大地震・巨大地震発生時における災害対応力の強化に向けた取り組みについて( R6. 12)
質問
1点目、受援力向上に向けた取り組みについて。
平成30年3月、大津市は大津市業務継続計画を補完する計画として、大津市災害時受援計画を策定しました。大地震・巨大地震が発生した際、大津市だけでは対応できない事態に備えるための計画であり、他の自治体や機関など多方面からの支援を最大限活かすため、地域防災計画と整合を図りながら、人的、物的支援の受け入れ手順やその役割など、受援に必要な体制を整備することを目的としています。
令和6年2月通常会議において、受援力向上に向けた取り組みをテーマに質疑・一般質問を行った際、大津市は受援力の向上を図るため、計画の見直しにあたっては、国・県・他都市の動向や知見等を取り入れ、さらには、訓練等を通じて関係機関等への周知と理解醸成を図ることを定めているものの、これまでの間、見直しが行われたのは、指定避難所及び災害時応援協定の追加ならびに市役所組織の改編に伴う変更のみであったと指摘しました。今後どの様な方針のもとで受援力向上に資する取り組みを進め、大津市災害時受援計画の実効性を高めていくつもりなのか、当該計画に定められた受援対象業務シートの管理状況を確認したところ、82の受援対象業務のうち、今もって42業務にはマニュアルが無いことが明らかとなりました。
受援体制の強化を図るべく、神戸市における民間建築物の被災建築物応急危険度判定に係る業務を対象に調査を行いました。同市においては、地震発生後において、被災建築物の応急危険度判定を円滑に実施するため、判定に関する計画の作成、判定士の参集方法、判定機材の備蓄等を「神戸市被災建築物応急危険度判定業務マニュアル」において定められています。ちなみに、大津市においては一般財団法人日本建築防災協会、全国被災建築物応急危険度判定協議会が発行する「被災建築物応急危険度判定マニュアル」を業務マニュアルとされています。しかしながら、当該マニュアルは、被災建築物の余震等による倒壊の危険性及び落下の危険性等を判定し、その建築物と敷地や周囲の建物の当面の使用の可否を決めることにより、二次的災害を防止することを目的としたものであり、災害時における応急対策業務に対応するマニュアルではありません。
現在、大津市においては、被災地への職員派遣を通じて得られた経験や知見を大津市災害時受援計画の改定に反映させるべく、取り組みを進められていると承知しています。マニュアルが有るとされている受援業務においても、本来必要とされる行動手順書でないものが複数確認されており、受援対象業務シートについても、早期の見直しが望まれます。大津市受援計画の改定に向けた現時点における取り組み状況と受援対象業務数そのものを見直す必要性、また、応援を要請する人材に位置付けられている退職者の協力体制構築に向けた取組み状況とあわせて見解を求めます。
2点目、大地震の発生を想定した復興事前準備の推進に向けた取り組みについて。
平時から災害が発生した際のことを想定し、どのような被害が発生しても対応できるよう、復興に資するソフト的対策を事前に準備しておくことを復興事前準備といいます。
令和5年8月通常会議、私は国土交通省が復興事前準備の取組みのうち、特に、復興まちづくりの目標・実施方針を検討し、事前復興まちづくり計画を検討・策定することに焦点をあてた「事前復興まちづくり計画検討のためのガイドライン」を公表したことを受けて、大津市版の事前復興計画を策定されるべきとの提言を行いました。これに対して大津市からは、復興事前準備の取り組みについては、庁内の関係課と情報収集や意見交換等を行っており、今後は国のガイドラインに基づき、まずは想定される地震や浸水被害についての確認を行うなど、本市の実情に沿った取組内容や優先して検討する区域について研究を深めていく方針が示されました。
また、令和4年12月に国土交通省がまとめた「復興事前準備の主流化に向けた取り組み事例集」において、復興事前準備については、地域防災計画や都市計画マスタープランなど法定計画を活用して位置付けられている自治体が多くあることから、まずは事前準備に着手し、その過程の中で事前復興まちづくり計画の必要性なども検討していく考えが示されました。現時点における復興事前準備の取り組み状況と今後の展望について、見解を求めます。
答弁:危機管理監
1点目の受援力向上に向けた取り組みについてでありますが、令和6年能登半島地震への派遣職員が得た知見や、他都市の事例を参考に、現在、災害時におけるフェーズ毎の標準的な業務の流れを整理するとともに、受援対象業務シートの見直しなどを行っているところであり、引き続き業務マニュアルの作成を進めてまいります。
また、退職者の協力体制構築に向けた取組状況については、現時点では、退職者に個別に応援を要請することを想定しているところですが、応援人数や専門性の確保等において課題が多いことから、引き続き効果的な仕組みを調査研究してまいります。
答弁:都市計画部長
2点目の大地震の発生を想定した復興事前準備の推進に向けた現時点における復興事前準備の取り組み状況と今後の展望についてでありますが、令和6年2月に庁内関係課による復興事前準備推進に向けた勉強会を実施し、まずは想定される地震や浸水被害を確認して、復興事前準備の必要性を認識するとともに、復興や災害対策について地域防災計画や都市計画マスタープランにどのように位置づけしているのかなど、現状の取組状況の把握を行いました。
今後も継続して庁内勉強会を実施し、まずは本市の実状に沿った復興事前準備に向けた取組内容や各所属の役割分担などの検討を進めてまいりたいと考えております。