大津びわこ競輪場跡地の利活用のあり方について( H29. 9)

質 問

 1点目、大津びわこ競輪場公募型提案貸付事業者選定委員会からの要望事項について。
 弁護士、公認会計士、大津市職員4名から成る同事業者選定委員会は、平成29年7月にまとめられた審査講評において、提供ゾーンの形状については地域住民をはじめとしていつでも誰でも利用できる環境が求められている、また本市の財政状況を踏まえると、効率的な提供ゾーンの維持管理が求められているところである。このことから、今後の整備や運用について、このことを十分に確保する必要がある。今後、提供ゾーンのあり方について市と協議を十分行うとともに、地域住民との協議を十分に実施することを事業者に要望するとの見解が示されています。しかしながら、同年8月に大津市長との間で調印された基本協定書においては、同事業者選定委員会の要望事項のうち、事業者が了承したものに基づいて本件業務を実施することが遵守事項として定められています。事業者本位ともとれる条文であり、協議もなされてないうちから聞き入れられる範囲でよいとされていることに違和感を覚えます。提供ゾーンとは、すなわち多目的広場であり、工事完了の後、大津市が公園開設者として維持管理を行うことになります。優先交渉事業者の提案によると、公園の中の商業施設をコンセプトとされ、公園と一体利用が可能な形で建築物の配置を計画されていますが、その形状については地域住民をはじめとする公園利用者にとってどういった使用の方法、管理のあり方が望まれるのか、協議結果を踏まえた上で徹底されるべきものと考えます。
 また、先の市長選挙における越市長のマニフェストにおいては、国体を見据えたスポーツの普及、振興、大津らしいスポーツイベントの開催、これを具現化する事業として競輪場の民間活用によるスポーツ施設の整備を掲げられており、大津市としても整備される多目的広場の形状について、改めて責任を自覚されるべきと考えます。
 11月には、関係法令に定められた手続を開始される予定と認識していますが、事業者の立場になって考えてみれば、まずもって多目的広場を含めた土地利用計画図を早期に確定させたいと推察いたします。事業スケジュールが優先される余り協議が不十分なまま終わることがあってはならないと考えますが、大津市は今後どういった方針のもと、地域住民をはじめとする公園利用者のニーズを把握し、多目的広場の整備に向けた協議を優先交渉事業者と進めていく考えなのか。

 2点目、既存施設の解体撤去に向けたスケジュールについて。
 同事業土地使用貸借仮契約書において大津市は、優先交渉事業者からの提案に基づき、解体事業開始時期を平成29年11月30日と定めています。大津市においては、近年まれに見る大規模施設の解体工事であり、事業者には通学路の安全確保はもとより発生する粉じん対策のほか、振動や騒音などについても十分な対応が求められます。残存施設の贈与及び使用貸借に係る本契約については、平成29年10月を予定されていますが、解体事業開始期限が優先されることによって、地域住民への周知、説明、また家屋調査等への対応が不十分なものになってはならないと考えます。大津市においても留意すべき事項と考えますが、周辺住民の安全・安心に資する対応は、解体事業開始期限に優先すると理解してよいのか見解を求めます。

 3点目、中消防署移転の有力な移転候補地がなくなることについて。
 隣接国有地における土砂災害警戒区域の解除が見込めなくなったことを受け、私は平成28年11月通常会議において、競輪場跡地の一部を防災公園に位置づけた上、中消防署を移転することを提言いたしました。敷地条件の優位性として、災害環境に問題は認められず、消防活動相互支援協定の締結に向けて調整を進められている陸上自衛隊大津駐屯地と近接し、第1次緊急輸送道路に面していること、また都市公園法に基づく供用は開始していないことが上げられます。このことから、都市計画の見直しは可能と判断し、政策の転換を求めましたが、大津市からは既に方針は決定しており、当該跡地へ移転する考えはないとの見解が示されました。あわせて消防署移転の方向性については、大津市消防局の意見を十分に考慮しながら調査整備基本方針や調査整備基本計画の中で検討を加えていきたいとの考えも示されましたが、現時点で移転用地確保に向けためどはついていないと認識しています。先の答弁のとおりです。
 これまでの間、競輪場事業跡地の活性化に向けて取り組まれてきたことについては敬意を表するものですが、その手法に前例があろうとなかろうと中消防署の移転用地の確保は、市民の安全を確保する上において大津市が最優先で取り組まなければならない課題です。今議会において、大津びわこ競輪場跡地の利活用に関し、残存する建物等を民間事業者の負担により解体撤去するため、当該建物等を事業者に無償譲渡するとともに、解体撤去に要する期間、当該土地を事業者に無償で貸し付ける議案が提出されました。改めて質問いたします。中消防署の移転用地は競輪場跡地以外に存在するのかしないのか。市民、職員の命に関わる庁舎整備にも影響を及ぼす課題であることを踏まえ答弁を求めます。

答弁:産業観光部長

 大津びわこ競輪場跡地の利活用のあり方についてのうち、大津市は今後どういった方針のもと多目的広場の整備に向けた協議を優先交渉事業者と進めていくつもりなのかについてでありますが、優先交渉事業者の提案は、大津びわこ競輪場跡地公募提案型貸付事業者選定委員会の意見はもとより、地域住民等の意見を踏まえ、関係法令に即して進められると認識しております。このことから、今後も地域住民に十分に周知を図られ整備を進められるよう優先交渉事業者と協議を進めてまいります。

 次に、周辺住民の安全・安心に資する対応は解体事業開始期限に優先するものと理解してよいのかについてでありますが、本事業では解体事業開始期限の遵守を求めるものの、安心・安全に資する事業としての対応は当然のことと認識をいたしております。今後滋賀学区自治連合会や地元自治会等を対象とした説明会や協議の場を設けることとしており、事業説明や安全対策のあり方などについて丁寧に対応してまいります。

答弁:消防局長

 大津びわこ競輪場跡地の利活用のあり方についてのうち、中消防署移転の有力な移転候補地がなくなることについてでありますが、大津びわこ競輪場跡地の利活用に関しては、民間企業に貸し出す形で既に基本協定が締結されていますことから、中消防署移転候補地にならないものと認識をしております。

再 問

 産業観光部長に伺います。多目的広場のあり方については、一定大津市が関与されるべきであり、事業者任せではだめだと思います。この点を踏まえて、どういった関与されるのか改めて伺います。

答弁:産業観光部長

 多目的広場についてでございますが、このことにつきましては今後大津市の施設とするというのが前提でございます。その整備内容につきましては、協定書の21条に記載のとおり、市は多目的広場等の設計について指示をすることができるというふうになっております。このことから、地域住民をはじめとする公園施設利用者のニーズを事業者との協議に反映してまいりたいというふうに考えております。

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