塩漬け土地の解消に向けた取り組みについて( H23. 2)
質 問 (大津市土地開発公社の経営の健全化について) |
平成21年9月に作成された大津市土地開発公社の経営の健全化に関する計画書によると、大津市は平成22年度末までに用途が明確でない公社保有土地を解消することを経営健全化に向けた目標の一つとしている。進行管理及び計画管理は総務部長を座長とする大津市土地開発公社健全化対策委員会が実施することになっているが、期日を目前に控えた現時点において解消はどの程度図られたのか、見解を問う。
答弁:総務部長 |
用途不明確な土地を含む長期保有資産の早期取得方策については、これまで土地開発公社健全化対策委員会で協議検討を進めてきた。平成21年9月に策定した「土地開発公社の経営の健全化に関する計画書」に基づき、今年度末までに不明確な土地の解消計画を策定するとした土地は13箇所ある。今年度も所管下に対象土地の買戻し計画等ヒアリングを行いながら始終検討したが、結果として解消できた土地は、昨年度引き取った土地を含め3箇所にとどまっている。諸事情によって引き取りが中断している土地や、今後の利用計画が明確にならない代替地等もあり、今年度内の不明確土地の解消計画の策定は困難な状況になっている。
再 問 |
諸事情によりという答弁であったが、となれば引き続き解消に向けて検討となるが、今後どういう期間で解消に努めていくのか、見解を問う。
答弁:総務部長 |
同公社の保有資産を計画的に減少させていくことがまず大事であると考える。大変厳しい財政状況下であるが、昨年新たに改定した中期財政計画においても毎年度単独して3億円の引き取りを明記するとともに、計画的な引き取りを進めていく。今年度の補正予算及び来年度の当初予算ではすでに道路等として利用している土地を最優先として引き取ることとしている。来年度においても早期に取引計画の明確化を図り、有効な土地利用の推進に努めていきたいと考える。
再々問 |
今現在も先行取得依頼した当時の目的がなくなっている用途のものがあるという事実を認めたうえで、その用途を明確にしていかなければ、少なくとも引き取れないので、その用途の明確化を今年度末までに行っていく、だが諸事情によってそれがままならなかったと。そういう用途の明確化を図るのであれば、どういう期間で取り組んでいくのか、本来は22年度末までに取り組んでいくはずであったが、それがかなわなかったのであれば、どういう期間で取り組んでいくのか、問う。
答弁:総務部長 |
用途不明確土地の解消が進まない理由になるが、都市計画道路の計画を見込んで先行取得した事業用地等であるが、その代替地等においてその後の事業の見直し、延期等によって取引目的や取引の時期について不明確になっているというのが現状であると認識している。したがって今後において、検討委員会のなかでしっかりと議論していき、一刻も早い引取りに努めていきたい。
質 問 |
平成元年に都市計画道路3・4・15石山駅湖岸線用地等の代替用地として大津市土地開発公社が先行取得した用地の費用は3億9700万円であり、増え続けた金利額は平成21年度末の時点で約2億1000万円となっている。現在の利率で計算すると1年間で約1100万円の金利が増幅することになり、塩漬け土地の存在は大津市の将来負担を増加させる大きな要因となっている。この用地に限らず、先行取得依頼当時の目的で活用される見込みがないのであれば、土地利用のあり方について地域住民に意見を求め、土地利用の誘導を図りながら民間に売却する手法を検討すべきではないか。買い戻すための行政目的が見出せないことを理由に利用可能な土地が未利用となり、地域活性化や市税収入の機会が損失してはならないと考え、本市の見解を問う。
答弁:総務部長 |
土地開発公社の保有資産であるが、現在のところ、成安造形大学用地を除き、全て市からの受託事業によるものとなっている。特に代替用地については、当初の目的から状況に変化が生じ、保有が長期化している土地が多いことも事実である。公社が当該土地を民間に売却するためには、市が依頼した当初の目的がなくなったことを判断し、いわゆる「特定土地」に変更するための手続を行うことが必要である。しかし、「特定土地」となると地価評価となり、現在の地価下落傾向から、大幅な差損が生じることも十分予測される。また、公用地でなくなるため、固定資産税が賦課されるなど、公社経営に大きな影響が生じることも懸念される。したがって公社保有地の目的については、公社経営を十分に意識し、適正に判断することが重要であると考える。
質 問 |
大津市土地開発公社は、金融機関から借り入れを行い、大津市から先行取得依頼のあった用地を取得している。金利は一年ごとに見直しがなされているが、経営状態に対する評価を反映してのものなのか、公社の希望する金利とは相当な開きがあると聞いている。債務を保証している大津市として、何が原因であると考えているのか、見解を問う。
答弁:総務部長 |
大津市は土地開発公社の借入金に対して80億円を限度として債務保証を設定している。借入れ金利が高水準になっている原因については、金融機関の審査の厳格化にあると認識している。土地開発公社は市が全額出資している公社であるが、一企業、一団体と判断され、公社の経営状況や財務内容の推移等から、金融機関による自己査定を厳格に判断されていると認識している。本市としては、公社の金利負担が年間約1億円という多額なことから、少しでも低金利で借入れが実行でき、経営健全化計画に基く経営改善が図られるよう今後腐心していきたい。
質 問 (第三セクター等改革推進債の適用について) |
平成21年度に施行された地方交付税等の一部を改正する法律により、土地開発公社を含めた第三セクター等の整理又は再生に伴い、自治体が負担する必要のある経費については、同年度から平成25年度において、地方債の起債を認める特例規定を設けるよう、地方財政法の一部が改正された。いわゆる第三セクター等改革推進債といわれるもので、償還期間については、10年が原則となっているが、実質公債費比率等の推移を推計したうえ、弾力的な期間設定が可能であると認識している。大津市土地開発公社の健全化に関する計画の取り組み期間は、平成21年度から24年度までの4年間であることから、計画の進捗を見極め、適用の可能性を検討すべきと考えるが、本市の見解を問う。
答弁:総務部長 |
土地開発公社の経営は大変厳しい状況にあり、将来の市財政に深刻な影響を及ぼすことが十分予測される。本市における土地開発公社の役割は、道路等の都市基盤整備の秩序ある整備形成に大きく寄与するものであり、現在進めている都市計画道路石山駅湖岸線の整備をはじめ、新年度からは、同馬場皇子ヶ丘線百石町工区の用地買収に着手するところであり、地価の下落傾向が続いているが、用地交渉を進めるうえで先行取得による手法は大変重要であると考える。しかし、一方で社会情勢の変化により、用途不明確な土地の解消が喫緊の課題であることは十分認識している。このことが市財政に及ぼす影響が多大なものになることが予測されることから、どのような手法による経営改善が可能であるか判断するべき時期にきている。今後公社のあり方について、第三セクター等改革推進債の活用も含め、色々な方法があるとは思うが、十分に検討していきたい。