どういう状態になるかということは、市長なら容易に判断がついたのではないかと思う。今の話であると、教育委員会が決めたことだからというように私は理解した。それなら伺うが、教育委員会の側から人事交流で新たに教育部長の出向等について協議は一切されなかったのか、答えをいただきたい。
答弁:越市長 |
教育委員会の側から、新たな市長部局からの出向について交流がなされなかったのかということであるが、教育委員会からは、決定事項ではないが、様々な事項について、教育部長については検討していきたいというように聞いていた。それは例えばそもそも教育部長という役職が必要かということも検討したいということであった。それはどういうことかというと、谷議員の次の質問にもあるかもしれないが、そもそも教育部という部自体は存在せず、多くの自治体では教育部長という役職は配置されていない。通常多くの自治体では、教育長の次は教育次長という役職が配置されている。大津市ではこの教育部長が配置されたこと、以前はなかったがこの教育部長という役職が設けられた。私が理解している限りでは、例えば今までは教育長という役職が教員出身者であったということで、一方で教育部長はそれを補佐する行政職が当たっていたという実態もあったかと思う。これも含めて、そもそも教育委員会で教育部長という役職が必要かどうかも含めて検討されるということであった。また、これは教育委員と話をしている中で、例えば、その教育部長が必ずしも行政職でなくてもいいのではないか、では教員を充てるということもあるかと。それは一つのアイデアであるが、そういう話も出ていて、ただ年度途中で学校の先生を異動するのも難しいのではないか、という話もあった。であるので、質問に答えると、教育委員会の側から新たに市長部局の側から行政職としての教育部長を出してほしいという要請はなかった。
再々問 |
一問一答で質問しており、次の質問に関することも若干答えをいただいたので、少し遡って質問する。
改めて確認したいのが、今も市長が述べられたが、年度の途中で行われた人事だからということを強調された。しかし、前教育部長を新たなスポーツ推進監に、ということを望まれたのも大津市長である越直美市長であるし、前教育部次長の井上氏を教育委員に、と望まれたのも市長であったではないか。私が申し上げたいのは、本来規則上は、教育部次長という方は教育部長を補佐する。教育部長という方が教育長を補佐するのである。教育部長がいなければ、規則上機能しないのである。改めて伺うが、こういう事態になることも踏まえて、教育委員会と市長はこの教育委員会の意思決定にどのような議論をされて、そういう意思決定を教育委員会がされることによって、どういう行政上の課題があるかということもきちんと市長として関与された上で現時点に至られているのか。
答弁:越市長 |
この決定に際してどのような議論がされて、どのような行政上の課題があると認識したかということであるが、議論の経緯については、先ほど答えたとおり、教育委員会において、教育部長という役職をそもそも置くべきか検討する必要がある、またどういう人を置くべきか検討する必要があるというような話をしてきた。また、行政上の課題ということはあるが、やはりこの行政上の課題については、教育委員会で、教育委員会の権限のもと決定されるべき事項だと思っている。
先ほど谷議員が述べられた、年度途中でという話であるが、私が申し上げたのは、そういう議論の中で、例えばその年度途中で教職員を異動させるということについては、教育委員会としても学校の先生を年度途中で異動させるのはなかなか難しいというような話があったということである。であるので、私として年度途中で市長部局の部長職の方、市長部局から教育部長として出向させるということが難しいというように判断したわけではない。逆の言い方をすると、教育委員会で教育部長という役職を置くと決定されて、またその役職に大津市の行政職がふさわしいと決定されて、適切な人を出向させてくださいという要請があれば、それはこちらとしても対応していきたいというように思っている。
再々再問 |
先ほど途中で読むのを終わってしまったが、改めてもう一度、地方自治法第180条の4を読む。「普通地方公共団体の長は、各執行機関を通じて組織及び運営の合理化を図り、その相互の間に権衡を保持するため必要があると認めるときは、当該普通地方公共団体の委員会もしくは委員の事務局または委員会もしくは委員の管理に属する事務をつかさどる機関の組織事務局等に属する職員の定数またはこれらの職員の身分取り扱いについて、委員会または委員に必要な措置を講ずべきことを勧告することができる」というような条文になっている。市長、これは市長として当然心得られているという認識で伺う。私が申し上げたいのは、本来大津市教育委員会には規則上部長が必要である。もともと教育部がないということは、次の質問でも申し上げるが、そういうことを問題視しているのではない。規則上教育部長がおられない限り、教育委員会事務局は機能しないという前提で、大津市長として置かない場合についてはそういう懸念があり、自分自身に組織に関する長の総合調整権も地方自治法で担保されている。常々市長はこの議会においても、教育委員会とは十分に連携を図るため協議を重ねてきているということを答弁されてきたではないか。その点を踏まえて改めて見解を伺う。
答弁:越市長 |
今の質問は、地方自治法上の第180条の4の総合調整権との関係でどう考えるかということだと思う。一方、地方教育行政の組織及び運営に関する法律においては、第26条の第2項第4号というのがあり、教育委員会の職員の任命、その他、人事に関することというのは、教育委員会の権限であるというように定められている。であるので、原則としてこれは当然教育委員会の権限に属する事項であると、教育委員会に教育部長を配置するか、またそれを空席とするかということも、基本的にはこの教育委員会の人事に関する権限だというように思っている。であるので、私が教育委員会に無理やり教育部長を送り込むというのは、この地方自治法に違反するというように考えている。
再々再々問 |
今、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第26条の第2項第4号を披露いただいた。確かに述べられるとおりである。この最後の質問の項目のタイトルにもしているが、「大津市長の政治判断が教育委員会の組織運営に与えた重大な影響について」という着眼で質問をしていることを改めて申し上げる。再三申し上げているが、教育部長でおられた方を年度の途中で新たな国体・スポーツ推進監という職に出向を希望されたのは市長ではないか。それは市長が先ほど答弁で述べられた。また、行政手腕が卓越することを理由とされて、教育部次長の井上氏を教育委員に選任されたのも市長であったではないか。すなわち年度の途中で教育部長と教育部次長がおられなくなった要因をつくったのは、市長の政治判断だと私は申し上げているわけである。職務代理者の順位でいくと、教育部長は1番順位、その次の2番順位については井上教育部次長であったと認識している。そうした通常の状態ではない教育委員会事務局になったわけである。その上で新たに部長職を配置しようと思ったときに、市長は、教育委員会として新たに部長職を選ぶ人材にどういう方がおられて、どういう方が人事交流で市長部局から教育委員会に行かれているかということも当然承知のはずであると思う。かねがね市長が教育委員会とは協議を重ね、連携を強化すると述べているのであれば、こういう点についても十分に協議をいただき、教育委員会の現状も踏まえる中で、場合によっては越権にならない範囲で十分に協議を重ねて、どういう形が今の教育委員会、規則上望ましいかということをしっかりと導き出すために関与する必要があったと思う。その点についても否定されるのか。
答弁:越市長 |
教育委員会に関与をする必要があったという質問であるが、私としては協議をして教育委員会の考えを聞いた。それは先ほど答えたとおり、そもそも教育委員会として教育部長という役職が必要かどうかという点から検討したいということであった。であるので、その時点で私のほうから、教育部長という役職が必要かどうかも検討したいというように述べられている中で、教育部長を置くべきだという意見を押しつけるというのは、教育委員会の人事権を害しているというように判断をしていた。であるので、これも先ほど申し上げたとおり、逆の言い方をすれば、私としては教育委員会から教育部長という役職を残しますと、そして教育部長として適切な人を市長部局から出向してほしいという要請があれば、当然年度途中であれ何であれ市長部局から出向をしていたということである。
質 問 (コンプライアンス違反に対する市長の考えについて) |
井上教育長の就任に伴い、教育部次長が3名に増員されたが、大津市教育委員会事務決裁規程において、次長は、部長の命を受け、課長はその他の職員を指揮監督し、部長が決定した所管事務の方針及び計画に基づき、所管事務の方針及び計画を立案し、部長の承認を得て、これを所属職員に周知徹底させ、事務の遂行に当たるとともに、所管事務の方針及び計画の立案について部長を補佐すると定められている。また、所管事務を遂行する場合においても、方針及び計画の変更を要するもの又は異例に属するものが生じたときは、その都度、部長に報告し、その指示を受けなければならないと定められており、大津市教育委員会事務局の現状については、規程上、問題があることは明らかである。
大津市教育委員会事務局に「教育部」という組織上の部は存在しないものの、機構や職務内容を見直すこともなく、また、関連する規則や規程を改正しないまま、後任の教育部長を意図的に配置しないことは、重大なコンプライアンス違反にあたる。市長は井上氏が教育長に就任されることを前提とし、行政手腕が卓越していると評価され、教育委員に任命されたが、この様な状態で適正な事務執行が可能と判断されているのか。議会への同意を求めた任命権者として、説明責任を果たされるべきと考え、見解を伺う。
答弁:教育長 |
教育部長の配置については、部長級職員の人材の配置について、市長部局と協議をしてきたが、現時点において、教育委員会所属職員の中での体制整備を考えて、教育部次長を1名増員し、3名体制が最良であると判断したものである。
再 問 |
私の初問に対して答弁をいただいていないので、改めてしかるべき方に所見を伺いたいと思う。コンプライアンスに違反すると私は考える。こんなことでいいのか。先ほど市長も大津市教育委員会事務局に教育部が存在しないということについては認められた。実際そうである。部がないからといって、規則、規程上存在する部長職を置かなくてもよいと考えるのか。そんなことで教育委員会改革は実現するのか。私はいけないと思う。改めて伺う。このような状態で適正な事務執行が可能かどうか判断されているのか、コンプライアンス上の観点で責任ある答弁を求める。
答弁:教育委員会委員長 |
重大なコンプライアンス違反ではないかという指摘である。教育委員会を預かる責任者として、今私は同じように責任を感じている。市長に対する答弁を求めておられたが、もともとは教育委員会内部の中でこういう規則を十分認識せず、私の責任でもってこういう経過に至ったということについて責任を感じているところである。改めてこの場でお詫び申し上げたいと思っている。ただ、ぜひ理解いただきたいのは、ずっと教育長というのは大津市の場合に教育経験者が行ってきた。それを補佐する形で教育部長というものが選任され、教育職、行政、手を取り合って大津の教育行政を担ってこられたのだろうと思う。そういう中で、イレギュラーな形で今回教育長が行政職になったということで、これを契機にしてしっかり何が一番大津市民にとっていいのかということを考えていこうということを優先したために、議員指摘の規則上に非常に問題を生じたということで、今後早急にこれを改めて認識を新たにして前向きに進めていきたいと思っている。大津の教育改革、教育委員改革についての意思というのは変わっていないので、どうぞ協力をお願いしたいと思う。
再々問 |
現状は決して認められるものではないという答弁であったと認識した。イレギュラーな形で行政職の方が教育長になられたというような発言もあったが、そのような政治判断をされたのは、大津市長であると私は申し上げている。かねてから市長は、教育委員会と市長との連携を十分に図ってきている、そう述べられたではないか。人事課、総務課、人事に詳しい方、規則、規程、法令に詳しい方がたくさん補助機関、補助者でおられるではないか。なぜ教育部長を配置しないことによって当面生じる課題について意見交換を重ね、次善の策になるかもしれないが、しっかりとコンプライアンス上もクリアした上でこういう方針でいこうと、それを協議されてこその大津市長だというように私は考える。今教育委員会として答弁をいただいたが、私は初問でも申し上げているが、井上氏の教育委員の任命に当たって議会への同意を求めたのは越市長ではないか。そのことについて説明責任を市民に果たされるべきではないかという観点で、独任制の執行機関である越市長に伺っているわけである。最後見解を伺って終わる。
答弁:越市長 |
只今の質問は、私が井上氏を教育委員として議会へ同意を求めた観点から説明責任を果たすべきではないかという質問であると思う。私は議会に対しては、井上氏を教育委員として選任を求めたことについては当然説明責任を負うが、その後の教育委員会の中の体制、人事をどうするかということは、これは法律上教育委員会の権限であるというように考えている。
再々再問 |
法律上、教育委員会の権限だから、私にそれ以降の責任はない、そのように述べられたと理解した。それはないのではないか。そこまで思慮されるべきだと思う。再三申し上げるが、年度の途中で、教育部長と教育部次長をその職にとどめない形にされたのは、その判断をされたのは越市長自身ではないか。本当の意味で連携を図るのであれば、以前にも申し上げたが、協議するだけではだめである。相互理解が必要である。互いの立場に立って判断することが大事である。その点で何ら反省される点もないとの考えなのか、見解を伺う。
答弁:越市長 |
今回協議連携をした点で何か反省する点があるかという点であるが、私は今回のことについては、十分教育委員会と協議をした結果、教育委員会の意向を尊重した結果だと思っている。教育委員会において、教育部長を配置するかどうかから検討したいということであったので、教育部長を無理に市長部局から送るということはしなかった。