ガスの小売全面自由化に伴う官民連携出資会社の設立に向けた取り組みについて( H28. 11)
質 問 |
平成29年度から開始されるガスの小売全面自由化を目前に控え、大津市企業局とパートナー事業者が共同出資する官民連携出資会社を設立する方針であると説明を受けました。経営環境の変化を見据え、意欲的に検討を進められている姿勢については評価するものですが、民間事業者に委ねる業務範囲については、リスク分担と責任分担を適切に行うことはもとより、災害時における対応などについて十分検討を行った上で決定する必要があります。
大津市企業局が作成した事業スキーム案においては、PFI法に定められる公共施設等運営権制度の活用が明記されていますが、コンセッション方式ありきで官民連携出資会社を設立する考えなのか。また、公募によるパートナー事業者の選定を平成30年4月以降と見込まれながら、事業開始時期を平成31年4月と予定されていますが、職員の出向や採用に伴う手続、業務管理体制の構築などに要する期間を踏まえると、新たな事業運営形態への移行期間に不足が生じるものと懸念するものです。何を優先してこのようなスケジュールを作成されたのか。
2点目、大津市が出資する法人の経営に与える影響について。地元から雇用を行うことで地元経済の活性化に貢献するとされていますが、大津市企業局が出資する株式会社大津ガスサービスセンターや株式会社パイプラインサービスおおつについては、これまでから地域に密着したサービスを展開されており、新会社との競合によって経営状況が悪化するおそれがあります。今後、大津市企業局はどういった方針のもとで両法人と情報の共有を図っていく考えなのか伺います。
答弁:企業局長 |
1項目めの大津市企業局が作成した事業スキーム案についてのうち、1点目のコンセッション方式ありきで官民出資会社を設立する考えなのかについてでありますが、小売全面自由化において民間企業のノウハウを活用し、それに本市が一定関与することで、お客様に低廉な料金水準による持続的なよりよいサービスが提供できる運営形態としてコンセッション方式の活用を選択肢の一つとして検討するものでございます。現在実施しておりますマーケットサウンディングなどの意見も踏まえつつ、最適な運営形態を見定めていきたいと考えております。
次に、2点目の何を優先してこのようなスケジュール案を作成されたかについてでありますが、国のPFI事業の手引や大阪市、奈良市でのコンセッション方式の導入計画案によりますと、検討開始から事業開始まで概ね2年程度とされていることから、現時点では平成31年4月の開始をめどとしております。
次に、2項目めの大津市が出資する法人の経営に与える影響についてでありますが、本市としても、2社に対して出資している立場であることを踏まえ、さまざまな運営形態の検討を行うに当たって、それぞれの経営にとって相乗効果が生まれるよう、協議してまいります。
再 問 |
それぞれ再問いたします。議会に対して説明されたスキーム案はコンセッションありきであった。先ほど他の議員からも、水道、下水、ガス一体の管理運営による、いわゆるバンドリングですね、その効果について発言があったところですが、これまでと何ら変わりないとおっしゃっておられるが、それって、コンセッションなのか。十分に検討されてないのではないか。日本初ですか。(仮称)びわ湖総合ユーティリティ株式会社、パートナー事業者も決まってないうちから、会社名まで決められて記者会見もされていますが、もっと十分に局内で検討されて情報発信いただかないと、市民や事業者にとってみれば、大津市企業局は今後どういった方針で公営企業を運営していこうとしているのかわからない。その点を踏まえて改めて見解を求めます。
2点目、スケジュールについてです。先ほど大阪と奈良の事例出されましたよね。今、どのような状態になっていますか。
3点目、大津市が出資する会社とは相乗効果が発揮できるよう検討していくとおっしゃられました。現時点において、どういう形であれば相乗効果が発揮できるか。
答弁:企業局長 |
今回の官民連携を考え出しましたのは、ガス事業法の改正によりまして、新規参入事業者をはじめとした公正な競争が行われることを期待されるというのが1点ございます。それによって料金が下がる、あるいは利用者に有利な環境が期待されるということで、料金規制も廃止されることになります。料金規制があれば時代の変化や利用者のニーズや他社との競争を踏まえ、柔軟かつスピーディーな料金設定やプランの設定ができないというようなこともありますので、料金規制が廃止されることになります。
もう一点、皆さんから御指摘がありましたのは、じゃあ、新規参入事業者がない場合どうなのかということも言われます。地域独占が廃止されても、地域によっては実質的に一つの事業者が小売事業を行う状況が生じると、規制なき独占ということで、それについては、私どもの公営事業者であれば議会のコントロールがききますので除外がされるのですが、一般のガス事業者であれば、経過措置料金の規制がかかっていくというようなことでございます。そうした点を踏まえ、新たな新規参入事業者によって、この前も答弁をさせていただいているのですが、他のガス事業者へ移行することが予想されて、それによって一般家庭のお客様のガス料金の値上がりにつながりかねないような状況が予想されるということで、また、地域独占によって何も変わらないということでしたら、このガスシステム改革の目的には合致しないということで、附帯サービスも含めた総合的な事業展開を図ることによってお客様の満足度を上げたいということがございます。そのようなことで、今回、このような官民連携事業を考えたわけでございます。
それと、先ほど水道、下水道とガスのバンドリングと変わらないじゃないかということをおっしゃっていただいたのですが、ただ、ガスの場合は、先ほども申し上げましたように、小売事業者と導管事業者に分けられますと、導管部分というのは大津市に今までどおり残ります。それに伴います、例えば先ほど申し上げましたのですが、検針業務というのは導管事業者が検針に行って、A社の分もB社の分もC社の分も検針に行きます。そして、そのデータをそれぞれにお渡しするということになりますので、そのシステム、料金システム、水道料金、下水道料金と連携したシステムはそのまま残るので、費用的には変わらないということでございます。
あと、企業局の方針ですけれども、今申し上げましたように、そういうことで、一つとしてお客様の料金等で不利益にならないように、さらに附帯サービスを含めた満足度をどう上げていくかということを念頭に考えているものでございます。先ほども申し上げましたように、今後、例えば来年度におきましては、官民連携の詳細につきまして今後に必要となる情報を精査し、最終的な事業スキームを検討し、資料を作成してまいります。経営に関する費用など一定の前提条件において、定量的、定性的分析を踏まえた実施方針を作成させていただきまして、来年の12月に実施方針を議会のほうに上程をさせていただく予定をしておりまして、それ以前にその定性的分析をお示しさせていただきたいというふうに思っています。
あと、関連事業者との関係です。関連事業者との関係はどう考えているのかということだったと思いますけれども、私どもの今回考えましたのは、そのような経緯で新会社の設立というのを考えておりますが、それによってお客様の利益になるようにということを考えているわけですけれども、ただ、そこで関連会社との競合というところを私どもも望んでいるわけでもなく、関連会社の方との調整というのは、連携というのは今後も考えて協議をしていきたいと思っております。
大阪、奈良の現状というのは、順調に進んでいないということは承知をいたしております。それも踏まえまして、本市での取り組みについては慎重に今後も進めてまいりたいと思います。
以上でございます。